あなたも私も「テロリスト」?
治安管理強化と戦争体制を
促進するG8内相会議NO! |
六月十一日から十三日まで東京・恵比寿ガーデンプレイス内にあるウェスティンホテルでG8内相会議が開かれる。この会合は、二〇〇一年「9・11」以後、全面的に発動されることとなった「対テロ」グローバル戦争の一環である「治安管理」体制の強化をG8諸国が連携して推進するためのものだ。新自由主義的グローバリゼーションに対する抵抗の広がりを「テロリスト」の暴動と位置づけて抑え込むとともに、民主主義や人権を否定し、外国人、野宿者などを社会的に排除して「軍事的・警察的治安体制」を築こうとする動きが、すでに現実のものとなっている。オルタ・グローバリゼーション運動をターゲットにしたこうした治安弾圧体制のグローバル化を許してはならない。
六月七日、内相会合の会場に近い東京の恵比寿公園で「あなたも私も『テロリスト』? 治安管理強化と戦争体制を促進する内相会議に抗議する!」集会とデモが同実行委員会の主催で開催された。公園や周辺の道路には百人以上の私服の公安刑事や制服警察官が参加者の動向をチェックしている。
こうした厳戒体制の中で、司会をつとめた実行委員会の仲間が「今や権力の『テロ対策』は『外国人テロリスト』だけではなく『国産テロリスト』をも対象にしている。新自由主義がもたらす貧困、格差への批判が治安弾圧の対象として浮上しているのだ。こうした動きに抗議しよう」と訴えた。
次に参加者からの発言が続く。「横浜でG8とTICAD(アフリカ開発会議)を考える会」の京極紀子さんは、南アフリカの活動家トレバー・ングワネさんが日本外務省のビザ発給妨害によって訪日できなくなったことを糾弾した。さらにこの日、一日行動で共謀罪の廃案を訴える活動を展開した「破防法・組対法に反対する共同行動」、「荒川・山谷・墨田&足立実行委員会」、「渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合(のじれん)」の仲間が発言した。
この日、二十三人の野宿の仲間の参加をかちとった「のじれん」は、渋谷の宮下公園で現在のフットサル場だけではなく、スポーツ用品大手のナイキ社の出資でスケートボード場とオープンカフェなどを新設する大改修計画が進められていることを紹介し、公共の場としての区立公園がナイキに代表される企業の利益のための「商業施設」に変えられようとしていることを批判した。この「ナイキ公園」化によって、宮下公園を居住の場としているテント生活の仲間たちは排除されるのではないか、という不安に駆り立てられている。
集会ではさらに外国人と共に活動している仲間や山下幸夫弁護士などからの発言を受けて、デモに出発。百三十人にのぼる公安警察などの執拗な監視に抗議しつつ、百人以上のデモで渋谷の繁華街を通り、宮下公園までG8サミットと治安弾圧体制に反対する抗議の意思を道行く人びとに届けた。
デモ終了後、宮下公園では六月二十八日〜二十九日の「G8サミット直前行動 SHUT DOWN 貧困と環境破壊のG8サミット」や七月北海道現地行動の呼びかけなどが行われた。 (K)
「子どもと教科書全国ネット21」結成10周年
国家主義と新自由主義の教育に対する反撃強化を
右翼の攻撃を
全国ではね返す
六月七日、東京・文京区民センターで、「子どもと教科書全国ネット21結成10周年 記念講演&総会」が行われ、百人以上の参加者があった。
ネットは、一九九八年六月十三日、家永教科書裁判を取り組んできた仲間たちを中心に日本の教育・教科書問題を取り組んでいくことを目的に結成し、現在、五千四百九十九人の会員で構成されている。この間は、憲法改悪反対運動をはじめ沖縄戦強制集団死(集団自決)検定問題、大江・岩波沖縄裁判支援、教科書制度改善に向けた活動、改悪教基法の具体化・「日の丸・君が代」強制・ジェンダーフリー教育攻撃に反対する運動などを取り組んできた。また、天皇制と侵略戦争を賛美し、歴史の偽造運動を策動する日本会議、新しい歴史教科書をつくる会、日本教育再生機構、教科書改善の会に対するねばり強く批判・暴露を行い、包囲し、社会的な孤立を促進させていった。まさにネットは、諸課題をめぐる全国運動にとって中心的な役割を担ってきたと言える。総会は、運動の成果を共有化し、二〇〇八年度の活動方針を確認した。
憲法改悪に反対し
派兵恒久法阻止へ
記念講演が小森陽一さん(ネット代表委員、東京大学教授)と藤田英典さん(国際基督教大学教授)から行われた。
小森さんは、「憲法改悪・派兵恒久法をめぐる動き」をテーマに問題提起した。
冒頭、憲法改悪をキャンペーンしてきた「読売新聞」の憲法に関する調査(四月八日)において、十五年ぶりに「改憲」反対が賛成を上回り、九条に関しては「改正」反対が六〇%を超えた事実を「悔しそう」に報道していたことを紹介した。
「読売の世論調査では一九九三年から憲法『改正』賛成が反対を上回り、〇四年には賛成が六五%になっていた。しかし、この年に『九条の会』が発足し、草の根で憲法改悪反対運動を推し進め、ついに改憲反対が賛成を上回る結果につながった。『九条の会』の結成と全国運動の成果だ。このうねりが四月十七日の名古屋高裁の航空自衛隊イラク派兵違憲判決へと結びついた」ことを強調した。
さらに自民党、民主党国会議員などによって「新憲法制定議員同盟」が総会(三月四日)を行い、改憲にむけた衆参憲法調査会への働きかけ強化、「九条の会」に対抗する地方拠点の建設などを確認していることを取り上げ、「改憲にむけた動きとセットで国会での立法手続きを経ないで自衛隊派兵を可能とする『武力行使恒久法』を秋の臨時国会に提出し、強行成立をねらっている。イラク派兵の早期撤退と恒久法を阻止する闘いを強化していくために名古屋高裁判決を宣伝し、運動を広げていこう」と呼びかけた。
新学習指導要領
への厳しい批判
藤田さんは、「新学習指導要領の問題点と21世紀の教育課題」について報告した。
第一は、〇六年教育基本法の問題点として@教育目標としての徳目の列挙と「国民命令規範」A政治・行政による「不当な支配」B市場原理主義的改革と厳罰主義的改革の危険性を旧教基法と比較対象しながら明らかにしていった。
第二は、〇八年改訂学習指導要領の危険性・問題性を指摘した。
とりわけ要領の公表・パブリックコメント後の実質的修正について、「教育課程編成の一般方針の中で『教育基本法及び学校教育法その他の法令』の箇所を補強するために『これらに掲げる目標を達成するよう教育を行う』と明記してしまった。愛国心教育の強化にむけて『伝統と文化を〈継承し、発展させ〉の文言を〈尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し〉』とした。さらに『公共の精神を尊び』『国際社会の平和と発展や環境保全』と修正し、自衛隊の海外派兵と連動させた。また、『君が代は、いずれの学年においても歌えるように指導すること』とし、『日の丸・君が代』の指導を強化していくことを狙った」ことなどを取り上げ批判した。
さらに教育理念の混乱の特徴として教育の市場原理主義的再編、学校の評価・査察・統制、特化的教育課題の増大状況を浮き彫りにするとともに、成果主義によって教員は疲弊し深刻な事態に追い込まれていることを警鐘乱打した。
総会では特別報告として沖縄戦検定問題、大江・岩波沖縄戦裁判の現状と今後の取り組みについて確認した。
続いて諸運動報告と論議を活発に行い、最後に〇八年度運動方針〈1〉「憲法改悪を阻止し、改悪教育基本法の実施・具体化を許さず、政府・文科省による『教育改革』に対抗する取り組み」、〈2〉「『つくる会』・『教科書改善の会』の教科書に反対し、『教科書制度改善の提言』を使って、民主的な教科書制度の実現」、〈3〉「ネットワーク、全国学力テストなど競争主義教育反対、改悪少年法反対」などの取り組みを採択した。 (Y)
郵政民営化を監視する市民ネット
民営化された郵政事業を
市民・社会に取りもどそう
20万人に達す
る非正規職員
六月六日、郵政民営化を監視する市民ネットワーク第4回総会と「私のお金はどこに!? G8にはまかせておけない お金の流れを問う市民集会」が東京・永田町の全国町村会館で行われた。
最初に「郵政民営化監視市民ネット」を代表して事務局の下見徳章さんが、二〇〇五年に市民ネットが発足して以後の活動報告を行った。
「二〇〇七年十月の民営化直前、市民ネットは国労や水道の仲間と共に、民営化を通じて郵政事業がどうなるのか、職場状況はどう変わるのかを検証するシンポを行った。今年一月二十六日には、WSFあらかわの企画に参加して分科会を持ち、民営化以後の状況にどう対処して闘っていくのかを市民とともに討論した。現在非正規の職員は郵政グループ全体で二十万に達し、非正規が職場の最前線に立っている。他方、四つの事業会社それぞれが民間会社と資本提携を進めている。郵便事業会社は日通ぺりかん便と、郵便局会社はローソンと、簡保は日本生命やアリコと、そして郵貯は駿河銀行と、という具合だ」。
「私たちは市民ネットの発足にあたって、『郵政事業を市民・社会の手に』というスローガンを出した。それは現状維持では良いと思っていないが、民営化ではない第三の道はないか、という思いからだった。私たちとしては『再国営化』というスローガンではなく、社会的事業としての可能性を市民とともに探っていきたい」。
この報告を確認して、次に「お金の流れを問う市民集会」に移った。
米国の要求に
沿った民営化
講演は最近『「お金」崩壊』を集英社新書から出版した青木秀和さん(市民研究者)が行った。
青木さんは郵貯、簡保の資金の取り崩しが進む一方で、民営化された郵貯・簡保が国債引受機関となっている現実を詳しく紹介した。そして竹中・元金融担当相が「民営化された日本郵政は、その資金を米国の株や証券に投資せよ」と主張していることを例に挙げながら、小泉・竹中の郵政民営化が「利権まみれの財政投融資の構造をこわす」ことに主眼があったというよりむしろ膨大な郵貯資金に目をつけた米国の言い分を丸のみにするものであることが明白になった、と語った。そして質疑の中で、郵貯の目指すべき方向性は地域の地場産業の需要に応える小口の融資なのではないか、と問題提起した。
続いて現場の報告として、郵政ユニオン副委員長の棣棠(ていとう)浄さんと郵政ユニオン組合員である非正規(ゆうメイト)の仲間が報告した。棣棠さんは、民営化によって村の郵便局の集配業務が廃止された東京都檜原村の現状を報告した。檜原村の隣にあるあきる野郵便局の集配で働く棣棠さんは、細い山道が続く檜原村の集配も行うようになった。その中で独り暮らしの高齢者から振込や引き出しを依頼されることもあるが、それをすれば違法になるという現実の中で、ユニバーサル(全国一律)・サービスの崩壊を実感せざるをえないと語った。
棣棠さんはまた、衆参ねじれ国会の中で野党(民主党、社民党、国民新党)が提出した郵政民営化見直し法案(日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案)を説明し、全国郵便局長会議の復活など「民営化の見直し」派の動向について報告した。
ゆうメイトの仲間は、非正規でも「連続十一時間半労働」など、過酷な労働現場の実態を報告した。最後に郵政民営化監視市民ネット事務局の安藤丈将さん(ATTACジャパン)から、G8サミットへの対抗アクションへの呼びかけが行われた。 (K)
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