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裁判員制度はいらない! 大運動            かけはし2008.12.8号

09年5月実施にNO!の訴え
国民動員システムはごめんだ



制度を廃止に
追い込む決意

 来年五月に実施が迫る裁判員制度に反対する集会が二十二日、東京・永田町の社会文化会館で開かれた。六百四十人(主催者発表)が集まり、制度を廃止に追い込む決意を新たにした。
 集会の主催は「裁判員制度はいらない! 大運動」。全国一斉行動の一環として弁護士が呼びかけ、作家やジャーナリストなど多数の著名人が賛同している。
 最初に交通ジャーナリストの今井亮一さんが開会のあいさつ。「制度の実施を前に政府は広報に懸命になっている。しかしこの八月にはかつて賛成していた社民・共産党が実施延期を求め、民主も同調している。この制度は私たちが参加しなければ成り立たない。全国で反対運動が展開されている。今日の集会を成功させよう」。
 新潟弁護士会の高島章さんは、広島大学教授で憲法学者のKさんが、カトリック信者であることから死刑の立会人を経験し、以来体調を壊しているという事例を紹介。「全国の弁護士会で制度延期の決議があがっている。私も議員など、さまざまな人脈を使って制度廃止をめざす」と話した。

 玄侑宗久さん(作家・臨済宗福聚寺住職)のインタビュー映像がスクリーンに映し出された。仏教も神道も、罪人を裁くことには関心を持たなかった。国民の「人を裁きたくない」という感情は、日本人のなかに残った最後の美徳だ。仏教でも最高の罰は破門。追放されるだけで、別の世界で生きていける。そもそも、人は人を裁ける存在ではないのだ。イエスは、「人を裁く人間は、罪を犯していてはならない」と言った。百姓一揆などが為政者にとっては「罪」であっても、民衆にとってはヒーローであり、両者の共存にこそ、世界の深みがある。
 裁判員制度によって裁判官と市民に裁かれると、被告は逃げ道がなくなってしまう。「市民が決めた」判決に、ケチがつけられなくなってしまう。玄侑さんは静かに、そして力強く制度を批判した。
 高山俊吉さん(弁護士)の司会で、シンポジウムが始まった。パネリストは漫画家の蛭子能収さん、元小学校教員の森本孝子さん、地域ラジオ放送のパーソナリティ吉沼紀子さん、都内町会長藤原隆男さんの四人。高山さんは、著書の鋭く厳しい分析とは裏腹に、ユーモラスで穏やかな、落ちついた語り口が特徴だ。「昨今の刑事裁判について蛭子さん、ひとこと言いたいでしょう」と切り出すと、会場は笑いに包まれた。

人を裁くこと
のおそしろさ

 「最近売れなくなったが、残った人生を自由に生きたい」という蛭子さんは、「賭けマージャン」で現行犯逮捕された経歴がある。マージャンをしたのは新宿歌舞伎町だが、取調べは碑文谷署で行なわれた。検察官とのやりとりではまったく要領を得ず、彼らは警察の主張を繰り返すばかりだった。
 蛭子さんは「あんな安いレートで逮捕されることなんて納得できない」と憤慨。結局裁判所への罰金刑で終わったが、逮捕されてからテレビの仕事がぱったりと止まり、そのことのほうが脅威だったという。通行人に石を投げられたり、自宅の玄関に糞を置かれたりもした。「芸能人は、怒ってキレる市民が恐い。彼らの感情にいつもおびえている。そんな人が裁判員になって人を裁くことが恐ろしい」と神妙に語った。
 昨年まで小学校教員として勤め、「石原ババア発言」の原告として裁判を闘う森本さん。東京・荒川区では「平和憲法を守る荒川の会」の共同代表も担う。教育基本法改悪以降、教育現場にかけられている攻撃の数々を紹介した。
 「地域の仲間の発案で裁判員制度の学習会を開催した。それ以来この制度がとんでもない代物であることを実感している」。「文科省により、次期学習指導要領にすでにこの制度が書かれている。子どもは未来まで縛られている。愛国心教育で戦争に駆り立て、仕事がない若者たちには軍隊への勧誘が待っている。それ以外の人々には、裁判所への召集で戦争司法へと慣らされる。国家動員の道ができあがっている」。「『平和ボケ』は、ある意味では人を殺さなかったことの裏返しで素晴らしいことだ。死刑存続派が国民の八割だというが、タレントらが犯罪報道で軽々しく『死刑』を連発している。『悪い奴、敵は殺せ』と大合唱している。そんな『常識』は、メディアによって作りだされている」と厳しく批判した。

にぎやかに反対
訴えるデモ行進

 『葛飾FM』の吉沼さんは、高山弁護士をゲストとして番組に招いた。忙しい人々は小さなラジオ番組になかなか反応しない。地元では模擬裁判も行なわれたが、制度の複雑さにさまざまな意見が出たという。
 都内の町会長・藤原隆男さんは戦争を経験したかつての愛国少年。自宅周辺には震災を免れた古い町並みが残り、中小零細家内工業が軒を連ねる。自身も自営業で生活している。裁判員制度については地元学校長・教頭、町会レベルで学習会や議論を繰り返した。「反対、迷惑である」との意見が圧倒的だったという。「徴兵で苦労したうえに、裁判に強制動員されるなんて、絶対反対だ」と怒りをあらわにした。
 政府は第十七代最高裁長官に、竹崎博允(ひろのぶ)・東京高裁長官を起用し、竹崎は十一月二十五日、就任した。
 最高裁長官は現職の最高裁判事の中から選ばれることが慣例だが、彼ら十四人の判事を飛び越える、極めて異例の人事である。 竹崎は裁判員制度の導入に向けて、積極的に動いてきた人物。最高裁での就任会見で、裁判員制度について「大きな意義を持つ半面、大きな国民の負担を伴う。刑事裁判の本来の機能と国民の負担軽減の二つを考慮しながら、司法への国民の理解と信頼を深めていきたい」などと語った。(26日・毎日新聞)実施までの具体的な課題として、裁判官をはじめとする法曹三者の技術レベル向上と裁判員の柔軟な選任をほのめかした。すなわち、何が何でも候補者を寄せ集め、制度を定着させる方針なのだ。
 締めくくりの行動提起をした佐藤和利さん(事務局長)は、「いいじゃないですか、相手がその気なら、受けてたちましょう。やってやりましょうよ」と意気込みを語り、集会を締めくくった。
デモ行進は、青山通りを西へ歩き、赤坂見附〜溜池山王〜虎ノ門 〜新橋〜数寄屋橋〜東京駅〜常盤橋公園という、全長約五・七キロにもおよぶ長距離コース。参加者は色とりどりのノボリやパネルを手に、沿道に人々に訴えた。
 「仕事のじゃまをするな、休めない人はどうする」「国民を裁判の飾り物にするな」「死刑判決を強制するな」「裁判員制度 絶対反対」。
 力強いシュプレヒコールが、夕闇せまる都心に響き渡っていた。   (S)




投書
Aさん事件はえん罪だ
結城守保(元小田急労研)

 来る十二月十六日横浜地裁で、神奈川Aさん裁判の判決が出る。Aさんが不当逮捕されたのは二〇〇六年十月二十四日である。私はこの日、週刊政治新聞「かけはし」編集部の一人であるKさんから逮捕を聞いた。
 翌十月二十五日、私が予想した通り神奈川新聞に次のような記事が出た。「住所偽った疑いで活動家逮捕 県警公安三課と小田原署は二十四日、免状不実記載の疑いで、小田原市、日本革命的共産主義者同盟活動家のA(48)を逮捕したと発表した。調べでは、Aは九月一日、実際には居住の実態がないのに鎌倉市内に住民登録して住んでいると偽り、鎌倉署で運転免許証の更新手続きをした疑い。調べに対し黙秘しているという」。
 新聞記者は県警に言われたように書く。
 神奈川県警の狙いは、「Aは日本革命的共産主義者同盟員である。逮捕した」を、報道することにあった。新左翼に人権なし。憲法違反である。一年間の裁判経過を振り返ってみよう。弁護団とAさんは「こんな人権侵害許さない」で徹底的に神奈川県警を追い詰めた。裁判官からも相次ぐ疑問が出された。裁判官「免状不実記載が逮捕しなければいけない理由と判断したのはどうしてですか」。県警佐藤「それは捜査上のことなので」。こんなの証言とは言えない。人身の自由と思想・信条・良心の自由は、市民的自由として 人類が二百年前勝ち取ったもの。日本国憲法でも、三十一条から四十条まで人身の自由を規定している。
 逮捕から三日後の十月二十七日、私は小田原署でAさんに面会した。その時感じた、 「後日Aさんから県警批判されたら、公判維持は難しい」であった。今その通りだ。
 ここで私はAさん逮捕時を検証しておきたい。神奈川県警がAさんを逮捕したのは早朝。二十人余でAさん宅に押し掛けた。Aさんが「小田原に住んでいて、鎌倉で運転免許証更新したのは問題」、免状不実記載罪。不当逮捕した。拘留はなんと十日間だった。この種のものとしては最高である。警察が「事件」を作ってしまったのである。こういうのを「えん罪」という。
 私は二年前に亡くなった著名な法学者、渡辺洋三氏の『日本国憲法の精神』P87を引用したい。えん罪について次のように言っている。
 「誤判事件の最たるものは、列車転覆事件として有名な松川事件です。これはアメリカ占領下の一九四九年に日本共産党を弾圧するために仕組まれたもので、『世にも不思議な』物語として、今にいたるまで真相あきらかではありません。共産党と見られるたくさんの労働者が逮捕され、初めは死刑を含む有罪判決となりました。これに対して、百万人以上の人が抗議し、
全国的な国民運動の中で、やっと一九六三年に全員無罪を勝ち取りました」。
 「松川事件は、このように共産党弾圧という政治事件がらみのえん罪事件です」。 神奈川Aさん事件は、新左翼弾圧というえん罪事件です。(11月26日)

b国賠判決公判
・12月16日(火曜日)・判決公判 午後1時10分 民事6部503法廷

●判決報告会 川村、内田弁護士から地裁判決評価・解説
・12月21日(日)、午後2時から
・場所 コア・いけぶくろ(豊島区民センター)・第7会議室(5階)(JR・地下鉄池袋駅東口下車 徒歩5分)


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