| 国鉄1047人問題 かけはし2009.12.14号 |
JR不採用問題の解決に向けて集会
もはや一刻も猶予できない全国の闘争団・家族は訴える |
政治家が判断
すればできる
十一月二十六日、永田町の星陵会館で「JR不採用問題の解決に向けた11・26集会」が四者・四団体の主催で行われた。北海道から鹿児島まで全国から三百六十五人の闘争団員・家族が結集し、支援者を合わせて四百人の参加で、年内に解決の目途をつけようという熱気に包まれたものとなった。また、この集会の成功のために、全国各地での集会や国会前での座り込み、中野隼人さんの五十四日連続国会周辺フルマラソン、佐久間忠夫さんのハンストとさまざまな大衆行動を積み上げてきた。
最初に、国労高橋委員長が主催者あいさつを述べた。
「JR不採用問題は二十三年目になっている。闘争団員が十月には四人亡くなり、無念のうちに亡くなった闘争団員が五十九人になった。すでに精神的・肉体的な限界にきている。今年の2・16集会に参加した当時の鳩山民主党幹事長は『政局にからめることなく、人道的立場で解決するために全力を尽くす』と表明した。その鳩山連立政権が成立したのだから解決可能である。解決要求を具体的に実現するためにがんばる」。
続いて、参加した民主党、公明党、社民党、国民新党の代表が激励のあいさつをした。
民主党の高嶋良充筆頭副幹事長(参議院議員)は「政策の実行の一つに、一〇四七人不採用問題の解決が入っている。鳩山さんの集会での発言は承知しており、今度は与党の立場で解決を図るように尽力し、党として各大臣に対して、一日も早く交渉のテーブルにつくように努力したい。そのためにせいいっぱいがんばる」と発言した。
公明党の「国鉄労働者一〇四七名問題解決のための対応委員会」座長の弘友和夫さん(参議院議員)は「昨年の鉄建公団控訴審で、南裁判長がソフトランディングはできないかと呼びかけたのに対して、公明党出身の冬柴国交大臣は誠心誠意応えたいと発言した。与党が解決する気になれば、こうした集会は最後にできる。次の集会は解決報告会になれば良い。解決に向けての九合目に来ている。力を合わせて解決に向けて闘っていきたい」と激励した。
社民党副党首の又市征治さんは「自民党も対策委員会を作った。すべての政党の足並みがそろった。財源の問題でも、鉄運機構特別会計の財源一兆三千億円を出すと金子国交大臣が国会で答弁した。社民党出身の福島大臣や辻元国交副大臣からも、年内解決をめざすように働きかけをするようにする」と決意を述べた。国民新党・自見庄三郎幹事長が「働く人の味方の内閣を作った。この問題を政治家が解決しないと申し訳ない」と語った。共産党の穀田恵二国対委員長は「@国鉄・分割民営化の責任を追及するA政治家が決断すればできると連立政権は言うが、この国鉄問題でも約束は守らなければならないB政治に希望を作り出すためには、世論を喚起し大衆的な運動を盛り上げよう」と訴えた。
北海道・音威子府闘争団家族の千葉真貴子さんは、夫がJRに採用されないことにより、希望を一瞬にして奪われ、生活費をぎりぎりまで詰めたり、子どもに進学をあきらめさせたりと苦労の連続であったことを述べ、新しい年を希望をもって迎えられようにして欲しいと訴えた。鉄建公団訴訟・酒井団長が「大詰めの局面を迎えた。今日の集会は手ごたえがあり、解決に向けた分水嶺となるだろう。この機会を逃さず解決できるように全力でがんばる」とお礼を述べた。
悔いを残さぬ
ために全力を
以上で一部を終えて、この後二部に移った。冒頭、共闘会議二瓶議長が経過報告をした。
「@今日の集会に自民党は参加していないが、自民も解決に反対しないとの感触を受けた。反対する党はないということだA国交大臣が決断すれば解決できるということ。運輸機構は大臣の指示があれば、テーブルは作ると言っている。国交省がカネは出せると言っている。われわれは解決可能な三項目要求を具体的に出している。運輸機構と正式な交渉テーブルを作らなければならない。本日を起点にして、いろんな動きがあるだろう。解決は近づいている」。
続いて、原告団からの訴えが行われた。採用差別国労訴訟団、鉄運機構訴訟団、全動労訴訟団の代表は「時間は戻せないが、これからの人生のために解決したい」、「当事者の悔いの残らない解決のために全力を尽くす」、「北海道で連続して行動を行い、熱気あふれるものとなった。路頭に迷わない解決を求める」と決意表明した。
鳩山由紀夫内閣総理大臣、国交大臣、厚労大臣の三者宛ての、JR不採用問題の早期解決を求める要請決議(別掲)を満場の拍手で採択した。閉会のあいさつの後、団結ガンバローを行い、今度こそまったなし解決に向けて全力をつくそうと誓い合った。 (M)
内閣総理大臣 鳩山由紀夫殿
JR不採用問題の早期
解決を求める要請決議
時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
ご案内のように、国鉄の分割・民営化から23年。JRに不採用となった国鉄労働者1047人とその家族はあまりにも長く厳しい生活と闘いを強いられてきました。被解雇者は、アルバイトや物資販売で生計を立ててきましたが、人並みの生活には及びもしない状態です。子供たちにも思うような教育も受けさせられず、就職にも影響しました。すでに国労闘争団員の平均年齢は56歳、全動労争議団の平均年齢は60歳になっています。退職年齢に達した者も多数出てきています。また、解決を見ることなく亡くなった被解雇者は59名を数え、病床に伏せている闘争団員・争議団員も多数います。また年老いた両親も解決を見ることなく亡くなっています。家族共々文字通り塗炭の苦しみにあえいでおり、この解決は一刻の猶予も許されない状況になっています。採用差別という不法行為が、鉄道職員としての「誇り」を奪いました。このようにあらゆる場面で痛みを感じているのは常に弱者です。
この間、鉄建公団訴訟東京高裁控訴審で南裁判長が、解決に向けてソフトランディングを求め当事者間の裁判外の話し合いを提案しました。当時の冬柴国土交通大臣は、この提案について「お受けしてその努力はすべきだ」、また金子国土交通大臣は、鉄建公団訴訟東京高裁控訴審結審日に「当事者それぞれがこの判決を真摯に受け止めて、誠心誠意、事に当たられることを期待いたします」とのコメント、そして2009年3月25日の鉄建公団控訴審で東京高裁民事第17部は「不当労働行為」があったことを明確に認めること等の判決を言い渡しました。その中で、南裁判長は「この判決を機に1047名問題が早期に解決されることを望みます」との異例のコメントを付け加えました。
またILO(国際労働機関)も、日本政府に対して「政治的・人道的見地の精神に立った話し合いを、全ての関係当事者との間で推進するよう勧める」と「勧告・報告」しています。
さらに、内閣総理大臣・国土交通大臣・厚生労働大臣等に対するJR不採用事件の早期解決を求める地方議会の意見書は北海道議会・東京都議会・福岡県議会をはじめ、全国で826自治体、1220本を超える意見書が採択されています。
以上の現状を考慮していただき、解決に向けて特段のご尽力をお願いし、下記事項について要請いたします。
記
(1)政府は、JR不採用問題の解決交渉テーブルを設置するように国土交通省に対して鉄道・運輸機構を指導するように働きかけてください。
2009年11月26日
JR不採用問題の解決に向けた11・26集会
最高裁をヒューマンチェーンで包囲
パナソニックプラズマディス
プレイ偽装請負事件口頭弁論
大阪高裁判決
を維持せよ
十一月二十七日午後三時、最高裁はパナソニックプラズマディスプレイ偽装請負事件で、口頭弁論を行った。原告の吉岡力さんと弁護団は三十分にわたって、偽装請負の実態を明らかにし、パナソニックとの雇用関係を認めた大阪高裁判決を維持するように求めた。パナソニック側は二審判決の破棄を求めた。裁判官らの発言はなかった。判決は十二月十八日午後三時と指定された。
大阪高裁判決は、吉岡さんを雇っていた請負会社とパナソニック側が結んだ業務委託契約は「脱法的な労働者供給契約」で無効とし、吉岡さんとパナソニック側との間には「黙示の労働契約の成立が認められる」とする今までほとんど認めてこなかった画期的な判決を下した。最高裁が会社側の上告を認め口頭弁論を行うということは大阪高裁判決が覆る可能性がある。非正規労働者の偽装請負や不法な雇い止め問題に最高裁が判断を下すのはこれが初めてだ。最高裁判決は他の偽装請負と闘っている六十件にもおよぶ裁判や労働者派遣法抜本改正問題にも影響が及ぶ重大なものとなっている。
全国から8百人
の労働者が結集
十一月二十七日、大阪高裁判決の見直しを許さないために、最高裁包囲ヒューマンチェーンが取り組まれ、八百人の仲間たちが最高裁を取り囲んだ。吉岡さんを中心的に支えるなかまユニオンが全国から結集し、全労連や全労協の仲間たちもナショナルセンターの枠を超えて参加した。同じようにパナソニックと闘う郡山の佐藤昌子さんなども連帯のアピールを行った。神奈川シティユニオンの外国人労働者たちも大挙参加した。派遣切りなど大量解雇を行っている大企業の横暴を許さない怒りの表現だった。
口頭弁論が行われた時、最高裁前で支援集会が開かれた。全国ユニオンの安部事務局長、国会の周りを五十四日間連続フルマラソンを続ける国労闘争団の中野隼人さん、五日間のハンストで国鉄解雇問題の解決を訴える佐久間忠夫さんなどが激励に駆けつけた。
口頭弁論を終えて吉岡さんが「父親が突然亡くなり、たいへんなショックだった。それで、パナソニックディスプレイで働いて人生を切り開くことが父親への恩返しだと思い働いてきた。雇用を切られた後は、労働運動を一生懸命やってきた。裁判も命がけで闘っている。最高裁判決は必死になって生きようとする者を否定するのか受け入れる社会なのかを明らかにするものだ。勝訴判決が出てもパナソニックが職場にすんなり戻すとは思えない。社会正義にもとづく運動で解決していきたい。私はパナソニックの職場に戻りたい」と決意を述べた。夜には報告集会が行われ、共産党志位委員長の激励のメッセージも紹介された。十二月十八日最高裁に集まろう。 (M)
解 説
松下プラズマディスプ
レイ偽装請負事件とは
二〇〇四年一月から吉岡力さんは請負会社パスコの従業員として、パナソニックの正社員の指揮命令の元、パナソニックプラズマディスプレイ茨木工場で働き始めた。吉岡さんが所属していた封着工程は鉛や有機溶剤といった危険物を扱う部門だった。パナソニックの従業員とパスコの従業員で一緒にこなしてきた。吉岡さんがパナソニックの従業員に仕事のやり方を指導したり、教えたりしていたということもあった。
偽装請負問題は、実際は派遣という雇用形態であるにもかかわらず、契約だけ請負と装い、就業先の従業員の指揮命令を受けながら働いているという違法行為。吉岡さんはまさにこれに該当した。
二〇〇五年三月二十六日、吉岡さんは時給千三百五十円のパスコから時給千二百円のアクティスへ移籍しなければ辞めさせるとパナソニックから言われた。
吉岡さんは労働相談を行い、そこで「今回の引き抜きの斡旋行為の背景にパナソニックプラズマディスプレイが『偽装請負』という違法行為を行っている事実がある」と指摘された。二〇〇五年五月二十六日、パナソニックプラズマディスプレイの偽装請負を大阪労働局に告発した。
大阪労働局の是正指導が行われる中で、二〇〇五年七月十四日、パナソニックプラズマディスプレイは「吉岡さんに対して直接雇用する」と通知したが、その内容は期間工というもので、事実上期限がきたら解雇するというとんでもないものだった。
違法行為を行った企業が違法行為を告発した当事者に解雇予告をした契約書にサインをしなければ、契約を結ばないというやり方だった。七月二十日をもってパスコがデバイス工程から撤退するという理由で、吉岡さんは封着工程から追い出された。そのために仕方なくこの契約書にサインをせざるを得なくなった。
八月二十二日に、パナソニックプラズマディスプレイは吉岡さんを直接雇用したが、広い資材置き場にテントを一つだけ設置して隔離した。この資材置き場は産業廃棄物を廃棄するドラム缶が置かれており、ものすごく強烈な異臭がする部屋でもあった。そして、二〇〇六年一月三十一日付で吉岡さんは不当解雇された。
吉岡さんは松下プラズマディスプレイに対して、雇用関係の確認を求める裁判を起こした。二〇〇八年四月二十五日、大阪高裁は吉岡さんが強いられた偽装請負が、労働者供給事業を禁じた職業安定法四十四条と中間搾取を禁じた労働基準法六条に違反しており、松下プラズマディスプレイと吉岡力さんの間には黙示の労働契約が成立していることの認定と、配置転換を含む人権侵害行為に対する損害賠償を松下プラズマディスプレイに命じた。この大阪高裁判決に勇気づけられた非正規労働者が全国で六十件以上の裁判闘争を行っている。最高裁は九月十四日、パナソニックの上告受理申し立てを受理し、十一月二十七日口頭弁論を行うことを正式決定した。(M)
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