| 数万のろうそくが最も力ある政治となる!! かけはし2008.6.30号 |
健康権(生命権)を担保とした
親資本政策の決定版、FTA |
米国産牛肉の全面輸入を決定
韓米FTAをめぐる賛否両論が激しく展開されているころ、与党である開かれたウリ党はもちろん、ハンナラ党も積極的に賛成した。当時も米国産牛肉の輸入について「精肉のみ輸入する」と決定しており、検疫の過程で骨片が相次いで発見されて輸入が中断されるなどの騒動を経験したりもした。関連する諸社会団体や専門家たちは米国牛のBSE(牛海綿状脳症)の問題を挙げて国民らの健康に致命的な脅威となる点を何度も警告した。またFTAの締結のために国民の健康を脅かしている米国産牛肉の輸入を結びつけているとの批判も提起された経過がある。
だが政権とハンナラ党は「4・18米国産牛肉全面輸入決定」において自分たちの本質を余すところなくさらけ出した。畜産業者たちのロビーや、これとは別に米民主党の韓米FTAに対する留保的または批判的な態度は、米国産牛肉の全面輸入をFTA締結と連結させつつ韓国政府を圧迫していた。またイ・ミョンバク政権の立場としては、いかなる障壁もなしに市場の論理が通用するFTAの妥結が国内外独占資本の利害を最も充実に代弁する道だった。これが米国産牛肉全面輸入の顛末だ。
中・高生10代が共同行動
4・18全面輸入の決定が報道されると民主労働党カン・ギガプ議員はハンスト籠城に突入し、政治社会団体では批判声明を発表した。だが進歩陣営は2006〜7年の2年余にわたるFTA阻止闘争にもかかわらず、大衆の心理と怒りのありかを正確に読みとれなかった。ところが、状況は予想もできないところからわき起こってきた。ブログ、カフェを通じてBSEについてのさまざまな情報が共有され、疎通がなされるとともにインターネットの空間の中で大衆の怒りが結集しはじめた。
5月1日に始まった「米国産牛肉の拙速交渉の無効化特別法の制定を求める」署名運動は2〜3日にして数十万人が押しよせ、5月6日に始まった「イ・ミョンバク大統領弾劾要求署名運動」はわずか2〜3日で百万人を超えた。サーバーがダウンするなど、署名をしたくともできない爆発的な照会と参加とを記録した。
5月2日、誰かによって提案されたキャンドル集会は数万人の大衆を清渓広場に結集させるに至った。清渓広場に集まった大多数は中・高生の10代だった。彼らは大人たちを待つことができなかった。大人たちの手続きや形式は重要ではなかったし、政治屋どもの責任をめぐる攻防にも関心がない。組織された集団の行動ではなく、決意した個人の参加と参加した者たちが共同行動によって政権を揺るがすという最も力のある政治を行っているのだ。この結果として5月6日、1700余の団体が集まり「BSE(牛海綿状脳症)の危険・米国産牛肉全面輸入に反対する国民対策会議」が発足することとなる。
世代を超え労働者、農民へ拡大
キャンドル集会が続けられるとイ・ミョンバク政権はキャンドル集会の核心勢力である10代たちを非難しはじめた。警察を学校に送り、先生らを集会場に送って10代たちの参加を封鎖しはじめた。けれども10代たちがともしたろうそくの火は消えることなく、10代に対して恥ずかしく思った既成世代、88万ウォン世代と呼ばれる20代たちの合流へと続いた。また労働者、農民、貧民など組織された民衆の参加によってBSE輸入牛肉反対闘争は新たな局面へとさしかかることとなった。
民主労総をはじめとする各産別連盟は病院および学校給食で米国産牛肉の拒否闘争を、運輸労働者たちは運送拒否闘争を、団体交渉の要求案に米国産牛肉の使用阻止闘争を行うとしてBSE闘争への合流宣言とともに、具体的な実践方案を提出することにした。農民、貧民もまた大規模大会を開き、韓米FTAの実像を暴露するとともに米国産牛肉の輸入問題と連動して共に闘っていくとの決意を明らかにしている。
労働者、農民、貧民たちの参加によって地域のキャンドル集会は広域都市のみならず主要な地方都市にまで拡大している。
広範な大衆行動と民主主義
わずか3〜4日でキャンドル集会が全国に拡大すると、イ・ミョンバク政権は強引に法を振りかざし、「司法処理」すると発表した。サイバー捜査隊を動員してキャンドル集会の震源地をつきとめ、「怪談」を云々しながら虚偽の事実を流布した罪によって処罰するとするなど、ファッショ的発想をあえてむき出しにしはじめた。
だがキャンドル集会を主導している広範な大衆はこれを乗り越えて「夜間になぜ集会を開いてはいけないのか」「集会およびデモ行進に関する法律(集示法)に問題がある」として既存の法に問題提起をしはじめ、民主主義の進展を語りはじめている。集示法に問題があるのであれば改めなければならない、ということだ。政権は不法への厳重断罪、司法処理を叫ぶけれども既に大衆にとって夜間の集会は不法ではない。
遂に野党の一部は「夜間集会を許容する」法改正案を国会に提出し、専門家たちはTVで集会・結社の自由を積極的に解釈すべきだとの主張をしている。
またキャンドル集会は、従来の進歩陣営によって主導されていた集会とも異なった様相を帯び始めた。決められた発言者、集会プログラムやデモ・コースではなく、集会に参加した大衆の自由発言、数十人または数百人ずつが集まって繰り広げる現場討論会や行動決議など、少数によって管理され統制される者ではなく自らが発言し、行動を決定する実質的な民主主義を実現しぬいている。
ある人にとっては、統制させず急進化した大衆行動が恐ろしくて耐えがたい、ということもある。またある人にとっては、指導部が存在してその指揮に従って一糸乱れずに動いたならという考えを持つと言うともありえるだろう。けれどもこのような考えは、集会現場においては木っ端みじんに吹き飛んでしまう。ろうそくは、そのようにして消えはしなかったからだ。
「アカ」論と背後操縦説
政権とハンナラ党は大衆の怒りや行動をわざわざ無視している。正確に言えば恐がっている。5月9日、ハンナラ党キム・ムンスは「反米運動に悪用される」としてキャンドル集会について憂慮した。けれども大衆は「交渉無効、再交渉」へと要求を明確にした。そして政府レベルの立場表明がなされればなされるほど大衆の要求は急進化している。イ・ミョンバク糾弾のレベルを超え、大統領弾劾にまで要求が高まっている理由は、「国民がこれほどまでに反対しているにもかかわらず政府がその立場を変えないから」だ。大衆は政権の「長官告示の強行」態度に対し、もはやイ・ミョンバクを自らの大統領としては認めないという態勢だ。
誰が命じたのか? 違う。進歩陣営はむしろ大衆が始めたキャンドル集会に今まさに合流したばかりだ。FTA反対闘争を主導していた汎国民運動本部(FTA汎国本)も、民主労総をはじめとする大衆諸組織も、数百個に及ぶ労働社会団体諸団体も、進歩的諸勢力も、広範な大衆の怒りや鼓動を通じて動いた。嘆かわしいことではあるが、これらの人々は大衆のどんじりに付き従った形だ。それにもかかわらず政権やハンナラ党は「背後説」を押し立て、朝中東(朝鮮日報、中央日報、東亜日報など名うての右翼世論製造機を指す)は先を争って再びセッカル論(「アカ」というレッテル張り)を押し出した。ニューライト全国連合は「親北勢力の操縦があった」との発表をしている。大衆は奴らの古い手法にあきれ返った笑みを浮かべるだけだ。なぜか? 誰かがやれと言ったからやったというのではないのだから!
政府の政策すべてが問題
BSE輸入牛肉反対闘争をしながら大衆は知るに至った。最初はBSE牛肉のゆえに出てきたが、政府はFTA締結・批准を声高に叫ぶ。あゝ! 米国産牛肉の全面輸入の理由はFTA締結のためだったのだ。FTAは資本家たちの利害が集中していた。結局、資本の利害のために庶民たちの健康権を売り渡すという事実が分かった。
10代たちによって主導されたキャンドル集会! 彼らはMB(ミョンバク)がとても憎らしかった。英語没入教育、零校時の復活、全国一斉テストの実施などによって学校生活は地獄となった。入試競争に喘いでいる10代たちにとってMBの教育政策は、持てる者だけのための政策だった。続いて起こった医療民営化、公共部門の市場化・私有化、大運河など、奴らの政策が大衆を一層怒らせている。市場万能主義者MB政権が見たのだ。キャンドル集会ではBSE牛の交渉無効を中心として、イ・ミョンバクの政策全般に対する糾弾と反対が続いている。これに加え、国民の声を無視しファッショ的弾圧を始めている政権に向けた「弾劾」が始まっている。本当の民衆による民衆の「弾劾」だ!!(「労働者の力」第145号、08年6月3日付、ソン・ジヒョン/政策教育2委員長)
廃止した「大運河国策事業
団」をこっそり復活させる
政府が4月の総選挙直前に廃止した国土海洋部(省)の「国策事業支援団」を最近、復活させたことが5月18日、確認された。国策事業支援団は大運河事業の実務を主導的に率いる組織だ。国土部は新政府発足直後、大運河の推進体である国策事業団を作り秘密裏に稼働してきた事実が露見した後、非難を浴びると急いで解体した経過がある。
大運河事業推進体の復活に続き、国策研究機関である建設技術研究院は国土部の下請け依頼を受けて、大運河が治水にとってなせ必要なのかを研究している。これによって今年下半期には青瓦台(大統領府)と国土部、国策研究機関、韓半島大運河研究会、民間コンソシアムなどが国民に対する説得の方案を準備して全方位的に大運河の必要性を主張して踏み出すものと見られる。
一方、建設技術研究院のキム・イテ研究員が5月23日、良心宣言を通して「水路の連結および4大河川の整備事業は運河計画だ」と暴露して多くの支援を得ている。BSE牛肉輸入から運河までイ・ミョンバク政権は密室での推進が特技のようだ。(「労働者の力」第145号、08年6月3日付、「ヒム・ニュース」より)
|