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                            かけはし2009.8.3号

自公政権打倒の8月総選挙を

貧困と格差、生活破壊の新自由主義と改憲・戦争国家づくりに反対する候補者、共産党・社民党に投票を
日本革命的共産主義者同盟(JRCL)中央委員会


(1)

 昨年九月、福田前首相の突然の辞任表明後、「総選挙勝利の切り札」として出発した麻生太郎を首班とする自公政権は、内外の危機の中で地方選での相次ぐ与党大敗、二〇%を割る支持率のいっそうの低下に追い込まれ、ついに七月二十一日に衆院を解散した。総選挙は八月三十日に決まった。政令指定都市市長選、静岡県知事選における民主党推薦候補の相次ぐ勝利、東京都議選での民主党の圧勝と自公の過半数割れは、「政権交代」に期待をかける有権者の強い意思の表明だった。
 われわれは、この総選挙において自公政権を打倒することをすべての人びとに訴える。支配体制の危機に際して、われわれは「観客」にとどまることはできない。「一票の権利」を行使するだけでも不十分である。
 労働者・市民の雇用・生活・権利を破壊し、貧困と格差を蔓延させるのみならず、戦争・紛争、飢餓と難民化、排外主義と強権政治、気候変動と環境破壊という地球規模の破局をもたらす帝国主義支配の重要な一翼を担う日本での新たな変革のための歩みを、自公政権の打倒を通じて踏み出そうではないか。そのためにも労働者・市民が自らの切実な要求を掲げ、その実現のために連帯して行動することが必要なのである。

(2)

 もともと麻生は、昨年九月の自民党総裁選挙を派手に演出してメディアの露出度を高め、作られた人気で昨年秋にも早期の解散を行い、「衆参ねじれ国会」での不安定な政治運営を解消し、与党の主導権を再確立することをねらっていた。しかし麻生のそうしたプログラムを不可能にした第一の要因は、米国サブプライムローンの破綻を契機に一挙に爆発した米国発の金融恐慌であり、全世界に波及した戦後最大規模の資本主義経済の危機であった。
 この金融・経済危機は、「カジノ資本主義」と名付けられる金融投機に主導された新自由主義的なグローバル資本主義の破綻そのものである。米国をはじめとした各国政府は、金融機関に巨額の資金をつぎ込み支援に乗り出すだけでなく、米国資本主義のシンボルだったGMの例に見られるように、破産した大企業の「国有化」に踏み切らざるをえなかった。明らかに支配階級とその政府は、市場万能・規制緩和の新自由主義的手法を手直しし、国家の莫大な財政投入によって資本を救済するという「介入主義」的手法を駆使し、国際的な市場秩序を混乱と破局に追い込んだ金融投機の規制に乗り出すポーズを取らざるを得なくなっている。
 しかし、それは同時に失業、賃金切り下げ、福祉の切り捨てなど、労働者・市民への一層の攻撃の激化を伴っている。それは言うまでもなく日本でも例外ではない。
 金融・経済危機の日本への波及は、「年越し派遣村」が示したように今や日本の労働者全体の三分の一、女性では過半数を構成する非正規労働者の大量の解雇として最初に現れ、正規労働者にも次々に波及した。女性・高齢者・青年を直撃し、生存権そのものを奪ってきた「貧困・格差」社会の現実が労働者・市民全体へと拡大した。
 七月二十四日の閣議に提出された二〇〇九年度の「経済財政白書」も、正規労働者と非正規労働者との生涯所得の差が二・五倍となり「格差が拡大している」ことを認め、企業が「余剰人員」として抱えている「潜在的失業者」が六百七万人に達し、一九八〇年以後で最大となっていることを指摘した。そして今後、雇用情勢がいっそう悪化する可能性があり、格差も拡大する危険性があるとしている。さらに同白書は、税や社会保障による所得の再分配機能について日本は他の先進国よりも低い水準にある、と述べている。
 しかし「白書」は依然として「景気回復こそが最大の格差是正」という処方箋を書いている。だが、政府が二〇〇二年二月から〇八年七月まで続いたとしていた「戦後最長の景気拡大」局面において企業収益は六%拡大し、株価も一五・二%上昇していたにも関わらず、勤労者の実質所得は低下し、貧困と格差が急激に拡大したのである。それは企業利潤の拡大が「正規」を「非正規」に置き換え、世界規模で労働者を「底辺への競争」に駆り立てる搾取率の強化によって達成されたことを如実に示すものだ。合わせて先進資本主義国の中でも突出した企業優遇税制によって、大資本の利害は国家的に保護されている。
 麻生政権は二〇〇九年度予算に続く、十五兆円にも上る「緊急経済対策」=〇九年度補正予算のバラマキによって、「景気が底打ち」したと称している。しかし官僚の利権と企業のためのこうしたバラマキは失業率の低下や労働者・市民の所得向上につながるものではない。そのことは景気拡大が労働者の貧困化を伴った小泉政権時代の「実績」によっても明らかだ。その上に膨大な国家財政の赤字のツケは、福祉など社会的支出のさらなる切り捨て、消費税の大幅引き上げという労働者・市民へのいっそうの犠牲転化によってまかなわれようとしているのだ。
 今こそこうした資本の攻撃をはねかえして労働者・市民の「生きる権利」を確立し、公正・人権・民主主義を実現する社会を作りあげよう。それは労働者・市民が連帯した資本に対する闘いによってのみ可能である。八月総選挙は、労働者・市民の生活と権利を破壊した自公政権の責任を追及し、打倒する闘いの場である。

(3)

 自公政権の混乱と統治能力の崩壊状況をもたらした世界的要因の第二は、ネオコンに主導された米ブッシュ政権が強行したアフガン・イラク侵略戦争・占領支配の完全な失敗だった。莫大な戦費を浪費し、数十万人にも上るアフガン・イラクの民衆の命だけではなく五千人にも達する米兵の命をも奪った「対テロ」グローバル戦争の無残な敗北は、ポスト冷戦期の米国の単独覇権を大きく後退させた。米国の「カジノ」の崩壊は、ブッシュの戦争の帰結と大きく関連している。米国は政治的・軍事的・経済的に敗北だけではなく、モラル的・イデオロギーにも敗北したのである。
 米国の単独覇権の崩壊は、「ブッシュの戦争」に無条件に追随してインド洋やイラクへの派兵を行い、米国が主導する全世界の戦争に自衛隊を戦闘部隊として派兵することをめざした「日米同盟」の強化路線を突き進んできた自公政権にとっても深刻な打撃となっている。「戦争国家」体制の構築――憲法改悪の道は、こうしたアメリカの攻撃的軍事戦略に対応したものだった。
 しかし改憲強行突破路線に邁進した安倍元首相の試みが、二〇〇七年参院選での「与野党逆転」によって頓挫した後も、福田・麻生政権の下で海外派兵・「米軍再編」の「日米同盟」路線は強化され続けた。自衛隊はインド洋でアフガン戦争支援のための給油活動を継続し、ソマリア沿岸の「海賊対処」を口実に新法が制定され、陸海空自衛隊がソマリアの隣国ジプチを拠点に無期限の作戦を展開している。沖縄では辺野古・高江への新基地建設の攻撃が進行し、米軍再編の一環としての「グアム移転協定」も調印・批准された。
 北朝鮮の「ロケット発射」を口実にMD(ミサイル防衛)システムが実戦運用され、同じく北朝鮮の「核実験」に対しては自衛隊の「敵基地先制攻撃」論が主張されている。田母神前空幕長に代表される極右派は依拠すべき米国の覇権の衰退に危機意識をつのらせ、「独自核武装」を声高に叫んでいる。一方経団連などの資本家階級は、「武器輸出三原則」のいっそうの緩和や、「宇宙軍拡」へのコースに舵を取った。
 このような米軍事戦略と一体となった「国家・社会の軍事化」の進行は、「集団的自衛権」行使の容認、「海外派兵恒久化法案」などの制定を支配階級にとって緊急の課題にしており、それと一体のものとして憲法改悪プロセスの再開が準備されることになる。前国会で衆院憲法審査会始動が自公与党によって強行議決され、総務省が来年五月十八日から「『憲法改正国民投票法』が施行されます」というリーフを自治体を通じてバラまいていることはその現れである。
 米国のオバマ新政権が、イラクからの戦闘部隊の撤兵、イランなどへの「対話」姿勢の押し出し、「核兵器の廃絶をめざす」宣言などでブッシュ政権との相違を際立たせながら、アフガニスタンへの増派、世界的な米軍戦略再編などで同盟国の協力を促していることも自公政権の政策を規定する要因である。
 来る八月総選挙は、自公政権が進めてきた改憲――戦争国家化の道を押し戻し、あらゆる排外主義的ナショナリズムに反対して、東アジア民衆と共に平和を実現するための闘いの場でもある。

(4)

 八月総選挙は、自公政権の長期にわたる支配を終わらせる闘いである。自公政権の打倒は、労働者・市民にとっても主体的にかちとるべき目標であり、そこに背を向けることは許されない。麻生政権と自民党への支持率の急速な低下と民主党支持の上昇は、とりわけ小泉―竹中の新自由主義的「改革」路線の帰結である貧困と格差、失業、医療・福祉支出の削減、地方切り捨て、高齢者・女性・若者への「自己責任」論による犠牲の押し付け、社会の荒廃に対する積りつもった怒りと批判の表現である。
 われわれは、こうした労働者・市民の批判と抵抗、怒りの先頭に立ち、自公政権打倒をかちとらなければならない。
 言うまでもなくわれわれは民主党を支持しない。何よりも民主党は、新自由主義的な「規制緩和」「民営化」の路線を踏襲し、日米軍事同盟の重視をうたい、憲法九条の明文的改悪を自ら支持する、もう一つのブルジョワ政党である。鳩山由紀夫党首は自民党の極右勢力と共に「新憲法制定議員連盟」の顧問をつとめ、前原副代表は「集団的自衛権」行使や「敵基地攻撃」を積極的に提唱するタカ派である。民主党内には「日本会議」につながる右翼の議員も多数存在する。小沢一郎・前代表の「西松建設」献金問題や鳩山現代表の「故人献金」問題は、民主党の領袖たちが自民党議員と全く同様の体質を持っていることも明らかにしている。
 民主党が七月二十三日に公表した、衆院選マニフェストの土台となる「09年版政策集」は、「日米同盟」にかかわる項目で、六月の原案にあった「海自のインド洋給油活動からの撤収」を削除し、「日米地位協定の抜本的改定に着手」を「日米地位協定の改定を提起」に変更するなど、明らかにトーンダウンしている。ここには米国筋からの「もしマニフェストに掲載すれば反米とみなす」という脅しに屈したためだと報じられている。
 しかし、自公政権の打倒が、今日の政党間の力関係の中で民主党を軸にした政権交代によって行われるであろうこともまた確かである。ここでわれわれが留意しなければならないのは、民主党への政権交代による「自公政権打倒」という情勢の到来の中で、労働者・市民が独自の要求を掲げ、政権交代という新しい局面においてどのように闘うのか、ということである。
 民主党は、選挙戦の中で自公両党との違いをアピールせざるをえない。すでに民主党は中学生以下の子どもへの「子ども手当」支給、公立高校授業料の無料化、障がい者自立支援法の廃止などを訴えている。また前国会で野党共同提案した派遣労働法の抜本改正実現に民主党は全力を払う義務があることは言うまでもない。
 われわれはさらに米軍再編、日米地位協定の見直し、沖縄・辺野古の新基地建設の中止、「核密約」の情報公開、日本軍「軍隊慰安婦」への謝罪と補償、国鉄「1047名」問題の解決など民主党が一度は賛意を表明し、あるいは約束した政策の履行を求めなければならない。
 労働者・市民は政権への期待や傍観的姿勢にとどまることなく、「チェンジ」の気運を、自らの具体的要求の実現と、新しい抵抗の運動の拡大に活用していく必要がある。そしてこうした運動を媒介に、貧困と戦争、民主主義の破壊をもたらす資本主義のシステムの根本的な変革をめざす新しい左翼の運動と政治潮流をめざしていこう。
 われわれは、総選挙をめぐる今日の情勢の中で、日本共産党と社会民主党ならびに「貧困・格差・生活破壊」の新自由主義と改憲・戦争国家体制づくりに反対する候補への投票を呼びかける。日本の非民主主義的な選挙制度ならびにわれわれのような共産党・社民党の左に立とうとするグループの弱体さのためにわれわれは独自の主張をかかげて選挙戦に立候補することはできない。それはまた日本での労働運動、市民運動をはじめとした社会運動の発展段階にも大きく規定されている。
 こうした現実を突破する労働運動・市民運動の草の根からの再建を基礎に、資本主義に代わる「もう一つの社会」、新しい社会主義のための闘いに全世界の人びととともに挑戦しよう。
 なお総選挙と同時に最高裁判事の国民審査が行われる。最高裁は政府や支配階級の意思を忠実に体現し、反動的な判決を繰り返してきた。また裁判員制度導入の推進役でもあった。とりわけ今回の審査対象には違憲のイラク派兵を進めた責任者である竹内行夫元外務事務次官が入っている。われわれは竹内をはじめ全判事に×をつけるよう訴える。(2009年7月)


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