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鉄建公団訴訟控訴審(第9期日)報告集会         かけはし2008.6.16号

JR東海・葛西会長を尋問

分割民営化の現場指揮官を追及

原告に有利な
証言引き出す

 六月二日、全水道会館で、「鉄建公団訴訟控訴審(第9期日)報告集会」が国鉄闘争共闘会議の主催で開かれ、三百人が集まった。今回の公判では、国鉄の分割民営化を指揮し、1047人解雇問題の首謀者であるJR東海会長・葛西敬之への尋問が行われた。
 最初に、二瓶久勝さん(国鉄闘争共闘会議議長)が主催者あいさつを行った。
 「葛西への証人尋問は大きな成果を上げ、こちらに有利な証言を引き出した。今後の闘いの展望。1・23全動労判決以後、政治的動きが止まっている。自公が対立しているから動かない。鳩山幹事長の院内集会での支援協力発言に続き、民主党小沢代表が全力で支援すると表明した。国交省の官僚は1047人がまとまっていないのではないかというが、こちらは四者四共闘できちっとまとっている。さらに、裁判闘争で決着をつけるつもりではないかとも言っているが、これは国交省前での連続した座り込みを指している。こちらの運動が急所を攻めていることを現している。鉄運機構に行くと『なるべく早く解決したい』とは言う。『和解は受けるのか』と言うと『ムゲには断らない』との返答だ。重要なのは政治的和解であり、そのための当事者間の交渉テーブルを設けることだ。今回の裁判を受けて事態は動くだろう。できれば、年内あるいは年度内に勝利的解決を勝ち取っていきたい」。
 続いて、加藤晋介主任弁護人が葛西尋問の内容とその意義、そして今後の法廷闘争の見通しを熱く報告した(別掲)。尋問担当弁護士の清水建夫弁護士と萩尾健太弁護士が感想を述べた。清水さん。「葛西はかなり切れると聞いていたがオーラがたたない、ただのオジさんだった。分割・民営化に賛同するかどうかが採用の基準だったことを一貫して言っていた。国労差別をしたことが出てきた。裁判官の補充尋問はすばらしかった」。

国労つぶしこそ
彼らのねらい

 次に、全統一光輪モータース分会の大原分会長が「四月二十四日に会社は倒産したが、自主営業しながらがんばっている。六月十三日、台東区民館で総決起集会を行う。泣き寝入りしない。しっかりした人生を歩むためにがんばっていく」と倒産攻撃と闘う報告を行った。
 函館闘争団の佐々木さんと脳梗塞で倒れた闘病中の連れ合いさんが登壇し、支援へのお礼と闘う決意を述べ、大きな拍手を受けた。
 鉄建公団訴訟原告団・酒井直昭団長が次のように決意表明した。
 「葛西証言を聞いて、私が感じたのは、彼が分割・民営化の表向きの理由として掲げていたのは経営危機と職場規律の破滅状態であるとしていた。結果として分割・民営化しかなかったんだと言った。官僚はどうして、きれいごとを言うのかと思う。思い出したのは、JRの管理室長が交渉に出てきたことがある。彼に中曽根発言について質問した。すると『いや、トップがどういう思想で国会で対応しようとわれわれ、法律を提案するものとしては、公正中立な立場で立案した』と答えた。今回、葛西も裁判長の尋問にまじめにやっていたと答えた。しかし、今日の尋問で分割・民営化のねらいが国労つぶしであったことは明らかになった」。
 「本当にこの裁判闘争をやってきて悔いなしと言う思いを改めてした。間違いなく今日の尋問で被告側を追い込んだ。政治解決など大きな動きがつくれない場合、次回の進行協議の中で結審というところまでいくだろう。そういう意味で、解決のためにも勝利判決をしっかりとめざしたい。何よりも訴訟上の和解よりも政治解決が有利ということであれば、そちらで解決ということもありうる。最後までしっかり闘いたい」。
 最後に、団結がんばろうで今後のいっそうの闘いの前進を誓い合った。(M)


加藤主任弁護人の報告から
差別の現実を浮き彫りにした裁判長補充質問

 私の方で目指したのは四点であった。第一に、国鉄分割・民営化は葛西が人脈のネットを張り巡らせて、中曽根、瀬島にプランニングをやらせて、その下で現場指揮官としてやった。彼が自民党の裏部隊・三塚委員会に情報を持ち込み絵を描いた。臨調、国鉄再建管理委員会の裏部隊にいて情報を操作した。
 第二に、国鉄改革というけれど、一段ロケットではなかった。葛西は一度失脚しかけたことがあった。一九八五年六月に起きたクーデターの前、国鉄の本体は民営化はやむを得ないが、公共交通としての鉄道を維持するためには、分割だけはやってはいけないと考えていた。国労や社会党も同じであった。
 ところが八五年六月以降変わった。逆らう者、反対のリボン・ワッペンは許さない。抵抗しようものなら、職場規律ですりつぶす。そして団体交渉について、人事権は経営者側にある、合意など組合の言うことを聞く必要がない。
 彼はもうひとつ入れ知恵された。八五年十月に、法務専門家から「誠実に交渉すれば、後は経営者の責任で実行すれば良い」と言われたのを法廷でゴマかそうとした。
 公労法においてストは禁止されている。国是として、国会において分割・民営化が認められ、そして職場規律のゆるみが指摘されていた。だから処分をやった。国労に従ったばかりに不採用になった。私たちは国労を差別する意志はなかった。このように詭弁を持って彼は逃げたつもりだ。
 しかし、その前からやられたのは何だったのか。反対する労働組合の言うことは聞かない。ストを打ったら処罰する。抵抗したら処分する。彼がやったことは反対する労働組合なんか許すな、労働組合なんか人ではないということだ。労使対等の原則や弱者である労働者が団結して抵抗しなければいけないということについて、まったく無理解であることを自白した。
 だから南裁判長が「杉浦総裁に代わられてから、リボン・ワッペン着用に対して処分されるようになった。そうすると、そういうことをやるのは国労だけだから、国労の人たちを差別するという見方もあるんだと思いますが……」と最後の補充尋問をした。あなたの言っている下から、ヨロイが見えている、と言いたかったのだ。

分割民営化を
操った瀬島龍三

 分割・民営化を裏で操ったのは実際上、瀬島だ。瀬島のやり方は軍隊式だ。宮廷革命の時も、三人の経営陣を切ればよいと助言したのは後藤田だ。それに対して、瀬島は反対した七人全員の理事を切れと言った。
 最初に、採用してほしいか、どこへ行きたいかというアンケートをとり、第二段で、労使共同宣言で、分割・民営化を認めなければ、雇用安全協定を結べない。結べなければどうなるか。国鉄法29条があり解雇となる。分割・民営化反対と言っただけで首がとぶと脅しをかけた。飲めないのを分かっていて二度にわたって踏み絵を踏ませた。そして人活センターに放り込んだ。どんなに分割・民営化が地方ローカル線をつぶし、国民に大きな負担を負わせて、大変だと思っても反対すれば、首がとぶという圧力をかけた。反対すれば処分される、処分されれば不採用だと言われる。
 ストがあるたびに、従来は地方など三役クラスの処分しかなかったものを、支部や分会の役員まで処分を広げた。処分された者はオレは大丈夫か、ここで何とかしなければ採用してもらえない。こうしたやり方は組合員全部を不安に陥れた。こんなところで生き残れる労働組合なんかない。こんなむごい組合のつぶし方はない。
 このことを葛西は淡々と言った。「分割・民営化に反対された以上、私どもが説得したのに、国労が方針を変えなかったのが悪い」。個々の不採用者が成績が悪かったと言わなかった。国労脱退組の鉄産労が分割・民営化を認めたから意欲が違うと評価し採用した。葛西はこうしたやり方全部を認めた。

国鉄改革法23条
の問題点とは?

 第三に、国鉄改革法23条。これはふたつある。ひとつには行政、立法だけでなく、裁判所まで引き込む仕組みをつくった。裁判所まで組み込まれて、時効で切り捨てるのはおかしい。この法律をつくったのはだれか。逃げると思って尋問したら、「現高松高裁裁判官である」と答えた。後で中曽根発言について尋問された時、「子の心、親知らず」と言っていたように、責任逃れのためには、人を平気で売るし、その中で、私は何も悪くありません、正直者だと逃げる。
 23条でもうひとつ、こちらが取りたかったのは、旧国鉄、運輸省、内閣法制局と労働省は23条のような条文をつくったら、どういうことになるかという効果を検討したはずだ。これを出させることだった。
 当時の国会審議の過程で、社会党議員が「新しい会社になって、労働条件が変わる。その労働条件はどうなるのか。まったく新しくなって従来の協約はダメになるのか。労働条件を引き下げるつもりじゃないのか。そうだとすれば、労働組合と団体交渉をやらせる必要があるのではないか。だれが団体交渉の主体になるのか、旧国鉄なのか設立委員会なのか」と質問している。この時、人活センターで悪いことをやっているが、責任追及されたらどうするかなど、23条の効果を検討しないはずがない。残念ながら、充分に追及できなかった。

巧妙に作られ
た排除の基準

 第四に、23条に基づいてJR側がつくる採用基準だ。JRの採用基準はファジーに出来ている。新会社にふさわしいもの、経験・技能等にかんがみて、これを総合的に評価する。ふさわしいものという基準はあいまいなものだ。なぜ、こんな基準をつくったのか。最近出てきた新しい資料によると、葛西はこの設立委員の斉藤英四郎の所に井出と訪ねて行った。「この選考基準を満たさなければ排除できる基準をつくらせて下さい」とお願いすると、斉藤は「じゃあ、君たちは実情が分かっているからつくれ」と言って、葛西がつくった。少なくとももっともらしく見えて、不当労働行為があったとしても、分からないようなファジーなものにしてしまえ。
 だから、裁判所から補充尋問がでた。「九州でお聞きしますが、動労と鉄労はほぼ百%、ところが国労は四〇%採用。ふさわしいものがあるにせよ、技能・経験という客観的なものを主に書いてあるのに、なんでこんなことになるの? 国労というのは技能や経験の劣悪なものの集まりなのか?」
 つくった採用基準がまゆつばものだと裁判所に分かっただろう。尋問全体としては合格点がもらえるのではないか。
 今後の進行だが、七月十四日に、元国労島田副委員長の尋問が入っている。その後、今後の進行について協議するとなった。裁判所としては、事件の大きさにかんがみて、どこかで和解を勧告してくるだろう。(発言要旨、文責編集部)


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