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東京都「大規模テロ災害対処訓練」            かけはし2008.12.1号

自衛隊の「対テロ」戦争演習だ



連続爆破テロ
事件の筋書き

十一月十日、東京都は、江東区の東京ビッグサイトで二〇〇六年二月に策定した東京都国民保護計画に基づいて「大規模テロ災害対処訓練」と称する戦争軍事訓練を強行した。訓練は、警視庁、東京消防庁、自衛隊、海上保安庁、深川消防団、日本アイソトープ協会、 東京DMAT、日本原子力研究開発機構、住友金属物流など約千人 が参加した。訓練シナリオを見れば、その実態は明らかに対テロ軍事訓練だ。
訓練目的のストーリーはこうだ。「国外から放射性物質セシウム137が不法に持ち込まれたという情報がもたらされ、捜査機関が捜査中に、東京都近県において連続爆破テロ事案が発生した。この事態を受け国民保護法に基づく緊急対処事態が認定された直後、警戒強化が実施されているイベント会場において事案が発生」したというのだ。
 そのうえで「武装集団の制圧訓練」場面では、「銃器部隊及びレンジャー部隊投入による武装集団」の制圧、すなわち自衛隊先鋭部隊の投入だ。 さらに、「放射能爆弾の対処訓練」では、自衛隊・ 消防・警視庁などによる「ロボット、ヘリ、特殊車両を活用した放射線危険区域の設定」「被害者の救出救助・除染の実施」 「二次汚染防止のため、放射線体表面測定車による確認検査 」などを行った。

都が市民の監
視行動を妨害

このような戦争訓練に抗議するために「米軍・自衛隊参加の〇八年東京都防災訓練に反対する実行委員会」は、午前十時四十五分から開始する訓練を監視するために会場受付に参加申し入れを行った。
 ところが警視庁公安政治警察三十人が監視部隊を取り囲み、妨害といやがらせを行ってきた。都の責任者は、「受付時間が終了している」などと急きょデッチあげた理由で参加拒否の対応を繰り返してきた。
監視部隊は、都と公安警察が一体となった妨害に抗議し、都庁に移動した。昼休み時間帯の都庁前で「大規模テロ災害対処訓練」への抗議ビラを配布した。
 その後、都防災課に対して「『大規模テロ災害対処訓練』への抗議・申し入れ文」(別掲)の提出とともに、監視行動妨害の抗議をして本日の行動を終了した。 (Y)

「大規模テロ災害対処訓練」への抗議・申し入れ
東京都防災部・国民保護担当殿


 東京都は本日、「大規模テロ災害対処訓練」(国民保護実動訓練)を実施した。
 私たちは、一貫して米軍や自衛隊が関与する東京都総合防災訓練に反対してきた。その理由は、住民を「軍」が関わる訓練に動員することで、有事訓練=戦争協力への動員につながることを危惧してのことである。しかしながら2005年以降、各自治体に「国民保護条例」が制定され、「国民保護計画」が策定され、「実動訓練」が開始されるとともに、その危惧は現実のものとなった。
 なぜ、国民保護実動訓練が問題なのか? それは自然災害を想定した防災訓練と異なり、想定するのは「武力攻撃事態」であり、当然「敵」の存在が不可欠である。保護すべき国民の一方で、鎮圧・制圧すべき「敵」がいなくてはならない。これまでの東京都の実動訓練を振り返ってみれば、06年11月(池袋)では、大規模集客施設などで「同時多発爆弾テロ、サリン」が、07年11月(大井競馬場)では、野外施設で「放射能爆弾テロ、 VXガス」が、さらに、08年4月(丸ビル、都庁)では、「同時多発爆弾テロ、テロ警戒対応」といずれも、国籍も正体も不明な「テロリスト」が、無差別テロを起こすという荒唐無稽な設定での上で、洞爺湖サミットがターゲットにされているというものだった。
 問題は、あたかもサミットに反対する勢力が、テロを起こすという恐怖心を地域住民に植え付けることで、特定の政治的意図を押し付けるなかで、戦前の「隣組」「自警団」が 展開されるのである。
 そして、実動訓練の初めの頃は、各地とも地域住民の「避難・誘導」や、負傷者の「救 出」(トリアージ)「除染」(サリンやVXガスに対応して)がメインに据えられ、本来「武力攻撃事態」に対応するべき「鎮圧・制圧・捕捉・摘発・追跡」といった側面は、出 てこなかったのだが、ここへきて、徐々に現れ始めている。今日のプログラムでも、「銃 器部隊及びレンジャー部隊投入による武装集団の制圧」がメインの一つに明記されている。この訓練を担い、協力し、動員される都職員、住民も関与することになる。
 さらに最大の問題は、そもそもこうした有事訓練は、「テロとの戦い」を名目とした米国主導のイラク、アフガニスタンへの「武力攻撃事態」にあって、日本が自衛隊派遣や給油活動を含めた追随・協力することで、要請されているのであり、「テロの脅威」をつくりだしているその責任は、日本政府の側にあり、自治体は、そうした戦争協力に対しては、毅然とした態度をとるべきである。東京都は、こうした有事訓練の実施を中止し、私たちの懸念・疑問にこたえる場を設定することを要求する。
                              2008年11月7日
米軍・自衛隊参加の08年東京都防災訓練に反対する実行委員会




郵政民営化監視市民ネット
投機ゲームの破綻―今こそ
社会的金融システム確立を


 十一月七日、郵政民営化を監視する市民ネットワークは「郵政事業民営化一周年 崩壊する世界の金融市場 社会的金融システムの確立を」をテーマに「郵政(貯金・保険)金融事業の現状とその社会的再生を考える市民集会」を、東京・神田公園出張所区民館で開催した。この集会には郵政ユニオンの組合員や関心を持つ市民らが参加した。
 郵政民営化の実施から一年、米国発の金融危機が全世界に広がり、世界中を大混乱に陥れている。この事態は「官から民へ資金の流れを変える」をキャッチフレーズに、投機市場に郵貯・簡保資金を投資することを呼号してきた小泉のブレーン・竹中平蔵らの主張の根拠を完全に破綻させてしまった。「郵政民営化」の最大の目的は、まさにバブルへと帰したのである。この日の集会は郵貯や簡保の資金をマネーゲームの賭金としてではなく、庶民の暮らしのためのツールとして再設計・再構築していく方向を探る目的で準備された。
 メインの報告者は第一生命の元社員で、生保問題研究家の保坂忠史さん。保坂さんは労働者の立場から保険制度に関して多くの発言を行い、定年退職後の現在は「働くもののいのちと健康を守る山梨県センター」事務局長をつとめている。
 保坂さんは郵政事業民営化による郵貯、簡保の危険を次のように指摘した。
 第一は、政府保障がなくなった危険性である。第二は、所管官庁が金融庁に移り、保険業法で商売が行われることにより、簡保の長所とされてきたものがなくなったことである。第三は、特定郵便局など店舗網の維持は三事業(郵便、貯金、簡保)の一体化でのみ可能であるにもかかわらず、それが分割され、コスト経営で郵便局窓口が減少、ATMが削減されたことなどにより発生する問題である。第四は、未熟な資金管理能力である。二〇〇四年七月の段階で、国債投資は郵貯で九十八兆円、簡保で五十三兆円、計百五十一兆円、全体の二七%に達していた。この過大な国債購入は「国債暴落」という時限爆弾を抱えている。しかし、資産運用部門はわずか七十人のスタッフしかおらず、きわめて貧弱である、ことなど。
 保坂さんは、郵政現場でもうつ病などが広がっているのと同様に、大手生命保険労働者の中でも頸けい腕症候群などの職業病が多く発生し、三十五年前から交流会を開催して職業病をなくすための活動を続けていることも紹介した。

仏郵政民営化
反対闘争報告

 質疑の後、来日中のフランスの戦闘的労働組合SUD―PTTの郵政労働者エルワン・ケレンさんが、今年七月に突然行われた仏郵政公社ラ・ポストの民営化計画発表に対する労働者の闘いについて報告した。
 ラ・ポストの民営化計画とは政府がすべて保有する株式の上場である。上場は、当初は一部の株式だけであるが政府の財政事情に応じて徐々に拡大される。この冬にも法案を下院で採決し、二〇一〇年に事業形態を株式会社に変更、二〇一一年上場というスケジュールになっている。
 「貧乏人の銀行」と呼ばれ、公共サービスの拠り所であった郵政公社ラ・ポストの民営化に対して、世論の七〇%以上が反対の意向を示している。この間、地域でも全国レベルでも郵便局の閉鎖に対して、共産党系のCGT、独立左派系のSUD(連帯・統一・民主)ならびに連合組織のソリデール、社会党系のFO、カトリック系のCFTC、公務員労組のFSUなどの労組、農民連盟、社会党、共産党、反資本主義新党と革命的共産主義者同盟(LCR)、緑の党などの政党、さらにATTACなどの社会運動団体が参加した共闘組織が広がっている。
 この間、SUD―PTTが呼びかけて郵政労働者の全組合に連絡組織が作られ、九月二十三日のストが呼びかけられた。しかしSUD―PTT、CGT、FO、カトリック系のCFTCが「国民投票」で郵政民営化の是非を問うことを主張しているのに対して、社会党の影響力が大きいCFDT(民主労働総同盟)は、国会審議に委ねることを主張し、事実上、民営化を容認する姿勢を示したことにより、闘いはCFDTぬきで進められることになった。
 だが郵政内の最大組合であるCGTは、ここに来て消極的な姿勢を示している。電気・ガスの民営化の時にもCGTは、SUDやFOが呼びかけた連続ストの拠点を訪れ、スト中止を呼びかけた。だが電気・ガスの組合でCGTは五三%の過半数を占めていたのに対し、ラ・ポストではCGTは最大労組といっても三三%である。したがって闘争の帰趨は、闘争決意を固めている二三%のSUD―PTT、一七%のFO、五%のCFTCを中心にして展開される。九月二十三日のストライキは郵政労働者の四〇%が参加し、成功を収めた。このスト参加率は一九九五年の公務員ストの時よりも多い。
 十一月二十二日には大きなデモが予定されている。おりからの金融恐慌により新自由主義の破綻が満天下に明らかにされたこともあって、ラ・ポストの株式上場法案の国会提出は延期を余儀なくされている。この時間を利用して、株式上場という民営化に反対し、公共サービスを防衛する運動を社会的に拡大していくために闘っていきたい。
 このケレンさんの報告は参加者を励ますものだった。
 最後に集会アピールが採択された。
 「私たちは郵政民営化に反対し民営分社化されてきた『日本郵政』を監視してきました。市民・利用者・労働者の立場から郵政民営化を見直すことが今こそ不可欠です。2万5千の郵便局ネットワークを維持し、高齢化社会や地域コミュニティー再生のための生活拠点と位置づけ、市民・利用者・労働者参加による事業運営を図ることです」。
 「庶民の貯蓄・決済・生活保障手段としての事業展開を図り、資金運用はカジノ的投機金融とは峻別し、国債偏重をも改め、地方自治体への還元拡大、地方の資金は地方で運用するシステムを確立し、地域の中小零細企業への資金供給が容易に可能な仕組みです」。
 金融恐慌の広がりの中で、破綻があらわになった新自由主義的民営化の象徴でもある郵政民営化の検証・見直し作業を進め、公共サービスの防衛・充実を図る社会システムへの変革に挑戦すべき時である。
(K)

【訂正】本紙前号(11月24日号)1面「金融サミット」論文5段小見出しから5〜6行目「口をそろえて」を削除、同2面4段左から12行目「およぞ」を「および」に、3面「田母神論文批判」記事3段小見出しから12行目「指令」を「司令」に、21行目「主催者」を「主宰者」に訂正。




コラム
「食の安全」と政府の責任

 産地や賞味期限偽装が相次ぎ世間を騒がしたが、これはまだ直接健康被害をつくりだすものではなかった。しかし、その後起こっている中国産毒入り餃子問題や三笠フーズの「汚染米」の食用への転売は直接健康に被害を及ぼすものであった。汚染米の場合は政府が管理・監督する場で起きたのでより重大である。
 そんな時、田舎でJA遠州夢咲発行の「夢咲」(08年9月号、)の記事を読んだ。八月五日に横浜港を訪れ、港湾労働組合の奥村芳明書記長に案内してもらい、輸入食品の実態を視察した報告記事だ。
 「アメリカをはじめ、タイ、中国などから二週間ほどかけて港に運搬されてきた青いポリ容器に野積みされた輸入食材。食品加工会社に運ばれることなく、数年あるいは十年以上も港に放置される。この日の気温は三十度以上で、ポリ容器内の食材はそれ以上。ふたを空けると、色が抜けきった塩漬けのフキがあった。鼻につく臭いが充満し、参加者らはハンカチで鼻を押さえながら視察をした」。
 奥村さんは次のように現状と問題点を指摘した。「食材は腐らないように、塩分だけではなく、大量の防腐剤や保存剤を入れている。また長期間の保存でポリ容器の成分がしみこんでいるかもしれない。国内で禁止されている農薬を利用した作物が日本へ輸入されたり、輸送と保存のために農薬を使用する『ポストハーベスト問題』が起こり、健康を犯す恐れがある」。
 「輸入食品は食品衛生法に該当せず、また税関職員も全国でわずか三百三十四人と少なく、輸入品をチェックすることが不可能で、ほとんどが書類審査で通過している」。
 こうして輸入食材は業者に買い取られ、きれいな色に着色され、商品化して食卓に並ぶ。一方、日本では余っているコメをWTOによって毎年七十万トンも輸入することを押しつけられている。その結果発生した大量の汚染米は病院、養護ホームや学校給食で使われていた。多くの食材を使う給食では単価を安く抑えるために、輸入食材を使わなければ成り立たないという。結局ツケは弱者に押しつけられた。
 麻生首相は十一月六日、地方農政局と地方整備局の「原則廃止」を打ち出した。四万人の職員や十兆円の財源を自治体などに移す必要がある。そのねらいは三年後の消費税増税を行うために「大胆な行政改革」をアピールするものだという。「両局にはマッサージチェアや汚染米を見逃した問題」で世論の支持もあるだろうとの読みだ。
 「三位一体の改革」として小泉は教育財源の一部を地方に移譲した。この結果、財政の逼迫した地方自治体は教育費にだけ使うのではなく一般財源にも使った。教育現場では正規教員を減らし、非正規の非常勤講師を大量に雇うようになった。教育現場の矛盾は加速された。
 地方農政局と地方整備局の廃止はこれと同じことが起こるだろう。休耕地があり余り、農業をやれる高齢者がいる地域がいっぱいある。地産地消で食の安全を守ることが政府のやることだ。(滝)


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