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 派遣村からの大逆襲                 かけはし2009.1.26号

やっぱり必要! 派遣法抜本改正

労組と市民の連帯で政治を動かし企業責任を追及しよう

派遣村の成果を
発展させよう

 一月十五日、日本教育会館で「やっぱり必要!派遣法抜本改正1・15集会――派遣村からの大逆襲――」が派遣法の抜本改正をめざす共同行動、「派遣村」実行委員会の主催で開かれ四百人が集まり、会場がいっぱいになり立ち見が出るほどの関心の高さと熱気を示した。
 集会の一部は、労働者派遣法をめぐり、野党の党首・そのクラス、労働団体、労働弁護団などが発言、そして派遣村をめぐる経過報告と「派遣村」村民からの訴え。二部として、労働組合から見えてきた派遣切りの実態、求められる救済活動、労働組合の役割、存在意義について、労働者派遣法の抜本改正とその必要性についてのシンポジウムが行われた。
 最初に、全国ユニオン鴨会長が「派遣村が終わっても、『もうないですか』と毎日電話がかかってきた。派遣村を全国に作っていく必要がある。企業は派遣労働者を雇用の調整弁として使い、切って当たり前になっている。派遣法を抜本改正し希望のある働き方をつくらなければならない」と主催者あいさつを行った。
 各政党から。菅直人民主党代表代行が「派遣村は運動が政治を動かした。三月末に、派遣切れの09年問題があり、ぼう大な派遣切りが出るだろう。これに対して緊急に対策を立てなければならない。派遣村をモデルとするシェルターを拡充する必要がある。下請けが潰れた時、元請けが責任をとらなければならないという建設業界の決まりがある。これと同じで派遣先の責任を明確にするようなきちんとした対応ができる体制をつくらなければならない。お互いが助け合える社会をつくっていかなければならない」と発言した。
 共産党志位委員長は派遣切り問題は自然災害ではなく政治災害だと指摘し、次のように提起した。「@職を失った人に、雇用保険積立金の六兆円を使い、住居・生活・職業を与えるAこれ以上の被害者を出してはいけない。契約満了での雇い止めについて、現行法での対応には限界があるので、濫用は許さないという緊急立法が必要だB二度と引き起こさないために派遣法の抜本改正を」。
 社民党福島党首は「今国会は雇用国会だ。専門職に限るということで民主党との間で、派遣法改正案を協議している。与党も巻き込んで、派遣先の責任をはっきりさせるように成果をあげたい」と述べた。新党大地の鈴木代表は「雇用問題での政府に対する質問趣意書に、政府は『米国発の金融危機、不況が原因であり、労働者派遣法や労働法制の問題ではない』との回答を寄こした。政府はまったく事態が分かっていない。さらに政府は十二月二十五日に派遣村の動きを知ったというが、それならもっと打つ手があったはずだ」と指摘し、総選挙で野党が勝利し、この問題の解決にあたれと檄を飛ばした。
 次に、連合の團野副事務局長が「連合としても派遣村に参加した。経団連会長とトップ会談を行い、雇用の安定と創出をつくるという共同宣言を出した。派遣法について連合内部でさまざまな意見があるが、登録型派遣を見直し、期間の定めのない直接雇用が必要だ。非正規労働者の問題をすべての労働者の立場からがんばりたい」と語った。
 日弁連の中村さんが「十二月十九日、日弁連として労働者派遣法の抜本改正を求める意見書を発表した。貧困と人権に関する委員会を設置して、派遣切り問題、貧困問題に対処したい」と述べた。労働弁護団の小島幹事長は携帯電話の相談サイトを立ち上げ、二月二十七日に全国一斉ホットラインを行うことを明らかにした。ホームレス法的支援者交流会代表の後閑さんは「派遣村での生活保護活用こそ、法律の本来の姿だ」と指摘した。
 
次は私が支援
する側になる

 派遣村の活動報告を安部誠さん(派遣法の抜本改正をめざす共同行動)が行った。
 「昨年の十一月二十九・三十日と派遣切れホットラインを行った。相談が四百七十件あった。四二パーセントが派遣期間の中途解約だった。とりあえず、東京に出てくるという話もあった。一番切られたくない十二月にほっぽり出すのは許せないということで、派遣法抜本改正を求める12・4集会をやった有志が集まり相談した。@失業・アパート追い出しに対して救済・サポートするA個別バラバラに対応すると行き倒れになっても見えてこない。一カ所に集めて、見えるような形で対処する必要がある。この結果、厚労省の目の前の日比谷公園にテントの派遣村を作り、炊き出しや生活相談をすることを決めた」。
 「登録した村民は四百九十九人、ボランティアは千六百七十四人。一月五日に撤収して四カ所に移転したのは三百三十人。十五日現在で百三十人。村民となった理由は、派遣切りが二〇・六%、日雇いが一六・一%、失業が一九・八%。来るまでにどこに寝ていたか。野宿が五七・九%。二百九十人が生活保護申請しほぼ受給が決定した。今までは住所がないと生活保護の対象にならないと言われて拒否されたがそれを突破した。派遣村は現在も進行形だ。安心して働ける環境を作り出そう」。
 次にこの派遣村の村民だった人が証言した。
 「ゼネコンにいたが派閥問題でやめざるをえず、十二月三十一日、死を決意して富士に行った。テレビで派遣村を知り、ぼう然と立ち尽くした。派遣村にたどり着くとボランティアがやさしく対応してくれ、熱があったので病院に行った。派遣切りの人と話した。平等の目線で語り合っていかなければならないと思った。今は生活保護を受け、アパートも見つかった。心の中では村民と思っている。今後こうした村が出来たら、今度は自分がボランティアとなり、困った人を助けたいし、私のように発言できる人をつくりたい」。
 多重債務問題など早くから反貧困問題に取り組み、今回名誉村長になった宇都宮弁護士は「派遣村運動は全国で困っている人を励ました。今後は全国に広げたい」と語った。名古屋で支援運動を行っている司法書士の水谷さんは「トヨタ工場と多くの下請けのある愛知県ではこれからもたくさんの解雇が続くだろう。二日前に百三十人が生活保護申請をしに名古屋市役所に行ったが、居宅がないということで受付けを拒否した。そこに居座ろうとすると行政は警察を呼ぼうとした。派遣村を名古屋でもつくりたい」と報告した。

この力で派遣法
の抜本的改正へ

 第二部のシンポジウム。コーディネーターを棗一郎さん(日本労働弁護団)が行い、シンポジストは、湯浅誠さん(NPO法人もやい/事務局長派遣村村長)、三木陵一さん(JMIU書記長)、小谷野毅さん(全日本建設運輸連帯労組書記長)。

――派遣切りの実態を話してください。
 湯浅さん。「企業の使い捨て体質が明らかになった。雇用保険は自己都合だと三カ月待たなければならない。生活保護は一人で行けば追い返された。派遣村はすべり台社会に対して、上がっていくためのステップを作った。派遣村の外と内は紙一重だ」。
 小谷野さん。「公害と同じで今回の派遣切りは戦後最大の企業犯罪だ。大企業は一カ月先も読めていない。キャノンは十月に増産していたし、日野自動車は正社員の登用試験をやっていた。それで、いっせいに不況だといって十二月末で解雇、寮を追い出した」。
 三木さん。「十一月十七日、いすゞ自動車は千四百人の非正規社員に対して、休憩室に呼び出し解雇と十二月二十六日までに寮を出ていくことを通告した。被解雇者は怒りよりも住まいのことで頭がいっぱいだったと言う。次の日から有給休暇を取り、不動産屋を回った。しかし、アパートも借りられなかった。十二月四日、四人でJMIU労組を立ち上げ闘いを始めると、正月明けまでに寮から出て行ってくれとなり、今は三月末の契約満了までいてよいとなった。期間工について解雇は撤回し、契約満了時までとなった。退職者には七十万円の退職金を出すと希望退職をつのるような形となった。労働組合はすごいと評判がよいが、会社は派遣社員に対しては何もしていない」。

――キャノンなどには本工の組合があると思うが何をやっているのですか。
 いすゞ労組に対して質問状を出したが、解雇された労働者は組合員ではないのでコメントする立場にないという回答だった。日野自動車労組は冬の一時金を満額もらっている。正社員労組と対立することはなるべく避けたいと思うが、正社員が非正規のために何をやるのかが問われている。

――今後の支援活動の中身は?
 湯浅さん。「三月までに自治体にシェルターを作れと求めていく。と同時に、解雇をしている企業に対して、何もしていないで許されるのか、社会的責任を取れと追及していく。セーフティーネットの再構築、社会システムをつくっていかなければならない。成果を積み上げて全国へ広げられるか、これが問われている」。
 小谷野さん。「大分では自治体が県営住宅の開放やアパートの斡旋と敏感に動いた。流がガラッと変わった。百万円をカンパした人も現れたり、高校生が街頭募金をやった。こうした動きは全国で生まれている。一方で、税金を使って尻拭いをさせ、大企業は何もしていない。そこで一月六日に経団連に責任をとれと公開質問状を出した。トヨタでは期間工の寮ががらんどうになっている。キャノンでは借り上げている民間アパートが空いてしまっている。それを無償提供しろと要求したい。内部留保金を貯めている大企業にカネを出させることだ。また、大手労組は定額給付金を集めて基金にあてるなど考えられる。現実的には緊急立法によって、解雇予防のためにカネを出す仕組みをつくることだ。これを大きな社会運動としてつくろう」。
 三木さん。「大企業は自ら絶対に動かない。いすゞに対して雇用を守るように表明してほしいと何回も要望したが努力するとも言わない。自らの企業で派遣切りを出させない闘いをひとつひとつ積み上げてゆくことが大切だ」。

――労働者派遣法の抜本改正については。
 湯浅さん。「例外的に派遣法を認めてしまったがこれはやってはいけないことだった。この記憶を忘れないようにしたい」。
 小谷野さん。「九九年以前に戻す。派遣労働の実態を明らかにし、事実でひっくりかえす」。
 三木さん。「いすゞに対して損害賠償請求を起こし、法的責任を追及していく。派遣労働者が派遣先と団体交渉できる権利を勝ちとることが大切だ。労働者派遣法抜本改正のために、全労連、連合、全労協が大同団結しよう」。
 三木さんのこの提案に会場から大きな拍手が沸いた。
 次に「改正に向けての方向性」を中野麻美弁護士(派遣労働者ネットワーク)が行った。「労働者派遣法は制度的に破綻している。製造業派遣禁止では問題は解決できない。@派遣先の「みなし雇用責任」〜盗品から利益を受けるものを処罰しなければ窃盗や強盗はなくせないA登録型派遣の原則禁止と労働者の雇用安定確保B派遣元の独自性と雇用責任を全うできない派遣契約の締結禁止C派遣労働者であることなどを理由とする差別禁止と均等待遇保障D派遣労働者に機能するセーフティーネットを」。
 最後に、全労協の遠藤一郎さんが「派遣村運動の成果を今後の労働者派遣法の抜本改正に向けて、労働組合と市民運動が一体となって取り組もう」と閉会のあいさつと団結がんばろうを行った。盛りだくさんで熱気のある集会がこうして終わった。解雇をやらさず、労働者派遣法抜本改正を勝ちとろう。    (M)


京品ホテル強制執行阻止へ集会

地域住民も支援表明している
取りこわしなどさせないぞ

 一月九日、京品ホテル「強制執行阻止! ホテルの取り壊しをやめさせる」集会がホテルの大会議室で行われた。東京では久しぶりの雨が降ったために屋内集会となったが、主催の東京ユニオンをはじめとする労組と大勢の支援者、マスコミが集まった。会社側が昨年十一月に「立ち退き」仮処分を提訴し、十二月十七日に審尋が終了。年明けの七日以降に裁判所の決定があると考えて当集会が予定されたが、「立ち退き」決定が未定のまま集会が始まった。
 絶妙な語り口で知られる司会の島崎書記長から「自主営業開始から八十一日目となり、風船に乗れば世界一周できたところです」と、五万を超える支援署名が集まったことを受けて、長丁場となった職場占拠闘争にも余裕をみせた。
 全国ユニオンの鴨会長は「京品ホテルの闘いが全国的広がりをみせた」とし、「理不尽なものへは理不尽だと言わねばならないことを、この闘いがしめしているのではないだろか」と発言。日比谷公園の派遣村を引き合いに「派遣村でも社会に対して問題提起を行った。生きるため、働くため、力をたくわえるためにあの場へいた五百人の派遣切り労働者と一千七百人のボランティアが、(当局から)排除できない村を作ることができた」と闘いの正義と運動の前進を強調した。さらに「もし強制執行がなされても、最後まで闘い抜いて、京品ホテルの闘いが実は人間としての叫びであることを全国へ発信しなければならない! そうすれば全国のどこかで京品ホテルや派遣村のような闘いがさらにひろがっていく」と力をこめて訴えた。
 全労金の石田委員長は「京品ホテルの闘いを、八千三百人の組合員全員が支援していくことを確認してきた」と発言。さらにヘルスケア労協、日本赤十字労組、全日建労組などから共闘支援の発言が続いた。サービス連合の後藤さんは「ひと言で自主営業と言っても、その辛さは同業者でないと分からない」とホテル組合員の労をねぎらい、全国一般東京東部労組は「占拠は崇高な行為だ。支援を惜しまない」と連帯表明。そして世田谷区職労児童館分会の工藤さんは「小泉・竹中構造改革により、児童福祉の労働者自身が民営会社に委ねられ非正規化されつつある」と福祉行政の現状を説明し、官民一体で闘うことの重要性をアピールした。
 一方、東京管理職ユニオンの安部副執行委員長は、この間従事した派遣村行動のその後を報告。「収容した人たちのほぼ全員が生活保護を受けることができた」と述べ、「既存の制度でもきちんと適用すれば救済できるはずであり、それをしない行政の怠慢だ」と糾弾した。
 東京ユニオン渡辺委員長は「仮処分決定の遅れ」は闘いにとって有利であると考え、その分自主営業を続けられるとした。裁判官は社会正義としての「占有」と経営権侵害を秤にかけて苦渋しているが、最終的には立ち退き決定を予測する。しかし悲観はしていないと発言。理由はこうだ。「強制執行阻止の闘いが派遣村とリンクし、雇用問題が現在の社会問題への切り口」となる。さらに政治問題化する可能性もあるからだ。小林社長はホテルを売却することもできず当事者能力がゼロであり、仮に強制執行を行えばより問題が深刻化し社会性を帯びてくる。これも「自主営業をやめるつもりはない」という闘いの構造が、しっかり作られてきたからだと説明した。
 さらに「争議解決に向けて、強制執行には座り込みで対決する」方針を打ち立て、各組織へ支援を要請した。またこの争議では多くの地域住民が応援しているのも特徴だ。住民の方々には監視団をお願いしていることも明かした。強制執行が明らかになればホテル内での緊急記者会見を行い、この争議の「分かりやすさと確かさ」をすべての国民へアピールしていくとしている。
 最後に島崎書記長が「リーマン商法も派遣切りの企業も『合法だ』と開き直っている。しかしその合法のもとで、労働者の生存権が脅かされているではないか!」と声を震わせて糾弾し、集会参加者全員が団結を誓い集会を勝ち取った。
 この争議が貧困・解雇に対する全国的闘いの環となったことを、はっきりと確認しようではないか。全国からの支援を結集し、強制執行を断固阻止していこう! (かめ)


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