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09年政府予算案を批判する               かけはし2009.1.26号

「経済・雇用危機対策」はまやかしだ
軍事費削減し社会保障費大幅増額を

空港会社の売却強要はねのけ
新しい社会的闘争への合流を

第2次補正予算案のねらい

 自民、公明党は一月十三日、衆院予算委員会と本会議で〇八年度第二次補正予算案と関連法案の可決を強行した。世界的金融経済危機の日本直撃を背景として資本は、非正規労働者の大量解雇など民衆の生活を犠牲によって延命しようとしている。大失業時代に対して麻生政権は、「国民の生活不安の解消をめざす」とアピールして急きょ作り上げたのが補正予算だ。その内容は、党利党略と族議員の利権争い、大企業と銀行支援に貫かれつつ、貧弱な雇用対策などが実態である。衆院での第二次補正予算案可決強行に抗議する。
 補正予算の柱として押し出したのが衆院選挙対策である総額二兆円にもおよぶ給付金だ。ところが給付金の性格や対象がいまだ決まらず、閣内不統一であり、配布方法も自治体にまかせる無責任なものだ。すでに二兆円を配布するための事務経費が八百億円もかかることが算出されている。このカネはどこから引き出してくるのか。過去において選挙対策で強行した十年前の小渕政権による地域振興券のばら撒きにおいて、一時的な給付金では経済効果は極めて小さいことが証明されているにもかかわらず、全く教訓化しておらず、公明党・創価学会の圧力を取り入れながら直近の選挙対策のための一票を買収する目的でなにがなんでも強行しようとしているのだ。
 さらに補正予算は、資本支援の設備投資減税、米国発の金融市場の危機で膨大な損失を発生させた銀行のために公的資金の投入枠十兆円追加を行いながら、企業の期間・派遣社員切りの暴挙を統制する対策をせず、大銀行の中小企業への貸し渋り・貸しはがしを厳しく是正させる措置もしない。とりわけ中小企業を倒産に追い込んでいる銀行の貸し渋り・貸しはがしに対する法的規制とセットでなければ有効なものとならない。社会保障削減路線撤回の要求は全く無視だ。
 あげくのはてに〇九年度予算案とセットで決めた「中期プログラム」では、自民党と公明党による選挙対策を見据えた妥協として経済状況の好転を前提条件に、一一年度からの消費税率引き上げを明記することを〇九年度税制改正法案の付則に盛り込むことも打ち出している。つまり、給付金で与党への投票を買収し、三年後の消費税増税によって元を回収する作戦なのである。
 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は、社会保障関係費の伸びを毎年二千二百億円抑制するとした「骨太の方針2006」の基本姿勢を維持し、消費税増税のための「中期プログラム」によって社会保障の安定財源を確保せよと通達してきた。麻生政権が財政審議会方針を撤回しないのは、消費税増税に向けたワンステップとして位置づけたのが第二次補正予算案だからなのである。

とめどない解雇・「派遣切り」

 メディアの世論調査でも七割が給付金に反対か疑問の結果が出ている。非正規労働者の大量解雇・大失業状況が拡大しているからこそ、二兆円の財源を雇用や社会保障に使うべきなのである。日比谷「派遣村」の生存権をかけた闘いは、政府の無策を告発した。今年は派遣労働者の多くが契約期限切れとなるが、昨年以上に深刻な雇用・失業状態に突入する。麻生政権は、資本延命のための大量解雇を容認しつつ、貧弱、場当たり・事後的な雇用・失業対策で逃げ切ろうとしているのだ。
 キャノンなど電気・精密九社、トヨタなど自動車七社が非正規労働者を大量解雇を強行しつつ、株主対策や財政基盤強化のために貯め込んできたカネ(内部留保)が約三十三兆六千億円に達していることが明らかになった(共同通信社08・12・23)。巨額の内部留保に対してなぜ非正規労働者のために支出しないのかという当然の抗議が社会的に巻き起こっている。雇用維持のための支出総額を充分に上回る内部留保があるにもかかわらず、利潤優先主義によるコストカット、金融危機の巨額な損失を労働者に押しつける、身勝手な資本を許すことはできない。巨額の内部留保は、労働者に対する過酷な超搾取によって積み上げてきたものではないか。資本の不当な内部留保隠しなどを情報公開させ、労働者のために支出させなければならない。派遣労働を原則自由にした法改悪の一九九九年以前に戻すことも優先課題であることは言うまでもない。
 深刻な雇用・生活破壊の張本人である資本の代表である日本経団連は、優先政策として現行四〇パーセントの法人実効税率の三〇パーセント引き下げをはじめ消費税増税を言い出し、身勝手な資本のやりたい放題の姿を前面に押し出してきた。また、連合官僚とともに「雇用安定・創出に向けた労使共同宣言」(1・15)を明らかにした。なんら具体性がなく、みえみえのハッタリだ。本気で対策を提示するならば、大量の非正規労働者の解雇を撤回し、再雇用し、正社員として採用せよ。
 これ以上、資本による労働者の賃下げ・労働条件低下・解雇を許してはならない。ただちに給付金制度を撤回せよ。銀行の中小企業への貸し渋りを止めさせろ。〇八年度第二次補正予算案を民衆の生活と社会保障のために組み替えを行え!

予算分捕り合戦と大企業優遇

 民衆の生活と社会保障を軽視する補正予算の性格は、〇九年予算政府案においても引き継がれている(08年12月24日)。予算案の一般会計の総額が八十八兆五千四百八十億円(対08年度当初予算比6・6%増)。一般歳出は、同九・四%増の五十一兆七千三百十億円。
 大幅な税収減を受けて新規国債発行額は同三一・三%増の三十三兆二千九百四十億円。国・地方の長期債務残高は〇九年度末には八百四兆円に達しており、財政破綻が雪だるま式で膨れ上がってしまった。
 すでに歳入に占める国債収入の割合を示す公債依存度は三七・六%になっており、小泉政権が掲げた基礎的財政収支の赤字額も、十三兆五百三億円と〇八年度当初(5兆1848億円の赤字)から倍増し、一一年度に黒字化するなどという政府目標の達成は完全に頓挫してしまった。結果として骨太路線は破綻に追い込まれたのである。
 また、与党は小泉政権からの新自由主義的構造改革路線による社会的格差と貧困の拡大に対して民衆の反撃に直面し、麻生政権の支持率の急激な低下に追い込まれ、「このままでは選挙がたたかえない」という強い危機感が拡大していった。「予算編成の基本方針」の閣議決定前になって、「骨太方針を変えて、向こう三年間は景気回復にあてるべきだ」(細田博之幹事長)と公言し、総務会で凍結を求めることを確認するほどだった。
 だから麻生首相が決める重要課題推進枠(3300億円)の配分をめぐって、すさまじい分捕り合戦が繰り広げられた。建前として財務省は、配分内容として「地域経済の下支えと生活不安の払拭のための施策」などとコマーシャルとして押し出したが、実質的にはカネのばら撒きを決めざるをえなかった。
 このように予算案は、衆院選挙を射程にした自民党、公明党などの族議員と省益にひた走る官僚の「予算分捕り攻勢」に便乗しながら麻生政権延命策へとつなげた産物なのである。利益誘導型のカネばら撒き手法を目的意識的に復活させるところに獲得目標があった。だから一般会計の総額が過去最大規模に膨れ上がったのである。
 その典型的な事態が自民党と公明党の道路族の要求を受け入れ道路特定財源の一般財源化を完全に骨抜きにしてしまったことだ。道路特定財源の「一般財源化」は、世論の圧力によって道路族と官僚は「地方道路整備臨時交付金」を廃止したが、ただちに「地域活力基盤創造交付金」を新設し七千億円の旧交付金に三千億円も上乗せし、「道路を中心に」使うことを政府・与党の合意で決めてしまった。こういうのをペテン師というのだ。地球温暖化対策など投げ捨て、環境破壊のための交通政策を引き継いだまま無駄な高速道路建設に多額の税金を投入させようとしているのだ。
 大企業に対しては法人税率引き下げで四兆円、連結納税制度と研究開発減税で一兆円、証券優遇税制の三年間延長など合わせて年間五兆円の減税というバックアップだ。大企業優遇税制度の継続も大きな特徴である。

医療・教育・農業切り捨て

 予算案の欠陥はこれだけではない。四月から、基礎年金の国庫負担が三分の一から二分の一に引き上げられるが、恒久的財源を確保すべき基礎年金国庫負担(2・5兆円)を財政投融資特別会計からの特例的な繰り入れで、いわゆる「埋蔵金」頼みでしかないのだ。この先には「中期プログラム」で宣言しているように恒久財源確保を理由にした消費税増税だ。歳出を拡大しても消費税増税とセットでは、いったいどこに景気刺激効果があるというのだ。こんなペテンを許してはならない。
 社会保障自然増分削減幅は、年金特別会計などから千三百七十億円を作り出し、道路特定財源から六百億円を回し、二百三十億円に圧縮した。この手法も一時的な対処でしかない。要するに、このようなやり方で削減の体裁を繕っているにすぎないのである。
 このように社会保障のサービスコストの抑制などを強行してきた「骨太」路線の撤回させることを前提に社会保障関連予算の問題点をあげればきりがないが、以下は緊急に対策が必要なものだ。
 後期高齢者医療制度を廃止し、医師不足・病院の統廃合と民営化政策をただちに止めて医療崩壊状況を抜本的に立て直す充実した財政措置を行うことだ。今年は、障害者自立支援法の施行三年後の見直しの年だが、政府はサービスの原則一割を負担する「応益負担」を変えようとしていない。現行法を廃止し、生活と権利を保障する法制度の制定の実現だ。「介護難民」をこれ以上拡大させないために介護保険料の減額と介護報酬の引き上げによって介護労働者の安定的確保を作り出さなければならない。保育所不足は保育所運営費の一般財源化によって地方自治体の保育行政を圧迫し、補助金を削減してきたからだ。保育予算を増額し、認可保育所の新・増設が求められている。生活保護申請者に対する「水際作戦」と称する門前払い政策を止め、生活保護予算に手厚い配分を行うべきであり、生存権の問題として待ったなしだ。
 さらに予算増額が必要なのは、教育関連予算だ。親、保護者たちの派遣切り、解雇、倒産による家計悪化のために授業料未納が続出している。子ども、学生たちが教育を受ける権利が十分保障されない事態がひろがっているのだ。中途退学せざるをえない学生も増えている。学費免除など教育費負担の軽減、奨学金制度の援助増などが急務だ。農林水産関係予算も前年度比マイナス六・七%の減額傾向だ。中小規模の農林漁業者に対するスクラップ路線は継続しており、大規模の農林漁業者を優遇政策を強化している。これ以上の切り捨ては食料崩壊へ、限りなく進行せざるをえないではないか。農林水産業の強化と食料自給率を高めていくためにも予算増額は必要なのである。

米軍再編・宇宙軍事競争費増額

 民衆の生活・社会保障関連予算を抑制しながら軍事費は四兆七千七百四十億円。前年度予算と比べ五十五億円しか減額していない。とりわけ米軍再編経費は八百三十八億円と、前年度(238億円)の約三・五倍も膨れ上がった。在日米軍のための「思いやり」予算がSACO(沖縄に関する特別行動委員会)関係経費と、米軍再編経費を合わせて二千八百七十七億円となり、前年度に比べ、三百七十六億円も増えている。グローバル派兵のための日米安保体制の維持・強化した実態が予算配分においても現れている。また、ミサイル防衛(MD)に千百十六億円、護衛艦二隻の建造費千四百五十一億円などの巨額な予算をつけ実戦力を高めている。軍事費増額は、このように聖域のまま維持されており、許してはならない。
 公共事業費も従来の乱開発・ゼネコンのための配分を行っている。七兆七百一億円を計上し、スーパー中枢港湾、羽田空港・成田空港・関西空港拡張などの大型プロジェクトの公共事業政策を継続している。
 整備新幹線の建設費は七百六億円が盛り込まれ、未着工建設のために着工調整費九億円も認めた。明らかに族議員と地域ボス、ゼネコンのために奉仕する整備新幹線建設の姿が浮き彫りとなった。
 宇宙開発関係費として総額三千四百八十八億円(前年比328億円増)も計上した。昨年八月の宇宙基本法施行を契機に軍需産業は、ビッグビジネスチャンスとして規模拡大を求めてきた。宇宙軍事力強化への踏み出しの強化を許してはならない。
 原子力開発予算も前年度より四十六億円増の千八百一億円もつぎ込もうとしている。地球温暖化対策にとって原発は有効などとキャンペーンを強め、原発輸出も含めて成長産業としてバックアップしようというのだ。しかし、事故の繰り返し、地震弱体、放射性廃棄物問題など未解決のままだ。地球・環境・人命破壊の原子力開発をただちに中止せよ。

麻生自公政権を打倒しよう

 麻生政権はカネばら撒きによって無策・不人気の挽回をねらったが、ついに支持率は二〇パーセントを切るところまで追い込まれてしまった。中川財務相は「非常にメリハリを利かした予算になった」などと強がったが、政権の末期的状態の姿を払拭することはできなかった。
 衆院選挙対策のための看板を掲げて登場した麻生政権だったが、解散することもできず、ジグザグを繰り返し、迷走を深め、泥沼の危機を深めている。しかし麻生政権は、日本経団連など財界の要求に忠実に応えるために〇八年度第二次補正予算案と〇九年予算案を成立させなければならない。資本に奉仕し、民衆の生活・雇用・環境破壊に貫かれた予算案の実態を暴き出し、成立を阻止していこう。民衆のための予算案を求めていこう。(遠山裕樹)


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