| 「派遣村」全国シンポジウム開催 かけはし2009.7.13号 |
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今こそ労働者派遣法抜本改正とセーフティネットの構築を! |
全国で二百を
超える派遣村
六月二十八日、すみだリバーサイドホールで「派遣村から見えてきたもの 今こそ、労働者派遣法の抜本改正とセーフティネットの構築を 『派遣村』全国シンポジウム」が同シンポ実行委員会主催で開かれ、札幌から鹿児島まで十二の団体の仲間たち五百人が参加した。
年越し派遣村から半年、全国で仕事を失った人々のために、労働・生活相談の派遣村が全国で行われている。その数は二百カ所を超えているという。全国の経験からこの社会を立て直すためにどのような課題が見えてきたのか明らかにすることをめざしてシンポジウムが開催された。
最初に、新宿公園などで労働相談と路上ライブを続けているみほこんが自身のオリジナル曲「派遣切りキリキリマイ」を披露した。次に、反貧困大阪ネットワークの小久保哲郎弁護士が主催者あいさつを行った。
大阪では三月二十一〜二十二日、大阪市役所前でテントを出して「反貧困・春の大相談会」を行った。「相談に来た年齢層は三十〜五十代、働き盛りの年代で二百十二人。仕事も住居もないということで、八十四人が生活保護の申請を行った。障害者手帳を持たない障がい者がたくさんいた。生保は最後のセーフティネットだが、そのほかのセーフティネットが欠けている」と小久保さんは指摘した。
東京派遣村・村長の湯浅誠さんが年越し派遣村の到達点と今後の課題について発言した(別掲)。
福島みずほ社民党党首、菅直人民主党代表代行、小池晃さん(共産党政策委員長)が参加し、「派遣切りされた当事者たちが政治を動かした」と派遣村運動の政治に与えた重要さを指摘し、派遣法抜本改正に向けて頑張ると連帯と決意表明した。自民党の牧原秀樹衆院議員、新党日本の田中康夫衆院議員、国民新党の亀井亜紀子参院議員が連帯のアピールを寄せた。
取りくむべき
課題の多さ実感
次に、北海道、仙台、東京、埼玉、浜松、名古屋、岐阜、滋賀、大阪、広島、福岡、鹿児島から取り組みの報告が行われた。
「年越し派遣村の波及で、生活保護が取りやすくなった。しかし、それで終わりではなく、住む所がない人のためにシェルターを用意すること、精神病やさまざまな病気を持った人、健康保険証がない人が多数いること、外国人労働者の問題など」あまりにも取り組む課題が多いことが明らかになった。そして、労働組合と弁護士や行政書士などが共同してやっていることが特徴的であった。
登録型日雇い派遣で働いていたが派遣切りにあい、東京の年越し派遣村にたどりついた労働者が語った。「労働環境は厳しく、いじめやねたみもあった。体を壊す人もいた。不信感を持ち、身動きがとれなかった。派遣村にたどり着き、助ける人がたくさんいて、温かさがあり、希望があった。がんばってみようと思えるようになり五社を受けた。今後は造園業をやってみたい。ビッグイッシューを売るボランティア活動を手伝った。人から大切に扱われないと人を大切に扱えない。自己責任ではなく、みんなで関心を持ち、よい方向へもっていこう」。
次に、関根秀一郎さん(東京派遣村・派遣ユニオン)、藤田孝典さん(埼玉・NPO法人ほっとポット)、森弘典さん(愛知・弁護士)の三者によるシンポジウムと女性と貧困ネット、DPI日本会議(障がい者団体)、医療労働者、三菱ふそう裁判原告の各団体から問題提起が行われた。
関根さんは「解雇された人たちを救済することも重要だが、解雇させない闘いが必要だ。そうした観点から労働者派遣法の抜本改正を求める運動をつくってきた。野党三党が登録型派遣の原則禁止(製造業の一部特種業務を除き)、派遣先の雇用責任を明らかにする見なし雇用など派遣法の改正案を国会に提出した。使い捨て雇用をなくすためにがんばろう」と、派遣法の抜本改正を訴えた。
居住権をかち
とるための闘い
愛知の森さんは次のように語った。
「六月までに愛知では三万五千人の非正規労働者が『人のカンバン方式』のように解雇された。相談者の四割が生活保護を申請した。平均年齢は四十歳台で働き盛り。被害者がボランティア活動をするような人もいて、排除ではなく、つながりができ始めている。次のようなことが必要だ。@行政との連携で、ワンストップ(総合窓口)をつくるA生保開始決定までの生活費の支給の立法的な対応Bアパート情報の提供C貸付制度の柔軟な運用D生保の申請を妨害させない。例えば自動車所有を認めさせるE生保以外のセーフティネットが欠けているF帰国者支援制度を利用させて、在日外国人を帰国させる行政のあり方を改めさせる」。
埼玉・藤田さんが報告した。「三月二十一〜二十二日、大宮駅で相談会をやり、二百二十七人の相談のうち六十七人が生保を申請した。六月十五日、市民集会に新しく当選したさいたま市長があいさつに来た。六月二十一日の夜回りでホームレスの二十六人が生保を申請した。何か足りないか。今日住む家がないハウジングプアの増大だ。生保の決定には二週間がかかる。その間の居住の問題。施設があればどんどん入ってくるので需要がある。そこに付け込んで貧困ビジネスがはびこり、虐待があったり、通帳を管理しピンハネを行う悪質業者がいる。公的責任で施設に頼らないシェルターが必要だ。政府は一時避難所のシェルターのために補正予算で三十七億円をつけた。これはいまだどう活用するか細かく決まっていない。これをいかに活用するかだ」。
女性の貧困化
が提起するもの
女性と貧困ネットは女性の貧困化の問題点を明らかにした。
「一九八五年、女性差別撤廃条約が締結されたその年に労働者派遣法が成立した。それまで、女性がさせられた仕事を派遣に変えさせ、男性も含めて全労働者に拡大し貧困を作り出した。家族単位で生活が見られ、女は補助的なものとされてきた。女性の従属的あり方が可視化されてこなかった。年収二百万円以下に四割の女性が入っている。かつて労働組合のスローガンに『かあちゃんを働かせなくてもよい給料を』というのがあった。女性は貧乏だったが、家族の責任や暴力によって声を出せなかった。女性を抑圧するために家族単位でとする発想を転換しよう」。
DPI日本会議の人は訴えた。「二百人の相談を受けたが健康保険証を持っていた人はたつた一人だった。国民健康保険金を払えず、保険を止められている人が三十四万世帯で、無保険者数は政府が調べていないので分かっていないが、百万人を超えると言われている。難病を抱えている当事者が声をあげて、この世の中を変えていこう」。
岐阜の笹田参山さんが「人間らしく生きられる社会をめざそう」と今後も連携を保ちながら活動を続けていくことを明らかにする閉会のあいさつを行った。このシンポジウムに出された資料はA4判で百十二頁もの厚さで、全国での活動の詳しい内容と、年越し派遣村が発信している政策的要求を掲載している。今後「派遣村」活動を行うにあたってきわめて重要なものだ。ぜひ実行委員会に連絡し活用してほしい。b連絡先 派遣村全国シンポジウム実行委員会 〒116―0014 東京都荒川区東日暮里1―36―10派遣村実行委員会気付 TEL03―3801―4867 FAX03―6458―3670
hakenmura@mail.goo.ne.jp (M)
湯浅誠さんの発言から
生きる目的がわからないこんな社会を変えよう
年末にかけて大量の派遣切りが行われる状況にあって、@その人たちを救済することA可視化させ、政治や社会へ問題提起をしようと、年越し派遣村を行った。本当は一月五日で終わり、役所につなぐつもりであった。しかし、あまりにもたくさんの人たちがやってきたこと、その後、生活保護、医療、住宅など様々な問題を引き続き解決しなければならなくなったので、活動を継続してきた。そして、三月末には派遣切りがさらに大規模に予想された。そのため春の派遣村の相談会を行った。より深刻になっている実態が明らかになった。
政府はわれわれの要求を受けて、補正予算で取り上げた。歓迎すべきことだが、今回の措置はいずれも単年度措置だ。要請されているのは、この間の「構造改革路線」から決別した労働市場内外を貫く生活重視の視点だ。そして、社会保障費抑制政策からの明確な転換が必要だ。
とりあえず一段落ついたので、六月末に東京の派遣村は閉じることにした。これからも相談の窓口は設ける。
課題を振り返って見ると、何を明らかにしたのか。
労働市場の劣化、貧困のスパイラル、セーフティネットの機能不全であった。状況は刻々悪くなっている。賃金が下がり、年収二百万円未満が一千万人いる。低すぎる年金、無年金問題、雇用保険の未加入、生保からももれる。収入が減っていく、結婚が出来ない、子どもも産めない。一方で税金や医療費などは上がっていく。みんなが苦しくなっていく。
今後、雇用・労働条件の改善、収入を増やす、税制を見直し富者への累進制を高める、年金・雇用保険の充実を。生保を受けなくても暮らしていけるように底上げが必要だ。派遣法の抜本改正、最賃制、教育費、住宅費、医療など多用で様々な施策が使用だ。社会全体のあり方を問うている。
派遣村は貧困に向けたすべり台社会に階段をつくる役割を行った。今回の運動の重要なところは労働系と生活系が交わったことだ。しかし、活動の場を恒常的に保障するまでには至っていない。今後、二つの協働領域が必要になる。情報交換とネットワークづくりだ。社会はどんどん悪くなっていて、何も終わっていない。捨てられて、何のために生きているか分からない、そんな社会を変えていこう。(発言要旨、文責編集部)
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