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G20金融サミットが意味するもの            かけはし2008.11.24号

新自由主義に退場宣告し
民衆の力で公正な世界を

アメリカ帝国支配の終りが始まった
資本主義の危機に立ち向かう闘いのグローバルな連携へ!



ドル基軸体制
を守るのか?

 十一月十四日と十五日(日本時間十五日と十六日)、先進資本主義国G7(米、日、英、独、仏、伊、加)に加えてロシア、中国、インド、ブラジルなどの新興経済発展国の首脳や世界銀行総裁などがワシントンに集まり、G20首脳会議(金融サミット)が開催された。言うまでもなく米サブ・プライムローン危機から始まったかつてないほどの広がりと深さを持った金融・経済恐慌状況に対処するために設定された緊急の首脳会談である。
 G20という形で初の金融サミットが開催された事実そのものが、今日のグローバル資本主義の危機の深刻さと歴史的転換局面を物語っている。米国のみならずEU諸国も一九九九年のユーロ導入以来、初の景気後退入りが確認されている。OECD(経済開発協力機構)の予測では、来年度の国内総生産(GDP)の成長率が米欧日のいずれもマイナスになると予測されている。つまりこれまで世界の資本主義経済を取り仕切ってきたG7の結束だけでは、今日の金融危機に対処することはできない現実がここに表現されている。
 米・仏を軸にG7諸国の間の対立も際立っていた。金融サミット開催の前日の十一月十三日、パリの大統領府で演説したサルコジ仏大統領は「米ドルは第二次大戦終結直後には世界で唯一の基軸通貨だったが、もはや基軸通貨だと言い張ることはできない。世界は変化している。二十世紀の枠組みは二十一世紀には通用しない」と述べた。サルコジは戦後の資本主義世界体制の枠組みを作った「ブレトン・ウッズ体制」に代わる「新たなブレトン・ウッズ」の創設を打ち上げたのである。
 これに対して同じ十三日、退任間近のブッシュ米大統領はニューヨークで演説し「今回のサミットで金融制度を二十一世紀の市場に適応させる原則を構築する」と明言したものの、「多くの欧州諸国は米国より幅広い規制をしていたのに、今、米国と同じ問題を経験している。政府の市場介入は万能薬ではない。わずか数カ月の危機で六十年の自由市場の成果を台無しにしてはいけない」とサルコジに反論した。
 世界規模の金融危機を引き起こした「主犯」である米国のブッシュはこの期に及んで、米国的「市場原理主義」の正統性にこだわっていたわけである。

「リスク管理の
不適切」なのか

 しかしG20会談「首脳宣言」を発表した後、ブッシュもサルコジもブラウンもメドベージェフも、そして麻生も、一様に「画期的会議」「成功」と口をそろえている。大きな対立と思惑の違いをふくんだG20のような会議で、誰もが「成功」という評価を下すのは、それだけ無内容ということを意味するのではないだろうか。
 「首脳宣言」は次のように述べている(骨子)。まず「今次危機の根本的な原因」である。
 「高い成長、資本フローの伸び、安定が続いた期間に、市場参加者はリスクの適正評価なしに高利回りを求め、脆弱な引き受け基準、不健全なリスク管理慣行、複雑で不透明な金融商品と結果としての過度のレバレッジがシステムを脆弱にした。いくつかの先進国(注:明らかに米国を指す)では、政府・規制当局はリスクを適切に評価せず、金融の技術革新についていけなかった。背後にある主な要素は、一貫性と調整のないマクロ経済政策と不十分な構造改革などであり、これらが世界的マクロ経済上の持続不可能な結果を招いた」。
 ここでは金融危機の原因が「複雑で不透明な金融商品」などに対する「リスク管理の不適切」に還元されている。それは「カジノ資本主義」の本質的な特徴とも言えるプレイヤー全体にとっての「無知」の領域の拡大を、事実として認めているにすぎない。

IMFの役割
の強化とは?

 次は「取られた措置および取るべき措置」についての確認である。そこでは以下のようなことが羅列されている。「努力の継続と金融システム安定に必要なあらゆる追加的措置の実施」「適切と判断される場合における金融政策による支援の重要性」「財政の持続可能性の維持に資する政策枠組みの維持と、状況に応じた即効的な内需刺激の財政政策」「新興国・途上国の資金調達支援。危機対応における国際通貨基金(IMF)の重要な役割を強調」「世銀、国際開発金融支援機関が危機克服で引き続きその役割を果たすために十分な資金基盤を確保」。
 これらの諸項目は、この間の金融機関に対する「公的資金注入」措置や一連の「国有化」の単なる追認である。またIMF・世界銀行などの新自由主義的な「ワシントン・コンセンサス」を主導した諸機関の役割を強調していることは、「資金調達支援」を受けた諸国への「コンディショナリティー」によって、民営化・福祉切り捨てが強制されてきた歴史を想起させるものがある。それは債務の悪無限的な累積、多国籍資本による支配と権利の剥奪を必然的にもたらすものである。ここでは、債務の帳消しなどの課題がなんら考慮されていない。

全般的な規制
を強調したが

 三つ目は「金融市場の改革のための共通原則」である。今回のG20の核心ともいえるこの課題では「金融市場と規制枠組みを強化する改革を実施する」ことがうたわれ、「規制当局間の国際連携、国際基準の強化およびその一貫した実施」が掲げられている。そのための「共通原則」と「整合的な政策の実施」については以下のような課題が列挙されている。
b「透明性およぴ説明責任の強化」(複雑な金融商品に関する義務的開示の拡大、金融機関の財務状況の完全・正確な情報の開示を含め、金融市場の透明性を強化」)。
b「健全な規制の拡大」(すべての金融市場・商品・参加者が適切に規制され、監督の対象となる。信用格付会社に対する強力な監督の実施など)。
b「金融市場における公正性の促進」(不法な相場操縦、詐欺行為、乱用を防止し、非協力的な国・地域から生じる不正な金融リスクへの対抗などにより、世界の金融市場の公正性を保護)。
b「国際連携の強化」(各国・地域の当局が規制その他の措置を整合的に策定。規制当局は国境を越える資本フローを含め金融市場のすべての部門において協調・連携を強化)。
b「国際金融機関の改革」(世界経済における経済的比重の変化を適切に反映できるようプレトン・ウッズ機関の改革推進。最貧国を含め、新興国・途上国がより大きな発言権と代議権を持つこと、金融安定化フォーラムは新興国の加盟を拡大)。
 すなわち、金融取引についての国際的な規制強化が原則としてうたわれており、「ブレトン・ウッズ体制の改革」も語られている。そこには明らかに、欧州やブラジル、インドなどの新興発展国の側からの挑戦が反映されていることも確かである。金融資本が主導する「カジノ資本主義」の下でのグローバリゼーションを推進してきた米国経済の深刻な危機と破綻によって、これまで一切の「規制」に消極的だった米国の影響力の急速な没落がそこに表現されている。しかし、そのための具体的な措置の第一歩は、二〇〇九年三月三十一日までに策定される「行動計画」で規定されることになっており、米・欧・新興諸国の間での対立は容易には解消しないだろう。次のG20は、来年四月三十日に開催される。

労働者・市民へ
の攻勢が激化

 首脳宣言は最後に「開放的な世界経済へのコミットメント」と題して、「保護主義」の拒否と「自由貿易体制」の堅持をうたいあげ「WTOドーハラウンドを成功裏に妥結に導くための合意」を本年中に実現することを訴えている。「貿易相に対してこの目標の達成を指示し、必要に応じ直接支援する用意をする」とまで付言している。
 七月二十九日に決裂したジュネーブでのWTOドーハラウンドが、残り一カ月で合意に達することはきわめて困難だろう。しかし金融危機が促進した「G20での協調」の見せかけが、破綻した新自由主義的グローバリゼーションを体現するWTOドーハラウンドの合意を強制する新たな圧力となることについて、われわれは注意しなければならない。アグリビジネスなどが主導してきた自由貿易体制こそ、地球環境を破壊し、小規模生産農民から土地を奪い、食料危機を拡大してきた張本人だからである。
 麻生首相は、一九九七〜九八年の金融危機での日本の経験をG20各国に示したとその「成果」を語り、IMFの資金的基盤を強化するために日本から一千億ドル(約十兆円)を融資する用意がある、と表明したと語った。しかしここのG20においても日本の果たした役割は、ブレトン・ウッズのドル基軸通貨体制を防衛しようとする米国を支え、新しい枠組みの創出に抵抗しようとするものであった。麻生は金融サミット開幕に先立って、ブラジル、イギリス、インドネシアの三カ国首脳と会談し、日本が主張する「ドル基軸通貨体制」と「自由市場原理」の二原則の維持について支持を取り付け、米国への援護射撃を行った。
 G20に対するエコノミストの評価は、「総花的な理想論であり、具体性に欠ける」「実体経済の不況に何らかの積極的な効果をもたらすものではない」というものが一般的である。今回のG20自身、「協調」の看板を掲げながら、危機の進行に有効な手だてを打つことができないG7を中心とした資本主義大国の出口のない状況を浮き彫りにするものであった。すでにブッシュは最後の時を迎え、日本の麻生政権もまた危機の中で政権運営能力を日々喪失している。こうした正統性を失った諸国政府にグローバル経済の危機に取り組む能力はないのである。
 しかし同時に、この金融危機と実体経済の長期衰退が確実な状況の中で、労働者・市民に対する資本の攻撃がさらに加速していることはまぎれもない現実である。日本でも自動車産業をはじめとした不況の広がりは、非正規労働者への大量解雇、新卒労働者の採用中止、賃下げなどとして現れており、中小下請け企業の切り捨てと倒産の波が押し寄せている。それは金融資本に対する「救済」措置の一方で労働者・市民の生活と権利を破壊し、貧困化のスピードをいっそう加速させることに直結している。
 この歴史的な資本主義経済の危機の中においてこそ、「底辺への競争」を根底から覆す抵抗の闘いを基礎に、新自由主義に代わる連帯と平等・公正の原理にのっとった「二十一世紀の社会主義」への挑戦に着手しなければならない。今こそ労働者・市民の行動の時である。
 大資本救済のための「公的資金」投入反対。消費税大増税反対。国際金融取引への課税の強化を。「人間らしい暮らし」のための生活支援を。
  (11月16日 河村恵)

 【訂正】前号5面「もうやめようよ!『障がい者自立支援法』」記事2段小見出し「応援負担」を「応益負担」に訂正します。



G20金融サミット対抗アクション
マネーゲームはもうたくさんだ!
人間らしい生活を取りもどそう


 十一月十四日、坂本町公園で「G20金融サミット対抗アクション―マネーゲームはもうたくさんだ!救済すべきは銀行じゃない!人間らしい生活を取り戻そう!」が行われ、緊急行動にもかかわらず、四十人ほどが集まった。主催は金融サミット対抗アクション実行委員会。呼びかけ賛同団体はATTAC Japan(首都圏)、コモンズ、すぺーすアライズ、聖コロンバン会、日本消費者連盟、ピープルズ・プラン研究所、フォーラム平和・人権・環境、脱WTO/FTA草の根キャンペーン、郵政労働者ユニオンなど。
 G20対抗アクションの趣旨は以下の通り。
 11月15日、ワシントンで麻生首相をはじめ主要20カ国の首脳が参加して金融サミットが開催されます。しかし、金融不安を解消するために開かれるというこの会合では、一体何が討論され、どんな方針が打ち出されるのでしょうか。
 日々深刻化する金融危機は、まさしく新自由主義がもたらした人為的な帰結です。責任を負うべきは、世界の富および金を独占し、マネーゲームに興じ、途上国や貧しい者たちを踏み台にして私腹を肥やしてきた銀行、投資会社、証券会社などの大手民間金融機関、またIMF、世界銀行などの国際金融機関、そして多国籍企業であり、さらに、それを容認かつ支援してきた主要先進8カ国の首脳たちにあります。 
 私たちは、世界の誰もが平和に暮らせる公正な社会を目指すために市場原理主義を批判してきました。ありもしない架空の金を売買し、膨大な利ざや稼ぎを歓迎する新自由主義政策は、社会を破滅させると警鐘を鳴らしてきました。
 私たちは、富の偏在を許容する現行金融システムを解体し、直ちに公正な社会を作り出すための討論が開始されることを要求します。世界のあらゆる地域、諸国、そして市民団体、NGO、労働組合、社会運動団体など、あらゆる部門の代表が参加し、討論することによって、民主的かつ公正な真に民衆のための金融システムを作り出すべきであると考えます。(行動呼びかけチラシより)

日本のウォール
ストリートをデモ

 午後六時過ぎから坂本町公園に、ATTACジャパンや電通労組の仲間たちが集まり、パフォーマンスのための衣装を着たり、キャンドルの準備を行った。集会は最初に、ATTACジャパンの秋本陽子さんがG20金融サミットについて、「金融取引がカジノゲームのようになり、貧困を増大させている。G8の政策はそれを推進してきた。私たちはかなり以前から警鐘を鳴らしてきた。まじめに働く者が苦しめられるような政策に耐えるのではなく、抗議しよう」と訴えた。
 次に、全国ユニオン事務局長の安部誠さんが、はげたかファンドに抵抗する京品ホテル争議の報告を行った。「京品ホテルはもうかっているのに、経営者がバブル期に作った六十億円の債務をはげたかファンドに売り、十月二十日をもって従業員を解雇し更地にして解決しようとした。それに対して従業員たちは組合を結成して、五十室のうち二十五室、七つの店舗のうち三つの店舗で自主営業を行い闘っている。債務を引き取ったはげたかファンドが倒産するというかつてない状況にあるが、雇用を守る闘いは広く関心を呼び、お店はたいへんな盛況だ。明け渡し攻撃と対決するために十一月二十一日に社前集会を行うのでぜひ参加してほしい。敵は国際金融だ」。
 日本消費者連盟の富山洋子さんが「麻生政権は金融資本を救済する政策を打ち出し、一方で選挙のために二兆円を使った定額給付金を支給するとしている。しかし、今後大幅な消費税増税をたくらんでいる。暮らしはますます困難になっていく。悪徳商法がはびこるのは人をだまさないと食べていけない人がいるからだ。食の安心・安全の基盤がない。お天道さんと米の飯がついてくる、そんな経済を取り戻そう。早期の解散総選挙で自民党政府を倒そう」と呼びかけた。
 排除と貧困に抵抗する「持たざる者」の国際連帯行動の藤田五郎さんが「居住場所がない人を集団でアパートに住まわせ、ピンハネするという生活保護を悪用し貧困ビジネスが全国に広がっている。私たちは台東区・墨田区で百人に上る野宿者に生活保護をかちとってきたが、この間は締めつけが厳しくなっている。施設への収容を拒否して生保を要求する人に対して、住所がないということで行政は生保を却下したり、あらかじめ十人と定数を決めてそれ以上出さなかったり、抗議を排除したりしている。これは台東区だけの話ではない。手を携えて闘っていこう」と訴えた。
 この集会では、呼びかけ団体のピープルズ・プラン研究所とすぺーすアライズからのメッセージが読み上げられた。集会後に、東証やAIGなどを通り日銀前の常盤橋公園までデモを行った。      (M)
スローガン
投機マネーを規制し、通貨取引税の導入を!/景気回復・内需拡大を言うなら賃金上げろ!/人間らしく生きるために不安定雇用をなくせ!/公的資金導入より社会保障の拡充を!/貧困なくせ!/日雇い派遣を容認する労働者派遣法改悪反対!/民営化反対!/軍事費減らせ!/バラマキでごまかすな!/20カ国で世界を決めるな!/金融危機はG8の責任だ!


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