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8・12「免状不実記載」弾圧国賠裁判へ          かけはし2008.8.4号

弾圧主導した公安警察官が出廷

でっち上げストーリーを打ち砕こう


逮捕・勾留・捜査
の根拠などない

 10・24免状等不実記載弾圧を許さない!国家賠償請求裁判の第八回が八月十二日に行われる。この裁判では神奈川県の証人として弾圧を指揮した佐藤道男(県警察本部警備部公安第三課)が出廷する。県は、佐藤に10・24弾圧の「正当性」を強調するために「適法かつ適正な手続により行われている事実」、「JRCLの暴力性と原告Aの党派性及び組織性について」証言させるところに獲得目標を設定している。
 県は、なぜ佐藤を証人として出廷させなければならないのか。
 横浜地裁は、原告が国(横浜地方検察庁)に対して各文書(逮捕状および請求書)の提出の申立を行っていたが、それを認めた(2・1)。つまり、国と県はAさんの免状等不実記載罪の実行がJRCL(日本革命的共産主義者同盟)の組織的犯行だから強制捜査・逮捕勾留が必要だったという主張をしてきたが、その証拠というものがAさんの日常生活と活動、ウェブに公開されているJRCL、JCY(日本共産青年同盟)の規約と歴史、内ゲバ党派の事件と新聞各紙のスクラップ、三里塚闘争の歴史などの羅列でしかなく「組織的犯行」を立証するための具体的な根拠を提示することができなかったことに対する判断である。だから地裁は、県の「武装闘争を堅持しているJRCL」の構成員だから強制捜査、逮捕勾留が必要だったのであり、違法性はなかったという、あまりにもいい加減すぎる主張に「事件が組織的犯行であることも窺われ、各種弊害が十分に認められる旨主張するが、一般的主張の域を出ていない」と批判せざるをえなかったのである。
 国、県(意見書)は、各文書提出申し立てに対して、「捜査の秘密や捜査手法、関係者の協力を得て取得した情報秘匿性の高い事柄が記載されているほか、第三者のプライバシーに属する事項が記載されており、これらが開示されることによる弊害は大きい」などと型どおりのパターンで抵抗し、却下を主張するだけでしかなかった(後に地裁決定に対して県・国は即時抗告し、高裁が認める不当判決を出した)。
 だからこそ県は、佐藤を証人として出廷させ、公安政治警察の階級的性格を前面に押し出し、10・24弾圧の「正当性」を強調せざるをえないところまでに追い込まれているのだといえる。わざわざ「JRCLの暴力性と原告Aの党派性及び組織性について」の尋問事項を設定したのである。すでに地裁に提出されている佐藤陳述書はこれまで国・県が主張してきたことの繰り返しにすぎないが、国・県が裁判戦術として佐藤証人を申請せざるをえなかった局面を確認しておかなければならない。
 そのうえで佐藤証人に対して、第一に公安政治警察が憲法第二一条(集会、結社および言論、出版などの表現の自由)、第一三条(個人の尊重・生命・自由・幸福追求の権利)で保障された政治活動を否定し、人権侵害を繰り返す存在であることや、「微罪弾圧」などの捜査手法を糾弾していくことである。第二は、不当逮捕・家宅捜索のデッチ上げストーリーを具体的に打ち砕いていくことだ。佐藤を厳しく監視し、居直り証言を許さず、権力犯罪を社会的に暴き出していくために傍聴闘争は重要な取り組みであることを再確認したい。

神奈川県警公安
と「神世界」事件

 佐藤は、一九七六年七月に神奈川県警察官に採用され、以降、公安畑を歩み、「極左暴力集団による暴力主義的破壊活動に係わる犯罪の捜査」と称して数々の政治弾圧を強行してきた人物だ。警察権力機構にそれが評価され二〇〇三年四月、公安三課課長補佐に昇進している。
 ところで「神世界」霊感商法詐欺事件を行った吉田澄雄元警視も、同年三月に公安2課課長代理に就任している。三課の佐藤と吉田は、県警警備部公安の同僚だった。結局、この事件は、吉田を逮捕し立件することもなく懲戒免職のみ、上司らも処分で逃げ切ってしまった。県警は、吉田を逮捕し、起訴すれば裁判で吉田が勧誘した県警官僚、同僚・部下、警察庁出向時に関わった官僚たちのリストが明らかとなり、また吉田とともに勧誘活動をした幹部の発覚、警察機密情報を「神世界」の防衛のために漏洩してきたことなど新たな事件へと発展するのが必至だった。「県警崩壊」の事態に追い込まれることを避けたのである。
 このように県警の「裏金」体質の温存・助長が続き、身内の「不祥事」に対しては当該を切り捨てることによって延命していこうとする手法は再生産されている。とりわけ腐敗・堕落した体質を継承してきたのが県警察本部警備部公安だ。吉田は、「神世界」霊感商法を県警内で展開し、当然、公安の同僚、三課までに及んでいることは間違いない。佐藤は、吉田の犯罪を黙認してきた共犯者だともいえる。公安部は、詐欺事件を容認し、他方では「微罪弾圧」と人権侵害を積み重ねてきた。
 すでに触れたように県はAさんが「罪証湮滅、逃走のおそれ」があるから逮捕・強制捜査したと主張してきたが、佐藤も陳述書で同様のことを強調している。ならばなぜ「神世界」霊感商法詐欺事件の中心人物の吉田澄雄元警視を逮捕せず、立件しなかったのだ。答えてみろ!「本件と全く関係ない事案」などととぼけることはできないはずだ。
 「県警崩壊」に直結する吉田を逮捕せず、他方では「罪証湮滅、逃走のおそれ」が全くなかったAさんを不当逮捕し、家宅捜索・関係者に対する人権侵害を強行するのが公安部の本質なのである。さらに大量の公安政治警察を動員し無駄な税金を使いまくった。こんな権力犯罪を許してはならない。公安政治警察はいらない。8・12裁判の傍聴闘争に参加しよう。 (Y)
・8月12日(火)横浜地裁第6民事部503号/午後1時30分開/JR関内駅下車



横浜事件から立川反戦ビラ弾圧へ

言論弾圧の水脈を暴き出し
自由な言論を築き上げよう

権力に迎合する
最高裁不当判決

 七月二十日、「7・20集会 言論弾圧の水脈│横浜事件から立川反戦ビラ弾圧へ│」が文京区民センターで行われ、百六十人が参加した。
 集会は、横浜事件の再審を実現しよう!全国ネットワークと立川反戦ビラ弾圧救援会が主催した。
 横浜事件再審請求と立川反戦ビラ弾圧事件は、どのような闘いだったのか。
 横浜事件とは、一九四三年の戦時下、神奈川県特高警察による治安維持法違反でっち上げの言論・思想弾圧拷問事件のことである。被告たちは全員死亡しているが、遺族が無実を訴えて再審を求めてきた。全国ネットの力によって〇五年十月十七日、横浜地裁で再審公判が開始されたが、〇六年二月九日、「免訴」判決を出した。つまり、横浜事件の真実を検証し、えん罪事件であることを明らかにし、反省することもせず、司法権力の手前勝手な都合によって一方的に取りやめてしまう判断をしてしまった。
 さらに東京高裁が支持判決(〇七年一月十九日)を出し、最高裁第二小法廷も〇八年三月十四日、上告棄却判決を言い渡した。弁護団と請求人は、最高裁判決に対して「戦時下にあっても司法が健全に機能すべきことを明らかにすると共に、検察と一体となって言論弾圧に荷担した当時のわが国司法の誤りを匡すことであったにもかかわらず、事実に正面から向き合うことをせず、目を背けたのである」と厳しく糾弾している。
 立川反戦ビラ弾圧事件は、立川市内の自衛隊官舎に「イラク反戦」を訴えるビラを配布した立川自衛隊監視テント村の三人の仲間を、公安警察と自衛隊情報部隊が共謀し、住居侵入事件をでっち上げ、不当逮捕した事件(〇四年二月二十七日)。権力は三人の仲間を七十五日も不当勾留し、起訴攻撃を強行した。「ポスティング無罪!」を合言葉に全国救援運動が拡大し、社会的にも「ビラ配布で逮捕はおかしい」という世論が巻き起こった。同時に公安警察によるビラ配布弾圧事件のでっち上げ攻撃も続いた。
 裁判は、〇四年十二月一審無罪、〇五年十二月二審逆転有罪、〇八年四月十一日、最高裁第二小法廷が上告棄却の不当判決を出す。この判決に対して批判する法学者声明が出され、各報道でも疑問・批判する記事が続いた。判決後、元被告三人と救援会は、ただちに「不当判決認めないキャンペーン」を開始し、二千人を超える仲間たちが宣言者になった。
 この二つの事件に対して、いずれも最高裁第二小法廷が不当判決を出した。これは偶然ではない。主催者は、「時の権力者の意に添わない表現や言論を、事件をでっち上げてでも封じ込めようという警察や検察。その意を汲んで、人権をないがしろにして弾圧を追認しつづける裁判所。抵抗のための表現・言論が危機的な状況におかれている現在、この言論弾圧の水脈を明るみにさらけ出し、楔を打ち込むための作業を共に始めていかなければならない」と訴え、新たな共同のスタートを開始することになった。

天皇制と権力に
対する「弱さ」

 集会の第一部は、再審・えん罪事件などの取り組みを行っている小田中聰樹さん(専修大法学部教授)が、「言論弾圧と司法の戦争責任│そして現代」というテーマで講演。改憲・海外派兵と連動した現代治安政策、言論弾圧のメカニズムを明らかにし、「一連の司法改革は、結局のところ憲法判断を奪うために行ってきたと言える。この間の最高裁の不当判決は、そのことを現している。憲法を守り、反戦・平和への理性的連帯と自由な言論を守り抜いていこう」と呼びかけた。
 第二部は、大島久明弁護士が横浜事件第三次再審請求の闘いの経過と不当判決批判などを行った。請求人の木村まきさんが言論弾圧反対の決意を述べた。
 続いて、「私にとっての立川反戦ビラ弾圧」というテーマで弁護団の栗山れい子弁護士が最高裁判決に対して@「事実認定」について、「警察・情報保全隊の弾圧主導」を無視A法益侵害・被害の程度の根拠は、「被害届」だけB表現の自由の規制についての具体的理由を取り上げなかったC防衛庁の管理権を認め、住民の意思を関係ないとした│点について批判した。
 元被告の大西一平さんは、公安警察と自衛隊情報保全隊によるでっち上げ不当逮捕、人権侵害に満ちた七十五日の勾留や取調を糾弾した。さらに「不当判決を認めない宣言」の取り組みを報告した。
 連帯あいさつが土屋翼さん(国賠ネットワーク)から行われ、代用監獄批判と共謀罪制定反対の取り組みを呼びかけた。
 葛飾マンションビラ弾圧被告の荒川康生さんは、最高裁無罪判決にむけて力強く決意を表明した。
 第三部は、「抵抗の言論と表現│現在と未来」というテーマで鵜飼哲さん(一橋大大学院教授)、岡本厚さん(『世界』編集長)、天野恵一さん(反天皇制運動連絡会)がそれぞれのポジションから問題提起を行った。論点は、戦前・戦後・現在を貫く言論弾圧の歴史と評価、言論の天皇制や国家権力に対する「弱さ」、言論の戦争責任の掘り下げの不十分性、言論弾圧を許さない陣形作りと運動内の民主主義の豊富化にむけた取り組みなどの課題についてだった。

国分寺市議への
ビラ配布弾圧

 すでに新たなビラ配布弾圧事件が発生している。警視庁小金井署は、六月九日、国分寺市の共産党市議がマンション集合ポストにビラ配布したことを住居侵入容疑だとして東京地検八王子支部に書類送検した。共産党市議団と地域市民の反撃が行われ、結局、マンション住民が被害届を取り下げたため、不起訴処分になっている(7月17日)。このように権力はビラ配布弾圧の定着化をねらっていることが明らかだ。本集会の直近で国分寺市議弾圧が強行されたニュースが飛び込んできたが、本集会が提起する課題の重要性を再確認した。       (Y)


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