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鉄道運輸機構訴訟判決報告集会              かけはし2008.3.24号

解雇無効を否定し不当労働行為認定を避けた反動判決



怒りを決意に
変えて闘おう

 三月十三日、水道橋の全水道会館で「3・13鉄道運輸機構訴訟判決報告集会」が国鉄闘争に勝利する共闘会議主催で開かれた。司会者の佐久間誠さん(原告団中央協議会事務局長)が原告団敗訴の判決結果を受けて「怒りを決意へ変える集会にしたい」と冒頭あいさつをして会を進めた。
 最初に、国鉄闘争共闘会議・二瓶久勝議長が「本日の判決は原告の要求を時効で切り捨てた反動的内容一色の判決だ。雇用・年金・解決金の要求は変わらないし、闘いの基本は変わらない。判決は決定的なダメージではない。三月二十六日からの連続行動、四月一日の集会に総力をあげて取り組み、鉄道運輸機構を解決のテーブルにつかさせよう。高裁で勝利をかちとろう」と主催者あいさつを行った。

時効で逃げて
救済責任回避

 続いて、判決内容の報告を萱野一樹主任弁護人が行った。
「判決は入り口ですべて時効でダメという門前払いの反動判決だった。裁判所は二つに争点をまとめた。@国鉄改革法による解雇が有効かどうかA国労組合員に、採用差別があったかどうか、それが時効かどうか。@について、国鉄改革法は違憲ではなく、解雇は有効である。Aについて、戦後補償裁判において、日本軍の犯罪事実は確定した上で、除斥や時効で敗訴させる判決が行われた。しかし、今回の判決は、不法行為があったかなかったか確定することなく、時効であると判断した。これは司法が救済の責任を放棄したものだ」。
 萱野弁護士は痛烈に今回の判決を批判しながらも、自らの主任弁護人としての力が足りなかったと発言したのに対して、会場から「弁護団のせいではない。先生方はよくやってくれた」と大きな声が何回も飛んだ。萱野さんは涙を流しながら「闘争団は何度も苦難を乗り越えて闘ってきた。歯を食いしばってこの反動判決を打ち破ろう」と今後に向けた決意を述べた。
 萩尾健太弁護団事務局長が参加した弁護団を紹介した後、加藤晋介さん(鉄建公団訴訟主任弁護人)が裁判の総評を行った。
 「不当労働行為があったことは各地の地労委、中労委で認定したものだ。裁判官は争いになっていることをどういう形で終わらせるのかと考えて、時効で逃げる判決は書けないハズだ。全動労裁判の最高裁判決で、『JRに解雇の責任を問わない』としたが、それは三対二に意見が分かれたものだ。そこで、判決では『もし、不当労働行為があったとすれば、国鉄や清算事業団が負う』とわざわざ補充意見をつけて、解決の道を探るようにうながした。JRに責任ありとする判断をした島田仁郎最高裁判事は現在最高裁長官になっている。今回の判決は最高裁の認定したものを否定するものだ」。
 「こうした判決が出てくる元凶はだれが責任をとるのかあいまいにした国鉄改革法二十三条だ。この法律を作ったのがJR東海会長の葛西敬之だ。今日の判決のお返しは鉄建公団訴訟控訴審の六月二日公判で、葛西に対して行いたい。かたはきちっとつけなければならない」。

葛西JR東海
会長の反動性

 佐高信さん(評論家)が「JR東海会社のトップ 葛西敬之とは」と題して講演を行い、闘争団を激励した。
 「国鉄民営化前に北海道のある町長が『国鉄は赤字と言って攻撃するが、消防署や警察署が赤字と言うか』と意見を述べているが、命の問題は赤字・黒字の問題ではない。国鉄分割・民営化というと何か民間化されて良いことのように思われるが、そうではない。民営化とは会社化であり、カネもうけのために売り払われることなのだ。分割・会社化と本質を明らかにした言い方をすべきだ」。
 「昨年五月に小説家の城山三郎さんが亡くなりお別れの会で、五メートルの至近距離から中曽根康弘元首相、小泉元首相を見かけた。私は『城山さんは勲章を拒否し、護憲の人であった』と、最高位の勲章をもらい、戦争のできる国にするために改憲を進める中曽根を念頭に置きながら弔辞を読んだ」。
 「JR東海の葛西は現在、教育改革の委員をやったり、トヨタ・中部電力・JR東海がつるんで学校をつくっている。葛西は東大出身で出世が一番早いのは国鉄であると言われて、国鉄に入社したと著書に書いている。障害者の使っているハンドル式の電動自動車の新幹線乗り入れをJR東海は拒否している。こうした葛西のタカ派的・人権無視をついてゆくべきだ」。
 「なかなか勝てないことがある。しかし、こちらの一勝が向うにとっては百勝に値するものだ。向うの方が恐怖心は大きい。鶴彬(つるあきら)という二十九歳で獄死した川柳作家がいた。彼は『アリ食いをかみころしたまま死んだアリ』『手と足を丸太にしてかえしたり』という軍国主義批判の痛烈な川柳を残している。鶴さんのように、敵にくらいついてがんばろう」。

ひるむことなく
控訴審を闘う

 神田香織さんが激励のあいさつをした後、高橋国労委員長と渡部謙三さん(全動労鉄運訴訟原告団)が連帯のあいさつを行った。
 渡部さん。「これまで何度も裁判で負けて悔しい思いをしてきた。それでも、国と国鉄がやった違法行為は消えない。鉄道運輸機構は今まで交渉に行っても追い返されたが、全動労判決以後流れが変わった。課長対応であったが、部長が会議室を用意して話し合いに応じるところまできた。勝つために粘りづよく闘う」。
 原告団家族の鈴木淑子さんは「血も涙もない判決だ。こんな判決のために二十年がんばってきたわけではない。悔しくて悔しくてたまらない。ひるむことなくがんばって闘っていきたい」と判決への怒りを述べた。川端一男原告団団長は「提訴してから三年四カ月、全力でがんばってきたのに、簡単に勝たしてくれない。路頭に迷わした政府・鉄運機構にきちって責任をとらせたい。もっと怒りの声を張り上げて控訴審を闘う」と決意表明した。最後に団結がんばろうで三唱して報告会を終えた。  (M)

b4月1日(火) 国鉄改革から22年 政府の解決決断を求める集会
歌 李政美、矢野敏広(ギタリスト) 講演 辛淑玉
 午後6時開場 メルパルクホール(都営地下鉄三田線芝公園駅下車A3出口徒歩2分)

不当判決弾劾声明
必ず逆転勝利もぎとる

 本日、東京地方裁判所民事第19部(中西茂裁判長)は、国労組合員が独立行政法人鉄道建設運輸施設機構(鉄運機構)に対して提訴したJR採用差別事件に関する裁判で、原告の請求を全面的に棄却する不当判決を言い渡した。事実認定及び法律判断を誤り、一定の範囲での救済を認めた2005年9月15日の鉄建公団判決、本年1月23日の全動労判決の流れにも反する、正義を省みないきわめて不当な判決であり、満腔の怒りをもって徹底弾劾する。
 判決は、「国鉄改革法23条による選別雇用という不当労働行為の根源となった枠組みを承認した上で、原告らの受けた損害を「時効の二文字で切って捨てた.近時の時効の主張を制限しようとする判例の流れにも反する超不当判決である。しかも、原告らの主張した1990年の清算事業団からの解雇無効についてはこれを否定するとともに、国鉄における差別名簿作成の不当労働行為すなわち不法行為の有無に全く踏み込まない逃げの判決である。
 原告らは、2004年11月に提訴してから判決にいたるまで3年余を不当労働行為の主張立証に費やして来た。にもかかわらず、不当労働行為の存否について何ら検討しないこのような判決の内容では、何のための審理であったのか、原告らは、司法の役割に強い疑間を抱かざるを得ない。
 「組合差別があってはならない」との参議院決議にもかかわらず、組合差別により解雇されて21年、我々原告回及びその家族は、就職差別、結婚差別などあらゆる差別、偏見と闘い、苦難の道を歩んできた。21年間に1047名の仲間のうち47名が亡くなった。
 しかし、原告団は本国の不当判決に控けることはない.闘いの矛は絶対に納めない。闘いを一層強化し、本件訴訟の控訴審では必ず逆転勝利をもぎとり、納得のいく解決に向けて道進する決意である。これまでの各位のご支援に感謝するとともに、勝利が確定する日まで引き続きご支援、ご協力をお願いする次第である。
 2008年3月13日
鉄建公団訴訟原告団中央協議会
対鉄建公団訴訟・鉄道運輸機構訴訟弁護団
1047名の不当解雇撤回、国鉄闘争に勝利する共闘会議



裁判員制度の実施反対!
ついに新潟弁護士会が制度
実施延期求める決議を採決


「国民総動員」に
高まる批判の声

 政府は、グローバル派兵大国建設の一環である新自由主義的統治の強化にむけて、「現代の赤紙」を市民に送りつけ裁判員を強要する裁判員制度(以下、制度)の実施を〇九年五月から強行しようとしている。国民総動員を通した制度の実施強行を許してはならない。
 強引な制度実施に抗して、ついに公然たる反旗が揚がった。新潟県弁護士会は、二月二十九日の総会で制度実施の延期を求める決議を会員四十一人が賛同する形で提案され、賛成多数で可決した。
 決議文は「世論調査でも八割が『裁判員になりたくない』と答えており、民主的討議を経ないまま制度が導入された」と指摘し、裁判員法を拙速な論議で決めてしまったことを批判した。さらに制度が 判決の誤りや冤(えん)罪を生み出す危険性、重罰化の流れへの加担であり、「国民に重大な義務と負担を課す制度であって、民主的な討議を経た上で国民の納得を得るべきだ」と強調し、「裁判員法の施行を数年間、延期した上で、広く国民から意見を聞き、同法の抜本的改正を図るべきだ」と結論づけた。
 これまで制度実施延期を求める決議案は仙台、埼玉の弁護士会でも議論されたが、否決されている。新潟県弁護士会の決議採択は全国の弁護士会で初めてであり、制度実施反対運動にとって大きなバネとなる。
 さらに超党派の国会議員でつくる「死刑廃止を推進する議員連盟」(会長・亀井静香衆院議員)は、死刑判決の場合に限って全員一致を条件とすることを柱とする裁判員法改正案を作成する方針を明らかにしている。

裁判員制度はい
らない!大運動

 すでに最高裁判所・法務省・日本弁護士連合会が一体となった「市民が参加する裁判員制度」などと実態を歪曲したポスターが全国各地に張りめぐらされている。東京地裁では制度導入にむけて「IT法廷が完成、模擬裁判」にマスコミを動員して一斉報道させた。裁判員に事件の概要や争点を分かりやすく説明する必要があることを理由に、IT法廷と称して「ビジュアル型立証」のために大型ディスプレー、裁判員用に小型モニターを設置するというのだ。
 新潟県弁護士会決議が的確に制度の危険性を批判しているが、最高裁判所・法務省・日本弁護士連合会による推進キャンペーンには、制度の危険性の未提示、拙速な論議で決めてしまったことなどの反省の姿勢が全く欠落している。
 このような制度推進に反対して、〇七年四月に「裁判員制度はいらない!大運動」がスタートしている。大運動の呼びかけ人は、足立昌勝(関東学院大学教授・刑事法)、嵐山光三郎(作家)、今井亮一(交通ジャーナリスト) 、蛭子能収(漫画家) 、織田信夫(弁護士) 、崔 洋一(映画監督) 、斎藤貴男(ジャーナリスト)、新藤宗幸(千葉大学教授・行政学) 、高山俊吉(弁護士)、西野瑠美子(ルポライター) 、山口 孝(明治大学教授・経営学)たちが名を連ねている。大運動の詳細は、ホームページをチェックしていただきたい。http://no-saiban-in.org/629syukai01.html
 大運動は、六月十三日(金)日比谷公会堂で全国集会を開催する予定だ。制度実施反対運動を取り組んでいこう。    (Y)

関連書籍紹介
『裁判員制度の正体』

 制度実施にむけてカウントダウンが始まっているが、制度のひどい中味を知っている方は、どれだけいるのだろうか。反対運動を取り組むにしても、制度の実態と欠陥、憲法違反などの問題点を把握しておく必要がある。反対派の文献は、多数あるのだが、「裁判員制度はいらない!大運動」HPの書籍欄で諸文献が紹介されている。
 この中で『裁判員制度の正体』( 西野喜一/講談社現代新書)は、シャープな切り口で、わかりやすく批判を展開している。おまけに著者の西野は、裁判官の経験と研究活動の蓄積から「『現代の赤紙』から逃れるには」などと「不服従」とそのためのマニュアルまで書いてしまった。学習テキストとして薦める。
 本書は、こうだ。第1章 裁判員制度とはどのようなものなのか 第2章 裁判員制度はどのようにしてできたのか 第3章 無用な制度 第4章 違法な制度│憲法軽視の恐怖 第5章 粗雑な制度 粗雑司法の発想 第6章 不安な制度 真相究明は不可能に 第7章 過酷な制度 犯罪被害者へのダブルパンチ 第8章 迷惑な制度 裁判員になるとこんなに目に遭う! 第9章 この「現代の赤紙」から逃れるには 国民の立場から 終章 いま、本当に考えるべきこと││という構成だ。
 このように各章のタイトルを見ただけで、興味を誘う。西野の結論は、はっきりしている。裁判員制度は、「国民はもっと国のために奉仕すべきだという思想」であり、つまり「徴兵制」「国民総動員の発想」だと厳しく批判する。さらに、「実施は、憲法改正への地ならし」であり、「憲法18条(意に反する苦役に服させられない)、13条(国民の幸福追求権を侵害)」違反は明らかだと断定する。だから 裁判所からの呼出状は、「召集令状」としての現代版「赤紙」だから「受け取り」を拒否すればいいのだとフォローしてくれる。
 ところで著者の西野への注文だが、新自由主義的統治弾圧機関の強化、制度導入の背景などについてもっと展開してほしかった。さらに、検察、警察の要求どおり裁判官は、まともな審査をすることもなく、家宅捜索や逮捕勾留令状の乱発を繰り返している現状を見つめ、批判するべきだった。もちろん代用監獄制度、人権無視の不当な強制捜査と取り調べもそうだ。つまり、現行の裁判制度、司法行政の批判がもっと必要だったのではないかと読後、若干思った。     (Y)


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