| 世界社会フォーラム・ベレンに連帯 かけはし2009.2.16号 |
WSF in TOKYOで活発な論議
サヨナラ新自由主義 つくりだそう「もう一つの世界」を |
イスラエルの
ガザ侵略糾弾
ブラジル・アマゾン河口のベレンで一月二十七日から二月一日まで開催されている世界社会フォーラム(WSF)に連帯して、一月三十一日、東京の京橋プラザで「サヨナラ 新自由主義 つくりだそう『もう一つの世界を』 WSF in TOKYO」が開催された。ベレンではオープニングのデモに十万人近くが参加し、参加者登録も九万一千人に及んでいる。
ATTACジャパン(首都圏)、ピープルズ・プラン研究所、日本消費者連盟、すぺーすアライズが呼びかけた東京でのこの集まりには雨の中を八十人が集まった。
午前十時からの「プレイベント」では二〇〇四年五月のイスラエルによるパレスチナ自治区ガザのエジプト国境に近いラファへの軍事侵攻のドキュメント映画「レインボー」(アブドゥッサラーム・シャハダ監督、第14回地球環境映画祭アースビジョン大賞)が上映された。
物資を輸送する「地下トンネル」を叩くという名目で行われたこの「レインボー作戦」をはるかに上回る規模で、今回イスラエル軍はガザ全域への絶滅侵攻・住民虐殺を行った。「パレスチナ子どものキャンペーン」理事の北林岳彦さんが、この映像と重ね合わせて今回のイスラエルのガザ侵略を糾弾した。
「今回の侵攻の死者は千三百十四人、うち子どもが四百十二人、成人女性が百十二人。家屋の全壊が四千棟、半壊も一万七千棟に達した。イスラエル軍はさらに白りん弾などの残虐兵器を使用した」。
「一九九三年のオスロ合意以後、ガザが直面した事態は、パレスチナ人への差別と人権破壊、古典的な植民地主義、新自由主義、そして対テロ戦争のミックスされた現実だった。新自由主義というのは、それまでイスラエルで建設現場などの日雇い労働に従事していたガザのパレスチナ人労働者がロシア、東欧、中国などからの移住労働者に代替されて労働市場から排除されたことを指している。ガザのイスラエルとの国境地帯には工業団地が建設されたが、それも今は破綻している。今度の戦争で農地も破壊され輸出農業は壊滅した。漁船も破壊され漁業もできない。ガザは今や青空天井の出口のない監獄になっている」。
「停戦は解決ではない。占領を終わらせ、封鎖を解除し、エジプトとの国境を開放し、ハマスを含めた平和への模索を行わなければならない。そしてイスラエルの人びとをいかにしてシオニズムから脱却させるのか、ということが私たちにも問われている」。
北林さんはこのように訴えた。
新自由主義批判
と資本主義廃棄
次に「オープニングセッション」の全体集会が行われた。司会の稲垣豊さん(ATTACジャパン)が昨年のWSFあらかわに続いて、今回もこうした取り組みが行われた意義にふれ、WSFベレンに連帯する取り組みが世界各地、パレスチナのベツレヘムでもイラクのサマワでも行われていることを紹介した。
オープニングの報告者は小倉利丸さん(ピープルズ・プラン研究所運営委員)、鈴木ふみさん(すぺーすアライズ)、笠原光さん(ピープルズ・プラン研究所)、山浦康明さん(日本消費者連盟)、なすびさん(山谷労働者福祉会館活動委員会、「持たざる者」の国際連帯行動実行委員会)の五人。
小倉さんは二〇〇一年以来積み上げられてきたWSFの歩みとその特徴、成果にふれながら、現在のWSFが抱えている運営上の問題、「もう一つの世界」の具体像についての討論、「政治組織、武装闘争組織」の正式参加を認めてこなかった問題、巨大NGOと草の根民衆組織の間のアプローチの違いについて紹介し、今後の方向性を探っていく討論を訴えた。
鈴木さんは「グローバル・ヘルス・ウォッチ」について紹介しながら「人間の生存と尊厳を守る」ことを第一にしたグローバル資本主義批判の運動を提起した。
笠原さんは、日本の軍事予算の実態を資料を使って指摘しながら、「軍事予算削減」の主張を前面に押し出し、削減された軍事予算分の資金で医療・福祉、教育などの分野でできることがたくさんあると語った。山浦さんは「環境・食と農の危機」というテーマで報告。「食糧主権の確立、貿易自由化に対抗するルールづくり、経済成長神話の打破、農を大切にする地域循環の構造を社会の基本にすえること」を訴えた。
「生活・労働・雇用の危機」をテーマに報告したなすびさんは、「昨年の段階では自分たちの活動と新自由主義という問題がなかなか結びつかなかったが、いまや新自由主義批判はこの金融・経済危機と派遣切り・大量解雇の中で当たり前になっている。しかし派遣労働者の問題が焦点化すればいいということではなく、今や資本主義の廃棄という方向の打ち出しが問われているのではないか」と先鋭に討論点を突き出した。
5つの分科会
に分かれて
フロアからの質問、意見が出された後、午後からは@「経済・金融」A「平和と戦争」B「食・農・環境・エネルギー」C「生活・雇用・労働」D「WSFの意義」の五つのテーマに分かれてワークショップが行われ活発な討論が展開された。
クロージングの全体セッションでは、ワークショップの討論の報告と補足が行われ、また秋本陽子さん(ATTACジャパン)が現地からの国際電話でWSFベレンの模様を報告した。秋本さんは今回のWSFベレンの特徴としてアマゾンの先住民族の人びとが三千人以上参加し、先住民族の権利と主張が大きく押し出されるフォーラムとなったこと、またベネズエラのチャベス、エクアドルのコレア、ボリビアのモラレス、ブラジルのルラ、パラグアイのルゴの五カ国の左派・中道左派政権の大統領がこぞって参加し、WSFとの連帯をアピールした、と語った。
なお実行委員会は三月九日に総評会館で「世界社会フォーラム・ベレン」報告集会(午後6時半)を開催する予定である。 (K)
WSFベレン
社会運動総会の宣言
私たちは危機のツケを払わない 金持ちが支払わなければならない!反帝国主義・フェミニスト・環境保護・社会主義的オルタナティブが必要だ
自然、自らの大地、自らの文化を横領しようとする目論見に人びとが抵抗しているアマゾニアのベレンで開催された第八回世界社会フォーラムに、私たち全世界の社会運動が結集した。私たちは、この十年間、社会運動と先住民族運動が力をあわせ、自らの世界観に基づいて資本主義システムにラディカルな疑問を投げつけてきたここラテンアメリカにいる。ここ数年間、ラテンアメリカではきわめてラディカルな社会闘争により、新自由主義政権の打倒と、経済の中核的部門の国有化や民主主義的憲法改正など多くの進歩的改革を遂行した政府の成立がもたらされた。
こうした状況の中で、ラテンアメリカの社会運動は適切な対応を行い、批判的な距離を維持しつつ、こうした諸政府が採用した積極的措置を支持することを決定した。このような経験は、危機の重荷を抑圧された民衆に押し付けようとしている政府や企業の政策への民衆の強固な抵抗を強めるための支援となるだろう。現在、私たち全世界の社会運動は歴史的挑戦に直面している。国際的な資本主義の危機は、それ自体、人類にとって有害なものであることをさまざまな形で示している。それは、国際的秩序と政治構造の危機も存在する中で、食糧、金融、経済、気候、エネルギー、人びとの移住にとって深刻な影響を及ぼしている。
私たちは資本主義制度の直接的結果である世界危機に直面しており、したがってその危機は制度内での解決を見出すことができない。この危機を克服するためにこれまで取られたすべての措置は、戦略的経済部門、公共サービス、天然資源とエネルギー資源の私有化に基づくシステム、そして生命の商品化、労働と自然の搾取、ならびに「周辺」から「中心」への、また労働者から資本家階級への資源の移転に基づくシステムの生き残りを保証するために、損失を社会全体で負担させることをねらったものに過ぎない。
現在のシステムは、搾取、競争、集団的利益を損なう個々の私的利益の促進に基づいたものであり、一握りの金持ちたちによる富の蓄積を激しく駆り立ててきた。それは流血の戦争をもたらし、外国人嫌悪、レイシズム、宗教的原理主義をあおりたてた。それは女性の搾取、社会運動の犯罪視を強めてきた。現在の危機の状況の下で、民衆の権利は体系的に拒絶されている。パレスチナ民衆に対するイスラエル政府の残虐な侵略は、国際法の侵害であり、戦争犯罪、人道への犯罪にまで達している。それは世界の他のところで見られる民衆の権利の否定を象徴するものである。この恥しらずな不処罰を止めなければならない。社会運動は、パレスチナ民衆への積極的支援を再確認するとともに、抑圧に反対する全世界の民衆のあらゆる行動を支持する。
私たちは、この危機に打ち勝つために問題の根源と取り組み、資本主義システムと家父長制支配を一掃するラディカルなオルタナティブの構築のためにできる限り速やかに前進しなければならない。私たちは、社会的必要に適合し、自然の権利を尊重するとともに、全面的な政治的自由という状況で民主主義的参加を支援する社会に向けて活動しなければならない。私たちは、すべての国際条約が、個人的であるとともに集団的でもある私たちの不可分の市民的・政治的・経済的・社会的・文化的諸権利を実行するようにさせなければならない。
こうした展望の中で、私たちは次のような数多くの緊急措置を実行するために、可能な最大限の民衆動員に貢献しなければならない。
――無償かつ全面的な社会監視の下での金融部門の国有化
――賃下げなしの労働時間削減
――食糧・エネルギー主権を保証する措置の実施
――戦争をやめ、占領軍を撤退させ、外国軍基地の撤去を要求する
――民族の主権と自治の承認、自決権の保障
――すべての人びとに土地、領域、労働、教育、保健への権利の保障
――通信手段と知識へのアクセスの民主化
二十一世紀のフェミニスト運動、環境運動、社会主義運動が遂行する社会的解放のプロセスは、生産、通信、サービス手段の資本主義的支配からの社会の解放をめざすものであり、それは社会的利益に有利な所有形態、すなわち小家族保有、公共的・協同組合的・共同体的・集団的所有の形態を支援することで達成される。
こうしたオルタナティブは、必然的にフェミニスト的なものである。なぜなら、人類の半分が抑圧され、搾取されている時に、社会的公正と諸権利の平等に基づく社会を建設することは不可能だからである。
最後に私たちは、先住民族の積極的参加と貢献を確認することで、自らと他者、全世界が調和して生きる生活に基づく社会の建設を豊かにさせるという責任を持っている。
私たち社会運動は、世界規模で解放のイニシアティブを発展させる歴史的機会に直面している。大衆の社会的闘争を通じてのみ、民衆は危機に打ち勝つことができる。この闘争を促すためには、草の根からの意識啓発と動員が不可欠である。社会運動にとっての挑戦は、グローバルな動員の集中を達成することである。それはまた、抑圧と搾取に耐えて苦闘しているすべての運動の集中を支えることで、私たちの行動能力を強めることでもある。
私たちは次のような課題に取り組む。
――三月二十八日から四月四日までの「資本主義と戦争に反対するグローバル行動週間」を出発させる。三月二十八日の「G20反対動員」、三月三十日の「戦争と危機に対決する動員」、イスラエルへのボイコット、投資引き上げ、制裁を促す三月三十日の「パレスチナ民衆連帯デー」、四月四日の「NATO60周年記念式典」への動員などである。
――年間を通じた動員機会を増やす。三月八日の国際女性デー、四月十七日の国際食糧主権デー、五月一日の国際労働者デー(メーデー)、十月十二日の「植民地化と生命の商品化に反対する、母なる大地のための闘争」への動員。
――サルディーニャG8サミット、コペンハーゲン気候サミット、トリニダード・トバゴでの米州諸国サミットに反対する行動のスケジュールの確定。
私たちはこうした要求とイニシアティブを通じ、ラディカルで解放的な解決策を持ってこの危機に立ち向かう。
|