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 沖縄・新嘉手納基地爆音訴訟              かけはし2009.8.3号

「静かな夜」を取り戻そう

最高裁で飛行差止かちとるぞ
全国の訴訟原告団が連帯の絆


これ以上我慢
などできない

 七月二十四日、「沖縄・新嘉手納基地爆音訴訟 最高裁へ飛行差止等求める東京集会」が東京・水道橋の全水道会館で開催された。新嘉手納基地爆音差止等請求原告団と沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが呼びかけたこの集会には会場一杯の二百五人が参加した。
 新嘉手納爆音訴訟とは、沖縄の米空軍嘉手納基地の周辺五市町村に住む五千五百四十人の原告が、二〇〇三年に日米両政府に対して夜間・早朝の飛行差し止めと騒音被害の国家賠償を求めて提訴した二度目の集団訴訟である。
 二〇〇五年二月の那覇地裁沖縄支部の判決は、「騒音を我慢できる限度」を「うるささ指数(W値)八十五以上」とし、旧訴訟の七十五から大幅に救済枠を狭める不当判決だった。二〇〇九年二月二十七日の福岡高裁那覇支部判決は、一審が賠償の対象外とした「うるささ指数(W値)八十〜七十五」の地域について「なお強い騒音にさらされている」として二十一人を除く五千五百十九人の原告に、総額五十六億二千七百万円の支払いを国に命じたものの、騒音と聴力障がいなどの健康被害の因果関係を認めず、飛行差し止め請求は退けられた。原告のうち約四百人は、さらに飛行差し止め等を求めて最高裁に上告することになった。この日の集会は、最高裁闘争を支援し全国の基地爆音訴訟の勝利を求めて準備されたものである。

基地がもたらす
健康被害の実態

 沖縄から参加した十人の原告を代表して原告団読谷支部の新垣和男さんが経過を報告した後、原告団が作成したDVD「静かな夜を返せ!」が上映された。午前三時にも耳をつんざく爆音とともに離発着する米軍戦闘機への怒りが、ひしひしと伝わってくる。昨年四月に行われた裁判官の現場検証と住民の切実な訴え、昨年九月に相模原で行われた「全国基地爆音訴訟原告団交流集会」の模様も収録されている。こうした地道な住民の闘いと全国的連携が、最高裁闘争を支えているのだ。
 原告団の又吉副団長は、「アフガン・イラク戦争以後、世界中の基地から軍用機が飛んできて嘉手納で訓練している。とりわけ最新鋭ステルス機F22の爆音がすさまじい。嘉手納基地周辺六市町村には四十万人が住む人口密集地帯で、そのうち三十万人が『うるささ指数七十五』以上の地域に住んでいる。外務省沖縄事務所に要請しても『沖縄の方々には迷惑をかけております。しかし安保条約でアメリカに基地を提供している以上、アメリカには何も言えない』と言うだけだ。嘉手納地域には騒音九十デシベルの地域があり、そこではノートを持っているとノートが騒音で揺れるほどだ。健康被害を認定されるために頑張る。憲法で保障されている人権を勝ち取る」と力強く訴えた。
 池宮城弁護団長のあいさつの後、三人の若い弁護士が一九九九年に沖縄県文化環境部が公表した「航空機騒音による健康への影響に関する調査報告書」(沖縄県調査)を紹介した。「聴力損失」、低出生体重児(出生時体重が2500グラム未満)などの健康被害と基地騒音に因果関係があることを説明し、「あくまで飛行差し止めを勝ち取る」と語った。

いっそう進む
沖縄の軍事化

 続いて、沖縄平和運動センター事務局長の山城博治さんが沖縄の基地をめぐる動きについて報告した。山城さんは在沖米軍基地の現状について@既存の基地機能強化A新基地建設B民間施設の軍事利用の拡大、に分けて説明した。「既存基地機能強化」とは、たとえばうるま市(旧勝連町)のホワイトビーチへの米原潜入港回数の大幅増加である。「新基地建設」は言うまでもなく辺野古、高江への攻撃である。そして「民間施設の軍事利用」とは石垣港への米海軍掃海母艦の入港、そして海自艦艇の西表島大原港への寄港である。西表島では上陸した自衛隊員が、抗議行動をしている人びとに「あんたたちは北朝鮮からどれだけの金を貰っているのか」と悪罵を投げかけた、と山城さんは怒りをこめて紹介した。
 全国爆音訴訟原告団連絡会議からは、岩国爆音訴訟の会、第五次小松基地爆音訴訟原告団、第四次厚木爆音訴訟原告団、横田基地飛行差し止め訴訟原告団、「横田基地等の公害対策」を進める準備会、普天間米軍基地から爆音をなくす訴訟団が、それぞれの裁判闘争について報告、連絡会議の当面の課題として新嘉手納爆音訴訟の最高裁闘争に全力を上げ、政権交代に向けて統一した要求項目を提出すると語った。
 最後にフォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)、東京全労協、辺野古への基地建設を許さない実行委が連帯のあいさつを行って、この日の集会をしめくくった。     (K)




関西ネットワークが学習会
東北アジアの核・ミサイル
危機から抜け出すために

 【大阪】七月十七日、「しないさせない戦争協力関西ネットワーク」の総会の前段学習会が開かれ、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の核・ミサイル問題について杉原浩司さん(核とミサイル防衛にNO!キャンペーン)が講演した。学習会は、四月二十九日に突然逝去した共同代表の川村賢市さんを追悼してもたれたものである。
講演会は北朝鮮の核・ミサイル問題をどう考えるかについて参考になる内容であった。

進行する自衛隊
の「攻撃軍」化

 北朝鮮の核・ミサイル実験を契機に東北アジアは軍備増強の動きが著しい。
 韓国は「国防改革基本計画」の抜本改訂を行った。先制攻撃を明示し、特殊貫通弾「バンカーバスター」、無人偵察機「グローバルホーク」、PAC3、SM3(イージス艦用ミサイル)、電磁波防護システム、F15戦闘機などを米国から購入することになった。PAC3に至っては、当初二基が十基に増えた。
 中国は軍事費が世界第二位となり、核戦力増強、多弾頭化を推進、早期警戒衛星を検討しているし、空母保有に動いている。ロシアは、対空迎撃ミサイル「S400」を極東に配備した。
 米国は、ミサイル防衛(MD)を効率的に推進し、巡航ミサイル原潜オハイオのほかに、巡航ミサイルを百発以上搭載するミシガンを日本に寄港させ、F22を嘉手納に配備した。オーストラリアは、第二次大戦以降最大の軍備増強計画を実施している。具体的には、潜水艦隊倍増、F35戦闘機の大量導入、トマホーク購入、MDイージス艦配備などである。
 日本は、「防衛計画の大綱」の年末改訂にむけ、「戦後平和原則の最終的廃棄と攻撃軍化」を目指している。

PAC3移動展開
が意味するもの

 政府は、北朝鮮ロケット発射に対応すべく、PAC3を移動展開した。周辺住民への情報提供はなく、首都圏の四基のPAC3は市ヶ谷防衛省のブランドにもってきて、うち一基は模擬弾を装填していた。レーダーの影響についてはノーコメント。浜松から秋田に運んだ経費は一億円であった。ロケットを発射したときの爆風のガス成分については、公開を要求しても応じず、だいぶ期間がすぎて、議員から間接的に知らされるという徹底的な秘密主義。一方で、システムが誤探知をして騒動を引き起こすというありさまだ。まさに、アリバイ配備の茶番だ。
 PAC3は再発動の検討が開始されている。PAC3配備は、人口密集地を守ることを目的にしている。首都圏のPAC3に加えて、関西(あいば野、三重)での移動展開の可能性がある。配備地は、公園は反対陣営による妨害が考えられるとのことから、自衛隊基地にするのではないか。

経済の軍事化と
経団連の役割

 世界的には軍縮の動きがあるにも関わらず、アジアではトマホークなど米軍兵器は増強されている。オバマは「核軍縮」の姿勢をとる一方、MDの選択的推進を方針としている。オバマの核軍縮の提起に対し、日本は逆に米による核の傘を強化してくれるよう米国に要請し、退役予定の核トマホークの攻撃原潜への搭載を求めている。北朝鮮の強硬政策を日本は軍備増強に利用している。韓国では政権交代で、対北朝鮮政策が太陽政策から「北風」政策に代わっている。日本では先の国会で、「宇宙基本計画」が簡単に決定された。今後、早期警戒衛星の研究や偵察衛星増強、民生のGXロケットの軍事利用が危惧される。
 自民党は、百年に一度の経済危機という一方で、「防衛大綱への提言」を行い、軍事費を増額し、武器輸出三原則を大幅に緩和し、兵器の国際共同開発(これは日本経団連も提言)、敵基地攻撃能力の保有、集団的自衛権の行使、MDの増強などを提言している。トマホーク+「弾道型長射程個体ロケット」を保有したいとしている。これは、弾道ミサイルのことだ。
 ところが、この傾向は、民主党にもある。浅尾慶一郎(次の内閣・防衛相)、長島昭久(副幹事長)、前原誠司(副代表)など好戦派三人組がそうだ。「前原メモ」によると、二〇一二年までを「外交交渉の時間」に設定し、北朝鮮が放棄しないなら、日本もトマホークを導入すべきだと提起し、戦後平和原則に手をかけようとしている。彼らの動きと、対米萎縮する鳩山の外交安保政策のぶれには関係がある。
 防衛大綱の改定に対抗する運動の側には、「核抑止」のみならず「通常兵器抑止」をも否定する論理とビジョンが不可欠だし、現実の軍備増強のプロセスを監視し、ここに介入することが必要だ。関西の当事者性ということにすこし言及すれば、PAC3の次の移動展開に対してどう対処するかという点。二点目は、相生市(兵庫県)につくられるGXロケットの燃料試験設備に対してどうするか。また、神戸市にある軍需産業である三菱重工の生産拠点に対してどうするか、などが課題としてある。
 以上の講演について、PAC3の性能や購入それ自体についての質問があった。これについて、「半田滋さんによると、日本はPAC3のカタログも見ずに買わされたと言われる。現在のPAC3はせいぜい五百キロメートルの射程距離のミサイルしか撃ち落とせない。ハワイ沖で自衛隊がミサイル発射に成功したというが、それは百二十キロメートルしか飛んでいないミサイルを落としたというもの。兵器の性能としても役に立たない代物だ。それに、仮に撃ち落とした場合、その爆発による破片の落下と被害などは全く考慮されていない。現在のイージス艦のミサイルは一発二十億円もかかる。それでも、日本の軍事産業に生産させる費用に比べれば現在は半分で購入できる。しかし今後国産の動きが出てくるだろう。それは、例えば三菱重工にライセンス生産で儲けさせることだ」との、答えだった。   (T・T)


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