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スピークアウト for  アクション          かけはし2009.6.15号

イスラエルを変えるために

シオニストの戦争犯罪を裁き
封鎖と占領を終わらせよう!


対イスラエル
ボイコット運動

 五月三十一日、「スピークアウト for  アクション イスラエルを変えるために」が東京・千代田区の在日韓国YMCAで開催された。主催は昨年末からのイスラエルによるガザ侵攻に抗議し、一月十一日に「イスラエルは占領とガザ侵攻をやめろ!」集会・デモを企画・実行した有志による実行委員会で、集会には百二十人が集まった。
 最初に主催者から田浪亜央江さん(ミーダーン:パレスチナ・対話のための広場)が、「イスラエルの不法きわまる占領とガザ侵攻・住民虐殺に対してパレスチナ民衆との連帯はもちろんのこと、イスラエルを変えることが必要であり、そのためにも日本政府の政策を変え、日本社会を変えるための努力が必要だ。そのための方策をともに討論し、実行していきたい」との問題意識を提示した。
 第一部のシンポジウム「ガザ侵攻が明らかにしたもの」のパネラーは役重善洋さん(パレスチナの平和を考える会)、山崎久隆さん(たんぽぽ舎、劣化ウラン研究会)、東澤靖さん(弁護士、明治学院大学教授)、板垣雄三さん(東京経済大学名誉教授)の四人。
 役重さんは「対イスラエル・ボイコット運動」をテーマに報告した。イスラエルのガザ侵攻の目的を、二〇〇六年のパレスチナ議会選挙でのハマス圧勝の結果を無効化するためのガザ封鎖・民衆への集団懲罰との連続性で捉える役重さんは、「なぜ国際社会のイスラエルへの抑止機能が働かなかったのか」と問いかけた。
 「オスロ・プロセスに代わる中東和平の構想を国際社会は構想できていない。オスロ和平の破綻をどう克服するのかについてメディアも取り上げようとしていない」。一方で、米オバマ政権の誕生、イスラエルでのネタニヤフ政権の成立、ガザ復興国際会議などの政治プロセスを背景に、対イスラエル・ボイコット運動の広がり、国連による対イスラエル補償要求、ハマスへの国際的認知の兆しなど国際世論も変化している。対南ア・アパルトヘイト政権への国際的ボイコットの成功をもたらした状況とは違いがあるものの、ガザ封鎖・ハマスボイコットの解除、「中東和平」の仕切り直しを促進する展望の中でBDS(ボイコット、投資撤退、制裁)戦略を構想しよう、と役重さんは語った。

国際刑事裁判所
が果たす役割

 山崎さんはイスラエルが使った残虐兵器への批判を焦点に提起した。イスラエルの公式見解は「国際法上違法とされる兵器は使用していない」と木で鼻をくくったような対応に終始している。湾岸戦争、コソボ戦争、イラク戦争などで使用された劣化ウラン弾については国際的な批判が高まり、対人地雷やクラスター爆弾など非人道的兵器禁止条約の制定など国際的な運動がもたらした成果も見られる。
 「しかしイスラエルはリン弾、DIME弾(高密度不活性金属弾)、フレシェット弾(矢弾)などの残虐兵器を次々に使用している。これは歴史の劣化だ」。こう述べた山崎さんは北朝鮮の核実験に触れながら「一九九六年の国際司法裁判所の、核兵器使用の違法性についての『勧告的意見』が、国家存亡の危機という極限的状況下における核兵器の使用が違法であるとは言い切れない、とした問題に立ち返ると、北朝鮮はまさに『国家存亡の危機』を利用して核兵器の開発に踏み込んだと捉えることもできる。イスラエルも『国家存亡』を核恫喝の口実にしている。私たちは間違ったスイッチを歴史をさかのぼって一つ一つ切り替え、核廃絶を目指す必要があるのではないか」と提起した。
 東澤さんは「パレスチナ攻撃と国際刑事裁判所(ICC)」をテーマに報告した。ICCは「不処罰の文化」を終わらせるために設立された、国際政治から独立した常設の刑事裁判所であり、ジェノサイド、人道に対する犯罪、戦争犯罪を国際犯罪として締約国に協力義務を課している。それは国家を基礎とする条約機関としての国際裁判所であり、裁く対象は個人である。二〇〇三年から活動を開始し日本は二〇〇七年に加盟したが米国、ロシア、中国、イスラエルは未加盟だ。
 ICCが捜査・訴追を進める条件は国連安保理による付託、締約国の付託、検察官の職権捜査が引き金となる。安保理の付託による場合は管轄権行使に条件は付されないが、締約国による付託の際は、その締約国が犯罪発生国、犯人国籍国であることが条件となる。また非締約国であっても管轄権受諾宣言を行った場合は、管轄権行使の条件が発生する。
 イスラエルとパレスチナはいずれも非締約国であるが、パレスチナ自治政府は一月二十九日に「管轄権受諾宣言」を行った。すでに二〇〇八年十二月から二〇〇九年二月までに三百二十六件の通報が寄せられ、検察官による職権捜査開始の可能性もある。
 こうした中で、イスラエルの戦争犯罪をどう裁くかということが運動の面から言っても大きな課題になっていくだろう。

一九八三年の
国際民衆法廷

 板垣さんは、一九八三年の「イスラエルのレバノン侵略に関する国際民衆法廷・東京」の事務局として故小田実さん、故芝生瑞和さんと共に同法廷を成功させた経過を語りながら、状況の大きな変化について指摘した。
 一九七三年の第四次中東戦争と第一次オイルショックにあたって当時の田中内閣の二階堂官房長官は「イスラエルが一九六七年の占領地から撤退しないかぎりイスラエルとの外交関係を考え直さざるをえない」との談話を発表し、アラブ諸国との関係改善に躍起となった。毎日新聞は中東・パレスチナ問題についての板垣さんとのインタビューを大きなスペースをとって連載した。一九七五年には国連総会で「シオニズムはレイシズムである」とする決議(日本は棄権)が採択された。
 一九八二年のレバノン侵攻にあたってもNHKは特別報道番組を放映し、一九八三年には前述の「イスラエルのレバノン侵略に関する国際民衆法廷・東京」が、海外から十人の法律家や活動家、日本国内からも大学教員、弁護士、作家など十七人を陪審員として開催され、イスラエル政府を「有罪」と判断した。同民衆法廷の代表呼びかけ人には木村俊夫元外相なども入っていたのである。
 しかし一九八六年で開催された東京サミットでは「国際テロとの戦い」が宣言され、「二階堂談話」は消えてしまい、一九九一年の国連総会では「シオニズム=レイシズム」決議の無効化が決議された(日本は提案国)。
 板垣さんはこうした経過を振り返りながら、今回のイスラエルのレバノン侵攻にあたっての「暴力の応酬」とか「パレスチナの分裂が問題」といった報道や、中東問題にたずさわっている学者のコメントを厳しく批判した。最後に板垣さんは、この問題はアイヌなどの先住民族の地を侵略し、従属「同化」させた日本国家の問題でもあると訴えた。

日本を変える
ためのたたかい

 第二部では「イスラエル製品/関連企業をボイコットする」「イスラエルの武器生産・取引・使用の実態を明らかにする」「指導者たちの戦争犯罪を裁かせる」「『歴史事実』の確認から始めよう」の四つの分科会にわかれて活発な討論が交わされた。
 最後に、全体会で各分科会の討論を共有し、質疑討論を行った。イスラエル・ボイコット、ICCでのイスラエルの戦争犯罪訴追、武器取引問題など、課題は多様だが日本でもこうした課題を広く討論の課題にのせ、運動として実践していく必要がある。それは「イスラエルを変える」とともに「日本を変える」という闘いなのだ。   (K)


教育合同労組などが学習行動集会
「子どもたちに渡すな!あぶない教科書」申し入れ行動へ

 【大阪】五月二十六日、エルおおさかで、扶桑社・自由社の教科書を採択させない行動のための学習集会が、大阪教育合同労組、おおさかユニオンネットワーク、ヨンデネット大阪(日朝日韓連帯)の共催で開かれた。
 立本さん(ヨンデネット大阪事務局長)の司会で開かれ、大野さん(おおさかユニオンネットワーク副代表)があいさつした。大野さんは、「四年前と比べると、教育基本法が改悪されるなどの状況の変化がある。教科書採択に対しては、大阪だけが労働組合と市民がいっしょになって取り組んできた。われわれの申し入れに対する自治体の対応は、言われていることは分かっています、どうなるか分かりません、など色々だが、このような教科書を採択するのは犯罪的だ」と述べた。
 最初に伊賀さん(子どもたちに渡すな あぶない教科書・大阪の会)が扶桑社・自由社版教科書をめぐる全体状況を報告した。
「つくる会」の内部
対立激化と分裂

 新しい教科書をつくる会は、二〇〇〇年の検定で初めて登場。そして〇一年扶桑社版教科書の採択率は〇・〇三九%、〇五年の場合は〇・四三%だった。手直しと内容変更をめぐって内部対立が激化し、その後つくる会は分裂した。つくる会残留組の藤岡信勝らは扶桑社と絶縁し、新たに自由社版の「新しい歴史教科書」を出した。分かれた方の八木秀次らのバックには日本会議がいて、彼らは次の機会に向け育鵬社からの教科書出版を準備しているが、今回の検定では扶桑社版の側。
 つくる会は、扶桑社版教科書の著作権が藤岡にあるとして、この教科書の出版差し止め訴訟を起こしている。一方扶桑社は、著作権は共同のものだと主張している。この訴訟がどうなるかはわからないが、どちらも発行不可能になる可能性もある。自由社の教科書と扶桑社の教科書はほとんど内容が同じだ。教科書は安定的に供給されなければいけないという観点からも、これらの教科書の採択は問題がある。
 前回、愛媛県の中高一貫校と養護学校で扶桑社教科書が採択された。ところが、その後つくる会愛媛県支部は解散した。杉並でも教育委員三対二で扶桑社教科書が採択さたが、この三人のうち一人は扶桑社系、もう一人が自由社系と言われている。今回自由社版教科書は一度は五百十六カ所の修正意見がついて検定不合格になったが、再審査用に提出した版が百三十六カ所の修正で検定合格。自由社は軍関係をかなり変更したと言われている。それと、昭和天皇のお言葉や扉の写真に著名な女性をのせている。

大阪での教科書
選定審の動向

 大阪府の教科書選定審議会は新型ウイルスの感染で会議が開けず、六月一日の説明会は延期されている。採択の時期は遅れるのでないか。府は今回の採択では、採択資料も〇五年のものをそのまま使い、自由社版だけ調査検討して資料に付け加えるとしているが、横浜市では、採択基準の中に【新教育基本法に則り】を入れている。大阪府ではどの市町村でも扶桑社版教科書の採択は行われていないが、ただ、採択順位が二番手だったところや、優れた教科書の部類の二番手だったところ、三番手にするかどうかで激論があったところがある。それに加えて、府立校では今回は橋下知事に近い委員が任命されている。
 続いて、アジアの平和と歴史教育連帯(韓国内64団体で構成)からの連帯のメッセージが紹介された。そして、第二部として、大阪教育合同労組・教科書検討プロジェクトチームから、自由社版教科書の具体的な特徴が報告された。

貫かれる「輝か
しい伝統」賛美

 山口さんは古代から近代について報告した。
 教科書の始めに「歴史を学ぶとは」として、過去の人がどんな風に生きたかを学ぶこと、先祖のたゆまぬ努力の上に世界で最も安全で豊かな日本がある、先祖が直面した問題を知り、それを自分のものとして想像してみることなど、つくる会の意図が打ち出されている。また、コラムでは、例えば「出雲大社 巨大空中神殿の謎」のようにあたかも日本が古来から高度の技術力を持っていたかのような記述をし、輝かしい日本の文化遺産、神武天皇と東征伝承での神話などにふれている。また朝鮮半島の「任那」の記述、天皇中心・畿内中心で語り、神話と建国記念日について触れている。
 中世は全体の中のわずかに十ページほどの記述である。近世では、朝鮮出兵(侵略ではなく)を語り、本居宣長と国学、尊皇攘夷について語る。古代国家の成立について神話から始めて、一貫して天皇を崇敬する記述になっており、日本人としての誇りを持たせようとしている。自国中心史観であり、中国朝鮮との関係では違いを強調し、欧米列強に対してはナショナリズムを強調する。公とは、己をむなしくして国に仕えることとし、本来の武士道とは異なる明治武士道をひきあいにだしている。

きちんとした
批判が重要だ

 竹林さんは近代以降について報告した。
 自由社版は、扶桑社版の内容をほとんど踏襲している。その特徴は、基本的に歴史修正主義と保守的国家主義思想、天皇崇拝のごった煮だ。
 「明治維新は、公のために働くことを自己の使命と考えていた武士たちによって実現した」、「こうした明治維新の教育立国の方針は、日本の近代化の土台となった」と記述している。また、植民地支配については、「台湾の住民を罰するのは日本の義務として、明治七年に台湾に兵を送った」、「日本政府は、日本の安全と満州の権益を守るには、韓国併合が必要であると考えた」、「その時(南京事件)日本軍によって、中国軍民に多数の死傷者が出た。なお、この事件の犠牲者数などの実態については資料の上で問題点が出され、今日でも研究が続いている」、「(大東亜戦争について)日本軍は乏しい武器・弾薬で苦しい戦いを強いられたが、日本の将兵はよく戦った」、「多くの国民はよく働き、よく戦った。それは戦争の勝利を願っての行動であった」、と言った調子である。
 現代史では、昭和天皇の崩御、皇居を埋め尽くした弔問者の列の写真、阪神淡路大震災被災者を見舞う天皇・皇后の写真と記述、拉致問題の記述などだ。
 報告の最後に、このような内容を荒唐無稽と軽視するのではなく、きちんと批判することが重要であるとの指摘があった。
 報告に続いて、採択に向けての行動提起が丹羽さん(ユニオンネットワーク)からあった。大阪府下四十三市町村と大阪府に対して、ユニオンネットワークに参加している労働組合と市民運動団体がそれぞれ分担して六月中に、扶桑社・自由社教科書を採択しないように申し入れ行動を行うことを確認した。(T・T)


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