| 各党の改正案を聴く院内集会 かけはし2008.4.28号 |
希望のもてる働き方の実現を
さあつくろう 派遣法改案 |
四月十七日、参議院議員会館で「今こそ希望のもてる働き方の実現を!さあつくろう派遣法改正案 各党の改正案を聴く院内集会」が格差是正と派遣法改正を実現する連絡会の主催で行われ、百六十人が参加した。
労働者派遣法改正を求める院内集会がこれまで三回開かれ、各党の改正案が法案という形でまとめられようとしている。各党ともワーキングプアーを生み出している「日雇い派遣」をやめさせようとすることでは一致している。しかし、それをどのように規制するのかは、民主党が「二カ月以内の期間の日雇い派遣を禁止する」と出してきたのに対して、それまで派遣対象業務は特別な雇用管理が必要な二十六業務の専門性が確立していたのを原則自由化された一九九九年の改正以前に戻すべきだという点が違いとなって浮き彫りになっている。今回の院内集会で、そこをめぐって活発な論議がされた。
「国民的運動」で
大改正勝ちとれ
最初に、主催者を代表して安部誠さん(全国ユニオン事務局長)が「派遣法の改正案をつくる話が具体的、前向きになってきている。雇用不安は働く本人だけでなく家族を巻き込んで社会不安になっている。生きていける派遣法をつくっていきたい。『国民的運動』で大改正を勝ち取っていきたい」とあいさつした。
続いて、参加した国民新党、日本共産党、社会民主党、公明党、民主党がそれぞれ改正案の骨子を述べた。
国民新党の亀井亜紀子さん(参議院議員)は次のように説明した。
「雇用の基本原則は直接雇用であり、期間の定めのない雇用である。今や従業員の三人に一人が派遣やパートなどの非正規雇用であり、派遣労働者による常用代替が行われていることは明らかである。この際、労働者派遣制度創立当時の趣旨に立ち返って、一般業務の登録型派遣は禁止すべきだ」。
「@労働者派遣事業対象業務を一九九九年改正前に戻すA労働者紹介料に当たるマージン率に上限を設ける。派遣労働者の契約賃金を正社員の賃金と比較して上で検討するB派遣先に派遣期間の上限三年を厳守させる。派遣社員の常用代替は求めないC労災や安全衛生管理責任、報酬を支払い場合など、派遣先と派遣元の両者に共同責任を負わせるD派遣先が直接雇用を申し出た場合、正社員採用、または長期契約でなければならない。原則期間の定めのない契約とし、採用後一定期間は派遣先からの解雇は認められないものとする」。
99年以前に戻し
常用型派遣基本に
つぎに、日本共産党の小池晃さん(参議院議員)が「法案として仕上げるために法制局と話をした。十一項目にまとめたが、一と二が大切だ。これは絶対というものではなく各党と協議をして一九九九年以前に戻したい」と発言して、法案の中味を説明した。
「@派遣労働者保護法に抜本改正します。(1)題名を『労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律』に改めます。(2)法律の目的に、労働者派遣は、臨時的・一時的業務についておこなわれるものであり、常用代替としておこなわれてはならないものである旨を規定します」。
「A労働者派遣は、常用型派遣を基本とし、登録型派遣を例外としてきびしく規制します。日雇い派遣を禁止します。(1)労働者派遣事業をおこなってはならない業務に、物の製造の業務を追加します。(2)登録型派遣をおこなうことができる業務は、専門的業務(ソフトウェア開発、機械設計、通訳・翻訳など)に限定します。一九九九年以前の状態にもどします。(3)上記(1)(2)の措置によって、登録型による日雇い・スポット派遣を事実上禁止し、常用型派遣に限定します」。
「B常用代替を目的とした労働者派遣を禁止しますC派遣受け入れ期間の上限を一年としますD派遣期間をこえた場合や違法行為があった場合、派遣先が直接雇用したものとみなしますE紹介予定派遣を廃止しますF均等待遇を実現し、派遣労働者の権利をまもります。セクシュアルハラスメントとパワーハラスメントなどを告発し、是正を求めたことを理由に不利益にとりあつかうことのないように、必要な措置を講じなければならないものとします。違反に対して、罰則を設けます。……派遣労働者を組織する労働組合との団体交渉に応じなければならないものとします」。
「G労働契約の中途解除を制限しますH個人情報を保護しますIピンはねを規制し、賃金を確保しますJ労働者派遣法の改正とは別に、労働基準法を改正します。大企業の製造現場では、派遣労働者を期間工として直接雇用しはじめていますが、雇用期間を最長二年十一カ月に制限することが常態化しています。これは、労働基準法が有期雇用契約の上限を三年にしていることと密接に関連しています。三年以内であれば、いつでも自由に雇い止め(事実上の解雇)ができるためです。こうした脱法行為を防止するために、労働基準法を改正し、期間の定めのある契約を制限します」。
派遣先と派遣元
の責任を明確に
社民党の近藤正道さん(参議院議員)は法制局とも相談して試案をつくったと以下のような説明をした。
「改正の基本方針。一、労働者派遣の規制緩和の行き過ぎに歯止めをかけ、労働者保護の立場から派遣業者に対する規制と責任を強化する。二、登録型派遣は専門的・一時的・臨時的業務に限定し、これ以外の一般業務は常用型派遣とする。もって、常用代替禁止の趣旨を強化する。改正のポイント。一、労働者派遣対象業務を見直し、登録型派遣は専門的・一時的・臨時的業務に限定する。二、常用型派遣を基本とし、日雇い派遣は禁止する。三、マージン率の上限規制等と情報公開の義務を設ける。四、派遣先と派遣元の責任を強化し、双方の責任を明確にする。五、常用型派遣でも特定職場での派遣期間の上限は一年間とする。六、派遣労働者保護の実効性を確保するため、派遣先での直接雇用の『みなし規定』を設ける」。
公明党と民主党
の改正方針は?
公明党の谷合正明さん(参議院議員)が「昨年の十一月三十日に、総理大臣に『雇用政策に関する申し入れ』を行った。二月に厚労省が緊急違法派遣一掃プランを発表した。公明党は国会で日雇い派遣の原則禁止を訴えた。それに向けてどのような措置が必要か。労働者が希望する場合はどうするか検討し規制を強化したい。与党で雇用法制の見直しのために与党新雇用対策に関するプロジェクトチームを四月十日に立ち上げた。太田代表が通常国会で法改正を行うと明言しているので、与野党で力を合わせてやっていきたい」と立場表明した。
民主党の山田正彦さん(衆議院議員)は「今の派遣法が日本をダメにした。民主党は条文の作成が終わるところまできている。その内容は日雇い派遣の全面禁止。登録型派遣について、二カ月以内は禁止する規制強化をする。派遣先・元の共同雇用責任を負う。マージン率の規制とそのために情報公開を行わせる。もっぱら派遣について、グループ内の企業に行うような違法なものを規制強化する。党内ではさまざまな意見がある。与野党を含めて現実性のある法案を成立させたい」と述べた。
日本労働弁護団の小島事務局長が「労働者派遣法改正を求めるアピールを三月二十六日に出し、全国の弁護士にも協力を呼びかけた。各地で動きが始まっている。群馬県で勉強会を行う予定にしている。ほぼ全国の県で労働相談の窓口を整備した」と運動の報告をした。
経営側の異論
にするどく反論
各党の提案を受けて、三人から意見と質問が行われた。
中野麻美さん(弁護士・派遣労働ネットワーク代表)。「世論の盛り上がりがあり、いろいろ議論になっている。日弁連の経営者側弁護士から異論が出ている。@日雇い派遣やスポット派遣は労働者が求めているAパートよりも賃金がいい。反論したい。
@について。週一日は休ませなくてはならないと法律で決まっているのに、なぜ休日に他のアルバイトをしてまで働かなければならないのか。低賃金で雇用が破壊されているからだ。働いても働いても未来が見えない、豊かになれない。こんな状態なのにさらに規制を緩めていいのか。
Aについて。パート労働に低賃金が押しつけられてきた。さらに派遣の料金の値崩れが起こっていった。自立できない賃金になっていき、どんどん下がっていく悪夢のサイクルになった。企業はパートから安い賃金の派遣へ転換してきた。派遣を二年十カ月受け入れ、その後雇い止めし、三カ月直接雇用(期間工)、その後に派遣に切り替えるというように、ずっと派遣で仕事をやらせる。これは労働者供給業であり、法で禁止すべきだ。恒常的業務について派遣はできない。登録型派遣を禁止する。違法なピンハネをやめさせる。権利もなにもない働き方を問い直さなければならない。
二カ月間規制
では無意味だ
池田一慶さん(ガテン系連帯共同代表)。「現行の派遣先による雇用申し込み義務違反は、職業安定局長が認めるように是正指導の対象とすらされていない。派遣制限期間を超えた場合、直接雇用とみなす規定が必要だ」と契約社員(2年11カ月)と期間工を交互に使い常用代替しているすりぬけを許さない法改正が必要だと提起した。
関根秀一郎さん(派遣ユニオン書記長)。「日雇い派遣の禁止では各党一致しているのに、どう禁止するのかで意見が違う。二カ月以内について禁止という意見があるが、期間で止められるのか。対象業務の規制をなくしたことにより、軽作業などの肉体労働が合法化され急速に拡大した。ならば、対象業務を限定することによって止められる。二カ月以内禁止だと雇用保険は一年働かなければ適用されないから、適用除外になってしまう。無保険労働者を生み出し、低賃金労働、ピンハネ労働が野放しになる。二カ月以内規制では雇用の不安をぬぐうことはできない。日雇い派遣は安全対策が不充分で危険業務が多く、労働災害が起きている。二カ月規制は労働者の使い捨てをなくすことにならない」と一九九九年以前に戻すことが現実的だと提案した。
こうした意見を受けて、共産党の小池議員は「派遣法改正はそう難しいことではない。一九九九年前に戻せばいいことだ。期間で区切ることはザル法の上にザル法を重ねるようなものだ。キャノンは期間社員を二年十一カ月と期間を定めて募集を堂々と始めている。期間工ということで法の網をくぐろうとしている。こうした点も規制していかなければならない」と発言した。社民党の近藤議員は「二カ月間規制ではダメだ。これが最大の争点になるだろう。仕事が恒常的なら派遣は認められない。期間工でぬけがけする点の問題については、自分たちの案の弱点だ。この点について検討したい」と答えた。
武庫川ユニオン
から特別報告
次に、特別報告を上山史代さん(武庫川ユニオン委員長)と尼崎市役所分会の藤原さん(別掲)、KDDIエボルバユニオンの見留委員長が行った。見留さんが、「昨年十一月二十日の院内集会での私の行った現場報告が会社の名誉を毀損したとして、懲戒処分をちらつかせながら、管理職が大声で怒鳴りながら詰問、どう喝してきた。これに対して労働委員会へ不当労働行為救済命令申し立てを行って闘っている。春闘で正社員の八〇%の賃金水準にすること、三年以上継続した業務は雇用契約の期間の定めを廃止することなどを求めて闘っている」ことを報告した。この報告に対して、会場から怒りや連帯して闘う声が上がった。
最後に鴨桃代さん(全国ユニオン会長)が「熱い思いの院内集会ができた。労働者のための法律をつくろう。日雇い派遣の禁止では一致している。期間で規制するのではなく、業種を限定する一九九九年に戻すことが柱だと確認したい。報告にあったように尼崎市役所の非正規の労働者は年収百五十万円の給与を維持してほしいと要求して、四十日間のストライキを打った。闘うしか選択がなかったからだ。こんな水準でさえ維持できない官製ワーキングプアーが生み出されている。こうしたことと闘わなければならない。経営側の巻き返しが始まっている。しかし、われわれは奴隷ではない、もの言う人間として反論できる。力を固めていきたい。民主党ががんばってほしい」とまとめた。労働者の保護のための派遣法改正を勝ちとっていこう。 (M)
武庫川ユニオン尼崎市役所分会から
自治体がワーキングプアーをつくるな!
尼崎市の住民票入力業務に従事する派遣労働者五人は、武庫川ユニオン尼崎市役所分会の組合員として「働く者の街 尼崎を非正規の街尼崎にするな」「自治体がワーキングプアーをつくるな」「にんげんを入札するな」をスローガンに、自治体の進めるアウトソーシング化に対し派遣労働者の人間としての尊厳をかけ、闘い続けました。三月三日からはテントに籠城して無期限ストライキという壮絶な闘いでした。
私たちの闘いに対し、尼崎市長への抗議FAXをはじめ武庫川ユニオンに対する心温まる激励のメッセージ、そしてストライキ支援カンパなど労働組合の枠を超えて絶大なご支援を頂きましたことに心より御礼申しあげます。
尼崎市は私たちのストライキにも平然と二回の競争入札を強行実施しました。しかし、そのことごとくが全国の仲間の闘いにより、不調となりました。その結果、ついに四月十一日に団体交渉が再開され、四月十四日から臨時職員として尼崎市役所で働くことになりました。
今回の闘いが明らかにした課題は、一、自治体の住民票や戸籍の入力業務まで派遣労働者に任せてよいのかということ。二、競争入札とりわけ派遣会社の競争入札は賃金の安売り競争であり現代版奴隷市場になっていること。三、リビング・ウェイジ条例制定運動の必要性を痛感したこと。四、完全自由化された労働者派遣法の改正の必要性を改めて実感したこと。五、非正規労働者が自ら立ち上がることの重要性などでした。
尼崎市役所分会の五人の組合員は四月十四日から今度は尼崎市の臨時職員として働くようになりました。今後、あるべき雇用のあり方を求めながら、当面は臨時職員の待遇改善に取り組むことになります。
私たち五人そして武庫川ユニオンは、闘いの中で明らかとなった課題を地域の仲間そして全国の仲間と一緒に取り組んでいく決意です。それが全国の仲間から寄せられた支援に応える道だと思っています。
言葉では言い尽くせませんが、私たちが求めていた直接雇用が実現できたことを報告申し上げ、お礼に代えさせていただきます。
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