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郵政民営化を監視する市民ネット総会&討論集会      かけはし2009.9.14号

市民・利用者・労働者の立場
から郵政民営化の見直しを!

いっそう進む
労使の一体化

 衆院選挙真っただ中の八月二十三日、郵政民営化を監視する市民ネットワークの第五回総会とあわせて市民討論集会が 開催された。総会では、〇五年八月の郵政民営化法案否決から同年九月の「郵政選挙」による自民党圧勝を受けて、〇七年十月の郵政民営化から現在の状況に至る監視ネットの活動報告が行われた。
 上映されたビデオ報告から、東京の桧原村や長崎の上五島などの地域が民営化によって大きな影響を受けていることが理解できた。
 総会に続いて行われた市民集会では、総会で監視ネット代表に選出された稲垣豊さんの司会のもと、四人のパネラーからの問題提起と討論が行われた。
 郵政労働者ユニオン中央執行委員の棣棠浄さんは、レーガン、サッチャー、そして国鉄分割民営化と国労つぶしを進めた中曽根の時代から本格化した新自由主義の表れのひとつとして民営化の問題点に焦点を当てた。それから二十年を経た現在、周回遅れの日本新自由主義の「本丸」として位置づけられたのが小泉、竹中による郵政民営化であったと指摘し た。
 「民営化直前に全国一〇四八の特定集配局が統合され、地域の公共サービスの一端を担っていた郵便局ネットワークに 大きなほころびが出た。とりわけ三事業一体により維持されてきた地方・過疎地 域の通信、金融ネットワークは、民営 化による分社化でずたずたに切り裂かれた」。
 そして、民営化の核心とされた民間企業との事業提携においても、ゆうパック事業とペリカン便との子会社をめざすJPEXひとつとっても、大量の非正規労働者の雇い止めと労働条件の切り下げなどを伴いつつも、十月一日の全面統合を控えたいまでも事業計画自体がまとまっていない実態を批判した。
 労働組合の問題点についても触れた。「民営化が社会の労働強化と職場荒廃を加速させている。日本最大の単一労組となったJP労組(旧全逓と全郵政の合併)は、その事態になんら効果的な闘争も組まず、逆に西川社長を支える最大のスポンサーとして、ユニオンショップ締結、山口義和前委員長の会社役員への就任など、これまで以上の労使一体が民営化によって進められている。そのなかで、郵政労働者ユニオンは、昨年と今年の春、全労連傘下の郵政産業労働組合 と協力しながら、非正規労働者の待遇改善や公共サービスの維持を中心とした要求を掲げストライキに突入した。政治 の世界では新しい情勢が生まれつつある。郵政民営化の見直しは必然となる。職 場と地域から、民営化見直しの声を上げていきたい」。

民営化で深まる
地域社会の荒廃

 続いて監視ネット事務局の下見徳章さんから、民営化で進む地域の荒廃が報告された。
 「先日、長崎の上五島に行ってきた。ここでも集配が集約された郵便局が、民営化による分社化で以前のようなサービスが提供できなくなり、民間の宅配業者のサービス攻勢に押されているという」。
 「地元の人は、郵便物を扱う郵便事業会社と、郵便局事業会社との区別なんてつかない。会社が違うから、これまでのようにサービスができないなんて想像もつかない。集配局集約や民営 化後のさまざまな施策は、まったく地域のニーズとはあっていない。貯金、保険もこれまでは地域をまわる郵便屋さんがいろいろとやってきた。それが集約化・民営化で窓口業務だけになった。必要なら窓口にきてよね、ということ。窓 口に行けばいったで、身分証明などさまざまな書類を要求される。あるお年寄りは、おむつを替えた、というくらい長いつき合いのある窓口の職員から身分証明書がないと手続きができない、と言われ憤慨していたという。民営化はコミュニティや人々の関係にも影響を及ぼすという言うよい例だ。極めつけは地域住民から、もう郵便局はいらない、という意見がでていることだ」。

フリーター労組
からの問題提起

 新自由主義の特徴として民営化とともにあげられるのが雇用の不安定化である。フリーター全般労組執行委員の清水直子さんは、これまでの雇用政策を厳しく批判した。
 「間接雇用と有期雇用の蔓延 が、労働者の自信や連帯を掘り崩している。年収二百万円以下の組合員が多い。ふつうは年齢とともに賃金もあがるの だが、フリーターといわれる人たちは 、逆に下がっていく。それをカバーするためにキツイ職場を転々としないといけない。派遣法の制定とその拡大によって時給は下がり続けている」。
  公務員バッシングのなかで、郵政でもそうだが、現場を担っている非正規の労働 者は増え続けている。非正規労働者の待遇改善がなされないまま、正規労働者の労働条件も批判の的になっている。互いに足を引っ張り合うのではなく、この現状を変えるための取り組みが必要だ」。
 また新自由主義イデオロギーの「自己責任」についてふれた。
 「先日、舛添厚生労働大臣が、派遣村にきた失業者に仕事を紹介したが、一人も就職しなかったなどという、でたらめな発言をした。派遣村の有志で反論を出している。紹介されたのはじつは実態がなかったり、不安定なものもたくさんあった。不安定なら貯金をしておけ、というような世論 もあるだろう。しかし手取り十万円程度で貯金などできるはずがない」。

新自由主義と
対決する運動

 ATTAC Japan(首都圏)の秋本陽子さんは、新自由主義の蔓延に対抗する世界の社会運動のこの間の動きを紹介した。
 「昨年来の経済危機は、世界の社会運動が一貫して警告してきたことが現実のものとなったということだ。 それをどう克服するのか、世界の大国は対応できていない。自由貿易交渉は各国の利害対立から停滞している。投機マネーが食糧や原材料やエネルギーに流れ、世界に混乱をもたらしている。地球温 暖化は深刻化しているが日本政府をはじめ責任ある大国は無責任な対策案しか出していない。大国はこの危機に代わる オルタナティブを提示できていない」。
 「新自由主義は破綻したが、市場原理主義にもとづく経済政策の志向はなおも各国の主流を占める。オバマ政権が誕生し、プラハ核廃絶演説などで注目されたが、一方でアフガンへの増派、ホンジュラスクーデターの事実上の容認など限界は明らかだ」。
 「ラテンアメリカなどを中心に、アメリカの支配からの自立を目指す国々がさまざまな連携を模索している。これら『南』の地域への連帯は、オルタグローバリゼーション運動の重要な取り組みだが、もうひとつ、民営化に反対するというのも重要な課題の一つだ。南ア、ボリビア、フィリピンなどでは民営化反対の 運動が社会的に取り組まれている」。
 「公共サービスは、雇用や社会的連帯、社会正義を作り出すものである、という 世界のオルタグローバリゼーション運 動の主張に光を当てる運動が必要だ」。
 会場からは、厳しい条件の中でかけつけた郵政の期間雇用社員から現場の荒廃が語られた。大阪からかけつけた郵政労働者ユニオン委員長の松岡幹雄さんからは、来年三月に「おおさか社会フォーラム」が予定されており、そのなかで公共サービスの在り方を問い直すフォーラムを行いたいと紹介があった。
 討論に続いて、下見さんが、監視ネットで議論している「市民による郵政事業の確立を」という、事業論を紹介した。時間の関係で十分な討論ができなかったが、今後の民主党を中心とする新政権においても、郵政事業の見直しの議論が 行われることから、政治への働きかけと職場・地域を貫いた議論の中で、社会的連帯を再構築するための郵政事業論を提起していこうと提起した。
 最後に、政権交代必至の総選挙投票日を一週間後に控えた情勢を踏まえた「総会アピール」が提起され、採択された。    (H)

郵政民営化を監視する市民ネ
ットワーク第5回総会アピール


 05年、4年前の暑い夏、一旦は参議院で否決された郵政民営化法案に対して、当時 の小泉首相のとった手段は掟破りの解散総選挙。小泉構造改革の本丸、郵政民営化はその2年後、07年10月1日から実施に移されました。
 郵政民営化の最大の狙いは、新自由主義・規制緩和に活路を求める小泉政権が日 本経済を米・国際金融資本などの後押しのもと、金融自由化を加速させ、カジノ・博打金融資本に「郵貯」「簡保」資金を投入可能とし、弱肉強食の野蛮な 自由競争に導こうとするものでした。
 その後の4年間、格差拡大・地域切捨て・ワーキングプアの急増、……年金・ 医療・雇用等社会的セイフティーネットが次々と崩壊、小泉政権を受け継いだ安倍・福田両政権が一年と持たず政権を投げ出し、解散のために首を挿げ替えた麻生政権はその解散すら踏み切ることが出来ずズルズルと居座ってきた4年間でした。そして昨秋、米サブプライムローンの暴落に端を発する世界同時金融危機がカジノ金融市場にしっぺ返しとして襲い掛かりました。100年に一度といわれる金融恐慌、小泉構造改革が拠って立ってきた新自由主義の崩壊です。
 郵政民営化は2年と待たずその本質が露呈しました。郵政を民営化すれば景気はよくなる、地方は元気になると言い切ってきたのは何だったのでしょう。民営化の利権に群がる利権集団。「かんぽの宿」やゆうちょ共用カードの「チーム西川」の暗躍など等。明治政府の官有物払い下げとどう違うのでしょう。民営分割によるサービスの低下、雇用と労働 条件の劣悪化は、事業の存続さえ危ぶまれます。
 今回の総選挙は、小泉構造改革=新自由主義と決別し、貧困と格差拡大を是正し、公共サービスをはじめとする社会的インフラ、セイフティーネットをあまねく公平に実施できる政権を樹立することです。暮らしと雇用を守り、憲法9条を活かす政権です。
 私たちは郵政民営化に反対し民営分社化された「日本郵政」を監視してきました。市民・利用者・労働者の立場から郵政民営化を抜本的に見直すことが今こそ不可欠です。総選挙は絶好の機会、その抜本的見直しをマニフェストに掲げる社会民主党、日本共産党、国民新党の躍進こそが、2万5千の郵便局ネットワークと金融・通信のユニバーサルサービスを維持し、高齢者社会や地域コミュニティ再生のための生活拠点と位置づけ、市民・利用者・労働者参加による事業運営を図る「抜本的見直し」に繋がります。 郵政民営化の抜本的見直しと新自由主義との決別が出来る政府誕生のために奮闘しましょう。
   2009年8月23日




資料
09 年選挙目前!〜私たちが望むこと〜(4)
今こそ貧困問題の抜本的対策を掲げる時!

反貧困ネットワーク 代表 宇都宮健児

U  私たちが求める政策(承前)

5 雇用・労働

1.男女差別、雇用形態差別の禁止で平等社会の実現を
1)男女雇用機会均等法における間接差別対象事項を拡充し実効あるものとすること。ILO111号条約(雇用及び職業についての差別待遇に関する条約)を批准すること。
2)パート労働法に均等待遇を明記し、差別禁止規定の対象を広げ、すべてのパート労働者に対して差別禁止とすること。実効性ある正社員転換制度を確立すること。ILO175号条約(パートタイム労働に関する条約)を批准すること。
3)同一価値労働同一賃金原則を確立し、間接差別の定義を拡大すること。差別的慣行への罰則を強化すること。
4)労基法4条に同一価値労働同一賃金原則を明記すること。
5)男女ともに仕事と家庭生活の両立がはかれるよう、必要な施策を行うこと。
2.まともな雇用の創出につながる実効ある雇用対策を
1)良質な雇用機会の創出によって、失業率を3%未満に引き下げることを目標とすること。緊急対策としての雇用においても、生活できる賃金水準を保障すること。
2)時短促進を雇用機会の創出策として位置づけ、両政策の数値目標を設定して積極的に進めること。
3)職業能力開発・教育訓練制度、就職支援・相談システムへの予算を増やし、さらに拡充すること。
4)市民参加の「雇用対策会議」を定期的に開催し、地域における貧困根絶のための効果的な対
策を検討すること。
5)国の基準や県の定める計画に照らしても要員が不足している看護師、介護従事者、教員、保育士、消防職員などを、公務・公共部門で積極的に採用すること。特別養護老人ホームをはじめとする福祉生活関連施設など住民生活関連事業の拡大で雇用を拡大すること。その際、これまでの賃金・労働条件を低下させず、引き継ぐこと。
6)若年者の雇用対策を拡充させるために、以下の施策を行うこと。
@ トライアル雇用の制度を利用する使用者に対して最低賃金法を遵守させること。
A 採用面接の際、使用者が求職者に対しておこなう威圧的、差別的、または性的な言動を禁止すること。
B 使用者が新たに採用する労働者の割合が、新規学卒者に偏重しないよう制限を設けること。
C 使用者が長期キャリア形成を図る目的で年齢制限のある求人を行う際に提示しても良い年齢の範囲を明確にすること。
D 雇用対策法および厚生労働省の省令により禁止されている求人を行う使用者に対して罰則を設けること。
E 非公開型の求人で年齢制限などの不正が行われていないか実態調査を行うこと。
F 若年無業者層(ニート)を、病気や怪我の療養、進学や資格取得のための独習、介護や育児などの状況別に分類し、分析をおこなうこと。
G 学校教育においてキャリア教育と労働者の権利教育を拡充すること。
7)女性の就労支援策を拡充させること。
@ 家族的責任を、男女がともに果たしながら就業継続できる環境の整備に向け、男女雇用機会均等法等の抜本改正と、企業への指導を強めること。
A マザーズ・ハローワークの拡充、求人開拓、能力開発の促進、保育施設の整備等、妊娠・出産・育児等により退職した女性の再就職を支援する施策を行うこと。
B 母子家庭の経済的自立に向けて、職業能力開発支援等、福祉行政と労働行政の連携を強化し、個々の世帯態様に応じた総合的な施策を行うこと。
C 政府の就労支援が中長期的に労働者の経済安定に貢献したかどうかを確認するため、ジェンダー別統計を入れて分析すること。
8)高齢者の雇用対策を拡充させること。
@ 希望する者全員が65 歳まで働き続けられるようにすること。企業の一方的な選別を許さず、就労希望者が継続雇用されるように企業に働きかけること。
A 高齢者雇用安定法を改正し、「いきがい就労」であっても労働者であることを明確にし、労働基準法等の適用対象とすること
B 募集・採用時等の年齢制限を禁止し、罰則規定を設けるなどすること。
9)障害者雇用対策を強化すること。法定雇用率未達成企業については企業名公表などの措置をとること。
10)移住労働者の就労機会を拡大すること。(つづく)


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