| 立川反戦ビラ入れ裁判 かけはし2008.3.10号 |
「5年目も大がんばり集会」
民主主義的権利を守りぬきさらに広く社会的アピールを |
奪われたのは
「知る権利」
二月二十三日、立川・反戦ビラ弾圧救援会は、「立川・反戦ビラ入れ裁判 5年目も大がんばり集会」を行い、百一人が参加した。
集会は、救援会代表の大沢豊さん(立川市議会議員)の挨拶からはじまった。大沢さんは、この間の沖縄海兵隊員による少女性暴力事件、海上自衛隊イージス艦の漁船破壊と人命軽視を厳しく批判し、立川反戦ビラ裁判無罪判決をめざそうと訴えた。
最高裁闘争の現状について救援会は、日本共産党の「赤旗」(07年10月12日)の「反戦ビラ弾圧への陸自情報保全隊の関与を証明する内部文書を暴露」を通して、最高裁に自衛隊と警察の協力による事件化を批判する上告趣意書補充書を提出したことを報告した。さらに、救援会が立川自衛隊宿舎の住民に対してアンケート調査(70通)を行ったところ、二通の回答があり、いずれもビラ配布を「犯罪だと思わない」と明記していることを明らかにした。そのうえで「住民は、イラク派兵に関する多様な意見を『知る権利』を、警察・自衛隊によって一方的に奪われたのである。……住民の憲法上の権利をも侵害しており、最高裁は無罪判決を下すべきである」と補充書で結論づけた。
また、最高裁無罪判決署名一万五千二百六十五筆、上申書三百二十九通を裁判所に提出し、今後も署名・上申書提出運動への協力を訴えた。
公安警察の弾圧
手法をあばく
『日本の公安警察』(講談社新書)の著者である青木理さん(ジャーナリスト)は、「公安警察とは何か」をテーマに講演した。公安警察が自作自演の交番爆破を行った菅生事件(一九五二年)、共産党国際部長宅盗聴事件(一九八六年)、微罪逮捕を繰り返したオウム真理教事件などを取り上げ、事件に関与したサクラ・チヨダ・ゼロと称する公安警察の秘密部隊の存在、「尾行、視察、盗聴、盗撮、投入、協力者の獲得・運営」の実態、わざと転び公務執行妨害罪をでっちあげるなど「なんでもあり」の逮捕手法を厳しく批判した。
さらに青木さんは、「公安警察の人員は減少傾向にある。かつてのような強大さは減退しているようにみえる。しかし、交番勤務の制服警官にまで公安警察の役割を広げており、一人一人の市民、様々な市民運動に対する弾圧をねらっている」と指摘した。
立川反戦ビラ弾圧被告のさっちゃんは、全国から寄せられた上申書を朗読し、無罪判決に向けて反戦歌でアピールした。
続いて、葛飾ビラ弾圧事件被告の荒川康生さん、国家公務員法(政治活動の制限)弾圧事件被告の堀越明男さん、板橋高校卒業式事件被告の藤田勝久さん、世田谷国公法弾圧事件被告の宇治橋眞一さんが裁判闘争の現状と今後の取り組みについて報告した。救援連絡センター、国民救援会が連帯発言を行った。
立川反戦ビラ入れ裁判弁護団と被告三人が決意表明し、無罪判決をかちとるために反戦運動、署名、上申書、社会的アピールなどの取り組みを強化していこうと呼びかけた。最後に集会宣言を採択し、今後の行動を確認した。 (Y)
解 説
ビラ配布弾圧事件と裁判闘争の経緯
〇四年二月二十七日、立川自衛隊官舎に「イラク反戦」ビラを配布したことを理由に立川自衛隊監視テント村のメンバー三人が不当逮捕された。裁判闘争に入り、一審無罪(04年12月)、二審逆転有罪(05年12月)を経て、現在、完全無罪判決をめざして最高裁闘争を展開中だ。被告と立川・反戦ビラ弾圧救援会は、「あの日の悔しさを、怒りを、恐ろしさを忘れることなく、無罪判決を勝ち取るために」、「立川・反戦ビラ入れ裁判 5年目も大がんばり集会」を行った。
この集会には、藤田さん(板橋高校卒業式事件被告)、堀越さん(国公法弾圧事件被告)、荒川さん(葛飾ビラ弾圧事件)、宇治橋さん(世田谷国公法弾圧事件被告)が参加し、ビラ配布弾圧被告たちが再会し、あらためて力強いスクラムを打ち固めた。〇八年の反弾圧戦線のスタートだ。このステップは、国家権力のビラ配布弾圧を通した治安弾圧体制作りへの強烈な楔である。
地裁無罪判決と
高裁での逆転
〇四〜〇五年にかけたビラ配布弾圧の政治性格を再度確認しておこう。〇四年、当時の小泉政権と公安警察は、グローバル派兵大国化とセットである治安弾圧体制の構築とビラ配布弾圧を用意周到に準備し、計画的に強行することを通して実現しようと狙った。二月の立川反戦ビラ弾圧を皮切りに三月には、社会保険庁職員の堀越さんが休日に日本共産党の「赤旗」号外を配布したことを「国家公務員法、人事院規則違反」で不当逮捕し、共産党千代田地区委員会など六カ所を家宅捜索した。
さらに都立板橋高校卒業式で「日の丸・君が代」強制と都教委を批判する週刊誌コピーを保護者に配布した藤田さんに対して「威力業務妨害罪」だとして在宅起訴攻撃(12月)を強行した。
反弾圧運動の広がりによって立川・反戦ビラ弾圧事件は、一審無罪判決(04年12月16日)を勝ち取った。しかし、十二月二十三日に国家権力は、東京都葛飾区内のマンションで日本共産党の「都議会報告」「区議団だより」を配布していた荒川さんを「住居不法侵入」容疑で不当逮捕した。この弾圧は、明らかに立川反戦ビラ弾圧無罪判決への報復であり、国家権力の意志として弾圧を強行したのである。
〇五年に入っても権力の暴挙は続いた。九月、世田谷区にある警察職員官舎に「赤旗」号外を配布したとして建造物侵入罪で逮捕された宇治橋さん(厚生労働省職員)を国家公務員法違反で不当起訴した。
このように公安政治警察は、市民運動から共産党までも対象にした弾圧シフトを強化していった。だが弾圧に対していずれも反撃の立ち上がりは早く、全国的な反弾圧運動の広がりによって立川反戦ビラ裁判の一審は無罪判決を実現したのである。ところが高裁は〇五年十二月九日、立川反戦ビラ弾圧の一審無罪判決から逆転罰金有罪刑の不当判決を出し、「表現の自由が尊重されるべきものであるとしても、他人の権利を侵害していいことにはならない」などと国家権力防衛のみを目的とした手前勝手な「珍説」をでっち上げ、反戦ビラ・ポスティング規制を支持した。
この逆流は藤田裁判、堀越裁判へと続いた。五月三十日、東京地裁は、藤田さんに対して「威力業務妨害罪」だと決めつけ罰金二十万円の不当判決を言い渡した。六月二十九日、地裁は、堀越さんのビラ配布を罰金十万円だとする不当判決を出した。
この不当判決の連続に対して反弾圧運動は、再度、裁判所包囲を強化した。この成果として八月二十八日、葛飾マンションビラ裁判で地裁無罪判決を勝ち取った。ところがまたしても高裁段階では罰金五万円の不当判決を強行した(07年12月11日)。高裁は、国家権力の意志を忠実に代弁し、自らの国家権力防衛の任務の観点からビラ配布裁判に対して不当判決を連続して出したのである。この攻撃は、改憲を先取りし、表現の自由に対する集中した圧殺をねらい、その定着化をめざしたものだ。
高裁をはじめたとした司法の反動化を許さず、この攻撃性格を社会的に暴き出し、さらなる包囲を強めていかなければならない。立川反戦ビラ裁判最高裁闘争をはじめビラ配布弾圧裁判闘争に連帯していこう。無罪判決にむけて支援を強めていこう。福田政権と公安政治警察は、G8サミット治安弾圧体制の強化にむけて、「微罪弾圧」、違法捜査・逮捕を駆使しながら反対運動を圧殺しようとしている。国家権力の暴挙を許さず、ビラ配布弾圧裁判闘争の取り組みとセットで反弾圧戦線を強化していこう。 (Y)
国賠ネットワーク交流集会
現職警察官が警察機構の腐敗した体質を厳しく批判
二月二十三日、国賠ネットワークが主催した第十九回交流集会が渋谷勤労福祉会館で開かれた。会場には、六十人ほどの参加者があった。冒頭司会の方から十九年目になる会の歩みが語られ、そこで特に今度の裁判員制度の問題や最近の判決の事例が語られた。
次に現職警察官仙波敏郎さんの警察機構批判講演会が開かれた(別掲)。仙波さんの講演の後、質疑応答があった。「裏金は何時ごろからなのか、また裏金がどのように使われているのか」などの質問に仙波さんは、「恐らく一九五四年に警察が新規の機構になってからではないか、遅くとも北海道警の原田さんの例から一九五八年には、間違いなくあった。また、裏金はキャリアへの上納として、それと引き換えにポストをもらうという構造で、九九パーセント幹部の私的流用に遣われている」ことを明らかにした。
この後、辺野古の詩の朗読があり、各国家賠償訴訟を支援する以下の団体や本人から報告があった。御崎逮捕令状国賠、デタラメ裁判官国賠、沖田痴漢冤罪国賠、西山沖縄密約国賠、警官傷害バレンタイン国賠、よど号東京青年国賠、ビラ貼り田中国賠、自衛官たちかぜ国賠、Nシステム国賠、関西からの報告、徳島刑務所事件の報告がなされ、国連人権理事会・自由権規約委員会への取組みとしてのカウンターレポートが報告された。
最後に国賠ネットワーク大賞と最悪賞が発表された。大賞には第二東京弁護士会の安田好弘弁護士と今日講演した現職警察官仙波敏郎さんの両名に決まった。最悪賞には問題発言を続けた「新潮45」誌の中瀬ゆかり編集長、橋下徹弁護士(現大阪府知事)両名に送られた。 (浜本清志)
仙波敏郎さんの講演から
ポストとひきかえに
キャリアへの上納金
これまで私のような現職警察官で警察の裏金の告発をした者はいませんでした。過去に北海道警の原田さんが、時効七年が過ぎ、八年目に裏金問題を告発したし、やはり二十年程前に元警視庁の警視官の松橋さんが告発したが、いずれも現職ではありませんでした。
私が告発した二〇〇六年一月二十日の後、北海道警の原田さんが面会を申し込んできました。会いたくありませんでしたが、いやいや会いました。その時、なぜ時効が過ぎて告発したのか問いましたが原田さんは、「すみませんでした。わたしは犯罪者です」と私に謝りました。警察社会では、雲の上の人です。その人から優しく言われ、今では打ち解けています。
そもそも裏金づくりは文書偽造、詐欺という犯罪で、十年の懲役にあたります。そういう人が、千円の万引きの人を捕まえて、調書をとっている。「よく調書がとれるなー」と言うと、「きれいごとを言ってはいけない、あなたは三十五年間巡査長でしょう」と言われる。
確かにみな最低一千万円の給料、家は二軒はざらな世界です。上司たちは、裏金をつくる能力だけは長けた人間ばかりです。
えん罪の原因
検挙ノルマ制
国家上級試験を受かった現場を経験しない全国五百人の一部のキャリアが、二十九万人の警察職員の上に立っている。私は一九六七年、愛媛県警に入り、裏領収書を書くように強要された。それを拒否したのは、千六百人中たった二人だった。この裏領収書を書くか書かないかが、警察内の「踏み絵」になっている。
こうした環境のなかで検挙のノルマがある。これが冤罪の原因です。公務員の立場上、政治的発言は差し控えますが、検察丸抱えの令状主義、裁判員制度など何とも深く言えないし鳩山冤罪発言は勘弁して欲しい。
栃木リンチ殺人で須藤君の墓参りをしたのは、現職警官では私だけだ。埼玉の猪野詩織さんもそうです。私は墓参りを断りましたが、ご両親は「仙波さんはことわらないでください」と言ってくれた。
当局は私が自殺する男だとして拳銃を取り上げたが、私が自殺する男に見えますか、明日に執着はないが、死にたいわけではない、今日起きたら精一杯生きるので何を言われてもかまわないのです。十年前息子が事件を起こし、逆恨みで告発したと言われている。六年前に亡くなった妻のときも息子のことで首を使ったとか言われました。
喜んでくれた
若い警官たち
これまで五十カ所で講演して今日が五十一カ所目。大学も何カ所かで講演しているが、目をらんらんとさせて聴いている。今日集まった人ばかりになったら二十六万人の警察官はみな懲役です。そのなかで正義が通ることもある。それが人事委員会勧告だ。米での9・11はテロの日だが、私にとっては一審勝訴の日。正義の日です。喜んだのは若い警官たちでした。以後領収証を拒否する警官が出てきた。「おめでとう」ではなく「ありがとうございます」と言われる。
ともかく五十代管理職がいっせいに死なない限りこの体質はなくならない。どっぷりこの体質につかっているから。二月十九日の高裁裁判の一回目だった。本部では若い「上司」が「おはようございました」などと言っているがあいさつもできないのか、日本人なら「おはようございます」と言うものだろう。そうやっていびっている。
群馬の大川さんみたいにでっち上げで逮捕され、法廷でも無罪になる可能性はあったが私はそうならなかった。
暴力団よりも
さらにひどい
捜査費は九九パーセント裏金だ。それも旅費がほとんど。たとえば捜査本部が設置されると本部の口座から六百万円が送金されるが、直ちに三百万円は所長にバックする。残り三百万のうち二百万円は部長以上で山分けだ。これをキャリアなどにいかに配分するかで出世にかかわってくる。残り百万円が捜査費になるがこの六百万円の領収証を書かされるのです。これでいったいどんな捜査をしろというのか、末端の警官はやる気も出ないだろう。暴力団よりひどい上納制度だ。
同級生の東は元産経新聞の記者で支援する会の会長を務めているが、昔、上納の百万円のことで頼まれた。その後断ったら部屋に入れてもらえなかったが、百万円の件をしゃべるぞと言ったら、戸をあけて部長が出てきたとかいう話も記者の時にあったそうだ。
最後に警部補以下の警官も裏金作りに協力しているが、悪いのは幹部。彼らをどうか責めないでやってください。(発言要旨、文責編集部)
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