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ベネズエラ ボリバール主義運動が足踏み        かけはし2008.1.21号

PSUVを最も民主主義的な機関に

改憲案国民投票をどう見るか
革命的プロセスの基礎となる労働者階級の組織が欠落
                  マレア・クラシスタ・イ・ソシアリステ

 十二月三日、南米ベネズエラで「社会主義建設」を明示した改憲の是非を問う国民投票が行われ、「反対」票が五一%、「賛成」票が四九%という僅差で「反対」が勝利した。反米左派のチャベス大統領が選挙や国民投票で敗北したのは初めてのことである。同改憲案には大統領の任期を6年から7年に延長し、無期限再選を可能にする項目もあり、チャベス自身「二〇五〇年まで大統領をつとめる」と豪語していた。今回のチャベスの敗北は、アメリカと結びついたメディアなどの右派キャンペーンにも大きな要因があったが、それだけではない。従来チャベスを支持してきた人々の中からも批判の声が広がっている。その理由は何か?ベネズエラの革命的左派グループの分析を掲載する。(本紙編集部)

改憲案賛成票が僅差で敗北

 右派の勝利を可能にする改憲案反対票の僅差での勝利に直面して、われわれは深刻な反省を開始すべきである。われわれが必要とするものを建設するという目的を持って、われわれが経験しつつある情勢、そしてここ数カ月のうちに直面するだろう情勢を理解することが、われわれにとって有益である。それは変革とその深化のためにきわめて緊急かつ必要なことであり、社会主義のベネズエラを確信し、そのために闘っている人びとにとっての課題である。
 すでに、さまざまに異なった総括と分析が行われているし、これからも行われるだろう。官僚的部門が、まさに起こった事実への責任を隠そうと試みる中で、右派と帝国主義は、この革命プロセスを弱めつづける方向で討論するだろう。このような事実を考慮に入れる必要がある。
 革命プロセスを深化しようとつとめながら改憲案「賛成」票のためにキャンペーンし、この数カ月、帝国主義、資本家、民間メディアとの対決に全力を上げてきたわれわれは、新たに存在する諸問題を提示し強調するために、深刻に熟考する必要と義務がある。われわれは、それらの諸問題が当面のところ、われわれの敗北の原因の一つであると確信している。われわれは、「賛成」に投票した幾百万人の人びとと共に、この討論を行い、提案を交流することを願っている。また今回の事態をそれほど不幸なこととは思っていないが、帝国主義や野党勢力とは何の関係もない一般の労働者やわが国の貧しい人びととも討論、交流したいと願っている。

社会的成果の維持が重要

 まず第一にわれわれは、あらゆる提案はベネズエラを社会主義国家へと変革する闘いの現実性を再確認するところから出発するべきだと確信している。われわれが抱えているどの問題も、わが国に依然として現存する資本主義の枠組みの中では解決できない。
 無数のセクター――国家機構それ自体内部のセクターをふくめて――がこの敗北を利用して圧力をかけ、社会主義について語ったことが間違いであり、妥協し、このプロセスの進行を制止したほうが良い、と示そうとするだろう。チャベス大統領は確実にこうした圧力の下に置かれるだろうが、われわれは彼がそれを拒否することを希望する。この面での後退は、革命的プロセスの敗北を刻印するだろうからである。われわれは、われわれの取ることのできるステップ、必要な措置、いかにして党、社会的決定機構の形態を再定式化するかについて討論している。われわれが必要とする国家のあり方に向けたコースをしっかりと保持するためである。
 チャベス派の有権者の重要な部分が棄権し、反対票を投じるという過ちさえおかした部分がいたとしても、それは、われわれが無視できない深刻な理由によるものである。その一部は、個人財産の収奪が行われるとの脅しをかけた右派と帝国主義のメディア・キャンペーンの結果である。民間メディアの比重や、全国キャンペーンで依然として経営者部門が保持している自由が大きな役割を果たしたことは確かである。しかし政府の直接責任である、それ以外の問題もあった。
 第二に、改憲の提案をふくめて大統領の手に過剰な権力が集中し(大統領任期の期限、副大統領の選任など)たことは、昨年(06年)十二月にチャベスを支持した民衆の一部に評価されなかった。
 明らかに、右派メディアのキャンペーンが広がる中で他の問題も登場した。政府は社会主義と平等のプロジェクトについて語ったが、それは金持ち連中が依然として大企業を意のままに処理し、経済的・政治的権力を維持している中で、生活不安、住居、住民の大部分の賃金といった重要な社会的課題を必ずしもつねに解決するものではない。われわれのすべては、きわめて積極的な社会的成果がもたらされ、改革は他の面でも成果を上げることを知っている。しかし革命は避けることのできない法則を持っている。すなわち、前進するためには、資本家の経済権力を弱め、社会的ニーズに従った方向づけを行う明確な措置を取ることが必要なのである。
 この領域においては、われわれが取った重要なステップにもかかわらず、必要とされることにはまだまだほど遠いものがある。右派のメディア・キャンペーンと依然として解決されていない諸問題との矛盾が、われわれ自身の社会的基盤における疑問、不信、恐怖の源泉なのである。
 同時に日曜日の投票結果は、住民の大きな部分が社会主義に向けた前進という思想を共有していることを示した。しかしそこには、現実の諸問題と直面しての不満、疑問、恐れも存在している。右派や(米)帝国との衝突の中で、このプロセスに関わってきた一定の部分が、不幸なことに右派とその勝利に事実として連動しながら、「反対」、棄権、無効票を投じるよう呼びかけた。「ポデモス」(改憲提案に反対して運動した中道左派政党)、バドゥエル(ラウル・バドゥエル将軍は、二〇〇二年の失敗したクーデターの時のマラカイ基地の司令官で、一揆勢力に反対してカラカスに行進し、威嚇した。現在は退職。彼は、チャベスに対してより批判的になり、今回の改憲提案をクーデターになぞらえている)のような一部の人びとは、反社会主義的構想に転換した。労働運動や社会運動のリーダーである一部の人びとはセクト主義的に「賛成」投票への呼びかけを拒否し、右派の辛勝に手を貸した。
 しかし、われわれ階級闘争派の労働組合指導者と労働者は、動員を行い、改革提案に現れているインフォーマルセクターをふくむ六時間労働、住居保障、土地所有権などの措置を、現在の時点から勝ち取っていくべきである。したがって、革命的で階級意識を持った人びとは誰も、改憲提案の不承認を祝うべきではなく、いかに組織し、モラルと意識を構築し、改憲構想の中に現れている社会的成果を獲得する闘争を発展させるかを直視すべきである。この改憲提案の反対者でさえも、こうした成果は改憲ぬきでも獲得できると語っていることを想起しよう。

官僚主義と腐敗を止めよう

 連邦政府、市役所、閣僚たちの汚職と官僚的構造は、未解決の社会的諸問題の帰結であり、それはひるがえって出口のない状況をもたらす。かくして、この問題をその根元において処置するのか、それとも革命的プロセスを失うことになるのかである。
 われわれ「マレア・クラシスタ・イ・ソシアリステ」の活動家がすでに述べてきたように、経済権力と連携してビジネスを行い、ぜいたくな車を乗り回すような富裕化した国家職員のあり方に終止符を打つことが必要である。基本的諸権利を攻撃する閣僚は邪魔者であり、現労働相とそのチームは、その最も強情で最も官僚主義的な表現である。
 チャベス大統領は、「反対」票や「棄権」の決断大きく影響を与えたこの状況に注意を集中すべきである。すべてのボリバール主義的社会主義者は、ともに政府チームの根本的変革を待ち望んでいる。一般労働者を意気阻喪させ、革命プロセスの労働者的・貧民的形態から距離を置いているのは、これらの国家職員たちである。ある一定の層に「賛成」票を投じる確信を与えることができたのはこれらの人びとである。なぜなら彼らは、自分たちが言っていることとは逆のことを行うだろうことを日々、示しているからである。
 われわれの革命的プロセスは、根本的かつ緊急の変革を必要としている。それはまさに行うに値することがらである。時間はもはや表面的な事柄ではなく、変革を不可能にしてしまう。草の根の人びと、革命プロセスに関わる社会的・民衆的・政治的諸組織と共に大きな経済的・政治的決定に関する討論を開始することが必要である。
 個人的利益にのみ従って行動する、自由裁量で選ばれた国家職員と断絶することが必要である。民衆権力の閣僚や職員たちの役割を改めることが必要である。それはすべての決定が、関係する大衆基盤で討論され、決定されるようにするためである。われわれがすでに提起しているように、あたかも「サウジ・ベネズエラ」に住んで財産を購入し、ぜいたくなホテルに暮らすかのような国家職員の給与に終止符を打つことが必要である。そうした国家職員の行為は社会主義プロジェクトとは何の関係もない。われわれは草の根から、このような非能率的で破廉恥な国家職員の解雇を要求する。革命プロセスのために働く人びと、社会的セクターに参加し、それを直接に代表する労働者・民衆・農民・学生の現実の指導者のための場を創り出すことが必要である。誠実で一貫したセクターの組織が欠落している。
 われわれは長い間、こうした諸問題を批判してきた。改憲「賛成」キャンペーンの期間中、われわれは自らの批判的見解を保持してきた。ベネズエラ統一社会主義党(PSUV。同党の結成は、二〇〇六年の選挙期間中にウーゴ・チャベスによって提案された。ボリバール主義政権を支持するほとんどの政党がPSUVに参加し、「マレア・クラシスタ・イ・ソシアリステ」に参加する多くの最左派も、参加を決定した)と社会運動の部隊の同胞たちが、そのような立場で闘ったのと同様である。「賛成」投票のためのすべてのデモにおいて、さまざまな批判や大きな問題が残されているという直観と結び付いたチャベス支持の空気を呼吸した。
 われわれは幾千、幾万ものチャベスを支持する人びとと共にいた。われわれは被雇用者、農民、まともな住居を必要としている人びとの要求を支援して街頭に出た。われわれはPSUVが新しい官僚機構、あるいは、政権の最初の数カ月の機能を支配した一部の国家機構への権利を主張している新しい省庁や特命機関のようなものに変質することのないように討論した。またわれわれは、「賛成」投票のためのキャンペーンの前衛の大きな部分であるし、議会が今日の状況をもたらしてきた官僚的悪徳を維持しようとしているのを受け入れることはないだろう。
 この状況から抜け出すために、そして革命プロセスを深めることを可能にするためには、権力が実際に民衆とその組織に移されるべきである。PSUVの大会は、最も民主主義的な機関に変革されるべきである。そこではわれわれすべてが、自由な討論を妨害する制限措置や官僚的介入ぬきで、意見を述べ、提案し、批判し、ボリバール主義革命の目的のために決定できるようにするべきである。われわれは、数十万人の同胞とともに社会主義プロジェクトを継続し、その途上にある右派の目論見に立ち向かうことができるという強固な確信を持っている。しかしこの確信は、すべてのこうしたテーマを討論する共通のスペースを建設することを通じた統一と組織化と手を携えて進むべきである。われわれは、こうした目的に奉仕する場と手段となるために、自分たちの出版物と会議を提供する。それは最も意識的で誠実な草の根の活動家と、この革命プロセスの闘士たちが共通のスペースとして自由に使うことができる必須の手段である。
 わが国の階級意識を持った数百の労働組合運動ならびに民衆運動指導者と共に、そしてPSUVの幾万人もの活動家とともに、われわれはいるべき場所にいた。ボリバール主義運動の民衆と共に帝国と右派と対決しながら、革命を深化させるために最大限の努力を払ってきた。われわれはこのことに満足している。この任務を継続する必要がある。われわれが、改革プロジェクトの社会的成果を労働者と民衆に提供する道を探ることによって、革命プロセスと社会的諸問題の解決への要求に向けた責任を再確認しているのは、そのためである。
 われわれはPSUVの大会を、一般の活動家が官僚や政府機関をバイパスして意見を述べ、決定する最も民主主義的な機関に変革させる提案を繰り返している。すべての人びとが提案し、意見を述べ、批判することができるようにすべきであり、それは最も重要な要求である。もちろんチャベスは自らの意見と提案を述べる権利を有する。しかし彼は、一般の人びとに耳を傾け、現実が突きつける変革にオープンな立場を取る責任をも持っているのだ。
カラカス 
2007年12月3日

(十二月二日に行われた改憲国民投票で反対が五一%を獲得して、賛成派が敗北したことを受けて、スターリン・ペレス・ボルゲス、ヴィルマ・ヴィヴァス、マルコ・ガルシア、イスマエル・ヘルナンデスが、「マレア・クラシスタ・イ・ソシアリステ」の名でこの声明を書いた。「マレア・クラシスタ・イ・ソシアリステ」は統一社会主義党への参加を決定したベネズエラにおける革命的左翼活動家のグループ。)
(「インターナショナルビューポイント」07年12月号)


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