| 貧困と環境破壊を加速する「自由貿易主義」 かけはし2008.12.8号 |
金融危機に促された「年内合意」声明
「保護貿易か自由貿易か」の図式を
超え「公正な貿易」めざす連帯を |
世界貿易収縮
という「悪夢」
十一月十四、十五日にワシントンで開催されたG20金融サミット、ペルーのリマで開催された同十九、二十日のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)閣僚会議、二十二、二十三日の同首脳会議を通じて、七月末のWTO(世界貿易機関)閣僚会議で決裂したWTOドーハラウンド交渉の「年内大枠合意」に向けた動きが急速に浮上している。
九月以後、アメリカを発火点に全世界に広がった「百年に一度」の金融危機と実体経済の危機が、WTOドーハラウンド妥結への流れを加速させている。十一月二十二日に発表されたAPEC首脳会議の「特別声明」は、「WTO多角的貿易交渉(ドーハラウンド)で大枠合意を来月(12月)に達成することを誓約(コミット)」し、十二月にジュネーブで会合することを閣僚に指示」することをうたっている。その一週間前の金融サミットが「大枠合意に向けて努力」とか「今後一年間新たな貿易障壁を設けない」という表現に止まっていたのに比べても、APECの特別声明は一歩踏み込んだものとなっている。
米国、日本、そして韓国や中国などアジア諸国、さらにメキシコ、ペルー、チリなどの中南米諸国までもこぞって「保護主義に反対」し「ドーハラウンド交渉を強力に支持する」と訴えたという。グローバルな金融危機が「世界貿易の収縮」に転化することに深刻な危機感を抱く各国首脳は、実体経済の危機を最小限に食い止めるためにも「WTOドーハラウンド交渉の年内妥結」という点で一致しなければならなかったのである。
妥結促進をあ
おるメディア
こうした立場は、あらゆるマスメディアでも共通している。例えば朝日新聞11月23日の社説は「一九三〇年代の大恐慌のさなか、各国が関税引き上げやブロック経済化に走り、第二次世界大戦へつながった」ことを再現させてはならない、「保護貿易主義の台頭を絶対に食い止めねばならない」としてこう述べている。
「農産品、鉱工業品などの貿易自由化を進めるために約一五〇カ国が交渉を重ねるこのラウンド(ドーハラウンド)は、01年11月に始まった。9・11テロの2カ月後だ。貧しい途上国へもグローバル経済の恩恵を及ぼすことで、テロの温床となる貧困をなくそうとの狙いからだ。その意義はいささかも色あせてはいない」「貿易障壁を取り除くことは、どの国にとっても国内産業への『痛み』を伴う。とりわけ景気後退のさなかだけに、政治的に難しい。だが逆に、多くの首脳が危機意識を共有している今こそ、合意する絶好の機会だともいえる」。
米国発の金融恐慌は、「ワシントン・コンセンサス」というグローバル資本主義の新自由主義モデルの破綻を完全に明らかにした。そしてこの新自由主義モデルの重要な核心の一つが、農産物・サービス貿易などの完全な自由化をうたい、小規模農民の農業基盤や公共サービスを破壊するWTO体制の枠組みそのものだった。今日の金融危機と結びついた食糧・資源危機、気候変動の危機などは、この「新自由主義モデル」のもたらす破綻そのものだった。「朝日」などのマスメディアは、一方で金融投機規制の必要を主張しながらグローバル経済が「貧しい途上国への恩恵」を及ぼすとか「『痛み』を伴う」改革の必要性など、小泉「構造改革」イデオローグたちの言説と一体化した「新自由主義モデル」にしがみついている。
「新自由主義か、さもなくば第二次世界大戦の惨禍をもたらした保護主義か」――こうした単純な二者択一の恫喝こそ「時代おくれ」なのである。ビア・カンペシーナ(農民への道)は多国籍アグリビジネスによる小農業の破壊に対して「食糧主権」を打ち出した。この立場こそ、今日の世界的な食糧危機や環境危機に抗する道である。それは「食の安全」や「地産地消」を掲げた、農民と消費者(労働者・市民)の連帯をめざす運動が追求しようとしている道筋でもある。
資本の移動の
自由に制限を
欧州諸国のATTACは「金融危機と民主的オルタナティブに関するATTACの声明 今こそ金融カジノを閉鎖しよう」の中で次のように訴えている。
「無制限の自由貿易や、資本の全世界的な移動の自由には制限を課さなければならない。商品・サービス・資本の国境を超えた移動を無条件に自由化する教条主義的なアプローチをやめ、差異に基づくアプローチを採用しなければならない。新しい国際的協定においては、これまでとは異なる目標、たとえば金融の安定、税の公正さ、社会的公正、持続可能性等を、資本・商品・サービスの自由な移動よりも上位に置かなければならない。そのような協定によって労働者の社会的権利や歴史的獲得物が脅かされてはならない。逆に、そのような協定は、競争ではなく国際的連帯を促進するものでなければならない」。(ATTACジャパン・ウェブサイトより)
金融サミット、APEC首脳会議による「WTOドーハラウンド年内妥結」のアピールにもかかわらず、各国首脳の「合意のポーズ」は形だけのものにとどまる可能性も大きい。危機の中での形式的な「一致」の背後には、帝国主義国間、そして新興国とG8諸国間の利害対立が広がっている。
しかし、WTOドーハラウンドを「屑籠」に投げ込むためには、民衆運動の圧力が決定的に重要なのである。ATTAC声明にあるような社会運動、民衆運動の「国際的連帯」によって、WTOドーハラウンドの「新自由主義的アプローチ」と決別し、公正と平等に基づく経済・社会システムへの転換をめざそう。討論、そして行動を! (純)
偽装違法派遣・不当解雇のパナソニックグループを提訴
人間として尊厳をもって生きたいと佐藤さん立ち上がる
日本最大の家電製造企業グループ・パナソニックに反撃が開始されました。パナソニック電工(旧松下電工)郡山ショールームで十八年間働いていた佐藤さんを、パナソニック電工の百パーセント出資の派遣子会社ABM(アロービジネスメイツ)は雇い止めし解雇しました。
彼女は、パナソニック電工の面接を受け一九九一年一月入社したにもかかわらず「社員としての登用も無くはないから」などと言われ、同年四月ABMへの転籍に応じ派遣社員として働き始めました。しかし、ABMは十八年弱に渡り派遣業務に該当する「事務機器操作の業務」や「インテリアコーディネイターの業務」の名目で偽装違法派遣を続け、直接雇用義務が生じているにもかかわらず、派遣のまま放置しました。違法派遣の安い労働者を使い続けたパナソニックグループ二社の責任は重大です。原告代理人の鈴木弁護士は「労働者派遣法で認められていない業種だから派遣契約は無効だとして、雇用関係の確認を求めた訴訟は全国的にも例がない」と述べています。佐藤さんの労働契約が期限の定めのある契約であったとしても、多数回契約更新を繰り返している場合解雇となり、合理的理由のない解雇は解雇権の濫用として禁止されています。必死に働いてきた労働者を使い捨てにするパナソニックグループは、人間に優しい環境技術を喧伝し、省エネを売り物にしているが、すべての元である人間を使い捨てにして造る製品が、人間にやさしいものだろうか?
十一月十三日福島地裁郡山支部に「パナソニックの偽装違法派遣・不当解雇撤回と直接雇用を求める」訴状が提出されました。
所属組合である全国一般宮城合同労組と会社所在地と住居のあるふくしま連帯労組は、この闘いを全面的に支援するため共同して闘うことを決定しました。又、福島県では佐藤さんを支援する会の準備がすすんでおります。
今こそ、派遣法のもとで労働者の権利が否定され、長年一生懸命働いてきても簡単に使い捨てにされ、企業だけが生き残る、日本の国の在り方を変えなければなりません。この格差社会を無くすには派遣法廃絶と直接雇用義務を法的に強制してなくことです。
いかなる、巨大企業といえども違法・脱法行為をわたしたちは許すわけにはいきません。
全国の労働者のみなさん、このパナソニックグループへの闘いを是非ご支援ください。
「パナソニックに解雇撤回・直接雇用を求める佐藤さんを支援する会」準備会
b連絡先 郡山市朝日1―20―8―101
bTEL/FAX 024―932―8059
be-mail rentaiun@gmail.com
(文責「佐藤さんを支援する会」準備会 宗形修一)
パナソニックの偽装派遣を告発し直接雇用を求める原告からのメッセージ
2008年11月24日
私は約18年間パナソニック(旧松下)電工のショウルームで、アドバイザーとして働いてきましたが、松下がパナソニックに社名変更する大キャンペーンを行っている最中、パナソニック電工グループから雇止め解雇され失業の身となりました。
私が所属していたのは、パナソニック電工の完全子会社である派遣会社(ABM)です。元々は社員として採用されたのですが、会社の都合で転籍させられました。そしてまた突然にグループ内別会社(HEG)への転籍を求められ、提示された労働条件は月額賃金で4割の賃下げと6ヶ月単位の契約というものでした。そして「仕事は今までと全く同じ。一切の条件交渉はしない。答えは残るか残らないかだけでいい」と通告されました。
私は労働組合に加入し、団体交渉を申し入れて交渉を始めました。しかしパナソニック電工グループは、私をダマしこの最中に「転籍拒絶・雇止め解雇」を決定し強行したのです。
ショウルームの仕事は見た目以上にハードで、お昼の休憩もまともには取れず、夜の10時頃まで職場にいることも当たり前のような生活でした。それでも仕事が続けられたのは生活を守りたかったのと、ショウルームの仕事が好きだったからです。仕事に誇りを持っていました。でも「派遣先が無くなったので契約満了です」の一言で、いとも簡単に全てを奪われました。
私は自ら〈登録〉した覚えはありませんが、パナソニック電工は私に「登録型派遣だといつでも切れる」と言いました。
しかし、「ハケン」も人間です。18年近くも同じ職場の同じ部署でずっと同じ仕事を続けているので、私はこの仕事を定年まで続けるだろうと思っていましたし、生活設計も立てていました。会社が私によこした「離職票」には、自己都合退職のように書かれていましたが、異議を申し立ててハローワークで会社都合に更正してもらいました。
「派遣」の前提は「一時的・臨時的」仕事ですが、私が18年間も同じ仕事をしていた事実こそが「一時的・臨時的」仕事では無いことを何よりも物語っています。また私の仕事はショウルームアドバイザーですが、雇用契約書の業務内容には長い間〈事務用機器操作〉と記載されていました。そもそもショウルームアドバイザーの仕事は、派遣では許されない仕事だったので、会社は業務を捏造したのです。そのことを知ったのは仕事を失ってからでした。
私は、11月14日福島地裁郡山支部に「業務偽装による違法派遣」で、派遣契約そのものが当初より無効であり「親会社であり派遣先であるパナソニック電工との間に黙示の労働契約が存在する」として地位確認を求めることを中心に3社を提訴しました。
毎日のように、期間工や派遣労働者の解雇が報じられていますが、今の派遣労働者には、自らを守るすべも、対抗するすべもありません。会社の経理上では派遣労働者は、「人」では無く「モノ」扱いです。そして企業の都合だけで簡単に切り捨てられます。
こうした状況でも派遣労働者の異議申し立てはわずかです。派遣法が労働者保護法ではないうえに、強い強制力を持たないからです。
私はモノではなく人間です。家庭を持ち、子供を育て、希望を持って生きる権利があります。
私の生活はこれからも続きます。
私は東北拡販キャンペーンで連続1位でした。パナソニックのため一生懸命働いてきました。
私はパナソニック電工に、直接雇用を求めます。
今すぐ私をショウルームに戻してください。
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