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「安保防衛懇報告」批判                 かけはし2009.8.24号

戦争国家構築のプログラム

「米軍再編」と
日米同盟戦略

 八月四日、麻生首相の私的諮問機関である「安全保障と防衛力に関する懇談会」(安保防衛懇、座長:勝俣恒久東京電力会長)は、米国の単独軍事覇権の衰退を見通した「多層協力的安全保障戦略」の名の下に、「集団的自衛権の行使」を違憲とした政府見解の見直し、「敵基地攻撃能力」整備のための「適切な装備体系、運用方法、費用対効果の検討」、「武器輸出三原則」のさらなる緩和と「専守防衛」原則への疑問の提示、派兵恒久法の早期制定を求める報告書を提出した。
 今年一月に発足して以来、十一回の会合を経て報告書をまとめあげた「安保防衛懇」は、安倍首相の下で二〇〇七年五月にスタートし、安倍政権倒壊後の二〇〇八年六月に最終報告書を提出した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇:座長・柳井俊二元駐米大使)を引き継ぐものである。
 「安保法制懇」報告書は、「公海における米艦の防護」「米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃」「国際的な平和活動における武器使用」「同じPKO等に参加している他国の活動に対する後方支援」の四類型において、いずれも自衛隊による「集団的自衛権」の行使を認めるために、従来の「政府解釈」を変更し、法的整備を行うよう求めるものであった(「集団的自衛権」についての歴史的な論議の概要と「安保法制懇」については『ピープルズ・プラン』40号・2007年11月に掲載された国富建治「『集団的自衛権論議』はどこへ行く」参照)。しかし同報告書は、安倍政権の崩壊によって事実上棚上げにされた。
 「安倍の盟友」を自任する麻生首相の下で発足した「安保防衛懇」は、構成上からも安倍政権時の「安保法制懇」と共通している。安保防衛懇の委員は青木節子(慶大教授)、植木千可子(早大教授)、勝俣恒久(東京電力会長)、北岡伸一(東大教授)、田中明彦(東大教授)、中西寛(京大教授)。専門委員は加藤良三(前駐米大使、プロ野球コミッショナー)、佐藤謙(元防衛事務次官)、竹河内捷次(元統合幕僚会議議長)。この九人のうち北岡、佐藤、田中、中西の四人は「安保法制懇」のメンバーでもあった。今回の報告書は、安倍の政権投げ出しによって頓挫した、「米軍再編」戦略に基づく「改憲・戦争国家」化のための法的整備を再度軌道にのせようという支配階級の焦りを体現している。
 われわれは改めて、「安保防衛懇」報告に現れた方向をきっぱりと拒否しなければならない。

政権交代をも
にらみながら

 この報告書は、今年末に予定されている次期防衛計画大綱に向けた骨子となるものであり、自民党防衛政策検討小委員会が打ち出し、自民党の選挙マニフェストでも前面に掲げられたものである。そのキャッチフレーズは「日本を守る、責任力」だ。
 自民党はこの「安保防衛懇」報告書を、「北朝鮮のミサイルの脅威」やインド洋での「対テロ」戦争支援、ソマリア沖「海賊」対策派兵に対する民主党の消極的姿勢や反対を批判する材料としている。つまり日米同盟による「日本の安全・安心」に対して民主党は「無責任」だと強調し、有権者の「不安」を煽ろうとする戦略である。報告書の言う「多層協力的安全保障戦略」とは、決して「日米同盟一元論」の再検討を意味するのではない。むしろアメリカの主導する新しい「国際秩序」形成に、日米の軍事一体化をベースに積極的に関与・協力しなければならない、というものだ。つまりアメリカのグローバル軍事戦略の枠組みの中でいっそう「責任」を果たすという宣言である。
 この点は、核戦略においても同様である。麻生は八月六日の広島・平和記念式の首相あいさつで「私は改めて日本が今後も非核三原則を堅持し、核兵器の廃絶と恒久平和の実現に向けて、国際社会の先頭に立っていくことをお誓い申し上げます」と述べた舌の根も乾かぬうちに、日本が米国の「核の傘」の下にあり続け、核大国の「核先制不使用」も求めないとする立場を明らかにしたのである。
 アメリカ・オバマ政権の対日政策・軍事政策担当者も民主党の安保・日米同盟政策に陰に陽に圧力をかけている。在日米軍のエドワード・ライス司令官は、七月二十八日の日本記者クラブでの会見で、「米軍再編」や「日米地位協定」についてもあらゆる見直しの動きを明確に拒絶した。
 鳩山由紀夫・民主党代表は八月四日の記者会見で、「安保防衛懇」報告書について「自民党政権で人選が行われ提案がなされたもの。政権を取った暁にはわれわれの視点で見直しをしなければならない」と、ただちに受け入れるものではないことを示した。しかし民主党政権が、不断に「報告書」の描く路線の受容を求める内外からの圧力にさらされることは確実であり、民主党内部の「国防族」はこの圧力に乗って、「改憲・戦争国家」化への舵を切ることになるだろう。
 あいまいさは許されない。「報告書」への批判の運動を「米軍再編」に反対する各地の闘いと結び付け、「安保廃棄」の方向を共有していく努力が今こそ求められている。
       (国富建治)




全労協・APWSLらが連帯アクション
双竜自動車労組弾圧許すな
韓国大使館前で抗議行動


 大規模な整理解雇攻撃に対決して韓国・平澤(ピョンテク)の双竜(サンヨン)自動車労組は五月二十二日からストライキに突入した。労組は工場を占拠して闘っている。これに対して会社側は水、食糧、医薬品の搬入を妨害し、さらに職員、暴力ガードマンを投入して襲撃を繰り返した。しかし対話を求めて占拠を継続する労組に対して、会社側は裁判所に明け渡し命令を出させ、八月四日、五日には大量の警察部隊を投入して大規模な鎮圧作戦を開始した。
 警察は重機やヘリコプターなどを動員し、催涙液やテイザーガン、ゴム弾銃などを使い、労働者に多くの負傷者が出ている。
 われわれは、こうした国家権力による暴虐な弾圧を許さない。ただちに襲撃をやめ、労組が求める交渉に応じるべきである。

オーストラリア
やロンドンでも

 八月六日、弾圧に反対し、双竜労組に連帯する国際行動が各国で行われた。日本でも全労協、全日建連帯労組、全国一般全国協、全統一、APWSL(アジア太平洋労働者連帯会議)日本委員会などが呼びかけて「韓国・双竜自動車労組のストライキへの弾圧を許さない国際連帯行動」が取り組まれ、五十人が結集して午後1時半から韓国大使館に向けた抗議行動をうちぬいた。
 韓国大使館は固く門を閉ざし、日本の警察も「五人ずつしか韓国大使館の前に行かせない」という不当きわまる態勢をとったが、仲間たちは次々と交代で韓国大使館の前に赴き、韓国政府への抗議と、双竜労組への熱い連帯を、抗議文の提出やシュプレヒコールで表現した。
 日本で働くオーストラリア人は、訴えた。「四十年前の独裁政権は、弾圧の実態を隠すことができたかもしれない。しかし今は違う。全世界の労働者はネットの映像で労働者たちの不屈の闘い、権力の暴力的弾圧を目の当たりにしている。今日ロンドンでは韓国の労働者への連帯デモが行われている。オーストラリアやニュージーランドでも連帯アクションが取り組まれている。私は、いまこの場にいることを誇りに思う。闘うぞ!」。      (K)


空港会社の共有地明け渡し攻撃を許さない!全面的に闘う
 加瀬 勉〈三里塚大地共有委員会(U)代表〉

 成田空港株式会社は、金堀台(横堀)、新山(横堀)、東台(木の根)の土地共有者に対して金銭による土地明け渡しの仮処分を千葉地裁に起こした。この空港株式会社の蛮行は、我々一坪土地共有者及び反対同盟に対する新たなる宣戦布告である。我々はいかなる卑劣な手段にも屈することなく、自らの土地の権利を守る為に全面的に闘うことをここに表明する。(8月9日)


空港会社の土地強奪を打ち破
ろう。裁判闘争に勝利しよう
三里塚芝山連合空港反対同盟大地共有委員会(U) 
2009年8月10日


 8月初旬、一坪共有者に対して千葉地方裁判所から突然「仮処分決定書」が送付されてきました。その内容は、「当事者間の仮処分命令申立事件について当裁判所は債権者の申立を相当と認め、債権者に別紙担保目録記載の担保を立てさせて、次ぎのとおり決定する」「主文 債務者らは、別件物件目録記載の土地の債務者らが有する各持分について、譲渡並びに質権、抵当権及び賃貸権の設定その他一切の処分をしてはならない。」というものです。
 債権者は成田国際空港株式会社(代表取締森中小三郎)及び3名の代理人弁護士で、債務者は一坪共有者となっています。
 これは空港会社が一坪共有地を金銭で譲り渡せという裁判(本訴)を起こす前段の手続です。事業認定を取り下げた空港会社(当時、空港公団)は強制収用では土地を奪うことができなくなり、裁判をおこして共有地を買い取るという手段に出ました。すでに反対同盟北原派の共有地に対して訴訟をおこし、一審千葉地裁では会社側の主張を全面的に認める判決が出されています。控訴審(07年7月11日)も一審判決を認め、最高裁第一小法廷で上告棄却判決(08年1月17日)が出されています。
 空港会社は今回、わが反対同盟(柳川秀夫代表世話人)に対しても同様の攻撃を仕掛けてきました。敵のなりふり構わない土地強奪―空港の拡張は、農民の生活破壊、追い出し策動や地権者の権利剥奪をもって進められています。
 これを許すか否かは、まさに国家権力や資本の横暴から、私達自身が生活や民主主義を守ることができるかが問われています。裁判闘争を断固闘い抜く決意です。
 全国の一坪共有者や三里塚に心を寄せる仲間たちと共に、空港会社の今回の土地強奪攻撃を打ち破っていこうではありませんか。

裁判カンパお願いします
 振替口座 00290-1-100426 大地共有委員会(U)
 三里塚芝山連合空港反対同盟大地共有委員会(U) 
 連絡先:〒289-1601 千葉県山武郡芝山町香山新田131-4/電話&FAX0479-78-0039 

■今回、空港会社が提訴した対象地と債務者
1、成田市木の根字東台215番(宅地・991・73u)
・債務者・柳川秀夫 持ち分780分の1(解放派団結小屋があった)
・白桝部落の木内順さんの持ち分を再共有したもの。
2、芝山町香山新田宇新山106番6(山林・241u)
・債務者・柳川秀夫 持ち分15分の3(現闘本部先)
・社会党代議士小川国彦、熱田一他が共有者、熱田さんの持ち分を移転。
3,芝山町香山新田新山106番4(原野・403u)
・債務者17名 持ち分1人あたり374分の1(横堀現闘本部)
・1988年当時、横堀にあった団結小屋(戦旗・インター・プロ青同・労闘―労活評・合宿所)現闘メンバーが熱田さんの持ち分を再共有。
4,芝山町香山新田宇小金堀台83番20(山林・363u)
・債務者47名 持ち分 1人当たり 1080分の1(38人)、1080分の2(2人)、1440分の2(1人)、1440分の1(2人)、4320分の1(4人)
・白桝部落の小川清之さんの持ち分を地元周辺、関東を中心に再共有

コラム

二度の交通事故

 六月末の雨降りの朝、幸いケガはなかったが、約三十分の間に二度も交通事故に遭遇した。一度目は、私の乗っていたバスが信号が変わり右折しようと発進した直後、直進して来た軽トラックと衝突した。スピードが出ていなかったので軽トラックのボディがつぶれただけで大きな事故にならないで済んだ。だが雨の中で十五分も次に来るバスを待たされ、ようやく乗れはしたがギュウギュウ詰めの「ラッシュアワー」的状態。次の事故は私を乗せた満員バスが四つ目のバス停で止まろうとした時に起きた。バスがドスンと車に追突される。あまり大きな衝撃はなかったが、小さな子どもは泣き始めるし、一瞬にして車内はパニック。ここでも警察の立ち会いが必要ということで再びバスを降ろされた。予想外の出来事続きで次のバスを待つ気はなくなり、傘を取り出して歩くことにした。
 二つの事故現場はいずれも東京の「山手通り」。渋谷から新宿、中野方面に向かうバスの多くはこの山手通りを経由する。渋谷から新時代社がある初台にバスで向かう場合は百%ここを通過することになる。だが渋谷と初台の区間は大工事の真っ最中。計画の全容は分からないが、交通渋滞の緩和と称して東京の地下を南北に貫く自動車専用道路が建設されており、山手通りの地下はこの道路の重要な一部らしい。その上渋谷・初台間は高架の中央高速と地下道路の接続部分にあたり、現在の山手通りの中央部分は将来使用できなくなるためそれに対応する拡幅工事も同時進行している。頭の上も足の下も、そして目の前も工事用の機械が三重に作動している。それは道路工事というより巨大なビル建設工事を思わせる。道路の真ん中に排気口と思われる大きな煙突がそびえる様は異様という以外にはない。この工事現場の中にバスや車が進行可能なレーンを指示する赤いコーンが置かれているが、その位置は毎日のように変わる。これが事故の原因だ。
 しかし本当にこのような大規模な道路工事が必要なのだろうか。「エコ還元」と呼称し、トヨタやパナソニックなどの救済に税金を投入し、また高速道路の料金を一律千円にする政策といい、誰が見ても「エコ」とは反対の自動車産業救済政策である。民主党に至っては「政権交代」の暁には高速料金の「無料」をマニフェストとして打ち上げている。一方では全国的に赤字を口実に公営の路線バスや電車が廃止され、高齢者など「弱者」の移動手段が奪われている。この現象は地方都市の話だけでなく首都圏でも押し進められている。どこか倒錯している。
 交通問題に限らず「この国の将来」をどうするのかが本当の意味で問われている。    (武)


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