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止めよう改憲!おおさかネットワーク          かけはし2009.11.16号

民意が政権を大きく動かす
九条を活かした政治の実現を


 【大阪】止めよう改憲!おおさかネットワーク主催の憲法のつどいが十一月三日、大阪市中央区民センターで開かれ、二百五十人の市民が参加した。
野間淑実さん(ふぇみん大阪)の司会で始まり、主催者を代表して中北龍太郎さんがあいさつ。「政権が代わって、憲法をめぐる情勢も様変わりした。しかし民主党の改憲方針は変わっていない。情勢を読む決め手は、軍事的な問題で政権がどう動くかだ。それによって九条改憲がどうなるかが決まる。この問題では鳩山政権は揺れている。民意が政権を大きく動かしていく。十一月八日の沖縄県民大会に連帯し、沖縄を孤立させない闘いをしよう。連立政権三党合意でも『憲法の保障する諸権利の実現を第一として』と述べているいるように、九条を活かした政治を実現させよう」と述べた。
 続いて、浅井基文さん(広島市立大・広島平和研究所長、元外務相中国課長・駐英大使、元東大教授)が「新政権と護憲運動のこれから」と題して講演した(別掲)。
この後、神田香織さんによる「悲しみの母子像」と題した講談があった。これは、一九七七年九月、横浜市の住宅地に米軍のファントム戦闘機が墜落し、幼い子ども二人が焼死し、母親も重傷を負い、闘病生活を余儀なくされた事件を講談にしたものである。
 この母親は、全身やけどで、硝酸銀による治療を続けているとき、わが子の死亡を聞かされる。米軍司令官は謝罪には来ず、防衛庁長官は、「日本の平和と安全のための犠牲だ」といった。この事故は反響を呼び、予想を遙かに超える千五百人が皮膚提供を申し出て、その中から適応性のある皮膚を移植しどうにか病状は回復する。ところが病院が心理療法を施し始めてから悲劇は始まる。
 この母親に対し、お父さんは優しく、夫は厳しく対応し、防衛施設庁職員は不満をぶつけられる対象というように、任務分担がされた。そのような不自然なやり方のため、母親は夫に不信を抱きはじめ、ついに離婚。心的外傷ストレス症候群に陥っていた母親の精神はますます不安定になっていく。最後は防衛施設庁の指示で武蔵野の精神病院に強制的に移され、そこでの治療放棄によって死亡した。死因は心因性呼吸困難であった。
 神田さんは、「今日この話を聞いてくださった皆さんに、日本の平和と安全のための米軍は、いったい誰を守っているのか。国を守る、平和と安全を守るとは何かを考えてほしい」と述べて講談を終え、聴衆の多くの涙を誘った。
 この後、梅田章二さんが大阪憲法会議を代表して、「改憲も元はといえば米軍発。政権交代後の有利な状況を活かし、さらに運動を強めよう」と連帯のあいさつをした。最後に、原田恵子さん(止めよう改憲!大阪意見広告運動)から、二〇一〇年五月三日の新聞意見広告への参加の呼びかけが行われた。  (T・T)

浅井基文さんの講演から

核のない世
界は本当か

 核廃絶発言で、日本の市民もオバマへの期待が大きい。確かにオバマはブッシュの一国主義・対テロ戦略を否定したし、核のない社会がいいと思っていることは事実だろう。
 でも、米国の権力政治は変えていないし、米国の価値観を押しつける姿勢も変わっていない。核廃絶に関しても「核兵器のない世界への到達は容易ではない。たぶん私が生きている間ではないだろう……核兵器が存在する限り、米国はどんな敵をも抑止するために安全で効果的兵器庫を維持する。そしてすべての同盟国を防衛することを保証する」と述べている。米国にとって日本との同盟関係は米国のアジア政策の基礎であり、アジア太平洋地域の平和と安定を維持する上で不可欠だ。
 鳩山首相は、アジア共同体を提唱し「友愛」を強調するが、普天間はどうするのか、はっきりしない。密約はオープンになるだろうが、それで終わるのではない。その後どうするのかが問題の核心だ。核のない世界は近いというムードが広島にすらあるが、オバマ政権は核不拡散と、抑止力の存在を前提とした核の軍備管理の必要を認めているが、核軍縮とはいっていない。この点はもっと冷静に見るべきだ。

対等な日米関
係も腰砕け?

対等な日米関係という民主党の姿勢は腰砕けになるだろう。米国は、中国(北朝鮮ではない)に対する強い警戒心を持っている。米国は台湾を手放さないから、対中国戦争をも考えている。そのためには、沖縄の基地は不可欠だ。日米同盟は世界をにらんだ軍事同盟だ。「日米同盟:未来のための変革と再編(05年10月、米軍再編についてのいわゆる中間報告)、第二アーミテージ報告、ブッシュ・小泉共同声明(06年6月)で述べているとおりだ。
 ペリー報告(09年5月)では、「中国が戦略戦力を近代化しているので、アジアにおける核拡大抑止の必要性が増大している」と述べ、また「北東アジア及び中東における核武装の可能性のある国をざっと見ても、そういう国の多くは米国の同盟国ですらある。こうした友好国や同盟国が核兵器を追求すると決定することは、米国の利益に対する深刻な打撃となるだろう」と述べている。また、「アジアの拡大抑止はトマホーク対陸地攻撃ミサイル(巡航ミサイル)の配備に依存しているが、これを維持する措置がとられない限り二〇一三年には退役する。しかし、アジアの同盟国(これは日本のこと)の中には、この退役に重大な関心を持っている」と述べている。米国に行って、「退役するなら、日本は自力で核武装する」と発言したもの(政治家か官僚?)がいるようだ。

密約公開の後
はどうする?

 米国が日本の核武装を止めるには「核の傘」が必要だ。だから、密約がオープンになった後、米国は密約の内容(核搭載機の飛行場着陸、核搭載機や艦船の寄港、領空・領海通過は非核3原則の持ち込まずには当たらない)の確認を求める圧力を強めるだろう。これをどうするかが問われる。このとき民主党の正体が現れるだろう。
 鳩山首相の「友愛」が何を意味するのか。「好きでない相手に対してもにこにこする」という程度の意味だという人もいるし、人間の尊厳そのものを意味しているという人もいる。その時々の状況でいろいろな意味に使い分けているようだ。彼の国際情勢認識は怪しい。自由も平等もそれが原理主義(?)に陥るときその惨禍は計り知れない。だから、両者の均衡を図る理念が必要だ。それが友愛だと鳩山首相はいう。米国と中国の狭間でいかに日本の国益を守るか、というのが鳩山の認識のようだ。
 憲法問題では、新政権は三党合意がある限り改憲にはふれないだろう。しかし、参議院選挙後はどうなるだろうか。今度新たに民主党の国会議員になった人たちは、自民党に比べれば確かに市民の感覚に近いだろう。しかし、民主党の上層部は(菅・横路らを除けば)すべて改憲派だ。民主党は新人を盛んに教育しているが、それが固まらないうちに、市民の側から彼らに働きかけることは意味があると思う。
(発言要旨、文責編集部)



11・3憲法集会
なによりも生命 軍事力
によらない国際協力を

要は軍事と一線
を画した支援

 十一月三日は一九四六年に憲法が公布された日だ。この日、憲法施行の五月三日とともに各地で例年のように「憲法集会」が行われている。自公政権が倒れ鳩山民主党主導政権が成立する中で、憲法をめぐる攻防は新しい様相の下に続いている。この日、東京では「なによりも生命 軍事力によらない国際協力を」というテーマに11・3憲法集会が、韓国YMCAで開催された。主催は同実行委員会で二百十人が集まった。
 憲法を愛する女性ネットの山口菊子さんが、「鳩山政権は改憲強行の安倍政権とは違うが、やはり市民の側が政治の危険な動きに対してものを言う必要がある」と主催者あいさつをした後、長谷部貴俊さん(日本国際ボランティアセンター・アフガニスタン代表)と前田哲男さん(ジャーナリスト、軍事評論家)の「お話」に移った。
 長谷部さんは、パワーポイントでアフガニスタンの現状を映し出しながら、米国を中心として強化されている「対テロ戦争」、NATOをはじめとしたISAF(国際治安支援部隊)による作戦での民間人被害の激増、カルザイ大統領の弟が麻薬ビジネスに手を染めていることに示される政権の腐敗の深まりによって、民衆が占領への反感をつのらせていることを指摘した。そして、今、日本がすべきことは「対テロ」戦争協力の見直しであり、「対話の仲介」役を果たすことである、と強調した。そのためには軍事作戦と見分けがつかない「PRT(地方復興チーム)」への文民派遣も行うべきではなく、軍事と一線を画した人道・復興支援だと述べた。
 たとえば「アフガニスタン人道行動計画09年」でアピールされた六億六千万USドルの支援のうち、集まっているのは六八%だけであり、保健分野でカバーされたのはわずか四%、「水と衛生」分野でも四一%にすぎない。こうしてアフガニスタンは「人道的危機」に陥っており、その克服が何よりも必要であるが、「対テロ」戦争の現実はそれを妨げているのである。

戦争の歴史を
転換するきざし

 前田哲男さんは、最近ピースボートの「地球一周の旅」に参加して、ソマリア沖の「海賊の海」を見てきたことを紹介した。そして「海賊」を生み出す要因である内戦の終結のためには、米国のように「内戦の一方に加担」して「テロとの戦い」を遂行するやり方では不可能だ、と訴え、陸海空の三自衛隊が「海賊対策」のために揃い踏みしていることを批判した。
 前田さんは、二十一世紀の最初の十年が過ぎようとしている今日、最初の五年の戦争の歴史を転換するきざしが見えてきた、と評価した。この流れを確固たるものにするためには「護憲は空理空論で、頼りになるのは軍事力」という風潮を逆転することが必要と語った。前田さんは、核をなくし軍事に頼らない安全保障の原理はいまだ共通の認識にはなっていないものの、そこに向かう予感が現実化していることに希望を見出す、と述べた。
 続いてフロアから飯島滋明・名古屋学院大学専任講師(憲法学)と沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの吉田正司さんが発言。飯島さんは今年九月の第二次世界大戦勃発七十年にあたってポーランドを訪れたことを語り、ドイツが侵略戦争とユダヤ人らの虐殺への謝罪と補償を進めていることとの対比で日本の現状を批判した。吉田さんは、「普天間基地閉鎖・辺野古新基地断念」を掲げて十一月八日に開催される沖縄県民大会に連帯し、東京でも同日に準備されているデモへの参加を呼びかけた。
 最後に歌手の吉岡しげ美さんが、金子みすゞや茨木のり子の詩に自ら曲をつけて歌い、参加者から共感の拍手を受けた。   (K)


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