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反貧困フェスタ2008                かけはし2008.4.7号

新しい労働と文化の闘いへ

資本の新自由主義攻勢に挑戦し
生存のための社会的連携求めて


連合高木会長も
参加したシンポ

 三月二十九日、反貧困ネットワークが主催する「反貧困フェスタ2008―貧困をどう伝えるのか―」が千代田区の神田一橋中学校で開催された。開会式が行われた校庭の回りには満開の桜が咲き、広い校庭を取り囲むようにテントブースや青空ブースが並ぶ。開会時間の午前十時には焼きとりのタレや焼きそばのソースが焦げる臭いが広がり、舞台中央では三線や太鼓に合わせてエイサーが踊られ、まるで「花見」の会場のように華やかであった。
 十時十五分には十の会場で一斉にワークショップやシンポジウムが始まった。地下の大食堂で開催された高木連合会長、関根派遣ユニオン書記長、河添誠首都圏青年ユニオン書記長の三人がパネリストをつとめるシンポジウム「労働と貧困」は開始と同時に参加者が外の通路まであふれる盛況で、多くの参加者が他のワークショップやシンポジウムにまわらざるを得なかった。

地球の裏側から
吹いてくる「風」

 最も大きな会場で開催された雨宮処凛と廣瀬純の対談「『自由と生存』の風は地球の裏側から吹いてくる」は体育館に椅子が二百五十も並べられた。しかし、対談が始まった十時半には多くの人が椅子には座れず、床に直接座って参加する形になった。
 地球の裏側というのはラテンアメリカのことであるが、廣瀬さんがこの二十年間のラテンアメリカの歴史と闘いを紹介するという形で進められた。「日本では一九八二年に中曽根政権が誕生し、国鉄民営化などの攻撃が行われたが、ラテンアメリカもサッチャー・レーガンのネオリベラリズム=新自由主義に巻き込まれていった。それは軍政時代の借金が口実だった。……日本では中曽根から小泉まで『失われた十年』という形で新自由主義の中休みがあったが、ラテンアメリカでは一貫して新自由主義の攻撃が継続された。ボリビアでは炭鉱が民営化され、比較的豊かであったアルゼンチンでは中産階級が没落し、今日ではラテンアメリカ全体で新自由主義に対する反撃の闘いが始まっている。失業者の闘いなどは既存運動の外側で始まっている」。
 雨宮さんは「二〇〇〇年代前半はネット中心の時代、二〇〇五年頃から組織されていない『脱組織』のクリエイティブなパワーが登場した」と語り、新しい「労働」「生存」「文化」の闘いが開始されており、これが次の時代の中心になっていくだろうと指摘した。その後会場から二月に結成されたガソリンスタンドユニオンの闘いが報告され、大きな拍手で迎えられた。

千六百人の参加
で大きな成功

 昼の部は正午から午後二時まで「究極の貧困をどう伝えるか――経済の貧困と関係の貧困と・生田武講演会」や「そうだったのか!生活保護マニアック講座」など八つのワークショップが開かれ、午後の部は午後二時から午後四時まで同様に多くのワークショップが開催された。
 隅田川医療相談会、東京労働安全衛生センター、ひまわり診療所による「貧困に反対する春の無料医療相談会とレントゲン検診」や「反貧困映画祭+貧困ジャーナリズム大賞候補作品上映会」は朝から夕方まで長蛇の列ができていた。反貧困映画祭で上映された松田洋子の漫画を原作にしたタナダユキ監督の「赤い文化住宅の初子」は、監督が述べているように「『貧困』が単にカネがないというだけではなく、孤独と排除をともなうものだということを徹底して悲しく描いた」というだけあって、これでもかこれでもかと主人公初子に振りかかる悲劇に圧倒された。バックに映し出される瀬戸内海がなんとも物悲しい。
 反貧困フェスタは千六百人の参加者と三十近いワークショップが開かれ大成功であった。    (D)


「九条の会・おおさか」のつどい

井上ひさしと藤本義一さんが語る「戦争・地球・憲法」

 【大阪】「九条の会・おおさか」が主催する憲法集会が、三月二十一日、中之島中央公会堂を満席にして開かれ、千五百人の市民が参加した。 
 開会のあいさつをかねて、宮本憲一さん(「九条の会・おおさか」呼びかけ人、大阪市立大名誉教授)が「地球環境と日本国憲法」と題して講演をした。要点は以下の通り。
 @気候変動に関する政府間パネルの第四次報告書によると、温暖化の原因の九〇%以上が人間活動による二酸化炭素などの排出であるA日本は京都議定書の目標(90年レベルの6%削減)の実現すら危ぶまれているB日本政府は、日本企業のエネルギー節約は世界最高だから、これからは家庭での削減努力が必要だと言っているが、それは違う。思い切って大量生産の生産構造や自動車中心の大量流通をあらためる必要があるC持続可能な発展が人類共通の課題である。そのような社会の原則は日本国憲法の精神である。

生命・自由・幸福
を保障する憲法

この後、音登夢による弦楽四重奏に 続いて、井上ひさしさん(「九条の会」呼びかけ人)と藤本義一さん(「九条の会おおさか」呼びかけに人)それぞれのミニ講演と対談が始まった。
 藤本義一さんは、なぜ給料をもらう仕事をしなかったかを話した。
 戦後闇市で働きながら、両親の医療費を稼いだ。子供に医療費を負担させる国や役所に不信を持った。お父さんは、お前の頭は金庫だぞ、そこに学問という財産をいれて、それを運用して生きて行けと、自転車で通える大学への進学を勧めた。進学した藤本さんは、社会科の教師(公務員)になろうと思っていたが、卒論のため、五十五歳停年制やボーナスや手当の起源を調べていくと、一九〇一年頃までさかのぼる。当時の平均寿命は四二・六歳だった。ボーナスは外国の制度をまねたものだと思っていた。
 ボーナス(賞与)は古代ギリシャにあったが、それはよく働いた奴隷が与えられた酒と食物と娼婦のこと。ボーナス制度は近代のヨーロッパにはない日本独特のものだった。日本人はみんなだまされていて、会社ばかりがもうけるしくみになっていると思い、教師になるのを止め、懸賞に応募して生活していくことにした。
 そういうわけで、藤本さんは現在七十五歳だが、給料をもらったことは一度もない。憲法一三条では生命・自由・幸福が保障されている。これは守らなければいけない。日本には憲法九条があるというと、世界の人はみんな驚く。その驚くところに日本の強さがあるのではないか。

良心的兵役拒否
の思想を生かす

井上さんは、一九四五年の平均寿命は、男二三・五歳、女三二歳。翌年はそれぞれ十歳以上のびていると言った。
 戦争はいかに人が死んでいくかがわかる。戦争できる国になるか、せずにどこかの国の家来になるかの二者択一なのか。そうではない。小田実さんがしきりに言っていた良心的軍事拒否国家。ドイツの良心的兵役拒否の制度では、拒否すると二年間社会の一番辛い仕事をする義務を負わされる。国家の場合そんなことは可能なのか。第二次大戦時、世界には七十カ国ぐらい国があり、日本は五十四カ国と戦争した。スウェーデンなど北欧の国、スイス、スペインなど七カ国が戦争はしないと宣言した。その代わり、戦争の結果生じる不幸を引き受けるという態度をとった。
 たとえば、スウェーデンは人質交換船を提供する、スイスは敵対国間の交渉の仲介や連絡係を引き受ける。スペインは世界の強制収容所をまわり国際法違反があるとそれを是正させる、というもの。米国の日系アメリカ人十二万人は、日米戦争中敵性外国人として財産を没収され強制収容所に収容されたが、その日系人が食糧のために求めていた納豆菌をスペインは日本からカリフォルニアまで運んでいる。
 戦争は、勝つか負けるかだけではない。第三の道がある。攻められたらどうするのだという「戸締まり論」があるが、そうならないように外交がある。それでも戦争したいなら、それを主張した内閣、それを決めた議会で賛成した議員たち、戦争したいという人の息子がまず行くべきだ。私たちは今日より明日はもっとよい日に、と言う構えで生きていきたいなと思う。
この後対談に移った。最初、一九五〇年代に民間放送がラジオドラマを募集していて、懸賞シナリオに藤本さんが入選し二十万円もらった話から始まって、話はどんどん広がっていった。
 対談の後、津村明子さん(「九条の会・おおさか」呼びかけ人)から、五月六日に開催される9条世界会議・関西への参加の呼びかけがあった。 (T・T)


「9条世界会議」プレ講演会
武力によらない平和の意義を世界に向けて発信しよう

 【千葉】三月二十三日、みつわ台公民館講堂で、千葉の若葉区九条の会が、五月四日から六日に行われる9条世界会議に向けて、高田健さんを迎え講演会を行った。司会の紹介後、講演に入り、冒頭に高田さんは、前日、約千五百人の参加で、イラク開戦五年目に集会とデモを行ったことを伝えた。
 高田さんは次のように語った。
 「前政権である安倍政権の性格は、新自由主義と国家主義が結合したブッシュ政権下のネオコンに近い性格を持っていた。まず改憲を掲げ、新憲法制定を押し出した選挙で大敗した。一方、世論の趨勢は、九条を変えるべきではないという傾向が顕著となっていった。さらに改憲阻止に向けた『九条の会』運動も大よそ七千近くが結成されている」。
 「安倍政権の頓挫の後、福田内閣が発足するが、『憲法改正』の言葉は鳴りを潜めている。しかし福田の過去の行為や発言を振り返ってみれば、タカ派であることは、明らかである」。
 「かつて自民党新憲法草案の小委員会で、九条の条文を扱った者こそ福田であった。また安倍の改造内閣の居ぬき内閣でもあり、石破を除けば、当時のタカ派メンバーをそのままほとんど引き継いでいる。しかし、参議院では、いまや与党が多数派ではなく、いわゆるねじれ国会といわれているが、これまで与党自民党の強行採決を考えれば、むしろ健全であり、日銀総裁人事の与党のやり方は、野党への合意を取れなくしている。こうした流れに野党批判をする人もいるが、現在の状態は、民主主義といえる」。
 「福田内閣支持率は、今や三〇から二〇パーセント台までに落ち込み、不支持率も五〇パーセントを超えてきている。こうした状況で解散もできないでいる」。
 「そして油断できないものが、改憲議員同盟の動きである。この自民党の呼びかけに民主党幹事長であり、衆議院員の鳩山由紀夫が顧問として参加し、また副会長に民主党の前原誠司なども加わり、与野党対立のなかで、改憲に向けた新たな展開の危険性が出てきている」。
 「さらに福田は、かつて官房長官であった時に私的諮問機関である『国際平和協力懇談会』報告書を二〇〇二年十二月に提出した。さらにその後、二〇〇六年八月に石破私案といわれる自民党防衛政策小委員会による『国際平和協力法(案)』が出されている。この中身とは、米軍からの要請でも、さらに日本独自の判断でも外国へ派兵できる。また国家間の戦争でなければ戦闘地域にも派兵できる等の大きく九条を骨抜きにしてしまうもので『恒久法』対『九条』という構図が見えてくる。だがこうした構想に公明党は、消極的であり、与党の足並みは揃っていない」。
 「さらに世界の人々は、この恒久法が、イラクのファルージャの町での一斉封鎖による総攻撃で多くの犠牲者をだしたイギリスと米国の共同作戦、つまり英米同盟に匹敵する派兵を許す法律だと判断するだろう」。
「こうした中で、武力によらない平和の意義を五月の世界会議で訴えたい。そして、一九九九年のハーグでのコーラ・ワイスの訴えに続いた、二〇〇六年バンクーバーのエレン・ウッズワース、今回の千葉・幕張とつなげていきたい」。九条世界会議を成功させよう。
(H)


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