| 大阪法曹8団体が共同シンポジウム かけはし2009.1.12号 |
問われているのは労働者保護
のための派遣法の抜本改正だ |
【大阪】大阪の法曹団体のすべて(8団体)が共同主催し、大阪弁護士会の後援するシンポジウム「労働者保護のために、派遣法の抜本的改正を!」が、十二月十一日、エルシアターで開かれ、法曹関係者や労働者三百人が参加した。
開会あいさつをした森博行弁護士(連合大阪法曹団)は、このシンポジウムが、連合・全労連・全労協のすべてにかかわる八団体の共催であることの意味を強調し、民主党の歩み寄りのために、「現在上程されている派遣法案が国会を通過してしまうかもわからないという土壇場にきている。派遣切りが進行している現在、派遣法そのものが問われている」と述べた。
また、来賓あいさつをした大川一夫弁護士(大阪弁護副会長)は、「人権擁護の立場から、今回初めて後援することになった。大阪弁護士会も労働問題特別委員会をつくり継続的に取り組んでいる。相談無料の労働相談をやった。このような集まりは今後も継続してとり組むことが大切だ」と述べた。
派遣法が持つ
構造的欠陥
続いて、中野麻実さん(NPO派遣労働ネットワーク代表・弁護士)が、「労働者派遣法改正をめぐる問題点と課題」と題して講演をした。中野さんの講演の要旨は以下の通り。
労働者派遣法は、職業安定法四十四条の労働者供給事業禁止の例外として、許容できる一定の範囲に限定して労働者を派遣することを認めたもの。しかし派遣法は大きなミスを犯した。規制枠組みに違反した労働者派遣の関係者の契約上の責任を明文化しなかった。雇用安定のためには、常用型派遣しか認められないはずなのに、登録型派遣を認めてしまった。労働力の買いたたきに対応した法的保護を講じなかった。さらに、一九九九年法では、派遣対象業務を原則自由化した。そして、厳格な派遣期限をおき、その逸脱に対して派遣先の直接雇用責任規定を導入した。
対象業務の自由化は、労働市場での労働力の買いたたきの対象としてはうってつけで、その究極の形が「日雇い派遣」だ。規制の不十分な法律の欠陥は、膨大な偽装請負を生み出した。対象業務違反に対して派遣先に雇用責任をとらせるという制裁規定を置かなかったため、派遣先に雇用勧告をしようとすれば、対象業務規制をはずして、派遣を認めざる以外にないというディレンマを生じた。違法派遣に対する規制を厳しくするために、派遣業務の規制を緩和するのだという説明が大手をふった。このことは、今日の日雇い派遣対策でも変わっていない。
不可欠な基本設
計上の欠陥修復
@職業安定法四十四条及び労働者派遣法の規制枠組みを逸脱した契約関係を違法・無効にし、派遣先の労働者に対する「見なし雇用責任」を規定すること(期限制限違反、対象業務規制違反、許可届けのない派遣元からの受け入れ禁止規定違反、派遣労働者の特定目的行為禁止規定違反)。
A登録型派遣の原則禁止。これは合法化できない。例外的にあるとすれば、紹介予定派遣、妊娠・出産・育児介護休業代替などごくわずか。一定期間を超えて継続就労する場合は、派遣元での「期限の定めのない雇用」か、派遣先での「直接雇用」の扱いを可能とするルール化が必要。
B派遣元の雇用主としての責任を全うできない派遣契約締結の禁止。派遣先が派遣元を実質的に支配していて、派遣元としての自立性が認められない場合は、派遣元としての雇用責任を果たしようがない。このような場合は、職業安定法四条の労働者供給事業に該当すると考えられ、職業安定法四十四条違反である。
C派遣労働者であることを理由とする差別禁止・均等待遇保障。
性別・性的指向・年齢・障害・社会的身分・人種・国籍などあらゆる差別の禁止。均等待遇保障にもとずく商取引の規制を求める。
D派遣元によるマージン規制。
派遣元が派遣料金を買いたたいた契約締結を強いられ、それが派遣労働者の賃金・労働条件に転嫁される。そのため、さまざまな費用徴収も行われている。公正や観点からの規制が必要。一部屋五万円の部屋に四人の派遣労働者を住み込ませ交替で働かせて、一人五万円の部屋代を取っているケースもある。
政府の派遣法改正
案の隠された狙い
日雇い派遣禁止は見せかけだけだ。派遣元と派遣労働者の「日々、または三十日以内の期間を定めた」雇用契約のみを規制し、派遣元と派遣先の日々単位の派遣契約の規制はない。したがって、派遣先の「一日単位でのオーダー」は可能。結果としてこれまでと変わらない日雇い派遣が可能となる。
「登録型」から「常
用型」への転換?
現在、期間の定めを置きながら、「常用型」として届け出て、事業を営むケースが増えている。「登録型」か「常用型」かの見分け・区別があいまいになっているなかで、「常用型」への転換制度を設ける努力義務を置くというのが改正案の内容だ。「登録型」派遣に置いても、雇用継続への期待が法的に保護されるべきである場合が少なくない。そのような場合、期間の定めのない労働契約関係と変わらない法的保護がされるべきだ。それのないまま転換制度だけが一人歩きすると、「登録型派遣」を固定化する。
政府案は、特定目的行為の禁止規定及び優先的雇用義務規定の適用除外とすることでもって、「常用型派遣」の受け入れへと誘導することをねらっている。しかし、これらの規定を適用除外するということは、派遣制度の根幹を破壊するものだ。また、常用型派遣は「名ばかり」のものになっており、形式的には期間の定めを置かずとも、実質的には登録型と同じケースが多く、そうした常用型への転換をはかっても、派遣労働者の権利の保障には全くつながらない。
政府案は、抜本改正要求について真正面から応えておらず、問題を解決できるにたる規定にはなっていない。
講演の後、〇八年十月に行われた富山県での日弁連人権シンポジウムの報告が木村達也さん(日弁連人権シンポジウム実行委員長)からあった。
引き続いて、派遣で働く五人の労働者から実態報告があった。「登録派遣の労働者。仕事が突然キャンセルされても賃金保障はない。天引きについて質問したら、それには応えず登録抹消された。労基署に相談に行ったがそこでは解決できず、組合に入って団交し、払い戻しが実現した」。
「会社は登録するが仕事は来ない。間接雇用は耐えられない。派遣先で人間と見なされていない。仕事が終わると、派遣元から給料をもらうため、派遣先の社員からサインをもらうために何十人もの人が並ぶ。しかし、複数の派遣元から来ているから、お互いに給料については話をしない。派遣法は抜本改正ではなく、廃止すべきだ。(そうだ!の声)」。
「偽装請負で、社員から命令されて働いていた。時給千五百円、保険と有休なし。労災で三カ月休んだが、その間給料なし。請負は偽装しかない。派遣、期間労働者切りが横行している。自分らのことを、ティッシュペーパーと同じだ、と社員は言う」。
「血中鉛の濃度が上がる危険な仕事だった。社員は健康診断があるが、偽装派遣にはない。危険な仕事は派遣にやらせとけ、社員はしなくいい、と管理職。その後偽装派遣を告発した。直接雇用され、五カ月後に解雇された。派遣労働は、法律で禁じられている労働者供給事業だ」。
「市の臨時職員として働いている。初めは偽装請負だった。契約内容を変更しないと解雇だと言われ、直接雇用求めてユニオンに入る。派遣の競争入札に反対して無期限のストに入った。直接雇用でないから交渉義務はないと市当局。入札参加の十三社がすべて辞退したが、派遣契約切れで失業。この後、一年契約の直接雇用の臨時職員として採用された」。特別報告として、タイガー魔法瓶が派遣期間を超えている労働者の契約解除に対して、直接雇用を求めた裁判で勝利和解を勝ち取ったとの報告があった。
最後に、十二月六日に全国で一斉に行われた労働トラベルホットラインの報告では、中途解約相談が目だったこと、年末には大量のホームレスが出るのではとの危惧が報告された。
アピール採択の後、閉会のあいさつをした吉岡良治さん(自由法曹団大阪支部)は、「企業責任はどうなるのか、とにかく闘うしかない」と訴えた。(T・T)
京品ホテル闘争支援集会
立ち退き仮処分を全国の労働者の力ではね返そう
「解雇撤回・自主営業継続! 強制立ち退きを許さない12・24集会」が、品川駅前京品ホテル屋上で行われた。
全国ユニオンの鴨会長は、争議が「クリスマスまで迎えるとは予想できなかった」と語り、自主営業継続を確認することができて「よかった」と喜びをみせた。そして「立ち退き」仮処分が最大の攻防であると訴えた。
引き続き五十嵐弁護士が、この争議では@不当労働行為の申立て、A地位確認の仮処分、B建物退去仮処分が係争中となっており、@とAについては我々が先手を打ったと説明。結局「会社側は十二月五日にやっと立ち退き仮処分申し立てを行うなど、常に後手に回っている」とし、小林社長は売却先も定まらない土地建物売買を急ぐ理由を見出せずにいることを明らかにした。そしてリーマンショック以降いろいろなところで労働問題が起きているなか、労働者側の切実な問題を経営者側のエゴイステックな主張に対抗させて、裁判官へ突きつける意味でも画期的だと語った。
社民党福島党首をはじめ、カンパを持って駆けつけた中央労金労組の近藤委員長や、小田急バス労組有志、東京管理職ユニオン、なのはなユニオンなどからの支援アピールが続いた。また全国一般東京南部支部の中島書記長からは「同じ南部地域の組合として、この争議に心を寄せている。この闘いが勝利するならば、全国の労働者への朗報となるだろう!」と発言。
一月九日には、品川駅高輪口での支援集会が予定されている。多くの人たちの力で立ち退き仮処分をはね返していこう! (かめ)
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