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神戸 環境相会合に対抗アクション            かけはし2008.6.9号

環境破壊の最大責任は
G8諸国にこそある!

市民が提案するもう一つの環境サミット
資源浪費と飢餓・貧困を生み出す経済システムの転換を

 【兵庫】五月二十四〜二十六日に神戸で開催されたG8環境大臣サミットに対抗して、「市民が提案するもう一つの環境サミット」が、二十四日(兵庫県私学会館)、二十五日(兵庫県学校厚生会館)の両日にわたって神戸市で開催された。二十四日の分科会と二十五日の全体集会には延べ三百五十人が、二十四日夕刻からのパレードには二百人が参加した。
 「地球温暖化・エネルギー・原子力」(第1)、「農業・林業・漁業・食」(第2)、「海・川・空・湖・埋め立て・ダム・水汚染」(第3)、「ゴミ・廃棄物・環境ホルモン・土壌汚染・自然災害・アスベスト」(第4)、「教育・法律・政治・運動論」(第5)の五つのテーマで行われた分科会では、総計二十八団体・個人からの事例報告がなされ、討論が活発に行われた。
 とりわけ第五分科会では、デモではなくパレードになったことを批判する従来の活動家層と、パレードを組織してきた若者との間で激しい議論が闘わされた。「今の若者は怒りを忘れている。怒りを忘れてどうするのか」という追及に、若者たちからは「怒りを前面に出すことで退いてしまう若者たちと、どう共感をもって行動できるのか」、「九条を守ろうという集会には若者たちは行かないが、NGOには若者たちが大勢いる。このギャップをどう埋めていくのか」と、自分たちの運動の経験を踏まえた反論がなされた。
 激しい議論を反映して六本の修正案が出されたにもかかわらず、第五分科会は唯一、「環境、民主主義、人権、平和といった幅広い分野にわたり、多様な市民運動の担い手が生まれ、刺激しながら政治や行政を変えていくため、今後も経験交流を続けていきます」という分科会決議をあげた。
 分科会終了後、参加者は買い物客でにぎわう週末の三宮センター街を、「みんなの地球、みんなで決めよう、G8だけでは決めないで」と、サミット批判の声もたからかに、そしてにぎやかに、パレードを行った。

気候変動問題と
三つの基調講演

 翌二十五日には、高槻市議の野々上愛さん、伊丹市議の相崎佐和子さんの両若手市議の司会で、基調講演とシンポジウムが行われた。講演に先だって、みどり関西の恩田怜さんは、「国を挙げてのサミット歓迎ムードの中で、これでいいのか、G8に反対しようという声が市民の中から起こってきました。地球を食い物にしてきたのは先進国のわれわれなのに、そのことを自覚せずに超大国だけで世界の今後の事を決めようとしています。G8やグローバリズムや国の枠ではなく、市民の立場で市民環境サミットをやろうということになりました」と、実行委員会を代表してこの会がもたれた経過を述べた。
 基調講演は「G8で地球環境は救えない」、「原子力発電と日本のエネルギー」、「気候変動と超大国の責任」の三題で行われた。
 最初の講演者の日本消費者連盟の山浦康明さんは、「G8サミットを問う連絡会」の活動経過と七月の洞爺湖サミット時における行動計画について報告した後で、G8諸国こそ、自由貿易協定を推進して世界中で貧困化と債務問題を引き起こし、アグリビジネスを展開して小規模農家を、民営化によってライフラインを破壊し、なによりも世界中の環境を破壊してきた張本人であること明らかにした。また、とりわけ問題なのは、総量規制をせずに、セクター別アプローチ(産業・分野別に温暖化ガスの削減を進める方法)を推進しようとしている日本政府であると厳しく批判した。そして、気候変動対策を新たなビジネスチャンスととらえる傾向を批判し、「経済システムの転換を含む提案だけが検討に値する」と講演を締めくくった。
 二番目の講演は原子力資料情報室の山口幸夫さんによって行われた。山口さんはまず、原発が制御不能なシステムであるうえ、廃棄物の処理策がないにもかかわらず、稼働させ続けていることの危険性を指摘した。そして、使い道のないプルトニウムを得るための六ヶ所再処理工場と、そのプルトニウムを使うための高速増殖炉もんじゅの稼働を阻止することの重要性を訴えた。最後に、山口さんは日本ではエネルギーの三分の二が無駄に失われていること、また日本の電力需要は頭打ちになっていることにふれ、「市民サイドからのエネルギーシナリオが必要とされているのであり、過剰な電力を使わない社会こそが求められているのです」と訴えて講演を終えた。

市民自身が政府
に対して行動を

 第三講演の前に、NGOフォーラムの国際シンポジウム終了後急遽かけつけてくれた、「環境開発に関するドイツNGOフォーラム」代表のユルゲン・マイヤーさんからのあいさつを受けた。マイヤーさんは、「G8諸国には環境問題で、一番大きな責任がある。彼らは議論はしているが、アクションしていない。市民サイドからの、消費者からの、科学者からのプレッシャーが重要だ」と、会場に奮起を促した。
 最後の講演者の「地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)」専務理事の早川光俊さんはまず、気候温暖化の要因は人間の活動にあると認定したIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の第四次報告を解説し、「事態はIPCCの予測を上回っており、この急速な気温上昇に地球の唯一の生産者である植物が短期間で適応できるのかは疑問」、「今世紀末までの百年間の気温上昇をなんとしてでも二度C以内にとどめなければならない、そのことが達成できるかどうかはこの二十年の取り組みにかかっており、とりわけCOP15までの二年間が重要である」と訴えた。
 次に、早川さんは各国政府の対応について触れ、「EU諸国が前向きなのは市民の意志の反映であり、アメリカでも国内ではいろいろな動きがある。しかし、日本政府は社会的責任論の立場をとり、具体的対策をとることに反対してきた」と日本政府の対応を批判し、日本政府に削減目標をたてさせ、実行させることの重要性を語った。それと同時に、「G8諸国の開発戦略、企業活動優先が環境破壊を促進してきたのであり、その結果として、途上国により深刻な被害が及んでいる。貧困を解決しなければこの問題は解決しない」と指摘した。
 そして、自らが弁護士として関わってきた反公害闘争の経験を踏まえて、環境問題の基本は三つの公平、「南北に生きる人たちの公平=同世代に生きる人たちの公平、世代間の公平=将来世代との公平、生物間の公平=人間と他の生物の公平」にあるとし、「市民こそが環境問題解決の鍵」と結論づけた。
 最後の企画は、環境エネルギー政策研究所の大林ミカさんをコーディネーターとする、山浦、山口、早川の三人の講師と、気候ネットワークの浅岡美恵さん、参院議員の川田龍平さんによるシンポジウムだった。討論はG8の問題、日本政府の対応、代替エネルギー、炭素を使わない社会、環境をどうとらえるのかなど多岐にわたったのだが、パネラーが等しく語っていたことは、環境破壊の第一義的責任はG8諸国にあることであり、具体的行動とらない日本政府の問題であり、市民自らが政府に対して行動をおこすことの重要性であった。
 最後に市民サミットは、「G8や『グローバリズム』や国の枠ではなく、『草の根』市民の視点で地球温暖化など環境問題について、問題提起をし続けていきたいと思います」、そして、「それぞれの違いを認めつつ、市民運動をもりあげ、政治や行政のあり方を変え、二十一世紀が環境の世紀となることをめざします」という集会決議を採択して二日間にわたる全日程を終えた。     (J)


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