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STOP再処理 LOVEロッカショ          かけはし2008.1.28号

六ケ所再処理工場の操業を止めよう
新しい運動のうねりが始まっている



 延期を重ねてきた青森県六ケ所再処理工場の本格運転開始が迫っている。遅くとも、六月に青森で開催されるG8エネルギー大臣サミット会合までにはなんとしても開始したいというのが政府の意向だ。温暖化防止のために原発をという資本の戦略をはねかえそう。大地、空、海を放射能で汚す再処理工場ストップを!

年末年始も強行した試運転


 今年一月一日、夜七時前のNHKニュースで「野辺地警察署からの情報で、夜六時十分頃、再処理工場のせん断機を動かす油圧機器から煙が上がっている」と報じられた。続報を待ちながら避難の準備をはじめた住民もいた。
 六ケ所再処理工場は年末年始にもかかわらず、試験運転を行っていた。原発の使用済み燃料を実際に使用したアクティブ試験は二〇〇六年三月三十一日に十七カ月間の予定で開始、〇七年八月に本格運転を開始する計画であった。しかし重ねて起こった内部被ばく事故や耐震設計ミスの発覚などで試運転はたびたび中断し、昨年九月の計画変更で本格運転開始は今年二月とされている。九三年の着工から十一回目の延期である。

未解決の廃液ガラス固化

 試運転は五段階で進められ、現在行われている第四ステップはおよそ二カ月半で終了する計画で昨年八月末に開始されていた。第四ステップの主要な試験である高レベル放射性廃液のガラス固化が十一月四日に開始されたが、周辺機器のトラブルの続発、そして主要機器であるガラス溶融炉の`不具合aによって良い試験結果が出せない状態が続いている。
 六ケ所のガラス固化設備は、先行する英仏の民間再処理のガラス固化設備とは異なる設計で、東海再処理の設計をスケールアップした設備だ。廃液中にはガラスに溶け混まない核分裂生成物が多量に含まれて、これが炉底に沈着するためトラブルを起こしやすい。日本は英仏に使用済み燃料の再処理を委託してきた。仏ラアーグ再処理工場では日本との契約分の再処理は終了し千三百体のガラス固化体を製造、すべて日本に返還され、六ケ所再処理工場内で保管されている。イギリスでは固化作業がうまく進まず、返還予定が定まっていない。
 日本原燃の発表によればガラス固化作業が「溶融ガラスを充てんする時間が、通常の約三時間から倍の六時間前後に延びている」ため、十二月二十九日から試験は中断している。本格運転で計画する年間八百トンの処理ではおよそ五百二十立米の高レベル廃液ができる。予備を含めた十基の廃液貯蔵タンクの容量は合計で六百八十立米、一年間の運転で満タンになる。操業を開始し、計画通りのペースでガラス固化が続かなければタンクは満杯となり、再処理工場はストップする。国、研究機関、電力会社とメーカーが一体で新型の溶融炉開発を行ってはいるが、実用化のめどはたっていない。
 ガラス固化ではこれまでの試験で成果をあげられず、追加の試験で使用するため第五ステップで行う予定だった使用済み燃料の再処理の一部を前倒しし、廃液を確保する必要が生じた。日本原燃はこうしたトラブルによる遅れを取り戻すため、年末年始も休むことなく試験を強行していたのである。
 本格稼動すると年間千本のガラス固化体ができる。一本に含まれる放射能は広島原爆の三十発分。これを三十年から五十年間、六ヶ所村で保管した後、最終処分場に運ばれるが最終処分場建設のめどはたっていない。

核燃マネーと操業時期

 元旦のトラブルは火災ではなく、油圧ユニットの配管の溶接部が振動により破損し、そこから噴出した油が煙のように見えたため地元消防に通報、これが警察と報道機関に伝わった。せん断工程は十二日朝から再開し十五日までに終了した。
 最終の第五ステップ開始を前に、国の認可で必要なガラス固化工程の性能検査と処理能力検査を受けるだけの成果が得られているか、原子力安全・保安院の審議会でチェックを受ける必要がある。第五ステップはおよそ三カ月間と見込まれていたが、せん断を前倒ししたことで試験期間の短縮は可能だが、二月中の本格操業開始は事実上不可能になっている。
 アクティブ試験は昨年三月三十一日に開始、日本原燃は電力会社が電気料金の中から積み立てた基金から二〇〇五年度分の二千八百億円をたった一日で手にし、青森県は多額の法人事業税を徴収した。そのため、反対運動内には「年度内操業開始説」も根強い。
 一方、操業開始によって固定資産税が地元自治体に入ることになるが、固定資産税は一月一日が算定の基点なので二〇〇九年度以降の税収となるため、本格操業は四月以降となる可能性も指摘されている。固定資産税の初年度課税額は約百四十億円と見込まれ約二十億円が六ヶ所村の税収、県は約百二十億円と算定されるが、県条例による初年度減免措置と地方交付税法の軽減措置により実質三億円と試算されている。
 七月の洞爺湖サミットのちょうど一カ月前となる六月七日と八日、青森市内を主会場にG8エネルギー大臣会合と五カ国(日米中印韓)エネルギー大臣会合が予定され、六ケ所核燃施設の見学も組み込まれている。国策としてメンツをかけた再処理工場の十二回目の操業予定をG8エネルギー大臣会合以降まで延期するとは考えられない。

原子力産業の国際的再編

 現在は創成期の第一世代に続く第二世代と言われている。第二世代での原発建設は、スリーマイル島事故でブレーキがかかり、キャンセルが相次いだアメリカでは原発建設能力を失った。産業育成と維持のために計画的に原発建設を続けたフランスと日本による二極化が進んだ。フランスは国営電力と再処理工場、民間のメーカーを統合してアレバ社を設立した。日本の原子力産業は電力会社がイニシアチブを握ってきたが、東芝は米ウエスチングハウス社を買収し傘下に、三菱はアレバ社と提携、日立は米ゼネラルエレクトリック社と資本提携。アメリカでの建てかえや中印越など東アジアでの市場拡大を見込んだ再編が起こった。第二世代原発の建設を続けられた仏日の二極が、これを基礎に第三世代原発を売り込もうとしている。
 第二世代では、使用済み燃料を英仏日は再処理し、一方アメリカは廃棄物として直接処分するというように、核燃料政策が分かれた。現行の再処理技術では廃棄物をめぐったトラブルが発生する。直接処分でもアメリカ大統領選で民主党候補がユッカマウンテン廃棄物処分場の使用中止を訴えるなど、廃棄物政策で行き詰っている。そのため、アメリカのイニシアチブで廃棄物の排出を極力抑えた第四世代原発を多国間協力と資金で開発する動きがある。その中心の一つがブッシュ政権の進めるGNEP(国際原子力パートナーシップ)構想だ。構想では、再処理工場と燃料製造工場、高速炉を一体とした原子力センターをつくり、核物質の移動距離を短くするため核不拡散にもつながると、廃棄物の低減と合わせて原子力エネルギーの利用を正当化する。ノーベル平和賞を受賞したエルバラダイとIAEAが核燃料の供給保障体制をよびかけ、構想のバックアップもしている。
 洞爺湖サミットと青森G8を再処理の正当化と帝国主義諸国による原子力市場拡大と再編の見本市とするため、遅くとも六月までに六ケ所再処理工場の操業が強行されることが予測される。しかし、前記したように六ヶ所再処理工場の試運転ではガラス固化が進まず、不良品の大量発生など、廃棄物は`増加aしている。

安全協定締結と自治体

 操業開始するには国が試運転に並行して行っている使用前検査と性能検査がすべて終了し、合格証が発行されることが条件となる。国の許可することが妥当かどうか、御用学者らによる審議会が開催される。審議会によるお墨付きは、最終段階である第五ステップ開始の条件ともなっており、国の動向をいち早くキャッチし、審議会に圧倒的な市民の声をぶつけて、試験自体を中止に追い込んでいこう。
 原子力施設では、化学工場などの運転などで地元自治体と結ばれる公害防止協定と同じように、安全協定が締結されることが運転開始の条件となる。
 安全協定は自治体首長の采配で締結できる。これまで六ケ所再処理工場の建設をめぐっては、節々で青森県を高レベル廃棄物の最終処分地にしないこと、取り出されたプルトニウムの利用計画があることなどの確認を、青森県知事は国と事業者に求めてきた。この確認をもとに県議会全員協議会や市長会、町村長会などを招集し、安全協定締結の同意を求めてきた。国や電力会社は、同意を得るために高レベル放射性廃棄物の最終処分場候補地の選定作業の強化や各地の自治体に対してプルサーマル実施の申し入れを行ってきた。
 最終処分場をめぐって国と電力会社は昨年、滋賀県余呉町や高知県東洋町で大敗北を喫した。国は最終処分場候補地選定の強化策として昨年十一月、誘致したい市町村に手をあげてもらう公募方式一本やりから国が適地と考える市町村に申し入れる方式を新たに導入した。また一月十日の東京都内での説明会を皮切りに、資源エネルギー庁は全都道府県での説明会開催を計画している。
 原子力発電環境整備機構(NUMO)は、二〇〇二年十二月に全自治体に公募資料を送付したが、昨年十月二十六日、余呉町や東洋町を含め全自治体に公募資料を再送付した。また国は前記の強化案に加え、二〇三七年ごろとする処分開始時期はそのままに、調査時期や処分場建設開始時期を先延ばしにする基本計画案をとりまとめ、一月二十日を募集期限とするパブリックコメントが行われた。この基本計画案は三月に閣議決定されると報じられており、青森県知事が求める国のお墨付きとしてはまたとない時期と重みとなるだろう。
 一般の原発でプルトニウム燃料を使用するプルサーマルをめぐっては、燃料の発注を済ませた九州電力を筆頭に、四国電力、中国電力、中部電力がそれぞれ二〇一〇年までにプルサーマルを実施する旨の申し入れを地元自治体に行っている。昨秋以降、関西電力と北海道電力が泊プルサーマル導入を地元自治体に求める動きが急になってきた。電力各社は原子力委員会決定によって毎年二月末までをめどに、翌年度のプルトニウム利用計画を公表しなければならない。原子力委員会はこのプルトニウム計画の妥当性を評価し、国によるお墨付けを与えることになる。
 最終処分場建設やプルサーマル推進をめぐる各電力会社や国の動向をいち早くつかみ、青森県はじめ地元自治体の同意を阻止するためにもこうした動きをつぶしていかなければならない。

本格運転開始反対の運動を

 一月十日、鈴木原子力安全委員長は、青森県大間町に計画されているフルMOX炉心のABWR建設によってプルサーマル計画のもっとも進んだ段階に入り、再処理工場と連動して計画されている六ケ所MOX工場建設について「わが国核燃料サイクル事業が新たな段階に入ることを世界に対して宣言するもの」と年頭の所感で述べた。一方で鈴木委員長は大間原発とMOX工場は安全委員会による二次審査が最終段階を迎えているが、「新耐震設計審査指針」にもとづく初めての審査のため、「社会に対する説明責任を十分に果たす必要があると考えています」とも述べている。
 大間原発とMOX工場はともに昨秋の着工予定であったが、この安全審査によって着工が延期され、時期の見通しはたっていない。この二施設は、青森県が国や電力会社に求めるプルトニウム利用のための中心施設だ。再処理工場操業の同意と二施設着工の同意は一体のものであり、安全委員会の動向も注意しなければならない。
 最終処分場に関連して、六ケ所村の北隣である東通村議会内で核燃勉強会がはじまるなど、青森県では再処理工場の操業開始に向かい、課題が雪だるま式にふくらみ、雪崩のように迫ってきている。全国の運動の広がりと強化によってこうした課題に対峙していかなければならない。
 二〇〇五年九月、岩手県議会は「青森県と日本原燃に、岩手県民への説明を求め、試験・操業開始に慎重を期すよう申し入れること」などを求める三陸の海を放射能から守る岩手の会(以下、岩手の会)からの請願を全会一致で採択した。アクティブ試験開始を目前に、三陸地域で再処理工場に反対する動きがみるみる広がった。岩手の会は試験開始後、全国署名を開始し、延べ十万筆を超える署名を草の根の市民の口コミを中心に集めた。この署名運動に触発され、サーフライダーによる独自署名や生協などの消費者組織による『「六ヶ所再処理工場」に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワーク』が生まれた。これに百万人を超す組合員を組織するパルシステムが加わり、一月二十八日の署名提出行動とその前日の二十七日に日比谷野音で集会とデモを準備している。
 〇六年三月から鎌仲ひとみ監督の映画『六ヶ所村ラプソディ』自主上映がはじまった。同年五月には音楽家の坂本龍一さんがホームページstop-rokkasho.orgを開設し、内外のアーチストなどからの賛同がひろがりで注目を集めた。辺野古の反対運動の象徴でもある大浦湾の二頭のジュゴンに捧げた『ジュゴンの見える丘』を歌うCoccoさんは核燃サイクル施設の建設が進む青森県と沖縄を重ね、ツアーの予定に自ら青森県を加えたという。これまでにない「STOP再処理、LOVEロッカショ」と表現するのがふさわしい動きがはじまっている。「反核は最大のエコである」「反核は二十一世紀のエコロジーの原点だ」など、新鮮なスローガンを前面に出している。社会運動の新しい流れともいえる。
 こうした多様で多層な流れをつなぎ、雪崩のように迫る推進側の動きをくいとめ、再処理の中止をかちとろう。    (斉藤浩二)


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