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舛添要一は「年越し派遣村」への誹謗を撤回し謝罪せよ |
総選挙が公示された八月十八日、自民党次期総裁候補の一人とされている舛添要一厚労相は、「派遣切り」されて、職も住む場所を奪われた人びとが、最後の命綱とした「年越し派遣村」に許しがたい誹謗中傷を行った。「多数の求人票を持っていったが誰も応じなかった。怠けている人に税金を払う気はない」というのだ。この発言こそ政府の労働・福祉政策の本質を暴露するものだ。元派遣村名誉村長・宇都宮弁護士らの抗議文を掲載する。
抗議文
2009年8月24日
元派遣村名誉村長 弁護士 宇都宮健児
元派遣村実行委員会有志一同
〒104-0061 東京都中央区銀座6-12-15
COI銀座612 7階 東京市民法律事務所
TEL:03-3571-6051 FAX:03-3571-9379
厚生労働大臣 舛添 要一 殿
私たちは、年末年始、日比谷公園にて派遣村を企画した実行委員会の有志です。
貴殿は、8月18日、横浜市内の街頭演説で、年越し派遣村の取り組みについて言及し、「4000人分の求人票を持っていったが一人も手を上げなかった。大事な税金を働く能力があるのに怠けている連中に払う気はない」と発言しました。
私たちは、この発言は、事実誤認により生じる偏見、もしくは、事実を捻じ曲げた中傷であり、命からがら派遣村を訪れ、今もなお厳しい雇用情勢の中で生活の再建を目指して努力している方々への侮辱であると考えます。自立を目指し、切実な思いで求職活動をしながら、何件も何十件も断られ、それでも求職活動を続けているのに、よりによって厚生労働大臣という立場にある人からこんなことを言われたら、どういう気持ちになるか。村民一人一人の心情を考えてください。
派遣村は、厚生行政と労働行政の双方に対し、重たい提起を投げかけた取り組みでした。しかし、貴殿は目の前の現場に、一度も足を踏み入れなかった。そうした方が、事実を捻じ曲げた言動を繰り返していることを、私たちは黙認することはできません。上記の発言を撤回し、文書による謝罪を求めます。
また、派遣村に持ち込まれた求人票に関する事実、及び私たちの見解を以下に記しますので、ご一読ください。
1)「一人も応募しなかった」というのは、1月5日の4施設入所初日のことである
1月6日にも、派遣村実行委員会に対して、大村厚労副大臣から同様のクレームを受けました。しかし、1月5日は日比谷公園撤収作業後、国会への請願行動や議員申入れなどをしており、都内4施設に入所したのは午後4時ごろでした。東京都職員から施設の決まりごとなどの説明を受けるとすでに5時になり、ハローワークの出張窓口が閉まりました。初日の応募がなかったのは、こうした理由によるものです。
また、このことは、大村氏にはその場で説明し、誤解を解いていますし、貴殿もその報告を受けているはずです。6日からは朝から相談が始まっていましたし、今ごろになって言い出すのは「為にする」議論です。
2)「手を上げなかった」というのは誤り
1月18日の時点で、求職者登録をした村民は百数十名に上っており、4施設に滞在していた村民の半数に上りました。
4000件の求人中から応募し、旅館の住み込みや清掃、警備、タクシー会社などに就職し、派遣村を去った方もおります。
3)4000件の求人には実態のないものも多かった
応募をした村民は、ほとんど断られてしまっています。応募した会社から返ってきた返事は、「もう決まっちゃいました」「実は募集していないんです」「ハローワークから求人を出すよう言われて、ホントは募集してないんだけどお付き合いで求人を出しているだけなんです」といったものでした。こうした実情を、大臣は御存じでしょうか。
4)寮付き求人へのトラウマ
当初の応募が少なかった背景には、派遣村に持ち込まれた求人の多くが、「住み込み」など寮付きの求人だったことにも原因があります。
派遣切りは、雇用契約の解除と同時に、住まいを追われるという過酷な首切り体験でした。寒空に放り出された彼・彼女らは「二度と同じような目に遭いたくない」という思いをもっています。今度こそは、自分の住居を確保して、職場に通いたい、だから住み込み求人への、応募には躊躇する、というのは心情としても理解できることではないでしょうか。
5)求職活動どころではなかった
年越し派遣村では、心身の不調を訴える人や、今日の食費もない極限状態に追い込まれた人が多く、生活保護を受給し、その日の生活費を確保することが最優先の課題でした。
実際、緊急小口貸付資金の特例交付が始まる1月7日夕方までは、ほとんどの人が無一文の状態であり、求職活動のための面接交通費などを持っていなかったのが実情です。
また、既に、大半の方が派遣切り後に、ハローワークや様々なところに相談に行ったり、必死の思いで職探しをおこなって来られていました。その結果、有り金も底をつき、どうしようもなくなって派遣村にたどりつかれています。心身共に疲弊した状態では求職活動を満足に行うことはできません。
6)誰でも年収1000万以上稼げる求人があったらください
上記の発言のあった翌19日も、貴殿は「求人は、すべて寮付住み込みで、年収1000万以上稼げるものだった」などと発言されたと聞いています。耳を疑いました。そんな求人があったという話は実行委員会では聞いていません。また、もしあったとしても、ある種の専門性が問われる職務である可能性が高く、派遣切りされたり、数年間の野宿経験をしてきた失業者が就ける仕事でしょうか。ミスマッチが大きすぎたとしか考えられません。そのことを、求職者が怠けているといった文脈にすり替えないでください。
7)政策の実施と言っていることが違います
政府が21年度補正で「第二のセーフティネット」を構築したのは、昨年秋からの派遣切りで派遣村村民も含め、職も住居も失う労働者が大量に出たにもかかわらず、セーフティネットが機能していないというその反省の上に立ってのことだと思います。
派遣村の村民は、多くの失業者と同様に求人活動をし、同様に就職できていませんが、これらの人たちに対する「第二のセーフティネット」が無駄だというのでしょうか。そうであれば、政策決定者自ら「第二のセーフティネットなど不要だ」と言っているのと同じです。閣僚としての自らの行為に矛盾する発言であり、その社会的責任は重大であると考えます。 以上
資料
09 年選挙目前!〜私たちが望むこと〜(1)
今こそ貧困問題の抜本的対策を掲げる時!
反貧困ネットワーク 代表 宇都宮健児
U 私たちが求める政策(承前)
2 生活保護
1)近年の日用品等の物価高騰に鑑み、生活保護基準を文化的最低生活、社会参加ができる水準へと引き上げること。
2)生活保護の国庫負担分を引き上げ、生活保護申請が集中している自治体への財政負担を軽減する仕組みをつくること(全額国庫負担化や調整交付金等の仕組みの活用等)。
3)いまだに餓死事件が続いている問題を是正し、生活保護制度を広く市民に知らせ、申請書を福祉事務所の窓口に置くなどして、誰もが利用しやすい制度にすること
4)申請権を侵害せず、誰でもアクセス可能な生活保護制度とすること。
5)母子加算、老齢加算を復活させること。
6)通院移送費の局長通知を撤回すること。
7)生活保護のケースワーカーを増員できる財政措置と、労働環境を改善させること。
8)保護開始決定までの緊急貸付・小口融資を機動的に活用できるようにすること。
9)ホームレス状態の場合は、窮迫保護を認めること。
10)地方での生活実態をふまえ、車の所有を認めること。
11)不時に備えた貯金の保有を一定額まで認めること。
12)受給者と行政との間を仲介し、保護費を搾取する貧困ビジネスを規制すること。
13)社会参加を含めた文化的な生活を保障するために、自助グループ等への生活移送費の支給を促進すること。
14)移住者の生活保護に関し、以下の施策を実施すること。
C 外国籍女性を事実上の世帯主とする母子家庭の生活保護の受給件数が近年増加しているが、その実態を把握すること。
D 現在、自立支援プログラムが各自治体に導入されているが、外国籍の人を対象とした自立支援プログラムを実施すること。
E児童扶養手当、生活保護等に係る通知等は外国籍女性が十分に理解できるよう多言語での情報提供を行うこと。
3 住宅問題
1)急増している路上生活者に対応できるように緊急一時施設、シェルター機能を各自治体に早急に増設すること。
2)各自治体は平成21 年度補正予算で組まれた「旅館・空き社員寮等の借上げ方式による緊急一時宿泊事業(補助率10 分の10)」を活用し、住所不定状態にある者に対する十分な数の居所確保を行うこと。
3)住宅給付は個別給付による生活保障施策とし、厚生労働省管轄で他の生活施策と一体的に対策を講じること。
4)平成21 年度補正予算による住宅手当の支給については、広く周知徹底を図る他、利用者のニーズに迅速に対応できるよう、手続きを簡略化すること。
5)住まいは人権であることに基づき、誰もが安心して住み続けられる住宅を国と自治体の責任で保障する住宅政策を確立すること。
6)公営住宅制度の大幅改善を行うとともに、入居を必要とする全ての人に公営住宅を保障し、早期に入居が出来るような施策を実施すること。
7)住居費負担とその低減について
@ 生活を圧迫しない住居費負担(所得の10%程度)を設定し、公共住宅家賃に適用すること。
A 上記住居費負担を上回る民間賃貸住宅入居者に対する家賃補助制度を導入すること。
B 民間賃貸住宅の礼金、更新料の廃止を検討し、敷金などの初期費用の貸出し制度を創設すること。
C 高家賃の引き下げ政策を行うと共に、住宅困窮者に対する家賃補助制度を国の責任で実施すること。
8)ホームレスの人、高齢者、低所得の人、障害を持つ人、母子家庭の人、外国人、性的マイノリティなどに対する居住差別を禁止し、住宅の確保と居住条件を保証する施策を行うこと。
9)非正規雇用、派遣労働者などへの住宅確保策を抜本的に改善し、低家賃で継続的に居住できるようにすること。
10)ゼロゼロ物件、追い出し屋、家賃保証会社など、住宅に係わる貧困ビジネスに対し、以下の対策をとること。
@ 「追い出し屋規制法」を設定し、家賃債務保証業者に法の網をかぶせること。
A 家賃債務保証業を許可制(登録制)とし、監督官庁を国土交通省(将来的には消費者庁)とすること。
B 登録業者に対しては営業保証金制度や暴力団関係者等の排除など、経営基盤の健全さを確保するための施策を行うこと。
C プライバシー権や名誉権、生活の平穏や財産権を侵害される事がないよう、取り立てに関する法規制を設けること。
D 違反行為を行った家賃債務保証業者については営業停止、登録取り消し等の行政処分を科すこと。
11)賃貸物件への入居を困難にする連帯保証人制度を止めること。
12)無料低額宿泊所について、以下の対策をとること。
@ 福祉事務所に相談があった場合、宿泊所以外の選択肢(民間アパートや公営住宅、他の社会福祉施設など)を提示すること。
A 福祉事務所に「宿泊所苦情対応窓口」を設置すること。
B 宿泊所に関する第三者評価委員会を設置し、施設内で虐待が行われていないか、権利侵害はないか等、審査すること。
C 施設内で人権侵害行為が行われないように、宿泊所運営ガイドラインに社会福祉士や精神保健福祉士の配置を義務付けること。
D 宿泊所は、入居者が早期の転宅が出来るよう、入所後、半年から1年をめどに適切な住環境への転居を促進すること。
4 年金
「最低保障年金」創設や障害年金の給付改善など年金制度の抜本改革を
1)基礎年金の税方式化、第3号被保険者制度の廃止、年金制度一元化などの抜本改革で、すべての高齢者、稼動能力に制限のある疾病・障害をもつ人に「最低保障年金」を給付すること。
2)最低保障年金の創設に際しては生活保護制度とリンクさせるとともに、生活保護基準を切り下げないこと。
3)年金制度を一元化し、パート労働者や派遣労働者、疾病や障害をもつ人等を含め、すべての雇用労働者への厚生年金(社会保険)の完全適用をはかること。適用対象を拡大するにあたっては、細切れ雇用の防止措置をとること。
4) 障害年金の金額を引き上げ、障害者が自立して生活できる金額とすること。あわせて以下の施策を行うこと。
@ 稼働能力の減退にあわせて支給される障害厚生年金3級相当の基準を、現在の障害基礎年金対象者で1、2級基準では年金支給されていない人にも適用すること。
A 年金一元化においては、稼働能力基準の制度間格差を解消し、無年金者を出さないようにすること。
B 生活給付つき訓練等において稼働能力の減退等が認められる場合も、障害者年金が支給される仕組みとし、就労制度間とのアセスメントにおける齟齬も解消し、切れ目のないセーフティネットを実現すること。
C 在日無年金障害者を早急に特別障害給付金の対象に加えるとともに、無年金の方への抜本的な見直しを図ること。 (つづく)
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