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「靖国合祀いやです訴訟」・大阪地裁不当判決      かけはし2009.3.16号

「合祀は抽象的・観念的行為で他者
への強制・不利益を想定できない」



 【大阪】靖国合祀いやです訴訟は二〇〇六年八月十一日に、八人の原告(途中で9人)により靖国神社と国を相手に大阪地裁に提起され、〇八年十一月二十五日に結審。〇九年二月二十六日に判決があった。
 原告の請求趣旨は、@靖國神社と国は連帯して、原告各自に対し百万円を支払えA原告に対応する戦没者の氏名を、霊爾簿・祭神簿及び祭神名簿から抹消せよ、の二点。

「敬愛追慕の情」
否定した「合祀」

原告らは、靖国神社の教義そのものを問題とせず、合祀という外部的行為を問題とし、原告らが侵害される利益は、「敬愛追慕の情を基軸とした人格権」であるとした。これは、小泉首相靖国参拝違憲訴訟の最高裁判決(06年)の補足意見を参考にしたものである。その利益の享受主体は、戦没者と家族的人格的紐帯にあるものに限られる。それは山口自衛官合祀拒否訴訟の大法廷判決(88年6月)が認めなかった「静謐な宗教的環境の下で信仰生活を送るべき利益(宗教的人格権)」とは異なるものである。
靖国神社の加害行為の本質は、戦没者に対して遺族の行う意味づけとは異なる「天皇の赤子として死んで御国に奉仕した者」という意味づけをして、遺族の度重なる要請にもかかわらず合祀を取り消さず、靖国神社の教義の宣伝に利用したということにある。このことによって、原告らの敬愛追慕の情を基軸とした人格権が侵害されている。このことは、靖国神社の「祀る自由」を考慮しても、原告らの権利侵害に当たる。

国家の関与は
明確である!

 また、戦後民間の一神社となった(46年2月2日)靖国神社だけでは戦後の合祀は不可能である。それを可能にしたのは、戦没者情報を通知し続けた国の援助である。さらに、国は、一九五六年四月十九日厚生省引揚援護局長名で、「靖国神社合祀事務に対する協力について」と題する通知を発し、全国の都道府県に対し、概ね三年間で靖国神社合祀を完了すべく、協力することを指示している。国家の関与は明確である。

原告の請求を
無視した判決

判決は、原告らの請求をいずれも棄却した。すなわち、感情を被侵害利益として救済を求めることができるなら、他の信教の自由等の自由権を妨げる結果になることは、一九八八年の大法廷判決と同様である、敬愛追慕の情は概念が確立していないし、故人に対する遺族のみのイメージを法的保護の対象にはできない、とした。この訴訟での原告の肝心な主張に裁判所はほとんど耳を傾けず、原告の心情の陳述を全く聴かなかったことになる。
 靖国神社の合祀は、祭神を祀るという抽象的観念的な行為であり、他者に対する強制や不利益を与えることを想定することができないものである、とした。遺族にとって合祀の行為は抽象的な観念ではない。被告である国の協力が合祀を行う上での重要な要素であったといえるものの、国は靖国神社のためだけに戦没者情報を集めていたわけではなく、合祀は靖国神社側が最終的に決定したのであるから、国の強制があったとは考えられない、というのだ。

不遜きわまる
神社側の理屈

判決後に報告会が開かれた。加島弁護士は、「判決全文八十ページの中で、原告の主張が十ページ載っているのに比べ、被告のそれが二十ページ載っている。原告は一人ひとり自分が生きてきた人生について語り裁判に必要な事実を感動的に陳述したが、その事実についての判断をせず、初めから八八年の大法廷判決を引用した。この訴訟は山口の事件と違う。こちらは靖国を相手にやっているのだ。」と述べ、中島弁護士は、「裁判所は、外部に現れた行為を霊爾簿等の作成・保管に限っているし、靖国神社は原告に何も強制していないというが本当にそうか。靖国神社は春秋の例大祭などの宗教的行為もやって祭神を顕彰しているが、この事実は切り捨てている。原告が関係する戦没者は合祀によって、靖国神社の教義の宣伝につかわれている。これも無視されている」と述べた。
 また井上弁護士は、「靖国神社は、この市民社会の中にありながら、遺族がいやがることをずっとやっている。その不遜さが許せない。イヤという思いの中には、『大東亜戦争』を肯定している靖国神社の歴史的性格も含まれる。判決はこれにふれていない。この判決の内容で、控訴審がやりやすくなった」と述べた。
 続いて原告九人が一人ずつ感想を述べ、九人の最後に菊池さんが、「裁判官もヤスクニに行けばわかる。先の戦争が正しかったという人には、南京とかの戦争の現場に行ってみることだ。そこで同じことをもう一度言って見ろ!私はそのように言っている」と語った。東京で闘われている合祀拒否裁判の内田雅敏弁護士が、靖国神社の遊就館を見学し、「これはカルト以外の何者でもないと思った」との感想を語った。    (T・T)


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