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グッドウィルの廃業は当然だ!             かけはし2008.7.7号

失業する労働者の救済を 派遣法を抜本的に改正せよ



グッドウィルユニオンが
記者会見で国の責任追及


 六月二十五日、人材派遣業のグッドウィルグループは、子会社の日雇い派遣最大手のグッドウィル(GW)を七月末に廃業することを発表した。東京地検が同日、労働者の二重派遣事件で、GWなど四社と幹部ら八人を職業安定法(労働者供給事業の禁止)違反幇助などの罪で略式起訴した。GWは罰金百万円を納付した。厚労省は有罪が確定すれば派遣事業の許可を取り消す方針だ。GWGは派遣業の事業継続が出来ないと判断してGWの廃業を決めた。
 この事態を受けて、同日午後七時半から派遣ユニオン・グッドウィルユニオンが緊急記者会見を行った。派遣ユニオン関根秀一郎書記長とグッドウィルユニオンの藤野雅己さんら四人の組合員が、失業する労働者の救済を求める意見と「グッドウィル許可取り消し・廃業方針に関する声明」を発表した(別掲)。

雇用確保・生活
支援を最優先に

 最初に関根書記長がGW廃業問題への対応を総括的に述べた。
 「グッドウィルユニオンは百五十人の組合員がおり、そのうちの二十六人が不当に天引きされていたデータ装備費の返還を求めて訴訟を起こしている。昨年来、低賃金、不安定雇用の劣悪な日雇い派遣を行っているグッドウィルと闘ってきた。今回、違法派遣によって許可が取り消されるのは当然だ。しかし、会社廃業ということで、たくさんの労働者の雇用が奪われ失業していく。グッドウィルは以前から二重派遣、偽装請負を繰り返してきた。厚労省がもっと早く取り締まっていれば、今のような不安定雇用が広がることはなかった。違法な派遣会社を野放しにしてきた国の責任は重い。雇用確保、生活を支えることを最優先にして闘っていきたい」。
 グッドウィルユニオンの藤野雅己さんが「GWではスポットで月四十稼動していた。雇用保険に入っていないので、仕事がなくなっても失業保険が出ない。雇用保険の遡及をおこなってほしい。他の仕事を探すにしても、何カ月かのブランクが出てしまうかもしないのが不安だ」と訴えた。
 男性(40代)、「いずれくるだろうと思っていた。一年三カ月くらい倉庫番をやった。長く働ける所がない。新しい職を紹介してほしい」。女性(40代)、「単発で事務をしたいと言ったら東和を紹介された。違法派遣で問題となった東和リースの青海の倉庫に行かされた。泣きながら抗議したが、とりあってくれなかった。たいへん憤っている。二重派遣し、就業確認票も偽造を行っていた。苦情申し立て制度が機能していないのではないか。今回GWが廃業になったことは良いことだ。ユニオンに入ると元気が出るが、声を挙げられない多くの派遣労働者がいる。派遣法の抜本改正をお願いしたい」。
 介護派遣をした女性(40代)、「GWから、きのう夕方メールで仕事どうしますかと連絡があった。その時は廃業のことは一切言わなかった。介護福祉士として二十年仕事をしてきた。同じ所で働きたかったがそれができなかったので派遣に応じた。六月初めに、昼休みにその日の夜勤に入ってくれないかとメールが入った。体が凍りついた。利用者のことが分からないまま、こんな派遣を行っている。恐くて、危険でとても応じられない。心肺停止が起きた現場に行ったことや結核の感染の恐れがある施設など、介護事故が起きたら誰がどう補償するのか。GWに聞けば分からない、会社は保険に入っていないので、自分に入ってくれと言われる。GWは介護現場が分かっていない。介護を日雇い派遣でやるべきでない」。
 関根さん、「二年前、グッドウィルの日雇い派遣で港湾の倉庫で働いた。十二時間拘束で交通費も出ない。六千円にしかならなかった。二十年前、力仕事の日雇いで一万以上もらえた。それがこんな低賃金の働き方が広がってしまった。派遣会社が四〜五割もピンハネしている。常用型の働き方に戻すべきだ」。
 記者会見の最後に、関根さんが今後の取り組みについて報告した。@厚労省交渉(テーマ:失業する日雇い派遣労働者の生活救済=日雇い雇用保険の遡及加入など、日雇い派遣禁止・労働者派遣法の抜本改正の方向性)6月26日Aグッドウィル・グループ(六本木ヒルズ)への申し入れ行動6月26日Bグッドウィルユニオン説明会6月28日C派遣トラブルホットライン(主催:遣労働ネットワーク)を6月28日〜29日に行う。電話03―5338―1266。

ごまかしに終始する
厚労省を交渉で糾弾


省の見解を
問いただす

 六月二十六日、参議院議員会館で、GW廃業に伴う労働者の救済問題について、全国ユニオン、派遣ユニオン、グッドウィルユニオンが厚労省と交渉を行った。
 グッドウィル梶屋大輔委員長が「グッドウィル派遣事業許可取り消し・廃業発表に伴う要請書を読み上げ提出した。以下要請部分。
 第一 グッドウィル派遣事業許可取り消し、事業廃止の問題点とそれに伴う措置について。
 @違法派遣の多発により派遣事業停止や派遣事業許可取り消しの対象となるような悪質な派遣会社への監視を怠り、漫然と派遣事業許可・更新してきたこと、その結果、何の罪もない多くの労働者が厚生労働省の許可を受けたグッドウィルで就労し多大な被害(低賃金、不安定雇用、労働災害、不当なピンハネ、許可取り消しによる失業等)を受ける事態を招いたことを認め、その責任を明らかにされたい。
 A厚生労働省が派遣事業を行うに足る事業と認めて派遣事業を許可してきたグッドウィルがわずか一カ月後の七月三十一日に事業廃止する方針であることについて、厚生労働省の見解を明らかにされたい。
 Bグッドウィルの廃業により失業する労働者を救済するための緊急措置として、雇用保険、日雇い保険の遡及加入により雇用保険給付、あぶれ手当を受給できる措置を取られたい。
 Cグッドウィルの派遣事業許可取り消し、廃業に伴い、大量に失業する労働者を救済するため、厚生労働省としていかなる対策を準備しているのかを明らかにされたい。
 第二 労働者派遣制度の抜本的な見直しについて。
 @低賃金、不安定雇用、労働災害等を撲滅するため、労働者派遣法についていかなる見直し、法改正を行うべきか、厚生労働省の見解を明らかにされたい。
 A以下の内容の労働者派遣法抜本改正を早急に行われたい。(1)低賃金・不安定雇用・労働災害の多発を生み出す派遣制度の規制@派遣対象業務の専門業務への限定A登録型派遣の原則禁止Bマージン率の上限規制(2)派遣労働者の権利保護@同じ仕事をしている派遣労働者との「均等待遇」A有期労働契約を反復更新する「細切れ契約」の禁止。

逃げ回るだけの
官僚的な対応

 厚労省の回答は次のようなもので、緊急に困っている労働者への対策は何一つ具体的にないものであった。第一の@について、違法性があれば是正していく。Aについて、具体的の判断だ。雇用の安定をはかっていきたい。Bについて、要件を満たしていれば、雇用保険は遡及が可能だ。日雇い保険は事前に手帳を取得し、印紙が貼ってないと遡及はできない。Cについて、対策本部を設けて、全国の労働局、ハローワークに特別相談窓口を作り、雇用保険の手続きなどの相談に応じる。派遣先のGWGにグループに再就職できるように求めていく。
 関根さんが「一月にGWが事業停止に入った時に、窓口を作ったが、おカネがない、生活ができない、と相談に行ったら、職安に行ってくださいと言われ、それ以外に何もしてくれなかった。今回も実際の救援策になっていない。五百円も持ちカネがない、家賃が払えない、水光熱費が払えず止まってしまうという労働者をどうするのか」と追及したことに対して、職業紹介を行うと答えるのみで、さらに鋭い追及の中で、ようやく社会保険事務所とも連携すると答えた。
 日雇い保険については、日々雇いの派遣であっても適用すると方針転換した厚労省は、派遣業者に周知するように指導したと答えた。しかし、参加した派遣労働者が「派遣会社の隅の方に貼ってあっただけで、それが何を意味するのか知っている労働者は皆無だ」と追及。すると厚労省は全国の派遣会社で日雇い保険を申請しているのは五件のみで、GWからは一件もないことを明らかにせざるをえなかった。日雇い保険は本人が申請しないとダメで企業が働く労働者にその点を知らせないと、取ることができない。GWに登録している労働者は二百九十万人おり、一日に稼動しているのは三万人から七千人。ここで申請が一件もないというのはいかに企業が手を抜いているは明らかであり、厚労省がこうした派遣業界の実態を知っていながら、何ら指導をしていないことがまた暴露され、激しい追及にあいながら、今後も周知を徹底するとのみ回答して逃げた。
 派遣法改正問題については、現在、研究会が行われおり、七月末に取りまとめ次は審議会へ移るとのみ答え、どのような方向で改正論議をするつもりなのかについて一切答えなかった。舛添厚労相が原則日雇い派遣の禁止をする方向にすべきという発言もついても、ひとつの考えであり、それについても答えられないと厚労省は逃げた。


グッドウィル本社に向け
申し入れと抗議の闘い


 六月二十六日夕方、六本木ヒルズにあるグッドウィルグループ本社に対して、グッドウィルユニオンなどが申し入れ抗議行動を行った。団体交渉申し入れをもってグッドウィルグループ本社に行った。総務課の南課長代理がビルの下に出てきたが受け取りを拒否した。理由を問うと「GWは別会社だとか、総務部長の指示だ」と言うばかりで、「会社に文書を届けたいのなら、郵送しろ」と言うふざけた対応だった。抗議して宣伝活動に合流した。
 グッドウィルユニオンの藤野さんは「メールが一通届いただけで、何の説明もない。GWGは団体交渉の要求書を受け取りもしない不誠実な対応をしている。介護事業のコムスンで介護料金の不正受給が発覚した時も、介護事業を切り捨てて逃れた。今回もまったく同じだ。反省することがない。きちんと対応し、謝罪と生活保障をしろ。一部上場の会社がこんなことをしていいのか、責任者は出てこい」と訴えた。
 派遣ユニオン設楽委員長が「何回も努力してきているのに会おうとしない、許し難い。悲惨な秋葉原事件が起きてしまった。事件の背景には劣悪で不安定な派遣労働、請負労働がある。現場で働く労働者の声を聞くべきだ。徹底して経営者の責任を追及していく」と決意表明して、抗議行動を終えた。
 今回のグッドウィルの廃業によって、日雇い派遣は一万社あると言われる他の中小派遣会社へ流れていく。派遣労働者ユニオンによると、大手よりさらに中小派遣業者は悪質で、違法と分かっている二重派遣や港湾への派遣などを公然と募集しているという。グッドウィルグループを許さない闘いとさらに、こうした違法派遣を許す派遣法そのものの抜本改正をめざす全国運動を秋の臨時国会に向けてつくり出していこう。(M)

グッドウィル許可取り消し・廃業方針に関する声明

派遣ユニオン ・ グッドウィルユニオン


 失業する労働者の救済〜日雇い雇用保険の遡及加入で「あぶれ手当」の受給を!

 違法派遣や賃金不払など違法行為を繰り返してきたグッドウィルに対して派遣事業許可取り消し等の厳しい処分が出されるのは当然のことである。
 しかし、1995年以降、違法派遣を繰り返しながら拡大してきたグッドウィルを放置したばかりか、1999年の派遣法改正によりグッドウィルが行う事業を合法化して急成長に拍車をかけた国の責任は極めて大きい。
 もっと早くこのような違法派遣を取り締まっていれば、グッドウィルで働く労働者が数千人、数万人規模まで膨れ上がることはなかったし、許可取り消しによって大量の失業者を生み出すようなこともなかった。
 また、グッドウィルで働く日雇い派遣労働者が日雇い雇用保険に加入していれば、失業しても当面は「あぶれ手当」の受給により当面の生活を凌ぐことができたはずだが、厚生労働省は、グッドウィルが日雇い雇用保険に全く加入させていない状態を承知しながら、それさえも放置した。
 許可取り消しまたは廃業により、雇用を失い、生活の道を立たれる労働者の救済が何よりも優先されなければならない。

グッドウィルの許可取り消しでは低賃金・不安定雇用の問題は解消しない−派遣法の抜本改正を!

 現在、グッドウィルが行ってきた港湾業務などの違法派遣は、日雇い派遣事業を行う同業他社に流れていっている。
 つまり、グッドウィルの派遣事業許可を取り消しても、日雇い派遣が抱える違法派遣の実態、日雇い派遣労働者が抱える低賃金、不安定雇用、労働災害の多発の問題は解決しない、
 舛添厚生労働大臣も「日雇い派遣の禁止」を口にするようになったが、今後は、派遣法改正の内容こそが問われることになる。
 まず、日雇い派遣に象徴されるような劣悪な働き方の拡大は、1999年派遣法改正による派遣対象業務の原則自由化がもたらしたものであり、派遣法制定当初の趣旨に立ち返って派遣対象業務は極めて専門性の高い業務に限定すべきである。
 「登録型派遣」が不安定雇用を生み出している。仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ「登録型派遣」は原則禁止すべきである。ピンハネに歯止めをかけるためには、マージン率の上限規制も極めて重要だ。
 そして何よりも、正社員と同じ仕事をしていたら同じ労働条件を義務付ける「均等待遇」の規定や、「細切れ契約」を禁止する規定など、派遣労働者の権利保護規定を盛り込むべきである。
 グッドウィルユニオンは、グッドウィルの許可取り消し、廃業方針に関して下記のとおり声明する。

1、グッドウィル及びグッドウィルグループに、違法行為を繰り返しこのような事態を迎えた責任を取るため、労働者の生活を確保するための賃金保障を求める。
2、グッドウィル及びグッドウィルグループに、未返還のデータ装備費、集合時間からの未払い賃金、労災補償など、労働者に支払うべき賃金等の支払いや補償を求める。
3、厚生労働省に、失業する日雇い派遣労働者を救済するため、日雇い雇用保険に遡及加入させるよう求める。
4、労働者派遣法を抜本改正すべきである。具体的には…
(1)低賃金・不安定雇用・労働災害の多発を生み出す派遣制度の規制
b派遣対象業務の専門業務への限定
b登録型派遣の原則禁止
bマージン率の上限規制
(2)派遣労働者の権利保護
b同じ仕事をしている派遣先労働者との「均等待遇」
b「細切れ契約」の禁止
   2008年6月25日


グッドウィル係争中事件一覧
bデータ装備費の未返還 2年分は返還したが、全額返還を求める集団訴訟中
b集合時間からの賃金不払い 厚労省「監督署に申告があれば支払うよう指導する」
b港湾労働などにおける労災補償(賃金補償、障害補償など) 団体交渉で「補償する」といったん回答したが、その後団交拒否
b違法なペナルティ(欠勤1000円など) 厚労省は「違法」としたが、不払いのまま放置
bキャンセル時の賃金不払い 請求したスタッフにはこっそり支払っている模様
b全国学力調査の採点スタッフの解雇 団交で協議を開始した途端に団交拒否
b雇用保険未加入 一般の雇用保険も日雇い雇用保険も未加入のまま放置
b派遣元責任者の常駐義務違反 厚労省に確認したが、秘匿
b労働組合「グッドウィルユニオン」との団体交渉拒否 労働委員会で係争中
bその他、未解決の問題、トラブル、権利侵害が多数

b二重派遣 派遣労働者を受け入れた企業が、別の企業に労働者を派遣し、その会社の指揮下で働かせる行為。請負契約などを装うケースが多い。雇用責任があいまいになるほか、間に入った企業の手数料が増えるなど問題点が多いが、派遣業界内に横行している。送り出し側も受け入れ側も職業安定法違反罪に問われる。


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