| 免状等不実記載弾圧国賠裁判 かけはし2009.9.28号 |
県警はただちに謝罪せよ
九月十五日、神奈川県は、東京高裁が免状等不実記載弾圧国賠裁判で一審判決を支持する控訴棄却判決(9月9日)に対して上告を断念した。JRCL・JCYへの政治弾圧、三里塚闘争をはじめ諸戦線の破壊のためにAさんを不当逮捕し、自宅と実家、越境社、関西新時代社の家宅捜索強行が違法であると認定した高裁判決の確定だ。この勝利は、グローバル派兵大国化とセットで公安政治警察を先兵とした治安弾圧体制の強化を許さない重要な反撃をかちとったことを確認することができる。この成果をすべての闘う仲間たちとともに共有化し、「微罪弾圧」を許さない陣形を広げていこう。
高裁判決は、「本件逮捕等の主たる目的がJRCLについての情報収集を行うことなどにあったことが窺われる。もっとも、それを超えて、神奈川県警がJRCLの行う活動を妨害し、JRCLを政治的に弾圧することを目的としていたことを認めるに足りる証拠はない」などと公安政治警察のやりたい放題の弾圧を防衛しながら「情報収集を行うことなどにあったことが窺われる」などと矛盾した判断を出さざるをえなかった。これは原告、弁護団が高裁段階でも県のでっち上げストーリーを具体的に反論し、数々の写真、書類を提出する「攻めの裁判闘争」戦術を選択した結果、一審支持判決をかちとったのである。
県警は、横浜地裁、東京高裁に立て続けに杜撰で違法に満ちた捜査、Aさん不当逮捕と四カ所の家宅捜索を繰り返し批判されてきたにもかかわらず全く反省せず、高裁判決に対して「事実を誤認してなされたもので、誠に遺憾」と居直り、あげくのはてに「最高裁は法律審であり、事実誤認を前提に主張しても審理されることは困難と判断した」などと意味不明な根拠を言い出すしまつだ。地裁と高裁判決をどのように熟読し、理解したというのか。ひたすら自己保身のために強引に正当化し続けているだけではないか。だがその姿は、現実を直視できないほど困惑し動揺していることがみえみえだ。
県は一審で「警察法に定められた責務を果たし、公共の安全と秩序を維持するため、県内で活動する極左暴力集団構成員に対し、鋭意捜査」を行っていると「豪語」していたが、現在でも自己の階級的任務を深く自覚しながら新左翼、市民運動に対する政治活動破壊を続けている。9・9判決を武器にしてこれ以上の公安政治警察の好き勝手な立ち振る舞いを許してはならない。
繰り返す! 違法行為を率直に認め、Aさんをはじめ関係者への謝罪を行え。ムダな税金使用額を公表し、返金せよ。公安政治警察はいらない!
微罪弾圧の戦略的適用
イラクへの自衛隊派兵とセットで始まった戦時治安弾圧体制作りを押し進めている中、免状不実記載弾圧は、二〇〇六年当時、改憲と派兵大国化路線にひた走る安倍政権の下で警察庁・神奈川県警公安の意志一致に基づき、階級的憎悪むき出しでJRCL弾圧のために免状不実記載違反を最大限に使いきろうと作戦を練り上げ、また、共謀罪「成立」を射程にしながらAさんが参加していた諸運動などの破壊と混乱を目的とした弾圧だった。
警視庁公安は二〇〇四年、立川自衛隊監視テント村の自衛隊官舎へのイラク派兵反対ビラ配りで「住居侵入罪」で逮捕し、以降、日本共産党をはじめビラ等のポスティング弾圧を拡大させていった。神奈川県警公安三課は、警視庁公安の「活躍」ぶりを意識し、「負けるな。追い越せ」と意気込みながら米軍厚木基地近くにある大和市のマンションで監視行動していた仲間たち三人を不当逮捕(05年10月15日)した。
さらに佐藤道男(公安第三課課長補佐)の指揮によってAさんの不当逮捕(06年10月24日)、厚木基地を監視している相模原の反戦グループを「詐欺罪」で逮捕弾圧を強行したのであった(07年1月23日)。なお相模原弾圧に対しても内田雅敏、川村理弁護士の代理人で国賠裁判が闘われている。
「微罪弾圧」は、二〇〇三年の『警察公論』に公安検事が、「過激派構成員にかかる文書偽造、及び免除不実記載の起訴事例について」という論文を書き、「微罪」による「逮捕・勾留が想像以上の効果を得ている」と確認し、その有効性を公安捜査の一つとして位置づけてきた。
また、裁判所も警察の家宅捜索・逮捕令状請求を乱発し、公安の人権侵害・違憲行為を認める役割を担っていた。一審でAさん不等逮捕・家宅捜索令状を出した裁判所=国の責任を追及したが、横浜地裁は身内の国の違法性を認めることはしなかった。裁判所の警察による令状請求の理由を具体的にチェックしないでハンコを押し続けるマシーン化を許さず、令状乱発主義批判を強化していくことも重要であることを確認したい。
公安警察はいらない!
一審で県は「JRCLによる成田闘争、反皇室闘争、反戦・反基地闘争及び反核・反原発闘争等に向けた同組織の活動家の動向に着目していた」ことを明らかにし、不当な弾圧を強行するために虎視眈々と狙っていたことを自慢していた。しかもAさんが「一般JRCL構成員と比較しても、同組織において中心的役割を担っているものと認めていた」から逮捕をしたのだと自白していた。すなわちJRCLという政治団体の組織破壊、成田闘争、反天皇闘争、反戦闘争などの市民運動に対する破壊と打撃こそが目的だったのである。
その正当性を県は、Aさんの免状等不実記載罪がJRCLの「武装闘争路線の一環として、組織活動を推進する目的のために行われた、組織的、計画的な犯罪」などと決めつけてきた。その根拠としてJRCLが「『民主主義的集中制にもとづいて運営されている』という規約」を動員してきた。いったい規約がどのような証拠になるというのか。県はなんら組織実態、具体的な事実の列挙、証明する証拠を一切提示することができなかった。だから高裁判決は「具体性がない」と批判したのである。
県は、明らかに憲法第二一条の集会、結社および言論、出版などの表現の自由、第二十条の信教の自由、第一三条の個人の尊重・生命・自由・幸福追求の権利保障を否定する内容に貫かれているにもかかわらず、この論理構成を最後まで崩すことはなかった。つまり、公安警察が違憲・違法を前提にしながら「微罪弾圧」を繰り返し、運動破壊を続けていくことの「決意表明」なのだ。
そもそも警察庁の路線は、鳩山政権下においてもこれまでの治安弾圧体制作りの継続は間違いないだろう。当面は、11・12天皇即位20年奉祝国家式典と天皇警備を軸にして展開している。反天皇制運動と活動家への日常的な監視、情報収集を強行している。非公開の反天皇会議に対してまでも威圧的に張りつき監視していることが発覚している。中井洽国家公安委員長は、取調の全面可視化を先延ばしにしながら、「取り調べ当局に犯罪摘発率を上げ、スピード化できる武器を持たせてあげたい」などと警察官僚にすり寄り、「司法取引」の導入、おとり捜査や盗聴法の適用範囲の大幅な拡大の制度改正に前向きにやっていくことを表明している。公安警察は「大喜び」だ。治安弾圧体制の強化を許してはならない。中井発言に抗議していこう。
神奈川県警は二〇一〇年十一月に横浜で開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の警備のための対策課を発足させている。九月の定期人事異動で対策課に大幅人員を配置した。10・24弾圧の指揮官である佐藤道男(公安第三課課長補佐)も継続して任務に就いていることに現れているように県内外の反戦運動、活動家への監視、微罪弾圧をねらっていることは間違いない。公安の違憲・違法・人権侵害を粘り強く告発・糾弾し続け、解体していこう。(遠山裕樹)
資料
09 年選挙目前!〜私たちが望むこと〜(6)
今こそ貧困問題の抜本的対策を掲げる時!
反貧困ネットワーク 代表 宇都宮健児
U 私たちが求める政策(承前)
5雇用・労働
10 公務非正規労働者に対する権利の保障を
1)「集中改革プラン」など過度な正規職の定数削減を止め、常勤的継続的な職には正規職を充てること。
2)雇用年限などによる「解雇」を止め、任期の定めのない短時間公務員制度を導入するために
必要な法整備を行うこと。
3)公務員にパート労働法を適用すること。
4)特別職非常勤には手当を支給出来ないとしているが、手当支給は違法ではないとの東村山高裁判決をふまえ、すべての非正規職を手当支給の対象とすること。
5)非常勤公務員の専門性について適切な評価をし、訓練や昇進の機会を保障すること。
6)臨時・非常勤を、公務員共済制度に加入させること。
7)国や自治体は、公契約のもとで就労する労働者に、適正な賃金・労働条件を保障する法律や条例を制定すること。ILO94号条約、84号勧告を批准すること。
11 障害者雇用対策の拡充を
1)ILOから勧告されている、働く場からの費用徴収等、障害者雇用における人権問題について早急に是正をはかること。
2)障害者雇用施策における合理的配慮、障害者差別等の問題を障害者権利条約の趣旨にそって改正すること。
3)障害者の生活全般に関する包括的な差別禁止法を制定すること。雇用問題だけに特化して法案化しないこと。
4)障害者手帳を要件とした障害者雇用施策(法定雇用率や特定求職者雇用開発助成金の対象等)を見直し、稼働能力の減退を加味した障害厚生年金3級の基準との整合性を計り、対象を見直すこと。
5)重度障害者の法定雇用率におけるダブルカウントを見直すこと。
6 女性
1)貧困撲滅とともに、男女間の大きな経済格差を是正することを政策目標として明記し、NGOと行動戦略を協議すること。
2)経済活動や貧困層の統計、政府の貧困対策統計には、かならず男女別年齢別統計を入れ、ジェンダー分析を行うこと。
3)「失業者」「フリーター」などの定義におけるジェンダー・バイアスを撤廃し、婚姻上の地位に関わらず、貧困女性を政策対象とすること(現状では、女性のみ配偶者がないことが条件となっている)。
4)貧困者や困難を抱える女性支援に取り組むNGOへの委託事業を拡大するとともに、委託に際して公開性を確保すること。
5)ジェンダー予算分析の導入を検討すること。
7 子どもの貧困・教育
1)すべての困難を抱える子どもに対して、困難の程度に応じ、経済面・ソフト面の両方から手厚く支援を行うための体制づくり・財源保障を国として行うこと。
2)15歳以下の子どもの医療費を無償化すること。
3)児童養護施設への助成金を増やし、高校・大学への進学率を一般家庭並に上昇させること。
4)貧困と密接に関係した虐待の未然防止のための緊急対策をとること。
5)子どもの貧困問題解決のための専門委員会を設置すること。
6)「教育安心社会実現に関する懇談会」の報告を2010年度予算に盛り込むこと。
7)外国籍の子ども、外国にルーツを持つ子どものきわめて低い進学率を放置せず、実態把握を行ったうえで進学格差是正のための措置をとること。
8)義務教育に関する以下の施策を行うこと。
@ 就学援助の対象者の拡大、国庫負担の復活、支給額も学校に必要な私費負担をすべてカバーできる額にすること。
A 学童クラブに希望者が全員入所できるよう、増員や補助の拡大を行うこと。
B 学童クラブの対象年齢の拡大(4年生までの入所措置)とあわせ、施設設備の改善を進めること。
C 家庭の貧困を視野に入れた不登校児支援を策定し、そのための人員を確保すること。
D 少人数学級を行うための正規教員の増員を行うこと。
E 給食費・教材費・修学旅行費など、私費負担教育費の軽減をはかり、将来的には全額公的負担とすること
9)学校外教育への支援の拡充として、生活困窮世帯への塾費用援助を行うこと。当面、中学3年の塾費用の困窮家庭への貸与(東京都実施)か給付制度を速やかに全国へ拡大すること。その他、小・中・高生に向けた無料低額学習支援を行うこと。
10)高校教育に関する以下の施策を行うこと。
@ 公立高校入学金を廃止し、授業料・教科書代の無償化を行うこと。
A 私学助成について直接助成を拡大すること。当面の措置として年収500万円以下家庭への授業料免除制度を拡充し、将来的に無償化を見据えること。
B 家計条件を満たす全員に奨学金を貸与すること。特に家計が苦しい場合は、一定額を給付奨学金として上乗せ支給すること。
C 公立高校、特に定時制の再編・統廃合を停止し、拡大すること
D 高校生に対する労働者の権利教育を義務付けること。アルバイト就労の実態把握を行い、労働環境の整備をはかること。
11)高等教育に関連し以下の施策を行うこと。
@ 国公立大学授業料無料化に向け、当面、免除制度を拡大すること。私立大学の経済状況に応じた学費免除制度への補助を抜本的に拡大すること。
A 国際人権A規約第13条2項b、cにかんする留保を撤回すること。
B 特に家計の困難な奨学金受給者向けに、一定額を給付奨学金として上乗せ支給すること。
C 無利子奨学金の貸与枠を拡大し、特に予約採用で適格者を全員採用すること。
D 遺児家庭等、保証人を立てるのが困難な学生については保証人を免除し、家計に応じて機関保証の保証料を免除すること。
E 民間奨学金も含む学費負担軽減制度をまとめた資料を作成・活用すること。
F 大学夜間部をこれ以上廃止しないこと。勤労学生の労働実態を調査し支援策を講じること。
12)修了後の奨学金返還について、以下の施策を行うこと。
@ 奨学金返還延滞者の個人情報信用機関への登録をとりやめること。
A 延滞率が改善しない学校名の公表をやめること。
B 返還者の実態にあわせた返還猶予・返還額軽減を積極的に周知し、適用すること。
C 家計が苦しい返還者に対し、既払い分を含めた延滞金の免除を行うこと。
13)就職活動に関わる以下の施策を行うこと。
@ 労働法令等に違反した企業の情報を整備し、企業名を公表して、学校・生徒に知らせること。学校の就職担当者は違反企業への就労を斡旋しないようにすること。
A 大学3年や大学院修士1年で就職活動をしなくて済むよう、就職情報会社への規制を含めた実効性ある就職協定を復活させること。
B 学生の労働・アルバイトの実態把握、労働基準法に「学生アルバイト保護条項」の項目を設置し労働環境の整備をはかること。
(つづく)
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