| 韓国 イ・ミョンバクとキャンドル闘争 かけはし2008.7.28号 |
「就任百日で30日がキャンドル」
キャンドル・デモに参加する市民らが手書きしたプラカードの言葉通り、イ・ミョンバク政府は窮地に追い込まれている。歴代の大統領選挙の中で史上最高の得票率である50%に達する圧倒的な支持を得て、意気揚々と当選したイ・ミョンバクは、こうして就任百日にもならずに墜落している。この墜落の流れはさらに一層その底に向かっている。6月3日、就任百日の時点で支持率は20%に落ちたというのに、6月14〜15日の世論調査では支持率が7・4%にまで下落した。反対にキャンドル集会の支持度は70%を上回っている。
「ミョンバク地獄、弾劾天国」
イ・ミョンバクの終わりなき墜落の原因は何なのか?
「国民に作男のように仕える」という作男大統領は、国民に仕えるどころか国民を無視してきた。牛肉再交渉の要求に対して「内閣・青瓦台(大統領府)の首席交替」によって、また「高油価―民生総合対策」によって「民間自律規制」という形のギマン的な米国との追加交渉カードによって身を支え続けている。
そのうえ「米国産牛肉は安全だ」、「30カ月以下ならば安全だ」、「民間自律規制によって30カ月以上の輸入を阻むことができる」などとウソっぱちを言い続けている。国民に「怪談」、「流言蜚語」、「背後(勢力)」、「司法処理」など云々して脅迫までしぬいている。集会場で「憲法第1条」が最もよく歌われるのは、またキャンドル集会が時が経過するほどに隊伍が広がっているのは、まさに民主主義(主権政治)を無視したイ・ミョンバク政府に対する大衆的拒否の表現なのだ。
イ・ミョンバクが大統領に就任した後、押し付けている諸政策は何もかもが露骨で、資本や金持ちたちだけのためのものばかりだ。建設資本の利潤を保障し景気復興のために、生態的災いを招く大運河計画を選挙前から発表していたが、幼い子どもたちを入試競争に駆り立て教育を通じた富の継承をもたらす英語没入教育や4・15教育自律化措置を発表した。直ちに韓米FTAの米国国会での批准のために国民の健康権を売り渡した牛肉交渉を展開し、最近ではKBS(韓国放送公社)に対する特別監査を実施するなど、メディア掌握の意図を露骨にしている。
これだけか? 大企業(独占資本)のために交換率(為替)政策を推進し、世界的レベルの高油価ともあいまって物価を天井知らずまで上昇させた。独占資本の輸出のために民生経済を破綻状況に追い立てたのだ。このようにイ・ミョンバク政府のさまざまな政策に対する大衆的不満が爆発するとともに、今やBSE(牛海綿状脳症)から始まったキャンドル集会は議題が拡大する一方、イ・ミョンバク退陣についての要求へと集約されている。
生き残る道はあるのか
イ・ミョンバクは現局面を打開するために保守陣営の再結集(親パク連帯のハンナラ党への再入党、自由先進党イ・フェチャンとの会同など、およびシム・テピョン総理カードの模索、各御用団体を通じた官製デモの組織)を推進する。また統合民主党など自称(?)民主改革勢力を院内にひきいれ、街頭の政治を制度政治によって収拾しようとしつつ、「梅雨が始まることばかりを祈って」、キャンドル集会が鎮まることを望んでいる。そうしてからBSE闘争で引き延ばされ留保していた水、ガス、電気、医療、放送など、公共部門の民営化を推進し、ギマン的にBSE牛肉の追加交渉を通じて韓米FTAの批准へと踏み出そうとするだろう。
だがこのようなイ・ミョンバク政府の意図は、そうたやすく現実化はしないだろう。経済を再生し「7%の経済成長、世界の7大経済大国入り」を実現するという公約は、すでに高物価と投資率の急減(今年第1・四半期の機械類投資は昨年比で0・9%減少)などによって、スタグフレーションの可能性が予想される中で、すでに水泡に帰している。内閣改編や保守勢力結集の努力、野党の国会動員、見せかけだけの牛肉追加交渉によってはキャンドルの火を消すことはできない。
もはや国民は制度政治圏に対する広範な不信をあらわにしており、イ・ミョンバクのせこさにごまかされるどころか、これに対して一層怒っている。
したがってBSE闘争によってその時期が引き延ばされてきた公共部門の民営化計画もまたその弾みは付きがたいだろう。韓米FTAのために牛肉再交渉をすることはできない、とするイ・ミョンバク政府の立場は、米議会を掌握している民主党の大統領選候補であるオバマの韓米FTAへの問題提起によって、ともすれば「牛肉は全部明け渡し、韓米FTAの批准さえ得られないという」結果になる可能性もある。
結局、公共部門を私有化し、規制緩和や金産分離の撤廃を通じて、また韓米FTAを通じて経済(資本)を再生していくというイ・ミョンバク政府の構想は、就任の初めからして難局に直面している。だが脱出口もない。すでに高油価など世界資本主義の矛盾が爆発しており、ここから自由ではありえないイ・ミョンバク政府は、弱り目にたたり目で国民の不信という巨大な壁にぶち当たっているのだ。
新自由主義反対の闘いへ
キャンドル闘争は韓国社会において新たな闘争の様相を見せつけている。委任政治ではない国民主権を、代理・制度政治ではない直接行動を通じて本当の民主主義とは何なのかを語っている。政府も、制度政治も、朝中東(朝鮮日報、中央日報、東亜日報)に代表されるメディア権力も嘲りと糾弾の対象となっているばかりだ。市民の自発性や躍動性は既存の運動団体(組織)のはく製化・形式化されかねない指導・被指導の関係、規格化された闘争のあり様に根本的な問題提起を投げかけている。
市民らは「少なくとも以前は自分が食っていけることだけを思案したのであって、国の心配はしなかった」(インターネットに掲載された、あるネッティズン=ネット市民の言葉)のように、自分の生活権と直接的にかみ合った問題を政治的問題としてズバリ連結させている。これがまさにキャンドルを守り、そして拡大させてきた力だ。
だがキャンドル闘争には限界もまたある。イ・ミョンバク政府の政策全般に対する不信にもかかわらず、「イ・ミョンバク政府が経済問題をうまく解決していくだろう」という答えでは、国政運営に対する支持率に比して、かなり高い期待値が現れた(6月3日の調査では51%、6月13日の調査で38%)。また公共部門の民営化についての支持もまた、政府発表ではあるものの48%に達している。これはBSE牛肉、大運河、教育問題などによって爆発した大衆の不満が、イ・ミョンバク政府の政策基調(新自由主義)全般に対する不信や問題提起へと結びついて認識されてはいないという点を物語っている。「新自由主義の世界化・民営化によって経済を再生していく」というイ・ミョンバク政府の政策基調全般に対する問題提起と闘争へと発展させること、これが現段階のキャンドル闘争に課された課題なのだ。つまり、イ・ミョンバク政府の新自由主義による経済再生・韓国社会の再編は少数資本の天国のために、国民の大多数を占めている生産大衆(労働者・民衆)の生存権や民主主義を破壊するものであることを明らかにしていかなければならない。
また新自由主義による経済再生に対決して生産大衆(労働者・民衆)の人間らしい暮らしが保障され、労働者・民衆が生産と政治の主体(主体)となる社会を建設しなければならないことを広く拡散させなければならない。そうしてイ・ミョンバク退陣の要求で結集したキャンドルの隊伍が今後、この闘争の主体となって進むことができるようにしていかなければならない。このための苦悩と努力、模索は、新自由主義に反対し、資本主義の変革について苦悩している運動の主体(勢力)からまず始めなければならない。新自由主義反対闘争への拡張・発展にも劣らず、キャンドル闘争が運動勢力に与えている示唆点は、これだ。(「労働者の力」第146号、08年6月24日付、チャン・ヘギョン/政策教育1委員長)
精油社の民間独占を
解体し国有化せよ!
―最近の油価暴騰に対する「労働者の力」の立場
最近の油価暴騰は国際油価上昇の問題もあるが、何よりも政府の換率(為替)政策の失敗と各精油社の談合構造に起因するところが大きい。政府は輸出企業の利益を保障するために換率が上がるのを放置し、国内の油価引き上げを煽った。また、各精油社は国際油価上昇と換率の差に便乗して膨大な利益をだまし取った。昨年2月、公正取引委員会が04年当時の談合行為で精油業界に総額526億ウォンの課徴金を賦課した(当時の営業利益は4兆ウォンを超える状況で、526億はそれこそ取るに足らないほどのものだ)。今も公取委が精油業界の談合行為を調査しており、彼らの談合行為が日常的なものであることを示している。その結果、昨年も精油各社の営業利益は2兆ウォンを超え、今年は営業利益が3兆近くに上るだろうとの見通しだ。
軽油を主として使用している運輸産業の労働者たちは、政府政策の失敗と精油各社のこのような横暴の被害者たちだ。また油価上昇によって精油業界は想像をはるかに上回る利益を残しているが大多数の国民は想像を超越する苦しみを味わっている。けれども油類税を引き下げるだとか、油価引き上げ分を補助するとか言うのはいっときの方便にすぎない。最近の貨物労働者たちのストに、イ・ミョンバク政府は標準料率制の導入、LNG貨物車の改造費用支援などを約束したが、根本的な解決策とはなりえない。なぜならば精油各社は国際軽油価に到達するまでは国内軽油価を上げることが火を見るよりも明らかだからだ。さらに問題となるのは、国際油価の上昇にもかかわず政府の防御手段は何も存在しないからだ。
精油産業は巨大な政治産業だ。当初、政府が設立した大韓石油公社から出発し、幾つかの私企業が政府のさまざまな支援や特恵の下で成長してきた。大韓石油公社から名前が変わった油公を鮮京グループ(現SK)が所有権を譲りうけ、1980年に完全私有化されるとともに、国内の精油業界はSK、GSカルテクス、現代オイルバンク、S―OILなど4社が独寡占構造を形成することとなった。1997年に油価が完全自律化されるとともに、これらの企業が油価を決定することになった。ところで、市場競争にしたがって油価が下落するだろうという政府の宣伝とは異なり、これらの企業は談合構造を形成して高油価を維持してきた。また、油公が完全売却されるとともに今日の韓国石油公社は原油供給の一部と油類製品の価格を調査する機関へと転落し、精油市場に対する国家の統制や調節は有名無実化することとなった。
資本家どもが信奉してきた「市場の秩序」、つまり油価を決定する市場秩序は、すでに崩壊した。国際油価の上昇が想像を超えており換率がはね上がるとともに、市場の需要と供給の体制にそのまま委ねるなら、現在のような問題は繰り返されるだろう。油価に対する最高価を実施し、政府が価格統制をしたとしても民間精油各社が損害を甘受してまで国内の供給量を維持したりはしないだろうからだ。
結局、政府が石油の供給と油価の決定を完全に統制しない限り、国際油価の上昇に歩調を合わせて国内の油価が上がらざるをえない。油類製品の生産、流通、消費に対する国家的、社会的統制が今こそ不可避だ。根本的には環境を破壊しない国家レベルのエネルギー体制への転換を実現しなければならないだろう。だが精油産業に対する社会的統制なしには恐竜のように大きくなっていく石油中心の産業体系を克服できないだろう。精油社の民間独寡占体制を解体し、精油社を国有化しなければならない。石油産業とエネルギー産業の国有化は国際的には耳新しいことではないし、ロシアやベネズエラなど主要石油生産国でもよくやっていることだ。精油社の国有化によって油価の調節と統制が実現されるようにしなければならない。
次に、精油各社の暴利を還収し、油価暴騰によって苦しめられてきた運輸労働者や庶民の負担を軽減することに使われなければならない。これまで高油価の中で談合によって不利益を手にしてきた精油各社の利益を還収するのは余りにも当然だ。また、貨物および建設機械労働者たちの労働基本権の保障が必ずや実現されなければならないだろう。彼らこそが油価暴騰の被害者であり、また同時に油価決定の責任ある主体でなければならないからだ。
2008年6月20日
労働者の力
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