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民主党                        かけはし2009.5.25号

「攻守再逆転」なるか?

小沢一郎の辞任と鳩山「挙党体制」
「無風国会」を突破し麻生政権打倒へ大衆運動の再組織化を


「西松献金」に
蓋をした代表選

 小沢一郎代表が西松建設の政治献金問題で辞任に追い込まれた民主党は、五月十六日に衆参両院議員による党首選を行い、ほぼ事前の予想通り鳩山由紀夫幹事長が岡田克也副代表を破って党首に選出された。鳩山新代表は、翌十七日に小沢前代表を選挙担当の代表代行に、代表選で敗れた岡田前副代表を幹事長に据えるという「挙党体制」の新人事を発表した。
 小沢の公設第一秘書の逮捕は、支持率一〇%前後という決定的な窮地に追い込まれていた麻生・自公政権が息を吹き返す契機となった。依然として不支持率が過半数を超えているものの麻生政権の支持率は三〇%台を回復し、早期解散・総選挙に追い込んで政権交代を実現するとしていた民主党の国会での意気込みは急速に萎えてしまった。国会は異常な無風状態が支配し、十四兆円もの規模を持つ「緊急経済対策」としての〇九年度補正予算、さらにはグアム移転協定や「海賊」対策新法などの「米軍再編」・沖縄の新基地建設・海外派兵関連の法案の審議も与党ペースで進んでいくことになった。
 五月十一日の小沢の辞任表明は、四面楚歌となった小沢が民主党への自らの支配的影響力を維持したまま、総選挙での「政権交代」の可能性をさぐるための追い込まれた最後の決断であった。このシナリオはすでに小沢秘書の起訴前の三月二十日に、小沢・鳩山・菅の三者の会合で、菅から持ち出されたものであった。菅はその時点で「選対本部長をやったらどうですか。党内で立場を確保する形で辞めたらいいと思います」と迫ったと報じられている(4月2日、毎日)。
 実際、鳩山も岡田も、代表選においては西松建設献金問題における自民党田中派以来の小沢の政治家としてのあり方に蓋をしたまま、小沢の「功績」をたたえ、民主党内における小沢の支配的影響力に依拠することによってしか総選挙に臨むことができない、という判断を示すことになった。五月十七日の鳩山体制の新人事は、まさにそれ以外にありようのない民主党の姿を示したのである。

抵抗闘争の基盤
を拡大しよう

 五月十六、十七両日に行われた毎日新聞の緊急世論調査によれば、この「小沢辞任効果」が一定の功を奏していることをも示している。五月十二、十三日の前回調査に比して総選挙で勝ってほしい政党は、との問いに民主党と答えた人は前回の四五%から五五%に上昇し、自民党は三四%から二九%に後退した。首相にふさわしいのは、との問いに鳩山民主党代表と答えた人が三四%に上ったのに対し、麻生との回答は二一%にとどまり、その差は一三ポイントにも達している。朝日新聞でも比例区の投票先は民主党が三八%(前回比6%増)、自民党二五%(前回比2%減)、麻生と鳩山のどちらがの問いでは麻生二九%、鳩山四〇%と、鳩山民主党に有利な結果が出ている(「朝日」5月18日)。
 もちろんこうした世論調査の反応は、メディアの報道が民主党代表選にスポットライトを浴びせたことによる「ご祝儀相場」(自民党・細田幹事長の言)という側面もある。しかしこの民主党代表選の結果が、総選挙へのシナリオに一定の影響をもたらすことも確かだろう。
 われわれは、国会審議の「空白の二カ月」を生み出した小沢・民主党の責任を改めて批判すると共に、この事態の中から浮き彫りになった「すべてを先送り」することで、結局のところ新自由主義や派兵国家と改憲という自民党の設定したレールに追随するしかなかった民主党のブルジョア政党としての現実を多くの人びとが認識していくための努力を強めていく必要がある。それと共に、二階俊博経産相への「西松献金」問題を結局のところ不問に付して小沢にターゲットを絞った恣意的な検察捜査とその政治的役割を追及していかなければならないのは当然である。
 しかし、今まさに問われていることは、派遣法抜本改正を突破口にした戦後最悪の世界的大不況の中での貧困・失業・生活破壊に抗する闘いや、「米軍再編」と海外派兵の常態化、さらには憲法審査会の始動阻止などの改憲阻止の闘いを再組織していくことであり、こうした運動の積み重ねの中から資本主義の危機と正面から立ち向かうオルタナティブな左翼政治潮流の形成を手元に引き寄せていく意識的な努力である。
 この困難な闘いを再度、一から掘り起こし、拡大する抵抗の機運と結びつきながら、総選挙での自公政権打倒を実現しなければならない。自公政権の打倒を労働者・市民にとっての新しい自立的な政治的空間の拡大に転化していくためにこそ、底辺からの運動の組織化と連携が必要であり、自民・民主の二大ブルジョア政党ブロックへの収れんにクサビを打ち込む新しい左翼政治潮流をめざす多角的な討論を作り出していく必要がある。
    (5月18日 純)


グアムに移転協定承認糾弾
辺野古・高江の新基地建設許すな

 五月十三日、米海兵隊のグアム移転協定の承認案が参議院本会議で野党の反対多数で否決された後、両院協議会が開催され、衆院優先規定で承認されることになった。沖縄県議会の三月二十五日の反対決議にもかかわらず、「米軍再編」の枠組みに沖縄を縛りつけ、二〇〇六年五月の「ロードマップ」に基づいて辺野古への新基地建設を強行しようという日米両政府の目論見をわれわれは強く糾弾する。
 八千人の米海兵隊員をグアムに移転することによって「沖縄の基地負担軽減」という日本政府の口実はまったくのまやかしである。八千人の移転とは、一万八千人の在沖米海兵隊員の定数を一万人に縮小するということだけであって、実際は定員割れで一万二千人程度しかいない在沖米海兵隊員数は、二千人程度しか縮小しない。海兵隊のグアム移転はグアム島の米軍基地を世界的な戦略的出撃拠点として拡大・強化するためであって、もっぱら米軍の都合のためになされるものだ。そのために日本政府は二十八億ドルに上る財政支出を行い、それ以外にも三千億円以上が国際協力銀行からの融資という形で支出される。こうした費用の積算根拠はまったく不明である。
 辺野古の新基地建設は、グアム島を中枢とする米軍のグローバル戦争戦略の一部であって、そのために老朽化し「危険」な普天間飛行場に代わる強大な機能を有する基地体系を沖縄に新たに確保するためである。そもそも「米軍再編」は自衛隊の基地を米軍が自由に使用して自衛隊との合同訓練を行い、さらに自衛隊を米軍の世界的な規模での戦争に実戦部隊として動員するためのものである。
 現に戦闘機の訓練の一部が本土の空自基地に分散移転されたにもかかわらず騒音がむしろ増加している嘉手納基地を抱える嘉手納町の宮城篤実町長は、「なぜ負担軽減につながらないのでしょうか」との朝日新聞記者の質問に答えて「5、6機のF15が本土に移っても、日本本土、韓国、米本国から15機、20機と入ってきて訓練する。米軍が自衛隊の基地を使って合同演習する仕掛けに、政府が乗っただけじゃないでしょうか」と不信をぶちまけている(「朝日」5月14日)。
 辺野古への基地建設に反対する実行委員会は、国会への傍聴とともに衆参両院前で四月十四日、五月十二、十三日と連続した国会前抗議行動に取り組んだ。辺野古、高江の現地での闘いと連帯し、新基地建設阻止・基地撤去へ!    (K)


「教育を子どもたちのために」集会
「愛国心」と格差の教育NO!自由のために声を上げよう

新自由主義的改革
がもたらしたもの

 四月二十五日、東京・九段会館で「愛国心のおしつけ・『日の丸・君が代』強制・教育の格差NO! 今こそ声を上げよう!教育を子どもたちのために集会」が開催された。呼びかけは「日の丸・君が代」処分や、「つくる会」教科書に反対する教職員や市民などによる実行委員会で、千二百人の参加者が会場の三階席まで埋めた。
 荒馬座の力強い和太鼓演奏の後、「教育基本法の改悪が教育改革の結節点だった。全国学力テストを含めて新自由主義が教育の場では何の疑いもなく進められている。今進行中の教育改革の醜さを自覚する必要がある」と、集会の問題意識が語られた。
 現場からの報告パート1では、「子どもの貧困と学校の格差」をテーマにしんぐるまざーずフォーラムの赤石千衣子さんや子どもと教科書全国ネット21の俵義文さんなどが発言。赤石さんは百二十万に上る母子世帯の平均年収が手当や年金をふくめて二百十万円にすぎず、その半数以上が非正規労働者で生活のために二重就労を余儀なくされ、平日の育児時間が四十六分にすぎない現状を報告。こうしたシングルマザー家庭の児童・生徒への学校での差別と偏見についても発言した。俵さんは新学習指導要領のねらいが「危急存亡の時に生命を投げ出しても国家を守る国民」を作ることにあり、さらに一冊の教科書の中に「できる子」向けと「できない子」向けの内容が併載されるなど子どもたちをいっそう競争に駆り立てるものになっていると批判した。

「子どもの権利
条約」の重要性

 続いて小森陽一さん(東大教員・近代日本文学)がコーディネーターをつとめて教育の置かれた現状を打開するパネルディスカッション。パネリストは木附千晶さん(『子どもの権利モニター』編集長)、藤田英典さん(国際基督教大教員・比較教育社会学)、本田由紀さん(東大大学院教員・教育社会学)の三人。
 藤田さんは四半世紀にわたる国家の「教育改革」政策を振り返り、それが「習熟度別学習」が正しいという前提に立ち、学校教育で子どもたちが獲得すべき知識水準を低め、「生きる力」「問題解決能力」を奪っている、と指摘した。藤田さんは「学校でしか勉強できない子どもたちの存在が無視されている」と批判した。本田さんは今日の教育を取りまく環境が「戦後日本社会とその果てに私たちが到達したもの」と特徴づけ、一九九〇年代以後の日本社会のかたちの変化によって「凝集性のあるみんなが一緒によくなる」とイメージが徹底的に分断された現実を報告した。
 木附さんは「あきらめる子どもたち」が増大しており、「しょうがない」と問題を流し、自分で「キャラ」を作ってその役割を自ら演じ、「うまくやっていくようにふるまう」傾向が見られると提起。人間関係が奪われる中で「自分はここにいてもいい」という「自己肯定感」をどう獲得するかが重要と訴えた。
 今すぐ必要なことは何かという問いに藤田さんは「全国学力テストをただちにやめよ」と答えた。本田さんは「家族・仕事・教育」という循環構造の固定化の中で、教育には格差を抑える役割があり、社会に出ていくための足場として「適応力」だけではなく違法・無法なものに抵抗する力を身につけさせることが必要だと語った。木附さんは「小さな大人にさせることが子どもをつぶす」と述べ「子どもにとって安心できる場所を確保することが重要」と指摘し、「子どもの権利条約」の意味を改めて強調した。

 現場からの報告パート2では、東京教組、都立上野高校の教員、八王子特別支援学校の河原井純子さん、「日の丸・君が代」強制反対予防訴訟の会などからの発言があった。
 都立上野高校からの報告では新任の校長が、入学式に生徒を起立させよという職務命令を出し、さらに校長の学校経営方針の数値目標に合わせて教員に自己申告書を提出させ、その評価によって昇任が決まることになっていること、「経営方針」にはこれまでの生徒への「自由服」を制服に変更し、さらに年五十回の授業参観を行うということまで含まれている、と報告した。
 河原井純子さんは、七生養護「こころとからだの学習」裁判で極右三都議、産経新聞、都教委が一体となった介入の不当性を明らかにした判決の意義を評価しつつ、都教委が三月末に根津公子さんに三度目、河原井さんに二度目の停職六カ月、渡辺厚子さんに停職三カ月の「日の君」不起立処分を出したことを厳しく糾弾。「子どもの人権よりも『旗・歌』を重視する二〇〇三年10・23通達をあくまで拒否する」と力強く宣言した。
 最後に昨年度のノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんが「教育と自由」というテーマで講演。益川さんは「自由とは必然性の洞察」とするヘーゲルの規定を切り口に「科学は人類にとっての自由を拡大するものであり、そのためには基礎科学の方法をきっちり学ぶ必要がある」と語った。(K)


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