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10・18三里塚・東峰現地行動へ            かけはし2009.10.5号

破綻した空港行政に追撃を

10・22B滑走路供用強行を許すな
東峰住民追い出し攻撃をやめろ

一坪共有地仮処分申請

 成田空港会社は、空港用地内にある金堀台(横堀)、新山(横堀)、東台(木の根)の一坪共有地強奪にむけて千葉地裁に仮処分申請を行った。地裁は、「仮処分」決定し、八月に柳川秀夫さん(三里塚芝山連合空港反対同盟世話人)をはじめ共有者に対して「仮処分決定書」を送りつけてきた。さらに九月、提訴することを公表し、強奪キャンペーンを開始した。会社は、「空港敷地の虫食い状態を解消するために提訴する。これ以上、話し合いでの解決は困難で、やむを得ない措置」などと身勝手な理由を述べ、強引に押し進めていくことを明らかにした。この暴挙は、東峰住民追い出し攻撃のための十月二十二日B滑走路供用強行とセットの三里塚闘争への攻撃だ。強引な前倒し供用強行に抗議し、三里塚農民の生存権・環境権・人権破壊を許してはならない。一坪共有地強奪阻止裁判の取り組みを支援していこう。
 すでに加瀬 勉さん〈三里塚芝山連合空港反対同盟大地共有委員会(U)代表〉は、会社の先制攻撃について「我々一坪土地共有者及び反対同盟に対する新たなる宣戦布告である」と判断し、全国の仲間たちに「我々はいかなる卑劣な手段にも屈することなく、自らの土地の権利を守る為に全面的に闘う」というアピールを発している。
 柳川さんは、九月二十日の成田プロジェクトの映画&トークで一九九一年からの政府とシンポジウム、円卓会議によって「強制的手段はとらない」ことを約束させたことを再確認し、この約束を一方的に破棄したに等しい会社の一坪共有地強奪に向けた裁判提訴を「形を変えた強制代執行だ。あいかわらず反省していない」と糾弾した。
 そのうえで鳩山政権、会社に対して「どうして約束を破るような事態になったのか問いただしていきたい」「問題を時代的にはっきりさせ、次の新しい世代に引き継ぐために、うやむやにして白旗を掲げることはできない。そのように思った人などみんなで力を合わせていかなければならない。そのために呼びかけていくだろう」と決意表明した。つまり、会社の暴走なのか否か、政府はどういう立場なのか。前原国交相、辻元、馬淵副大臣に対して直接、問いただすということだ。加瀬、柳川さんの檄に応え、空港会社の暴挙を許さず、鳩山政府の責任を追及していかなければならない。

温暖化とジェット排気ガス

 鳩山首相は、国連気候変動サミットで温室効果ガス削減について、あくまでも「主要国が温暖化対策に参画する」を前提のうえで一九九〇年比で二〇二〇年までに二五%削減を目指すことを表明した。産業界に対してどのように指導し、規制していくのか具体的ではない。単なるコマーシャルかもしれない。
 「二五%削減」を実現するというならば地球温暖化に貢献している航空機のジェット排気ガス等についてどうするのだ。小沢鋭二環境相も「実現のために総力をあげる」と言っている。すでにEU議会はEU域内に発着する航空機を対象とした航空機の二酸化炭素(CO2)排出規制を導入する法案を制定し、二〇一一年から実施する。規制法は、CO2排出量が上限を超えた航空会社は取引市場で排出権を購入して超過分を穴埋めするよう義務付けたり、排出量を二〇〇四〜二〇〇六年の平均に比べ九〇%にするというものだ。資本主義的改良規制であるが、こんな規制レベルでさえも日本は、米中とともにEUの地球温暖化対策に対して排出規制の見直しを要求してきた。
 鳩山政権が脱官僚と言うならば、優先課題として空港会社がB滑走路を二五〇〇メートルにし、年間二十万回の発着回数を三十万回に増やす計画そのものが航空機からの二酸化炭素(CO2)の排出量増加が必至であるから是正・中止を指導するべきだ。現実問題として十月二十二日以降、これまで以上に東峰地区の頭上に大型ジェット機を飛ばし、毎日すさまじい轟音をたたきつける人権・環境破壊が強化される。轟音と排気ガスによって東峰住民の身体そのものが危険な状態に追い込まれてしまうのだ。鳩山が言う「友愛」と称する精神からして会社の暴挙を容認してしまうのか。
 鳩山は、国連で東アジア共同体構想をアピールしたが、かつての経済財政諮問会議が二パーセントの成長維持目標を掲げた「アジア経済環境共同体構想」とどこが違うのだ。現段階では全体像が不明だが、新政権がどのような航空行政を展開するのかを厳しくチェックしていくために比較検証が必要である。
 経済諮問会議構想は、資本のグローバリゼーションとアジア市場への影響強化にむけて「WTO体制の維持・強化」「東アジア全域におよぶEPA(経済連携協定)の締結」をメインにした日本経団連の御手洗ビジョン、および航空自由化協定の促進と二十四時間空港化を強調した「アジア・ゲートウェイ」構想を合体させた代物だった。航空政策に関しては@航空自由化(アジア・オープンスカイ)による戦略的な国際航空ネットワークの構築A中国をはじめとするアジアの各国との自由化交渉の推進B羽田の更なる国際化と二十四時間化と東峰地区追い出しを貫徹し、成田空港B滑走路の四千メートルをねらった容量拡大C関西国際空港・中部国際空港の国際拠点空港化と「航空自由化」二国間交渉の推進D地方空港の自由化交渉の加速化などだ。とりわけ羽田空港が国内線、成田空港が国際線という「内際分離」政策の現状維持派を統制しつつ、一体的運用と国際化の拡大にむけて突進していくことをねらったものだった。首都圏空港一体的運用などと押しだそうとしているが、これは無限の過密航空運航政策であり、航空機事故多発への近道でしかない。
 これまでの自公政権が選択してきたムダ・安全軽視・人権と環境破壊の空港・航空行政を鳩山政権は従来通り継承するというのか。前原国交相、辻元、馬淵副大臣よ、東峰地区住民の身体に関わる緊急事態として飛行を凍結させろ!

赤字のツケを押しつけるな

 日本航空の経営破綻によるドタバタが続いている。デルタ航空、アメリカン航空からの出資交渉を開始し始めている。どのようになるか未定だが、いずれにしても政府・経営者が真っ先にやることはリストラと称する労働者の不当解雇、機体整備など安全軽視につながる人件費削減だ。過密航空運航政策下、日航の経営再建を優先とした安全軽視は、より危険な状況に突入するだろう。
 日航七労組で作る「JJ労組連絡会議」は、「人件費削減を押し進めれば、安全運航を脅かしかねない」と警告している。経営者、鳩山政権は航空労働者の訴えを真摯に聞け! 経営破綻は、ムダ・人権と環境破壊を放任してきた政府と経営者たちの責任だ。そもそも世界的航空業界は、金融危機等によって慢性的な赤字に陥っており、旅客運送量、貨物運送量の減少傾向が続いている。国際航空運送協会(IATA)も二〇〇九年一〜六月期の航空会社の赤字が六十億ドル(約5500億円)を超えてしまうだろうと認めざるをえないのだ。日航の経営破綻は必然的だったのであり、安全軽視でムダな運航を繰り返してきた結果なのである。
 とくに日本の航空行政は、運輸族議員・国交省官僚・ゼネコン・地域ボスが一体となって共謀して押し進めてきた一県一空港政策があった。典型的な悲惨な姿を現しているのが静岡空港である。空港の経営危機、県民財政の無駄遣いを膨らませ続けている。県財政が破綻状態に突入しているにもかかわらず、税金たれ流しを繰り返す泥沼状態を許してはならない。
 結局、日航資本は、延命のために採算を無視して運航してきた国内外五十路線廃止を決めた。森中成田空港会社社長は、「日航減便によって十五億円を上回る着陸料収入減になる」と悲鳴を上げるほどだ。これらの現実からしても成田空港三十万回発着計画の根拠が希薄であることが明らかなのである。インチキな過大航空需要予測を撤回し、空港公害のまき散らしをやめろ!
 日航経営破綻の深刻性を反映して前原は、ついに「赤字路線の要因は、空港整備会計」であることを認めた。この特別会計は、空港建設と維持・管理のどんぶり勘定の性格を覆い隠してきたシステムであり、運輸族議員・国交省官僚・ゼネコンが貪り、食い逃げを温存・助長させてきた。空港整備会計の見直しを前原が貫徹しようとするならば、同時にこれまでの会計情報を全面開示しなければならない。運輸族議員・国交省官僚・ゼネコンらの犯罪実態を明らかにし、財産没収も含めて責任をとってもらわなければならない。財政補填のためにただちに行え。
 鳩山政権に対してどのように向き合うのか。無責任な航空政策の継承を認めず、反空港全国連の取り組み成果を引き継ぎ、創意と知恵を集中し、反撃陣形を強化していこう。空港会社の利益優先主義のための東峰住民追い出し攻撃を許さず、B滑走路供用強行を糾弾していこう。東峰現地から抗議をたたきつけていこう。10・18東峰現地行動に参加しよう。 (遠山裕樹)



「成田プロジェクト」企画
「第二砦の人々」上映&トークで
空港の問題点を掘り下げる


空港会社を包囲
する取り組み

 九月二十日、成田空港プロジェクト(「いま成田空港で何が起きているのか」プロジェクト)は、TOKYOメデフェス2009(東京ウィメンズプラザで開催)の分科会の一つとして「いま、成田空港で何が起きているのか│映画『三里塚 第二砦の人々』上映&トーク」を行った。
 成田プロジェクトは、成田空港会社がB滑走路を延伸し、供用を十月二十二日に強行することが東峰地区をはじめ三里塚住民に対する人権・生存権、環境・安全の破壊であるとして反対し、空港問題を広く市民に訴えていく活動を行っている。この企画とともに成田バスツアーを十月二十五日に行う。ツアーは、空港会社が一坪共有地を強奪するために千葉地裁に提訴しているが、その共有地、木の根ペンション、横堀鉄塔などの実態を調査し、傲慢な会社を包囲していく取り組みの準備だ。

強制代執行と
闘う農民群像

 第一部は映画「三里塚 第二砦の人々」(一九七一年製作、小川プロダクション)の上映。政府は、一九六六年七月、三里塚農民になんら相談することもなく一方的に空港建設を決定。カネの札束と機動隊の暴力によって叩き出すことをねらったが、農民たちは三里塚芝山連合空港反対同盟を立ち上げ反対運動を開始する。映画は一九七一年二月二十二日から三月六日までの強制代執行との実力闘争を闘う農民たちの姿を内部から撮影したドキュメンタリー映画。農民たちは6カ所の地点に砦を築いて穴を掘って闘いぬいた。第二砦の農民たちの中には、今は亡き柳川のおっかぁなどの婦人行動隊、若き小川源さんたちが次々と登場。機動隊の暴力といかに対峙し、はね返していくかの熱い論議と激烈な戦闘シーンが迫ってくる。メデフェスに参加した仲間たちは、この映画を通して、「民衆のメディアとは何か」という問いかけを深めていった。会場からは、「このような闘いがあったことを世界に発信していく必要がある。ぜひDVDにして広めていけたらなと切望する」という発言があった。

民衆自身の
メディア創造

 第二部はトークセッション。大野和興さん(農業ジャーナリスト、地球的課題の実験村共同代表)の司会で柳川秀夫さん(三里塚の農民、地球的課題の実験村共同代表)、相川陽一さん(一橋大学大学院)、鎌田慧さん(ルポライター)が発言した。
 柳川さんは、三里塚闘争の歴史を振り返りながら空港が抱える問題点を提起し、とりわけ空港会社による十月二十二日B滑走路供用と東峰地区島村家に対する轟音追い出しなどを厳しく批判した。さらに一坪共有地強奪をねらった千葉地裁提訴を糾弾し、断固として闘いぬいていくことを表明した(発言要旨別掲)。
 相川さんは、「強制代執行の闘いの時はまだ生まれていなかったが、映画に出てきた人々はだいたい知っている人だ。反対同盟の人の思いを引き継ぎながら、現在の空港が抱える問題に対して発言し続けていきたい。とりわけ空港による過疎化が進行し、生活・環境が破壊されている。有機農法を通して若い人々が三里塚に参加しはじめている。新たな可能性を探っていきたい」と発言した。
 鎌田さんは、映画を通して三里塚闘争に関わってきた数々のエピソードを思い出しながら「やはり三里塚闘争をマスコミは農民の立場にたって報道してこなかった限界があった。それが『過激派』キャンペーンへとつながっていった。青森の六ヶ所村にも通ったが『過激派』を入れると三里塚のようになってしまうとキャンペーンをやられ、住民間で分断しあっていった。延伸されたB滑走路が供用されるが、ジャンボジェット機の轟音はすさまじい。島村家に対して『死ね』というものだ。人道問題として空港会社の暴挙を許してはならない」と強調した。
 大野さんは、三人の発言を集約しながら、「TOKYOメデフェス2009が民衆メディアの寄り合いとしてある。新たな時代と情勢下にあって民衆自身によるメディアを創造していくことの重要性を確認することができた」とまとめた。(Y)


柳川秀夫さんの発言から
巨大開発・人権・民主主義を根本的に問う

 映画を観て三里塚闘争が四十数年たつが人の思いと魂について再認識させられた。現在でも空港反対は間違っていないし、きちんと社会に訴えていきたい。
 空港による見た目の経済効果を優先するあまり、反対闘争が問いただしたことを隠蔽し、反対闘争の存在すら報道されていない。島村家の頭上四十メートルをジェット機が飛んでいる。防音改築などをやってきたが、大型ジェット機が飛び始めれば想像を絶する状況が発生する。大変なことが起きる。そういう現実があることをぜひ皆さん体験してほしい。
 代執行によって多くの怪我人が出て血を流し、犠牲を払いました。一九七一年から七二年に続く代執行は、人が住んでいる場所に向けられた。人が死ぬ闘いは避けて、いかに阻止していくのかという論議を続けた。反対同盟は、政府と話し合いをしないのが原則だった。しかしあらゆる方向で闘っていくということで一九九一年から政府とシンポジウムを開始した。そこではどんな状況でも強制的手段はとらないことを約束させた。当時の運輸大臣が文書で確認した。それがあって政府との話し合いに臨んだ。一方的に空港を決め、権力の力によって建設を強行したことについて反省した。その証として強制代執行ができる事業認定を法的に取り消した。だから現在は強制代執行をすることができない。

政府・会社は
約束を破った

 ところが九月初め、空港会社は一坪共有地に対して仮処分の申請を裁判所に出して仮処分決定通知が届いた。所有者に対して権利移転禁止が突然きた。それ以前は、そんな動きはなかった。私のところは三カ所の権利を持っているから三通の通知書が届いた。さらに会社は、仮処分決定からお金による売却明け渡し申請を提訴した。これはお金を払って裁判所の許可が出れば、土地が空港会社の所有になるというのだ。これは形を変えた「強制代執行」だ。あいかわらず反省していない。
 本来ならば話し合いがなければならないはずだ。それがなければ実力闘争の方針で対応することになる。話し合いといっても、空港を一方的に作るための話し合いではなく、空港問題の本質的解決のための話し合いだ。それは地球的課題の実験村が提起してきたように巨大開発、人間社会の在り方、民主主義、環境問題だ。そういう課題から空港をどうしていくのかという討論が必要だ。空港問題は平和的な話し合いで解決していくことが政府と合意していることだ。
 今回、一方的に土地取上のための手段を行使してきた。今までの話し合い合意はどうなるのかという問題が発生した。どうして約束を破るような事態になったのか問いただしていきたい。

世界中の弱者
とつながろう

 成田空港問題は、新しい文明論の中で解決していくことが望ましい。
 ただ一九六六年から空港問題が始まったが、依然として新しい時代に入っていないのかもしれない。ならばこれまでのように闘わざるをえない。問題を時代的にはっきりさせ、次の新しい世代に引き継ぐために、うやむやにして白旗を掲げることはできない。そのように思った人などみんなで力を合わせていかなければならない。そのために呼びかけていくだろう。そのような重大な事態に入っていることは確かだ。譲れないところがある。だめなものはだめだとみんなで言うことは大事だ。世界的に見れば、「テロ」の一言で少数の闘いを排除している。世界の弱者の闘いと問いかけを深く掘り下げていく必要がある。成田空港の問題も同じだ。  (報告要旨)


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