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韓国はいま     北・米、人工衛星巡って遠隔対話   かけはし2009.4.6号

半島内外で高まる軍事的緊張南北人力往来シーソーゲーム



「発射」と瀬戸際外交

 北韓(北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国)と米国の「遠隔対話」が佳境に入っている。互いに向けて「メッセージ」を投げ、時には受け入れ、比較的率直に腹の内をさらしている。一見、危機が深まっているかのように見えるけれども、注意深く見てみると対話の雰囲気が成熟している。危機は不安感の反映だ。不安感は不確実な未来から始まる。不確実性が消え去れば、危機は鎮静の方向へときびすを返すのが当然だ。
 北韓の「人工衛星」発射を巡って最高点に向かい駆け上がっていた危機の局面も同じことだ。「発射」は規定の事実として固められている形であり、時期も大方は決められた。「危機の変奏」に和音を入れていた、北韓の手に握られた「圧迫用のカード」も概ね使い尽くされたように思う。「状況の管理」が必要な時期だ。
 バラク・オバマ米行政府の発足直後から北韓は一連の措置を通して韓(朝鮮)半島内外の緊張感を高めてきた。今年1月30日、北韓の祖国平和統一委員会(祖平統)は代弁人声明を通じて、「南北基本合意書と付属合意書にある西海(黄海)にある西海海上軍事境界線に関する諸条項を廃棄する」と発表した。事実上、海上軍事分界線の役割をしてきた北方限界線(NLL)を認めない、ということだ。1カ月後の2月28日には東海(日本海側)・西海地区南北管理区域の北側の軍事実務責任者による対南通告文で「最近、軍事分界線(MDL)一帯で米軍の挑発や違反行為が一層ひどくなっている」とし「引き続きごう慢に行動するのであれば、我が軍が断固たる対応の措置を取るであろう」と主張した。

北の嫌がらせとその目的

 3月に入るとともに北韓の動きは一層機敏になった。祖平統は3月5日、韓米軍合同訓練に関連して「軍事演習期間(3月9日〜20日)、わが方の領空とその周辺、特にわが東海上の領空周辺を通過する南朝鮮(韓国)の各民間航空機の航行の安全を担保することができなくなったことを宣布する」と〈朝鮮中央通信〉を通じて発表した。海(西海)と陸(軍事分界線)に続き、空(東海領空)でも危機のアドバルーンを膨らませ始めたのだ。
 祖平統の発表によって北韓の領空を通過する大韓航空、アシアナ航空など、わが国の航空各社は3月6日未明から航路を変更しなければならなかった。遠回りすることにより追加でかかる時間は15〜40分、燃料価格も1便当たり300万〜400万ウォンがさらにかかることになる。1日平均14・4回、わが国籍機が北側の飛行情報区域(FIR)を通過しているという点を勘案すれば、北の「嫌がらせ」がもたらす「経済的効果」は簡単に計算ができる。南側に向けた「説教」と読みとれる。
 北の「挑発」に対する米国の反応はスティーブン・ボズワース対北政策特別代表が示した。ボズワース特別代表は3月7日、仁川空港を通じて入国するとともに、直ちに北・米対話についての関心と意志とを強調し始まった。8日、第12期最高人民会議の代議員選挙を行い、キム・ジョンイル国防委員会の執権第3期の出発のための準備を事実上、整えた北韓は翌9日未明、新たなカードを振りかざした。朝鮮人民軍総参謀部代弁人名義の声明を通じて「東・西海地区北南管理区域の安全担保のための、さらに厳格な軍事的統制と軍通信を遮断する」と明らかにし、踏み込んだのだ。
 軍通信線は軍当局間の連絡だけではなく開城工団(工業団地)など南北間で人力が往来する時も欠かすことができない。したがって北側の「ねらい」は2つにまとめられる。第1に、南と北が意図せざる軍事的衝突に巻き込まれた時、これを調整する手段をなくしてしまうことによって危機感を極大化した。第2に、当面、開城工団に行き来する南側人力の身辺の安全保障を行えないようにすることによって事実上、人間の往来を遮断する結果を作り出した。
 実際、この日、訪北することにしていた南側の人員726人と南側に帰還することにしていた80人が足止めされた。訪韓中だったボズワース特別代表は通信線の遮断に「遺憾」を表明し、「南北間の疎通の増進」の重要性を強調した。北はすぐさま反応を見せた。翌10日、南側人力の往来を再開させた。北韓は3月13日、再びゲートを閉鎖しつつ、「カギ」が誰の手にあるのかを繰り返し説教した。
 続いてデニス・ブレア米国家情報局長(DNI)が乗り出した。ブレア局長は3月10日、上院軍事委員会の聴聞会に出席し、北韓が発射しようとしているのは「弾道ミサイル」ではなく「宇宙発射体」だと思う、と明らかにした。両者の間には技術的違いが存在しないという点を皮肉りはしたものの、「人工衛星」だとする北側の主張を事実上「容認」したわけだ。
 今回も北韓の反応は素早かった。〈朝鮮中央通信〉は3月12日「朝鮮宇宙空間技術委員会が先般発表した試験通信衛星『光明星2号』を運搬ロケット『銀河2号』によって発射するための準備作業の一環として、該当諸規定にそって国際民間航空機構(ICAO)や国際海事機構(IMO)など国際諸機構に、飛行機や船舶などの航空安全に必要な各資料を通報した」と明らかにした。時期も「4月4日から8日、11時から午後4時の間」と明確にした。「予想危険地域」として東海(日本海)上と太平洋上の2地域にわたって、それぞれ4個ずつの座標まで提示した。4月初めの気象条件が良い日を選んで「人工衛星」を発射するという点を既定事実として固めたのだ。

条約加入によるち密な準備

 ち密さもうかがえる。まず北韓は「月およびその他の天体を含む外気圏の探索と利用においての国家活動を規律する規則に関する条約」(外気圏条約)への加入書を6日、ロシア外務省に伝達したと伝えられた。さらに10日には「宇宙空間に打ちあげられた諸物体の登録に関する協約」(宇宙物体登録協約)への加入書を国連側に提出したという。北韓の核実験直後の2006年10月14日、今後、核実験はもちろん弾道ミサイル関連の活動まで包括的に中断することを求めて国連安全保障理事会が通過させた決議案・第1718号を意識したものだ。「弾道ミサイル」ではなく「人工衛星」であることを強調し、発射以後の無用な論争を避けよう、との計算だ。
 与えられた「情勢」は悪くはない。制裁の性格が強い決議案・第1718号が通過された時の国連安保理議長国は、当時「対北強硬論」を主導していた日本だった。今年3月の安保理議長国はリビアだ。4月にはメキシコがバトンを受け継ぐ。拒否権を持っている中国やロシアも既に安保理の対北制裁に懐疑的な反応を示した。
 クリントン国務長官も12日、ワシントンでヤン・ジェツー中国外相と会談した後、記者会見を行い「(北韓が『人工衛星』を)発射する場合、国連安保理を含む多様な方式によって対応する意志を持っている」としつつも「ミサイル問題は6者会談の事案ではないが、北韓との対話の一部とみなしたい」と強調した。傍点は「制裁」ではなく「対話」に振られた。必死になって阻もうとしていた「人工衛星」の発射が、返って北・米の対話再開のシグナルとなる可能性が大きくなった。
 残る「不確実性」は間違いなく1つ、西海だ。北の人民軍総参謀長を担ったキム・ギョシク大将が最近、この一帯を管轄する4軍団長に任命されたという。キム軍団長は開城工団の事業と 文〜鳳東間の京義線列車連結事業当時、その一帯を管轄する2軍団長として在職し、軍部の反発をなだめた人物だ。最近、南北関係が困難になるとともに、これに対する責任をとって野戦に追われたという分析が大勢ではあるものの、またいささか異なった分析もある。キム軍団長は状況によって西海上で軍事的衝突を煽ることも、また反対に強硬派の突出行動を切り捨てることもできる人物だ。キム・ジョンイル国防委員長としてはカード勝負の「ジョーカー」のように活用できる」というわけだ。現在のところ、西海上での武力衝突は、北に利益となるものではない。デリケートな「状況管理」が切実な時だ。(「ハンギョレ21」第752号、09年3月23日付、チョン・イナン記者)


軍はとことん報復する?
青瓦台の頑強な処罰意志
違憲訴訟法務官らを罷免


 国防部(省)が遂に刃を振りかざした。民間人らの開城工団への出入りを阻んだ北韓(北朝鮮)に対する懲罰に乗り出した、という話ではない。「不穏図書23種」の選定をめぐって憲法訴願(違憲提訴)を行った軍法務官らに対する報復に乗り出したのだ。
 陸軍中央懲戒委員会は3月16日、憲法訴願を主導したことで知られるチ某少領(少佐に相当)とパク某大尉の罷免を議決し、軍の威信失墜と服従義務違反、品位損傷などを理由として挙げた。国民の基本権が侵害されたかを確認してみるという憲法訴願の提起が、どんな威信を失墜させ、品位を損なわせたのかは分からないが、事は一気に進められた。2日後、イ・サンヒ国防長官の承認を得て罷免が確定したのだ。当初、憲法訴願を提起した法務官7人(陸軍6人、空軍1人)のうち、途中で訴願を取り下げた2人を除いた残りの3人にも減俸・謹慎などの懲戒が下された。
 事実、昨年7月に「ハンギョレ(新聞)」の初報道によって国防部の不穏図書指定の事実が伝えられた後、最小限の合理的な基準もなしに禁書を選定したとの批判が相次いだ。チャン・ハジュン・ケンブリッジ大教授の「悪しきサマリア人」や、ハン・ホング聖公会大教授の「大韓民国史」などのベストセラーをはじめ、文化観光部が指定した優秀学術図書までが含まれていたからだ。与党ハンナラ党の議員でさえも首をひねりつつ疑問を呈するほどだった。ところが憲法訴願後5カ月にして電撃的に重懲戒が下された。
 このため「なぜ、ことさらに今になって?」という疑問が提起されている。それに対する答えは政権の中枢だけが知っていることだろうが、前例を見れば類推は可能だ。
 韓国建設技術研究院キム某研究員は韓半島大運河の論難がまっさかりだった昨年5月、インターネット・ポータル・タウン・アゴラに「韓半島の水路連結および4大河川整備計画の実体は大運河」だと暴露した。キム研究員の良心宣言は大きな波紋を呼び起こした。結局、イ・ミョンバク大統領が乗り出して「国民が望まないのならば大運河計画は実施しない」と宣言した。当時、建設技術研究院はキム研究員の良心宣言をめぐって「保安規定違反に該当せず、キム研究員を処罰対象には含めない」と公式の立場を明らかにした。けれども7カ月後の昨年12月、突然、懲戒委員会が開かれキム研究員に停職3カ月の重懲戒が下された。「個人的主張によって研究院の立場を損なわせた」との説明が、くっついた。
 世論の注目を受けている時には逃げの一手で、関心が少なくなれば懲戒するという点で、キム研究員の件と今回の事案を処理する政府の態度は一貫している。青瓦台(大統領府)が口出しをする点も、そうだ。軍法務官懲戒の知らせを伝えた各メディア国防部関係者の言葉を引用して「青瓦台の処罰の意志が何しろ頑強だった」と報道した。キム・イテ研究員の懲戒の時も「上から注文されれば、われわれとしてはどうしようもない」という建設技術研究院関係者らの苦しい胸のうちが公々然と伝えられた。

憲法上の基本権
も無視する軍隊

 風(世論)が吹けばすぐさま身を伏せ、時が経過した後ひっそりと起きあがり、いつそんなことを言ったのだろうかという具合に態度を変えるありようは、それだけではない。キャンドル・デモの際もイ・ミョンバク大統領が2回も対国民のおわびをしたけれども、キャンドルが収まり始めるやいなや検察や警察が先頭に立ってキャンドル・デモ関連者らに対する大々的な処罰に乗り出した。そうであればこそ国防部は「目をつけた××は、とことん懲らしめる」という原則に遅ればせながら合流したわけだ。それに代わって「憲法に明示された基本権を無視している軍隊なんですね……。まるで北韓の軍隊のようですね」(ヌリックン「世の中の中心」)などの評ばかりが聞こえてくる。(「ハンギョレ21」第752号、09年3月30日付、イ・スニョク記者)


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