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資本主義の危機と社会運動                かけはし2009.12.7号

WSFの真価が今こそ問われる

おおさか社会フォーラム・プレ企画
「もうひとつの世界」への最前線
市民社会の新しいエネルギー

 【大阪】十一月二十五日エルおおさかで、おおさか社会フォーラム実行委員会主催の講演会が開かれ、八十人を超える市民が参加した。主催者を代表して実行委員会の春日匠さん(ATTAC京都代表)が次のようにあいさつした。
 「来年三月に行うおおさか社会フォーラムの宣伝を兼ね、社会フォーラムで何をするのかを考えてみようと呼びかけた。第一回世界社会フォーラム(WSF)は二〇〇一年ブラジルのポルトアレグレで開かれた。その後三回まで同地で開かれ、その次からは世界各地で開かれてきた。来年は全世界の各地でできる限り多くの社会フォーラムを開いていこうということになっている」。
 「その一環として、日本でも東京と大阪で開くことになった。社会フォーラムとは何か。人々が抱えているさまざまな問題を持ち寄り、あらかじめ優先順位を決めずに論議をしてきた。WSFは、今や十三万人を超える人々が参加している」。

来年3月に向け
多様な結集を

 司会による講演者二人の紹介後、早速講演に移った。はじめはチコ・ウィテイカーさん。チコさんは、WSF設立発起人の一人で、ブラジル・カトリック司教協議会の正義と平和委員会代表をつとめている。彼は、一九六四年軍事クーデター発生でフランスに亡命。八二年帰国し、社会的連帯のための民衆教育運動に参加している。
続いて、クリストフ・アギトンさんが講演した。フランス・テレコムの独立労組「連帯・統一・民主主義」(SUD―PTT)の組合員。失業に反対するヨーロッパ行進(1996年)やATTAC設立に参加した(別掲)。
 二人の発言の後、梅田さん(おおさか社会フォーラム呼びかけ人)がまとめをし、「二〇〇七年ケニアと二〇〇九年ベレンでのWSFに参加したWSF大阪連絡会とATTACが話し合ったことが実現し、来年三月二十一〜二十二日このエルおおさかで、『もうひとつの世界と大阪』をメインスローガンに、おおさか社会フォーラムを開催する運びとなった。市民社会の新しいエネルギーをもらい、WSFの新しい考え方に学び、世界の流れに遅れず市民社会の新しい運動を進めていき、第9回WSFに合流していきたい。」と述べ、、おおさか社会フォーラムへの参加を呼びかけた。
 なお、おおさか社会フォーラム憲章は、@行き過ぎた資本主義、新自由主義への批判A人種差別、民族差別を認めないB暴力で問題を解決しようとするグループの排除C政党、政府の参加は認めないD以上の原則を踏まえて、あらゆる社会運動にかかわる人々に優先順位をつけないで発言の機会を与える、となっている。
この後の十一月二十六日には、アギトンさんは京都での交流会(ATTAC京都主催)、チコさんは広島での交流会に参加した。(T・T)

クリストフ・アギトンさんの講演
気候変動│「北」は「南」に借りがある


コペンハーゲン
会議の重要性

 私たちは話をするとき、世界についての共通の認識・了解を持たねばならない。十二月にはコペンハーゲンでCOP15(第15回気候変動枠組条約締約国会議)が開かれる。一九八九年のベルリンの壁崩壊、二〇〇二年のWTOシアトル会議に対して市民が社会運動として怒りをもって抵抗した闘いに匹敵する大きな出来事になるだろう。
 コペンハーゲンの会議がなぜ重要なのかというと、一九九二年のリオデジャネオロの会議と、二〇〇二年のシアトルの出来事を合わせたものになるだろうからだ。リオデジャネオロの会議は、国連の枠組に加えて環境NGOが参加し対話が実現した。しかし、このとき参加したのはエコロジー関係のNGOだけであった。そのNGOとは、CAN(climate.action.network)に参加する団体だけであった。今回のコペンハーゲンには、CJN(climate.Justis.Now)、FOE(地球の友)、ジュビリ・サウス(南の最貧国の債務帳消し運動)、ヴィア・カンペシーナ(土地なき農民運動)、ATTAC(投機的金融資本に課税を!運動)など、これまでの環境団体とは違った団体が参加する。

クリーン開発メカ
ニズムの問題点

 CJNはCANとどこが違うのか。CANは二酸化炭素の削減のみを問題にしていた。CJNはリオのときと比べ二つの次元で違っている。一つは、言葉が変わる。二つ目は、新しい政治文化を含めよりオルタナティブなものを求めている。言葉が変わる、つまり南北問題に対するアプローチが違う。COP15に向けての特別作業部会では北と南の委員の間で激しい対立があった。南の委員は、これまでの二酸化炭素の排出については北の国に責任があるとはっきり表明した。北の国々は、南の国々に借りがあるという発想だ。
 二〇〇五年のCOPの会議と〇九年のコペンハーゲンとはどこが違うか。〇五年の京都議定書では南の国の立場を認める一方で、市場メカニズムを使って二酸化炭素を削減するというやり方を採用した。クリーン開発メカニズム(排出削減を約束している先進国が、削減義務を負わない途上国で温室効果ガスの排出削減プロジェクトを実施し、排出削減単位を獲得すると、それをクレジットとして京都議定書の約束履行に利用できるという仕組み)というシステムを採用した。つまり権利の売り買いを市場を通して行う。しかし、市場はコントロールできない。金融市場にゆだねるということは、市場がゆらげば排出削減もゆらぐということだ。

エネルギーの
再ローカル化

 コペンハーゲンで予想されるポイントがある。どういう「もうひとつの世界」を考えるのかということ。そしてそれをどのように実践していくのか。どのような政治文化を展望するのか。この二点だ。
 もうひとつのエネルギーモデルをどのように構想するか。イギリス産業革命のときは、石炭のエネルギーを蒸気機関により取り出した。そのため大きな工場を必要とした。現在、原子力や巨大ダムによる水力が強調されている。巨大ダムでは例えば中国がそうだ。これらは、人類の進歩という価値観に基づいている。しかし、CJNはこれらの考えに反対だ。新しい政治文化によるエネルギーの再ローカル化が必要だ。これは、地産地消の考え方と同じだ。大阪のエネルギーは大阪で消費する、ブラジルのエネルギーはブラジルで使う。そのためには、それを実現する新しい民主主義が必要である。
 もうひとつは、オルター・グローバリズムの考え方だ。例えば空気のように、すべての人がどこからでもアクセスできるネットワークが必要だ。つまり共有財産の考え方である。
 学校などは国家レベルで、エネルギーは地域レベルで、そしてグローバル規模での共有財産確保の仕方を考える。

構造・関係両
面からの変革

 政治文化の観点から考えてみる。チコさんは、先ほどWSFの特色は参加する人たちに優先順位がない水平性だと言ったが、世界を変える二つの解決の方法について話したい。
 一つは、世界の構造を変えること、もうひとつは実践の方法を変えること。世界の構造を変えるには選挙に勝つこと。左翼の考えもここに入る。実践の方法を変えるとは、他人との関係を変えること。フェミニズムやキリスト教はこれに入るだろう。コペンハーゲン以降は、この双方が必要だ。つまり、選挙で変える・他者との関係を変える、この双方で世界を変えていかなければいけない。そのようにして、国家・地域・グローバルすべてのレベルで世界を変えていくことが必要だ。(講演要旨、文責編集部)


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