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米国経済の復調?                    かけはし2009.8.31号

「統計学者のみが愛する景気回復」

就業している米国の若い男性
の比率は61年間の中で最低

依然として続く
失業者の増大

 「統計学者のみが愛する景気回復」。これは株式市場のわずかな上昇を異常な高騰のように描く誇大宣伝を見て、それを鎮めようとしたアンニー・シンが「ワシントンポスト」に載せた記事のタイトルである。
 ボブ・ヘバートは「ニューヨークタイムズ」に「恐るべき現実」という見出しを選んで、同じ調子の記事を書いた。ヘバートはまたも次のような適切なコメントを付して、いつものようにはっきりと書いている。
 「アメリカ経済は、ほとんどのアメリカ人が期待する生活水準を維持するだけの十分な雇用――そしてましな雇用などどこにもない――を提供できないように見える。……」。
 「アメリカの家族の経済的存続可能性の前進に憂慮している人びとにとって、青年労働者、とりわけ若い男性の置かれている苦境は、まさに恐るべきことである。就業しているアメリカの若い男性の比率は、ボストンにあるノースイースタン大学の労働市場研究センターの記録にあるここ六十一年間の中で最低だった」。
 「今年前半の六カ月の任意の一日をとれば、二十歳から二十四歳までの男性で働いているのは百人のうち六十五人にすぎなかった。伝統的に結婚して家族をスタートさせる人が多い二十五歳から三十四歳までの年齢層で職を持っているのは百人のうち八十一人だけだ」。
 「十代の男性では、その数は破滅的となる。十六歳から十九歳までの年齢グループで雇用されているのは百人のうち二十八人にすぎない。マイノリティーの十代については触れられてはいない。その数は恐ろしいというレベルを超えている。まさに破局的だ」。
 「これは米国で最大の話題であるべきだ。職のない人びとがこうした極端なレベルに達した時、それは個々の家族に打撃となるだけではなく、社会全体を腐食させ、絶望感を培養し、無秩序をもたらすのだ」。

資本家たちが「監
房経済」を利用

 この週末にはさらに多くの「良い知らせ、悪いしらせ」があった。テクノロジーへの資本投資が少ない中で、それでも米国の労働生産性は今年の第2四半期でほぼこの六年間で最速のペースで成長したが、労働コストは五・八%減少した。それは八年間で最大の低下である。
 この茫然とするほどの変化の根底にある原因については「レイバー・ノート」のジェーン・スローターのすばらしい論文「ハラスメント:不況の副産物―調査と事例検証に基づいて」に見ることができる。スローターは、いかに資本家たちがハラスメントと労働のスピードアップを増大させるために「監房経済」を利用しているかを示している。
 彼女の労組組織化の例に引用されている同様の傾向は未組織化労働者を直撃している。金融部門においてさえも、「幸運にも自分の雇用を守った」として、今や失業ラインにある多くの人びとが正式に付加的労働を行っている。経営者が現在の労働者からいっそう絞り取り続けることができる限り、経営者はレイオフした労働者を呼び戻したり、新たに雇用する必要がないのだ。
 先週には、景気回復という早まった楽観的論議を掘り崩す報告が他にもあった。七月には住宅の抵当流れ処分が前月比七%上昇、小売り販売額が減少、シェルターを求めているホームレス家族の数は不況期間に三倍化した。消費者信用は低下し、新学期の買い物は失望させるほど少なく、個人破産は昨年三四%増加した。{……}(米「レイバー・スタンダード」のビル・オナーシュのブログ 8月17日〜より)



投書
神奈川Aさん不当逮捕事件と私
結城 守保(元小田急労研)


神奈川県警
公安部の正体

 一九七二年十月、私は神奈川県厚木市内の喫茶店で神奈川の公安と三里塚闘争について話をした。この一カ月前の九月、わが家が火事。父(同居)の不始末である。この件で、話をしたいという公安の誘いで対話することになった。私は小田急労研のメンバーで、公安が私に接近してきた。
 ここで労研結成の経過について書いておきたい。
 私は友人Mさんと東京西部で一九七〇年四月、少数派組合運動を始めた。動機は、一九六九年三里塚、沖縄、朝鮮連帯運動など高揚の中で立ち上げた。翌日から、会社・御用組合との全面対決に入る。
 一方私自身としては、七二年四月結婚、五カ月後の九月に火事。わが人生テンテコ舞いだったのに、公安と九十分も話をした。公安は横浜国大の学生は、演説がうまいなどと言う。どうでもいいようなことしか今覚えていない。警察に協力したことは、よくなかった。
 ここで神奈川公安と三里塚闘争について書いておきたい。
 宇沢弘文著『成田とは何か』(岩波新書)P225より引用。
 「年表一九七一年九月である。十六日から二十日にかけて、第二次代執行。機動隊五千三百人動員。反対同盟は支援を合せて五千人。逮捕者延四百七十五人、負傷者百五十人以上。三人の機動隊員が死亡。とくに悲惨だったのは小泉よねさんの土地、家屋の強制収用であった」。
 死亡した三人が神奈川県警の警察官であったということもあって、その後神奈川県警は面目にかけて犯人探しの捜査に当たった。
 もちろん、私は「ふざけるな」と言い、スパイ強要を拒否した。だが一九八六年の緒方宅盗聴事件でやっと、公安の正体理解できた。

共産党緒方宅
電話盗聴事件

 「警察オンブズマン」の中で東北大教授、広中俊雄氏は言う。
 「一九八六年十一月二十七日、警察による日本共産党幹部宅(東京都町田市)の電話の盗聴が発覚した。極秘裡の盗聴を発見された日本の警察にとって、大事件の発生である。盗聴行為をしたのは神奈川県警察本部であり、発見は同本部にとっても小さな事件でなかったにちがいないが、日本の警察の中枢部(機構的には警察庁の長官など)にとって、発覚は大事件だった。
 被害者は翌日『氏名不詳者』を電気通信事業法違反等の被疑者として東京地検に告訴・告発し、地検の捜査が始まり、翌八七年五月には現職警察官が取り調べを受けるに至るが、当時、警察庁長官が国会で『警察におきましては、過去においても現在においても電話盗聴行っていない』と断言したのは、発覚が日本の警察にとっての大事件を意味するものであったからこそだといえよう」。
 本事件は、私が勤務していた小田急電鉄玉川学園前駅より徒歩十分の静かな住宅地で起こった。当時私は日本共産党とは対立関係にあったが「しんぶん赤旗」読者ということで、緒方靖夫氏とは「駅」で話し会う仲でした。
 神奈川県警は、この裁判で負けた。しかしいまだ、謝罪も反省もしていない。

Aさん不当逮捕
と、人身の自由

 法学者、故渡辺洋三氏は言う。「人身の自由、えん罪事件の多発です。人権について、 憲法の条文の上で、いちばんくわしく規定されているのは、人身の自由に関する規定です(第31条から第40条まで)。罪刑法定主義、法定手続き保障、公開裁判を受ける権利、不法拘禁に対する保障、住所の不可侵、拷問や自白の強要の禁止、黙秘権その他、刑事訴訟法にゆずってもよいようなこまかい規定まで憲法に書いてあります。
 これは、戦前日本の警察、とくに特高警察などが、人を勝手に逮捕し、ひどい拷問を加え、自白を強要した苦い経験にもとづき、二度とこういうことのないよう憲法にきびしく規定する趣旨です」(『日本国憲法の精神』)。
 Aさんは、黙秘権を貫きました。私は、Aさん逮捕三日後の十月二十七日小田原署に 面会に行った。えん罪と、すぐに分かった。なんと、黙秘でえん罪です。警察は、恐ろしい所だ。
 
高裁を人民で包囲
し、勝利しよう

 Aさんは、三里塚闘争や日の丸・君が代反対闘争など思想・良心の自由にこの間取り組んでいます。私たちもAさんのように日本社会の市民的自由についてもっともっと、運動を広げていこう。その第1歩としてAさん不当逮捕事件がある。警察のえん罪事件、絶対に許すな。足利事件の教訓何ひとつ学ばない警察と裁判所を絶対に許すな。あと一カ月である。九月九日、東京高裁を包囲し、勝利しよう(8月1日)。

●9・9 東京高裁 判決公判へ 微罪逮捕国賠裁判
9月9日(水)東京高裁 判決 微罪逮捕国賠裁判/午後1時10分開廷(午前12時45分、820号法廷前集合)/東京高裁820号法廷/地下鉄霞ヶ関駅下車)

●9・12 判決報告会 
9月12日(土)東京高裁 判決報告会/午後6時30分/文京シビックホール・会議室2(地下鉄春日駅・後楽園下車)
報告・川村理弁護士、内田雅敏弁護士

●裁判カンパお願いします一口 2000円
郵便振替口座 00290-6-64430  新時代社(かならず裁判カンパと明記してください)


投書
足利事件と免状不実記載弾圧
SM

 @「6月4日(2009年)、足利事件(少女殺人)の犯人として無期懲役を受けていた菅家利和さん(62歳)が17年半ぶりに釈放された。DNA鑑定で犯人とされていたが再度調べなおされて、菅家さんのDNAと違うという鑑定結果が検察側、弁護側両方からの鑑定人によって出されたからだ。再審裁判で無罪判決が出る前に検察が釈放したのは異例であった。その後、検察庁、警察庁長官や栃木県警本部長の謝罪など「異例」づくめの対応が続いている」(『かけはし』2009年6月29日号)。
 「『冤罪』を作った警察官、検事、裁判官らは、釈放された菅家さんを目にして、いま何を思うのか。本誌はこれら関係者へ一斉に取材を行った。……言い逃れ、居留守、だんまり、取材拒否の連続で、真摯(しんし)に答えようとする当事者は、ただの1人もいなかった」(『週刊現代』2009年6月27日号)。
 「『ペンを持ったおまわりさん』として菅家さんを実名有罪視してでっち上げに加担した取材と報道の責任を明らかにして、謝罪したメディアはない」(『救援』2009年7月10日号)。
 冤罪に関与したすべての警察官・検事・裁判官・マスコミ人などは、菅家さんに真摯な謝罪をするべきだ。損害を賠償するべきだ。彼らの実名も、明らかにされなければならない。冤罪に関与した者が「冤罪を繰り返してはならない」と本気で思うなら、冤罪と冤罪への加担を防ぐための、「具体的で内容のある新しい対策」を発表するべきだ。今もやっている「同じことの繰り返し」を、やめるべきだ。自らの良心に従って、内部告発を行うべきだ。
 A「Aさんの免状不実記載は、武装闘争路線の一環として行われた組織的・計画的犯罪だ」、「Aさんは、潜伏して何かを成し遂げようとしていた」、そんなことを神奈川県警が本気で信じていた(いる)とは、私には思えない。Aさんは、間違って逮捕された訳ではない。無実であることが分かっていて逮捕されたのだ。私は、そう思う。ここに、Aさんらに対して神奈川県警らがやった犯罪の特別な悪質性があるのではないか。私は、そう思う。
 BAさんらに対する犯罪に関わった警察官・検事・裁判官・マスコミ人、これらの人たちの中に良心を持った人間は、1人もいないのか。自らの良心に従って、内部告発を行う人間は、1人もいないのか。暴力団や内ゲバ殺人集団は、人を殺しても何とも思わない。それと同じことか。私には、良く分からない。私は、自分が左翼ではなかったとしても、Aさんらに対する犯罪には反対するだろう。決して黙認はしないだろう。そう信じたい。
(2009年7月25日)



コラム
衆院選の結果は?

 衆院選投票日まであと一週間のところで、この原稿を書いている。マスコミ各社は、民主党の圧倒的優勢を伝えている。その報道が、民主党への後押しに作用するのか、逆にブレーキになるのかはわからない。それでも、民主党を中心にした政権が生れることはほぼ確実のようである。
 民主党は、「官僚依存からの脱却」を訴えている。もし本当にそれを実現しようとするなら、全省庁で官僚の首のすげ替えをしなければならないが、そこまでする気はないことは誰もが心得たうえでのことである。一方、官僚という人たちが望んでいるのは、ただ自分自身の立身出世だけ。あとは、自分の仕事を安定したものにしてくれる安定政権が出現することくらいであろう。官僚が関心を持つのは、民主党政権が生れるかどうかではなく、どれほど安定した政権なのか、でしかない。そうした意味では、「官僚依存からの脱却」は、「悪者」をでっち上げる政治的イメージ操作以上のものではないと言えよう。
 だが「政権交代は手段であって目的ではない」という言葉は、眉に唾をつけて聞かなければならない。他党と大きく水をあけて勝利した場合、長年の目的をはたした民主党は、大資本が支配する現実へと引き寄せられていく。たとえば、労働者派遣法の抜本改正をめざした「野党共同案」は、反古にされる危険がある。民主党は、労働組合の「連合」官僚との対立を残したまま、野党共闘と政権交代を優先して、この案に合意したと考えられるからである。そのため、民主党が勝利したその瞬間から、強力な大衆運動の圧力を加えつづけることが求められる。
 では、われわれは、民主党政権が生れた場合、ただちに「民主党政府打倒」をかかげるのだろうか? それは、あらかじめすべてを知り尽くしたような顔をして、「左翼性」を示すのに役立つくらいであろう。反資本主義左翼にとって、状況はまったく異なるが、次のようなマルクスの提起が参考になるはずである。「小ブルジョアが鉄道や工場を買い上げようと提案したら、労働者は、国家がそのまま無償で没収することを要求しなければならない。民主主義者が比例税を提案したら、労働者は、累進税を提案する。民主主義者自身が軽度の累進税を提案したら、労働者は大資本がつぶれるほど急角度で高くなる率の累進税を主張する……」。
 反資本主義左翼には、このように要求をつきつけ、労働者が経験を通して民主党政権との分岐点を政治的に実感できるようにしていくことが求められるであろう。それはまた、アメリカ型の二大政党制が出現するのを阻むための闘いにもつながっていくだろう。
 今回の衆院選の結果、民主党と他党との議席差がどうなるか、共産党と社民党はどこまで得票できるか、ファシズムへの傾斜を臭わす幸福実現党はどれほど得票するのか。日本の新しい政治情勢の構造を示すこれらの点に、いくら注意を払っても、払いすぎることはないはずである。(岩)


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