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大成功をおさめた「9条世界会議」            かけはし2008.5.19号

全国で3万人以上が参加した!
今こそ現実化すべき「非戦」理念

3日間でのべ2万人以上の結集
持続的な平和の創出めざし世界の人々と共に進もう

どの会場でも
熱気溢れる論議

 五月四日から六日まで、千葉の幕張メッセで「9条世界会議」が開かれた。五月四日の全体会には、予想をはるかに上回る一万二千人が参加し、他に三千人が入場できなかった。そこで急きょ、隣接する公園に会場が設定され、会場に入れなかった二千人を前にノーベル平和賞受賞者のマイレッド・マグワイアさん(アイルランド)と、コーラ・ワイスさん(ハーグ平和アピール代表/米国)が、本会場からかけつけて熱烈なメッセージを送り、最後は「ウイ・シャル・オーバーカム」の大合唱となった。
 一時半から幕張イベントホールで始まった全体会では、マイレッド・マクガイアさんとコーラ・ワイスさんが基調報告を行った後、海外ゲストと日本からの発言、二月二十四日に広島を出発してこの日幕張に到着した「9条ピースウォーク」の報告、市民と弁護士の合唱、トークセッション「イラク、アメリカ、日本」などが行われた。夜のライブではUA、FUNKIST、原田真二、加藤登紀子が熱唱し、終了したのは十時半になっていた。
 五月五日の分科会にも国際会議場のコンベンションホールや国際会議場、集会室に六千五百人が参加し、当日券完売のため五百人が入場できなかった。この日、六つのシンポジウム(@「世界の紛争と非暴力」A「アジアのなかの9条」B「平和を創る女性パワー」C「環境と平和をつなぐ」D「核時代と9条」E「9条と未来」)、パネル討論「グローバリゼーションと戦争」、二つの特別フォーラム(「GPPAC紛争予防フォーラム」「国際法律家パネル」)や数多くのワークショップが開かれ充実した討論が繰り広げられた。各シンポジウム、ワークショップはいずれも超満員の盛況だった。
 五月六日には、まとめの総会が行われ、「戦争を廃絶するための9条世界宣言」、「核不拡散条約(NPT)再検討準備委員会に対する9条世界会議の声明」、「G8に対する9条世界会議声明」が発表された。
 こうして成功裏に終わった幕張の「9条世界会議」は三日間でのべ二万人が来場した。海外からの参加者は三十一カ国、百五十人に上った。
 さらに五月五日の広島集会には千百人、六日の仙台集会には二千五百人、関西集会には八千人が来場し、三日間の参加者は全国で三万人を大きく上回った。

浸透しはじめた
9条の今日的意義

 「9条世界会議」の大成功、前日までの予想を上回る大結集は、一九九九年の「ハーグ市民会議」や二〇〇六年のパンクーバー世界平和フォーラムを経て、新自由主義的グローバリゼーションと一体化した「対テロ」戦争の時代に、紛争と暴力、環境破壊、貧困と人権・民主主義破壊などを克服した公正な平和をグローバルな規模で実現する上で、日本国憲法9条の今日的意義がますます重要なものとして自覚されはじめていることを示すものである。
 米国のブッシュ政権が解き放ったアフガニスタンやイラクへの侵略戦争の破綻と泥沼化は、「武力で平和は作れない」という理念の重要性を突きつけている。それはともすれば一国主義的な「特殊性」として語られてきた日本国憲法を、今日の世界情勢の具体的な枠組みの中で捉え返すという考え方が浸透しはじめていることを物語っている。
 主催者側の準備上、運営上の不手際で、北海道などの遠方から参加した人びとをふくめ多くの人びとが参加できないという問題もあったことは確かである。それは「9条世界会議」への人びとの期待の広がりを十分につかみとることができなかったことに大きな要因があるだろう。
 しかし福島県郡山市からバス二台、七十人で参加したが結局入場できなかった人も「会場に入れなかったのは残念だが、ゴールデンウイークのさなかに9条のためにこれだけの人が参加したことに感動した」と語っている。この思い、期待をさらに大きな力としていくことが問われている。
 五月六日のまとめの総会では、コスタリカの代表が次回の「9条世界会議」の準備委員会を作るための討論を開始する、と発言した。この成果を日本、アジア、世界に拡大するためにともに努力しよう。  (K)




9条世界会議・関西に8千人
若者たちも率直な意見交換戦争への道を拒否しよう

 【大阪】9条世界会議・関西は五月六日大阪舞洲アリーナで開催され、八千人が参加した。午前中は二つのワークショップ(「アジアの中の9条」と「世界の貧困・紛争・環境と9条」)が開かれた。午後からはメインアリーナで全体集会、別会場で子ども向け映画(大阪いずみ市民生協)・芝居(九条の会・豊中いちばん星)が上演された。

非暴力の確信を
投げ捨てるな

 関西の「うたごえ」による「日本国憲法第9条」の合唱でオープニングした。総合司会は小山乃里子さん(元「ラジオ関西」アナウンサー)、開会のあいさつを九条世界会議・関西共同代表の松浦悟郎さん(日本カトリック正義と平和協議会会長)が行った。松浦さんは、長崎で原爆被害に遭った永井隆博士が、「国際情勢次第では日本人の中から、憲法を改めて、戦争放棄の条項を削れと叫ぶ声が出ないとも限らない。もっともらしい理屈をつけて世論を再武装の方に向けようとするかもしれない。その時こそ、お前たちは最後の二人になっても、どんなにののしりや暴力を受けても、きっぱり戦争反対を叫び続けておくれ」と憲法の戦争放棄の条文の重要性を二人の子どもに語った言葉を紹介し、「本当の敗北は、自分が信じてきたことをあきらめることだ。真の平和は非暴力による対話・相互理解によって実現するという確信を曲げないこと。その確信こそが世界に平和のネットワークを広げることになる。それが9条を掲げることの意味だ」、と述べた。
松村ますみさん(9条世界会議日本実行委員会)は幕張メッセでの9条世界会議の様子を報告し、九条を世界に発信していこうと訴えた。

新世代からの
さまざまな訴え

続いて、新世代からのメッセージとして日本の大学生や海外からの留学生六名が、9条についての自分の考えを披露した。
ワンさん(阪大、シンガポール):世界の強国になった日本を深く知るため、日本に留学した。9条は日本の誇りですか、恥ですか。押しつけられたものだとしても私は誇りだと思う。その理由は、9条が第二次世界大戦の戦争責任の表明だからだ。日本は戦争被害についてまだ正式に謝罪していない。改憲すると、東アジア情勢が悪化する可能性が高い。9条が示しているのは、日本が武力を使わずに世界の国々と交流するという願いだ。
 安藤さん(阪大):最近は学生の間で9条について話をすることなど想像できない。すれば、浮いてしまうだろう。戦争を身近に感じられないのは9条があるためかもしれない。9条はあって当たり前、空気のような存在だ。でも、環境と同じで9条は汚れかけている。私たちは9条を守ろうとしなくてもいい、だが9条が果たしてきた役割、9条を守ってきた人々のことを伝えていくことはできると思う。
 金さん(在日コリアン青年連合):9条は守るべき重要なものだが、ただ護憲を訴えることのみでは問題の本質は深められない。憲法制定の裏で、在日コリアンは権利の主体から排除されてきた。外国人登録令が制定され突然日本国籍を奪われ、あらゆる権利を剥奪された。東アジアの冷戦構造が終わらない限り、本当の平和は実現しない。しかしあきらめない。憲法9条の理念を知り、兵役拒否の闘いをしている韓国の若ものたちがいる。国籍や民族をこえて平和のあり方を考えたい。
 村上さん(関西学院大):なぜ9条の会は護憲派の集まりなのか。9条の会には両方の派の人がいて当然だ。9条の名において改憲派を排除しているのなら、それが第一の疑問だ。異なる立場の存在を理解することを小学校で教えられたが、理解できているかどうかわからない。自分は改憲派にも護憲派にも属していない。一千万円もらえるならどちらにでもつく。家族が殺されれば改憲派になるだろう。自分は戦争の当事者ではないから、まだ冷静に考えられる。9条は絶対ではない。どちらの立場にもつく可能性がある。どちらの立場であっても、全肯定も全否定もしないでほしい。
 細谷さん(立命館大): 日本の若者へ。日本国憲法第9条を知っているか。日本にはなぜ徴兵制がないか。なぜ武力行使ができないか。それは9条があるからだ。9条が変えられようとしていることを知っているか。なぜ9条を変えたいのか、政治家の言葉を借りると、普通の国になり、そして国際貢献をしたいからだそうだ。戦争になれば兵士が必要だ。戦争に行きたい人はそう多くはない。だが戦争体制を作るには徴兵制を作ればいい。真っ先に徴兵されるのはあなただ。戦争に行くと、人を殺す。のみならず、自分も殺される可能性がある。また死ななくても、米国では、戦争に行った若者の三十万人以上が心的外傷ストレス症候群にかかっている。9条を変えることはあなたたち自身にかかわることだ。
 中村さん(近畿大):平和を愛する大人たちへ。人は親を見て育つ。9条を守ってくれた大人の人たちありがとう。あなたたちの意思を受け継ぎ、9条に見合った国づくりをめざす。あなた達にとって9条は何か。対立するための武器ではないですよね。考えの違う人たちともっと話しあう機会をつくってほしい。戦争になれば私たちが戦場に行く。だから私たちにも教えてほしい。戦争のこと、戦争の止め方、平和の大切さを。学生といっしょに活動してほしい、私たちに呼びかけてほしい。学生は自分の将来について不安で、平和について語り合う余裕もその場もない。もっと気楽に話し合えるあなたたちに出会いたい。
 司会の学生から、五月二十五日学生の交流会を開催するので、参加してほしいとの呼びかけがあった。

軍事費を貧困
や環境対策に

 海外ゲスト三名のスピーチが続いた。はじめにベアテ・シロタ・ゴードンさん(日本国憲法一四、二四条の起草者)が日本語でスピーチした。名前はシロタというが憲法のことは素人だとジョークが飛び出した。「マッカーサーは日本が独自に民主憲法をつくるのが一番いいと思ったが、松本蒸治案は明治憲法と変わらないものだったので、二十人の民政局員を極秘に集めて憲法の起草を命令した。私は当時二十二歳だった。やっていることがばれないように、たくさんの図書館に行って、いろいろな国の憲法を集めた。日本国憲法は、憲法研究会の憲法草案やいろいろの国の憲法の歴史が盛り込まれている。国民はこれを喜んで受け入れたが、政府はそうは思わなかったので、一九五四年になってから、押しつけ憲法だから改正するのだという声が上がった。日本は漢字や陶器などを外国から輸入し、自分のものにしてきた。よいものならよいのではないだろうか。憲法起草は極秘だったから私は十年前まで関わりを明らかにしてこなかった。もし、起草時が二十二歳だったということがわかれば、改正したい人たちは、年齢を問題にして二四条をまもらない理由にすると思った。当時と比べ日本の女性の地位は向上した。日本国憲法は改正されていない世界で唯一の憲法だ。そのすばらしさをもっと外国に宣伝すべきだ」。
ジテンドラ・シャーマさん(国際民主法律家協会会長)は、日本国憲法9条を解説し、「戦争と武力の行使は永久(フォーエバー)に放棄する」、「戦力は(ネバー)保持しない」、の二カ所は別の意味がないぐらい明確なものであり、憲法の基礎であるから、これを変えることはありえない、と述べた。また「コスタリカとパナマが日本に次ぎ、国民に人気の高いボリビアのモラレス大統領は新憲法は9条の入った憲法になると宣言した。平和になれば、軍の予算を貧困や環境改善に役立てることができる。9条は国連憲章の精神を受け継いでいる」と述べ、先日の名古屋高裁判決を高く評価し、米国のアーミテージの改憲論を批判した。

米国を反面教師
にしてほしい

 メアリー・アン・ライトさん(反戦・平和運動家、元米陸軍大佐、元国務省職員)は、イラク先制攻撃を批判し国務省を辞職した。「米国は戦争による国家安全保障をかかげる国になってしまった。ブッシュ政権は戦争犯罪者として裁かれるべきだ。米国は、自国の利益にならない人には非常に冷たくなった。市民に自由のない国になった。9条を変えると米国のようになる。米国を反面教師としてほしい。9条がまだ米国の軍事支配を抑制する働きをしていると言える。米国は世界でいちばん武器輸出の多い国だ、それも違法の武器の。武器を買った国はそれで自国の人々を殺している。武器輸出会社の傭兵である民間軍事会社のやったことは責任追及できない。平和で儲けるためには、9条が必要だ。最後に、米兵のレイプ事件について言いたい。米兵の置かれている状況というのは、イラク戦争で生き残ってもPTSDの病人になるありさま。米国軍隊の女性の三〇〜五〇%が男性から性暴力を受けているという事実がわかった。これを防止するのは容易ではないが、米国議会、駐留米軍のいる国の政府が責任を追及し、犯罪人として訴追し、トップの将校も免職にすべきだ。9条は、アジアの集団安全保障の中心になるべきだ」と熱く語った。
 この後、学童保育の子どもたちによる、合唱、「ひょっこりひょうたん島」の歌にあわせたけん玉、一輪車に乗ってのパーフォーマンスが披露され、ステージ全体は子どもたちの若さであふれた。

自分の考えを
どう伝えるか

 続いて小山乃里子さんと香山リカさん(精神科医、帝塚山学院大教授)の対談に移った。
 香山さんは精神科医として患者を治療した後、アフターケアーを考えることから社会問題に関心を持つようになった。
 「憲法変えようの声が大きくなるにつれ、社会がせちがらくなってきた。私は、憲法を変えようというのは、日本の心の病気だと思う。格差社会、財政破綻を不健康な薬で処理しようとすること。日本は経済大国からずり落ちるかもしれないと自信を失いかけていて、誤った精力剤的やり方で戦争のできる国にして、強くなりたいと思っているようだ。強さの回復イコール自信と感違いしているみたい。他人に厳しすぎる人が増えている。本当に優しくなってほしい」。「改憲という大きな問題、考えが分かれて当然だ。意見の違う人とも話せるようになってほしい。テポドンが……と言う人がいるけど、外に敵をつくるのは自分の心に不安があるからだ。改憲すれば、ミニ米国になるだけだ。テレビに出たとき、君たち平和主義者は……といわれる。レッテル貼りをすると、する方も不幸だ。一歩外に出れば、まったく反対の意見の人がたくさんいるのだから、自分の考えを相手にどう伝えていくかを、明日からやらねば!」
対談の後は、みんなで歌おう「第九で9条」の合唱に続いて、ソウル・フラワー・ユニオンのライブ演奏。びんびん響く音響の中、途中からステージの真下を占領した若者たちが阿波踊り(?)でエネルギーを解放していた。
集会のまとめは、木戸衛一さん(九条世界会議・関西共同代表、大阪大教授)が行った。そして、参加者一同、「ウイ・シャル・オーバーカム」を歌って閉幕した。    (T・T)


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