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「民営郵政元年」を迎えて                かけはし2007.1.22号

公共サービスと雇用・権利を守る闘いを発展させよう

「健全」経営の
展望などない

 本年十月、現郵政公社は日本郵政株式会社(持ち株会社)の下に窓口ネットワーク会社、郵政事業会社、郵政保険会社、郵便貯金銀行の四会社を発足させ、民営郵政元年を迎えることとなる。このうち窓口ネットワーク会社と郵便事業会社は日本郵政株式会社による一〇〇%子会社となるが、郵便保険会社と郵便貯金銀行に関しては、この日本郵政株式会社から、二〇一七年までに分離するとしている。
 郵政公社の二〇〇六年三月期決算によれば、郵便・貯金・保険の三事業全体の利益は一兆九千億円と発表されているが、その利益のほとんどを莫大な資金量を持つ貯金事業が計上している。郵便事業は前年度が二百八十三億円の黒字で、〇六年は二億円の黒字、そして〇七年三月期では大幅な赤字が予想されており、民営郵政事業会社の前途は深刻である。
 郵政公社生田総裁は郵政民営化に先立って、「郵便事業の本格的な黒字体質への構造改革」として「営業力のアップ」「JPS(ジャパンポストシステム)の推進」を唱い、「アクションプラン・フェーズ1」「フェーズ2」を相次いで発表した。これによって人事・新給与制度(能率給、成果主義賃金)を導入し、非正規雇用労働者(ゆうメイト)の大量雇用と職員の大量削減が実施され、この三年間で三万人にのぼる職員が削減され、現在、郵便局で働く職員は二十五万人、ゆうメイトは十四万人という構成となっている。
 上述した、前年度二百八十三億円の黒字とは、これら新給与制度の導入や職員の大量削減によって生み出された一過性のものであり、民営郵便事業の「健全」経営展望など持ちあわせているとは到底思えない。

ゆうメイトの雇
い止めを許すな

 民営郵政会社の発足を前に、郵便事業における利潤追求を第一義とした徹底した矢継ぎ早の効率化諸施策の発表とその導入によって職員、ゆうメイトを問わず、長時間・過密労働を強いられている。郵政公社は職員の大量削減に代わるゆうメイトの大量雇用で、職員には書留、速達、小包郵便物を、ゆうメイトには普通郵便物を配達させるいわゆる「2ネット方式」を鳴り物入りの効率化として導入したのだが、郵便物の誤配・遅配が常態化するとともに終業時刻にあがれない勤務が増加している。効率化のかけ声とは裏腹の勤務実態にあり、現在もこうした状態が続いており、公社の言う全国実施にはほど遠い状況だ。
 また、JPS総本山として埼玉県越谷局に導入されたトヨタ方式も、導入後三年有余経過したが、当初の一〇%のコスト削減必達どころか逆に労働時間ばかりが増え続けたことが明らかとなり、マスコミを通じてその失敗が大きく報道された。
 職員の削減に代わって雇用されるゆうメイトは郵便外務ではこれまでの四時間、六時間雇用から、この「2ネット」の実施により八時間(フルタイム)雇用となり、職員と同じ業務をしているにも関わらず、低賃金、一日雇用という不安定な立場にあることに変わりはない。ゆうメイト雇用の増大は、一方的な雇い止めを頻発させ、全国でこれまで十数件もの裁判闘争を郵政ユニオンの支援のもとで闘ってきたが、現在も大阪・豊中局で係争中だ。
 本年十月からの民営会社では、職員は雇用期間のない正規社員、フルタイムゆうメイトは有期雇用の非正規職員として、他に契約社員、パート、アルバイト、短時間職員の雇用に大別されるが、正規職員の削減は今後も継続し、非正規労働者を主戦力化していくであろうことは明らかだ。これまで公務非常勤労働者は法的には「雇用ではなく任用」とされ、パート労働法すら適用されず、任期が一日であることから正当な理由もなく雇い止めされてきた。
 民営後は労基法が適用されるとはいえ、郵政内二大労組であるJPU(旧全逓)と全郵政労組が「アクションプラン(郵政事業の全分野にわたる徹底した効率化計画)の達成こそが公社の将来と命運を決める」と言ってはばからず、両労組の合併を通して公社の効率化を前倒ししてでも推進していく立場を明言している状況下では`健全なa労組はないに等しく、不当な雇い止めがなくなるとは到底考えられない。

長時間・過密
労働の強制

 他方、郵便内務においては郵便外務部門以上に徹底した職員の削減と低賃金ゆうメイトの大量雇用を押し進めている。〇三年一月には夜間勤務がJPUと全郵政労組の全面協力の下で改悪され、「深夜勤」の導入によって最長四夜連続の深夜勤務が強制されることとなった。そのうえ年間百四時間もの実働時間の増加となったことは本紙二〇〇六年五月二十九号で述べた。
 現在、この「深夜勤」の廃止を求めて全国で四件の裁判を郵政ユニオンと郵産労、JPU労働者百人の原告で闘っているが、公社資料による深夜勤務従事者の定期健康診断結果において、「深夜勤」が導入されて以降の三年間の健康破壊が着実に進んでいることが明らかとなった。`要療養者aや`要軽業者aは導入前の六十七人から百十四人へと倍増、何らかの健康障害が出ている`要注意者aも三百人近くに増え、しかも加速度的に増えている。
 健康障害の内容を見ても、血圧に何らかの異常を訴えている労働者は二万五千人のうち四千四百四十六人と二割近くにのぼっており、深夜勤務の典型的な影響といえる。さらに、この「深夜勤」導入以降の現職死は把握している限り十人を超えているのだが、実際にはその数倍にのぼることは間違いない。この「深夜勤」の導入は大量の職員の削減をもたらしてきたが、驚くべきことに、さらに常勤社員を非常勤社員やパートに置き換えていくために、民営会社発足後には郵便事業会社とJPU、全郵政官僚が一体となった天下り会社をさまざまな分野に立ち上げ、労働力の供給を行うということまで取り沙汰されている。
 こうした民営化を前にした郵政事業の効率化を図った諸施策の導入は、そのほとんどが破綻したとは言え、これら失敗施策によって職員は現実に削減されており、郵政現場での業務運行の混乱を引き起こし、職員・ゆうメイトのいずれにも長時間・過密労働が強制されているのだ。

地域切り捨てに
抗する共同闘争

 このなりふり構わぬ矢継ぎ早の効率化諸施策の中にあって、昨年七月、郵政公社は郵便局再編計画を発表した。この計画では同年九月から実施するとして、これによって郵便の集配業務を行っている全国四千六百九十六の集配局のうち、千四十八局の集配業務を廃止するというもので、この計画で年間百億円のコスト削減が達成されるとしている。小泉・竹中が「民営化によるサービス低下はない」と国会答弁してからわずか一年後に反故にされたのだ。しかもこの再編・統合では収益性の少ない、効率の悪い地域を対象としており、地方の切り捨て、地域間格差を増大させることは明らかであり、ユニバーサルサービスの崩壊に向けた一里塚であると言っても過言ではない。この集配拠点の再編で、影響を受ける全国六百六十七市町村のうち、九十を超える自治体の反対決議を含め、二百二十八自治体が意見書を提出している。
 こうした中で、郵政ユニオンは郵政民営化反対闘争を郵政民営化を監視する市民ネットワークと共同で展開し、市民・利用者のための郵政事業を目指す討論集会、交流会、地域情宣行動を積み重ねてきた。その一方で、郵政労働者の雇用や労働条件を守り、公共サービスを守る運動を創り出していくために、郵政産業労働組合(以下、郵産労)との定期協議を継続し、郵政民営化反対運動での一致した要求・課題での共同行動をも展開してきた。郵政内二大労組の文字通りの労使運命共同体路線に抗して、公共サービスを守り郵政で働く労働者の労働条件の改善、雇用と権利を守る闘いを共同で前進させていく取り組みが求められている。
 資本のグローバル化に対応した「構造改革」は、公共サービスの民営化や委託化、正規雇用の解体と非正規雇用化と無権利化とともに、賃金の大幅切り下げ、労働法規の改悪や長時間労働を生み出してきた。同時に、市場万能主義による資本のグローバル化は、大企業の利潤の増大の一方で、不採算部門の切り捨て、とりわけ中小企業の倒産ラッシュを現出させ、「格差社会」は自民党政権ですら最早、無視できないところにまで立ち至ってきている。
 公共サービスを守る闘いをより広範な運動としてつくり上げていくためには、資本のグローバル化が農業、消費、医療など社会のあらゆる分野で矛盾や歪みを引き起こしていることから、これらの問題に取り組んでいるさまざまな市民・運動団体との連携・共同行動をこれまで以上に全国をネットした闘いとして一層掘り起こしていかなければならない。  (中村哲也)




韓国山本労組
本社をキャンドルで包囲し解雇撤回を求める


 二〇〇六年十二月二十二日、韓国山本労組は東京都板橋区に本社のある山本製作所に、〇六年最後の遠征闘争を行った。突然の廃業、全員解雇を受けて、親会社である山本製作所に対して百八十日間にわたって、「話し合いに応じろ、解雇を撤回せよ」と迫った。しかし、山本製作所は一切の話し合いに応じることなく、門扉は固く閉ざしたままであった。
 この日も、早朝から抗議行動を繰り返し、夕方からはローソクで山本製作所を取り囲んだ。神奈川シティユニオンは四十人の大部隊で行動に参加した。オリジン労組、関単労、電通労組、わいわい祭り実行委、全統一光輪モータース分会、ATTAC首都圏などが韓国山本労組とともに行動をともにした。ソン・ミジャ労組委員長は「唯一解決する道は山本製作所が話し合いに応じることだ。来年も来日して闘う」と力強く決意を述べた。支援を強化しよう。 (M)

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