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「施設入所」を強要するな!               かけはし2008.12.1号

野宿からの生活保護申請を認めよ

台東福祉事務所保護課追及行動
行政の差別的対応を許さない
すべての人に居住権の保障を


生活保護集団
申請行動の展開

 十一月五日、野宿から生活保護申請をした人々に対する不当で差別的な対応を行った台東区福祉事務所保護課に対する追及行動が行われた。
 午後一時、午前中の新宿裁判傍聴行動を終えた多くの仲間や、法律家の人々、支援に駆けつけた仲間など約六十人が台東区役所横の小公園に集まった。
 昨年十二月の隅田川キャンプアウト行動以降始まった生活保護の集団申請行動ではすでに二百人を越える仲間が墨田区、台東区で生活保護を取得している。
 野宿状態で生保を取得しようとすると施設への入所を強要される。しかしホームレス総合相談ネットワーク法律家の人たちがそれはおかしいと動き始め、居宅での保護を勝ち取っていった。山谷労働者福祉会館でもそれに学び、居宅での生保を取得したいという仲間たちと話し合い、学習し、支援の体制を広げ、キャンプアウトから集団申請の行動を開始していった。
 当初はやはり「野宿の人は施設に入ることになっています」という対応であったが、仲間たちはそれを断固拒否し、山谷のドヤで生保を取得し、そこからアパートへ移るという流れを作っていった。
 生活保護法では生保の申請から二週間以内に審査を行い、決定しなくてはならない。
 決定を受けて申請日にさかのぼって生活保護費は支払われる。しかし住居のない野宿の仲間はそれまでの居場所がない、それが「施設に入れ」の根拠のひとつとされてきたわけだが、集団申請においては審査中のお金を仮払いさせてドヤに入り、そこで決定までの待機期間を過ごすというやり方を採った。
 越年闘争あけの第二回の集団申請まではかなり執拗に「施設に入れ」と言ってきたが、それ以降は九月の集団申請まではこの方法がほぼスタンダードとなった。
 今年一月二日に起きた練馬区関町の「さくらハウス」の寮長殺害事件によってこのような施設のひどさが浮き彫りになってきたことも大きかった。
 ドヤに入ってからはそこでしばらく生活を落ち着け、体の悪い仲間は体を直し、自分でアパートを探して引っ越す。すでにアパートに移った仲間も多く、中には仕事を見つけ自立をした仲間もいる。

野宿者にのみ
面接人数制限

 しかし、十月二十七日の集団申請で台東福祉に向かった三十三名の仲間に待っていたのは悪夢と言っても良い対応だった。
 「面接するのは一日に十人まで」そして「みんな施設に入ってもらいます」と言うもの、十人で「制限する」というのは全く不当であり、不法である。一般の申請者は受け付けているのであり、野宿者のみを差別して別の処遇にしているのだ。
 申請者の中には高齢の仲間や、体の弱っている仲間もおり、(事実、面接を後日に回された仲間の中には結核で病院へ収容された人もいる)急迫性があるのかないのかは少なくとも判断する必要性があるはずなのだ。
 「じゃあ今晩どこに寝れば良いんだ」という仲間に対しては「どこへでも好きな所にどうぞ」とまで言い放った。これが福祉事務所の対応だろうか。一方で区役所はガードマンを雇い区内の公園を二十四時間くまなくパトロールさせて野宿出来ないようにしているのである。
 仲間たちは朝の九時から夜の九時まで約十二時間福祉事務所に座り込んで闘った。夜になってからは福祉事務所の職員はなんと全員帰ってしまい、ガードマンと事情の良くわかってはいないらしい区役所の他の部署の人間がピケットを張っているという有様だった。
 この日の夜から行き場のない仲間たちを中心に区役所横の小公園で野営の闘いが始まった、ブルーシートの上に布団を並べ、その上に昨年のキャンプアウトで使った「全ての人に居住権を!!」という大横断幕が広げられた。
 断固として野宿状態での申請でがんばるという数人の仲間、少しお金があるのでドヤに泊まってそこを居住地として申請をするという仲間を除いて多くの仲間は福祉の強要した「春風寮」「銀泉閣」「綾瀬寮」などの緊急宿泊施設に入らざるをえなかったが、福祉事務所では声を掛け合い、日曜日の共同炊事には一堂に会して共に闘っていった。
 仲間から聞く「施設」のひどさは予想以上だった。「八人部屋で、けっこう汚いよ」「風呂は一人十分と決まっている、モタモタしているとうるさいんだよ」刑務所でも十五分であるから刑務所以下だ。これが「福祉」の名に値するのか。

「水際作戦」
を認めないぞ

 五日は公園で簡単な打ち合わせを行ったあと、福祉事務所へ移動し、一人の仲間が面会票を出し面接室へ、そこへみんなで移動し、話し合いを行おうとするが「ドアを閉めろ、閉めなければ面会はしない」と相談室から出て行ってしまった。相談室では四人ぐらいしか入れないのでドアを開けてみんなにも聞こえるようにしようとしたが聞き入れられない、では他にもっと大きな部屋を用意しろと言うのだがこれにもなしのつぶて、一切の話し合い拒否の姿勢である。
 仕方がなく全員でロビーから事務所に移動し、話合いに応じろ!と迫るが、さっきまでいたはずの福祉課長は逃亡している。代理の人間を呼び出し、ホームレス総合相談ネットワークの法律家が用意してきた「意見書」を読み上げて手渡す。
 この意見書は五十一人の弁護士、司法書士が賛同署名をしている。渋々受け取るがあまりにも不真面目な態度にみんなの怒りが爆発する。
 その後、五人の仲間の面接を見届ける、「野宿だと保護の決定開始が出来ない」と繰り返すのみ、「五日にはドヤに移す」とケースワーカーから約束を取り付けていた仲間も春風寮に引き続き残されることになってしまった。これに対しては直ちに「保護変更申請書」をたたき付ける。夜八時半より区役所横の公園で野営体制に入っていった。
 緊急宿泊施設に入った仲間たちは約二週間で居宅での保護に移る見込みであるが、これも確定的ではなく最後まで見守る必要があるし、何よりこのようにしてふるいにかける台東福祉の「水際作戦」を絶対に許してはならない。まだまだ闘いは続く、今後の展開に注目と支援を。   (板)
 十一月二十八日には「さくらハウス事件」から貧困と生活保護を考える11・28集会が行われる。ぜひご参加を。
*「さくらハウス事件」から貧困と生活保護を考える11・28集会
*11月28日(金)午後6時30分
*セシオン杉並(丸ノ内線「新高円寺」ないしは「東高円寺」徒歩5分)
*なぜ事件は起きたのか/宿泊所アンケートの結果/弁護団からの報告など




新宿ホームレス生活保護裁判
「稼働能力不活用」を理由に生活保護申請却下した新宿区

不当な保護行政
を是正しよう

 十一月五日、新宿ホームレス生活保護裁判(新宿七夕訴訟)の第二回口頭弁論が東京地方裁判所民事第二部522号法廷で行われた。傍聴席は、各地域の支援の仲間たちで満席だ。
 この裁判は、野宿生活を余儀なくされていた横山正美さんが新宿区福祉事務所にアパートでの生活を求めて生活保護を申請したところ、二度にわたり「稼働能力不活用」などを理由に却下されたことから、却下処分の取消しと保護開始決定の義務づけを求め提訴した。新宿区の野宿者たちに対する差別対応を許さず、不当な生活保護行政の是正を求める闘いだ。 生活保護法は憲法二十五条に基 づいてすべての生活困窮者に対し「健康で文化的な最低限度の生活」を保障することを行政に義務づけている。しかし、野宿者への生活保護制度の適用を差別し、排斥が強まっている。生存権保障の実現をめざし、反貧困運動の取り組みを強めていこう。

申し立てを却下
した東京地裁

 経過を紹介しよう。原告の横山さんは、「ホームレス総合相談ネットワーク」の法律家、支援者らとともに生活保護申請をしようと新宿区福祉事務所の窓口を訪れた(6月2日)。ところが相談員は「生活保護ではなく仕事をすることを考えろ」「他方他施策が優先するのだから」「あなたは働けるだろ、働く努力をしろ」などと差別対応を繰り返し、緊急一時保護センター等への入所をすすめ生活保護申請を受け付けようとしなかった。さらに、安定した仕事も住居もないのに住宅費や生活費の貸し付け制度も利用させようとしてきた。再三にわたる申請のうえで受理したが、結局、「稼働能力を活用していない」という理由で生活保護却下を強行した。
 横山さんは、このような暴挙を許さず、弁護士と支援の仲間とともに、七月七日、新宿区を相手に「1、生活保護開始申請に対する却下処分の取消し 2、生活保護開始決定の義務づけ及び生活保護費の支払い 3、仮の義務づけの申立て」を行った。
 八月十四日、地裁は「仮の義務づけ」の申し立てを却下。その理由は「稼働能力があるにもかかわらず、それを活用して就労自立しようという真摯な努力をしていない」「自立支援センターという就労支援や稼働能力を活用できる場があるにもかかわらず、それを十分に利用しなかったり、仕事を自分の都合で辞めるなど、自ら路上生活に陥いることを選択した」などと新宿区の主張を繰り返したものだった。自己責任論で門前払いしたのだ。なおこの判決によって都内の各福祉事務所はホームレスであるという理由だけで徹底的な水際作戦を強化していく傾向を広めている。

板橋区で即日
保護かちとる

 横山さんは、支援と相談のうえで八月二十五日に板橋区に生保申請することになった。ねばり強い申し入れと交渉によって板橋区は、「要保護性があり、緊急性が高い」ということで即日保護を決定。また、八月分の保護費も受け取ることができた。なんと新宿区の対応と違うことか。あらためて新宿区の生活保護行政の酷さを証明したのである。
 すでに第1回口頭弁論は、九月十日に地裁で行われた。原告弁護団は、宇都宮健児団長ほか二十九人で結成されている。第二回裁判後、ホームレス新宿訴訟弁護団の主催(弁護士会館)で報告集会が行われた。協力がホームレス総合相談ネットワーク、東京新宿ホームレス訴訟弁護団、横山さんと全国の仲間たちを支援する会 。
 弁護団から@新宿福祉事務所への生活保護申請に至るまでの経緯A生活保護申請却下処分から本案提訴に至るまでの経緯B本案提訴に関する弁護団報告および訴訟活動の見通しについて報告があった。続いて、横山さん、宇都宮弁護団長から挨拶が行われ、参加者全体で裁判勝利にむけて奮闘していくことを確認した。
 第三回裁判は、〇九年二月二十日(金)、東京地裁民事二部103大法廷で行われる。      (Y)


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