| 資料 09 年選挙目前!〜私たちが望むこと〜(9) かけはし2009.10.19号 |
今こそ貧困問題の抜本的対策を掲げる時!
反貧困ネットワーク 代表 宇都宮健児 |
U 私たちが求める政策(承前)
13 DV問題
1)DV定義の見直しをすること。
@ 保護命令、退去処分など、裁判所命令を速やかにだし、地域間格差を是正すること。
A 法適用対象を、配偶者間(含元配偶者)の暴力という定義から拡充すること。
B 加害者処罰の厳罰化と速やかで効果的な防護策を行えるようにすること。
C 加害者更正に他国並みの強制力を付与すること。
D 市町村に被害者のための窓口の一律設置義務を置くこと。
E 二次被害防止のために裁判所、警察等関係各機関や弁護士等支援者への教育の徹底を行うこと。
2) DV被害当事者の支援について以下の施策を行うこと。
@ シェルター入所要件の緩和と基本在所期間の延長を行うこと。
A シェルターの増設、広域保護の拡充を行うこと。
B シェルター入所時のシェルタープログラム策定を行うこと。
C シェルター入所者の人権を尊重させること。
3)子どものサポートについて
@ DV家庭で育った子どもへの専門支援を行うこと。
A DV防止教育を義務化すること。
4)当事者主体の制度改正を行うこと。特に、経済的困難が、女性に対する暴力の原因となり結果となっていることを踏まえ、女性に対する暴力対策を充実させること。
@ 短期的介入とともに、被害者への長期的リハビリテーション支援を強化すること。
A 高齢女性、障害女性、移住女性、マイノリティ女性などの暴力被害救済の際のニーズを把握しアクセスを保障すること。
B 安価な公営住宅の供給を増加させ、シングル女性を含むジェンダー暴力被害者の入居優先をすべての自治体で保障すること。
14 多重債務問題
1)貸金業界の巻き返しを許さず、改正貸金業法を早期に完全施行すること。
2)政府の多重債務者対策本部が決定した「多重債務問題改善プログラム」を確実に実施をすること。
3)債務整理後の多重債務者の生活再建を支援する体制を構築すること。
4)低所得者・貧困者が高利貸しに頼らなくてもよいセーフティネット貸付制度を充実させること。
5)ヤミ金を完全に撲滅すること。
15 ホームレス問題
1.ホームレス支援策の定義の見直しを
1)ホームレスの定義を拡大すること。本来の意味である「家を失った人」―「不安定な居住環境の人」あるいは「安定した住居も仕事も失った絶対的貧困層」として定義を拡大すること。
2)「ホームレス」支援における「国の責任」とは何か、明確にすること。
3)ホームレス増大の社会的原因、ホームレスの深刻な人権侵害状況について、国の責任を明確にすること。
4)国による「ホームレス支援」の基本を転換すること。
@ これまでの「就労支援」から「居住支援」へと転換せよ。
A 「住所不定」による「法の下での平等」の破綻、深刻な人権侵害状況の是正をする。
B 積極的な生存(権)、居住(権)施策をとれ。
C 人権教育と社会的啓発を行え。
5)国は、実態調査を拡大して行うこと。以下のように、「調査方法」を転換すること。
@ 昼間の路上目視調査から夜間目視調査に転換すること。年に1回程度、継続して行うこと。
A 行旅死亡人の調査結果の全国集計を行い発表すること。
B 調査対象を拡大すること。不安定な居住環境―家を失った以下の人々の調査を行うこと。
*ネットカフェ、ファーストフード店―ゲストハウス、サウナ、カプセルホテル
*建設土木産業の飯場や寄せ場のドヤ街
*自動車製造業、運送業、などの寮や寄宿舎
*旅館業などの住み込み宿舎
*病院や施設に収容され、家を失った人々
*拘置所や刑務所に収容され、家を失った人々
2.生存の保障のための緊急施策について
1)強制排除の禁止を明確にすること。「支援法」における「公共地の適正化」条項を撤廃すること。
2)ホームレスの給食相談や健康相談など、医療サービスを無料で実施すること。
3)国はホームレスに対する公的就労を行うこと。その際、生活可能な仕事、公正な労働を保障すること。
3.住所不定による人権侵害状況を戸籍制度を活用して是正すること
1)国はホームレスへの定額給付金支給の方法を作ること。
2)国は、すべてのホームレスの選挙権行使を保障するための施策を行うこと。
3)緊急雇用対策事業をホームレスも活用できるようにすること。
4.劣等処遇、国による人権侵害の是正について
1)生活保護の申請用紙と説明のリーフレットを、福祉事務所、ハローワーク、地方自治体の窓口、あるいは、郵便局などに設置すること。
2)生活保護の申請から、決定が下りるまでの間、生活支援と住宅支援を行うシステムを作ること。
3)生活保護受給にあたり、宿泊所以外の選択肢を提示すること。
4)宿泊所の抜本的是正を行うこと。
@ ケースワーカーの配置、あるいは、社会福祉の専門家の配置を義務化すること。
A 施設の住環境の改善―個室化と外部交通権の確立―
B 施設から「地域での暮らし」への転宅支援を早期に行うこと。
C 施設とその運営の調査・是正を継続して行う第三者評価委員会を設置すること。
5)「自立支援センター」で就労できなかった者を、ふたたび野宿へと追いやらないこと。生活保護申請の説明と適用を行うこと。
16 税・社会保険料
課税負担の応能主義を強め、貧困根絶・格差是正に役立つ税制の確立を
1)所得再分配後にさらに格差が広がっている日本の現状を見直し、格差を縮小させる所得の再分配を行うこと
2)「増税ありき」の発想ではなく、所得各層の「生活の質の向上」という観点から、各所得階層における税・社会保険料負担と給付・サービスの対応関係を明らかにしつつ、特に貧困状態にある人々の「生活の質の向上」に資する制度設計とすること。
3)所得税の最高税率を引き上げ、「給付つき税額控除」制度の検討等で所得再分配機能を強化すること。制度の検討に際しては、既存の低所得者対策(雇用保険や生活保護制度を含む)との整合性に配慮し、就労不可能な者の生活レベルの低下、スティグマの強化に帰結しないよう、細心の注意を払うこと。
4)所得税・住民税は、配偶者控除の廃止と基礎控除の引き上げなど、現在の各種控除制度を見直すとともに、最低生活費非課税の原則に立ち、課税最低限度額を生活保護基準を超える水準とすること。所得税の累進性は高め、最高税率については1998年時点の最高税率50%に戻すこと。
5)株式譲渡益・配当などの分離課税制度の見直し、相続税等の資産課税の強化を通じ、総合累進課税の構造を強化すること。
6)消費税は、生活必需品を非課税とするとともに、増税は行わないこと。
7)法人税率を1990年以前の40%に戻すこと。
8)雇用労働者への社会保険の完全適用をはかるため、事業主負担は全従業員への支払総賃金に対する一律の保険料率負担(労働保険の事業主負担方式)に改めること。
9)派遣労働者の社会保険料の納付義務を派遣元が怠ったときに、派遣先は補充責任として連帯責務を負うものとすること。
10)社会保険料(国民健康保険料等)の負担上限を見直し、低・中所得層の負担軽減と逆進的な構造を是正すること。
11)20歳以上の障害者の民法上の扶養義務を見直し、世帯単位の税控除や社会保険料等の負担のしくみを世帯単位から障害者本人、個人を基本とした単位へと見直すこと。
12)障害者の働く場への優先発注を減価償却費にまわす等、税控除の仕組みを立法化し、障害者が働く場への発注等を積極的にすすめること。
13)複合就労者の被用者保険(政府管掌健康保険・厚生年金・雇用保険)の適用取り合いは全事業所の合算で行われるべき。
17 その他
1.自殺対策
1)自殺の原因公表等のデータについては誰でもアクセスしやすいように情報公開をすすめること。
2)総合的な自殺対策については、一人一人の心の問題だけに限定せず、それぞれの自殺原因の背景、制度的不備等の環境要因についても検証し、是正措置を講じること。
3)自殺を企図した人を緊急で保護するシェルターを設置すること。
4)企業は、自殺をした社員数を公表し、原因の究明とそれに応じた対策を講じること。
5)各都道府県、政令指定都市に自殺念慮者の緊急対応が可能な総合相談機関を設置すること。
2.情報保障(制度の周知徹底や地デジ問題)
1)貧困家庭においても地デジへの移行が可能となるよう対策を講じ、情報格差が生じないようにすること。
2)選挙放送については、字幕をつける等誰もがアクセスできる情報保障を実現すること
3)政府は、テレビCM等、民間の広告媒体を活用し、生活にかかわる諸制度をわかりやすく
伝える工夫をすること。
4)パブリック・コメントや公聴会での国民の意見聴取を行うこと。
3.NPO政策
1)NPO(非営利組織)等が社会の「支え合い」を担っている事実を正当に評価し、政策決定に際して意見聴取の機会を確保するとともに、欧米並みの税制上の優遇措置など、その育成に努めること。
以上
みんなの働き方 REVOLUTION 2009―ウチラ+ユニオン=HAPPY 8
声を上げよう!自信を取り戻そう!
若者たちが手作りで共同の労働者フェスタ
ナショナルセン
ターを超えて
十月十日午後二時から五時まで、東京の芝公園(23号地)で標記のイベントが行われた。主催は、ナショナルセンターの垣根を超えて、連合、全労連、全労協傘下の十四労組が自主的に参加した実行委員会。各労組の若者たちが企画し、当日の進行やステージのトークもすべて若者。いわば、青年労働者の、青年労働者による、青年労働者のためのフェスタ。もちろん年配の労働者もそれなりに参加していた。がそれも、あくまで応援団といった趣だ。
一言加えれば、イベント表題の「HAPPY 8」とは、「仕事8h+遊び8h+睡眠8h=happy ライフ」の意。百年以上前、メーデーの起源となったシカゴの労働者のストライキ闘争で掲げられたスローガンが、現代の若者のスローガンとされたのだ。恐るべきことと言わなければならない。今の日本では、若者の酷使と生活破壊がそこまで進められてしまっているということなのだ。実際当日のトークで湯浅誠さんは、もう過労死か貧乏かではない、過労死も貧乏もだ、と若者の現状をえぐり出した。
しかしだからこそ若者たちは自ら立ち上がろうとしている。そしてその思いを彼らのやり方で、見知らぬ仲間たちに伝えようとしている。これが今回のイベントだ。まさにそのようなものとして、この日のイベントはインターネット放送に実況中継で流された。イベントの中心となったステージはこうしてさながらラジオ番組風。二人の司会者がディスクジョッキーとなって、次々と登場する「ゲスト」とトークを重ねる。あるいは音楽を流し、そして会場の様子を伝える。
新しい出会い
とつながり
湯浅誠さんから始まり、首都圏青年ユニオン、全国一般東京東部労組臨床心理士ユニオン支部、東京交通労組、全国一般東京南部各労組の若者たち、そして松下PDPの吉岡さんと続いたトークの中身は当然相当に濃く重い。しかしそれも、若者の感性で会話として語られると実にくだけて伝わるものがある。そして、つながり合う場を得ることで自信を取り戻し会社に対し臆することなく自己主張できる喜びを、各々が自分たちの言葉で語っていたことも印象的だった。それこそ今回のイベントが伝えようとしたものだったに違いない。湯浅さんもまさしく、魔法の杖はない、自分が悪いわけではないということに気づき声を上げよう、と呼びかけた。
新しい出会いとつながりが当日も生まれたに違いない。会場にはステージを挟んで各労組のテントが立ち並び、思い思いの売りものが並んだ。もちろん相談窓口も用意された。参加者は、ステージ前のブルーシートに座り込みトークに思いを重ねるも、各テントで舌鼓を打つもまったく自由。しかし今を変えたいという強い思いは会場全体のもの、ステージのトークが参加者者すべてをつないでいたことは明らかだった。
来年もやろう
と呼びかける
イベントは最後に「そして、私たちはまだ出会っていない若者たちに呼びかけます。あなたの悩みや苦しみは、あなただけのものではありません。あなたは、間違っていない。自己責任とおさらばしよう。絶望と無力感をふり払おう。泣き寝入りせず、いっしょに闘おう」と結んだ集会宣言を全体で採択して幕を閉じた。参加者は主催者発表で二百人。
大イベントというわけではない。しかしそれは間違いなく、若者たちが自分たちの感性を下に自分たちだけで共同して作り上げた、労働者運動の新しい試みだ。そして自ら動くことに手応えをもち始めた若者たちがそこにいた。労働者運動からここ二十年消えていた試みと言ってよい。主催者は意気軒昂、来年もやろうと呼びかけた。何かが始まっている。十七日には「反貧困世直し大集会2009」、二十九日には「派遣法改正待ったなし!10・29日比谷集会」と、この十月連続して、これまた新しい形の行動が呼びかけられている。この日の若者たちはそこにも確実に姿を見せるだろう。 (谷)
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