| 急騰する原油・穀物価格と投機資金 かけはし2007.12.3号 |
3000億ドル
に達する損失額
今年八月に広がった米国におけるサブプライムローン(低所得者向け高金利住宅ローン)のこげつき問題に端を発した金融市場の深刻な危機と、米国経済の後退懸念の広がりは、さらに深刻さの度合いを増している(本紙10月29日号参照)。その影響はグローバル金融市場に予想を超えた混乱をもたらしている。
OECDが十一月二十一日に発表した金融市場に関する報告書では、サブプライムローンが発端の金融市場の混乱に伴う損失額は二千億ドルから三千億ドルに達する。この額は米連邦制度準備会(FRB)のバーナンキ議長が十一月八日に示した千五百億ドルという推計を大きく上回る(「朝日」11月22日)。しかしこれで終わりではない。「まだ最悪期を迎えてはいない」というのがOECDの見解である。さらに米証券大手のゴールドマン・サックスのエコノミストは、ローンの焦げつきや金融商品の価格下落で、金融機関や投資ファンドの損失が最大四千億ドルに達する、と報告している(「毎日」11月18日)。
日本でもサブプライムローン危機にもとづく損失額は、三菱UFJ、みずほ、三井住友、住友信託の四大グループを中心に三千三十億円に達している。このサブプライムローン問題の広がりで、世界経済は米国発のリセッションに入る可能性が高まっている。
日本の景気見通しも一斉に悲観的観測が強まった。国土交通省が十月三十一日に発表した九月の新設住宅着工戸数は前年同月比で四四・〇%の減で、三カ月連続の減少となった。四四%減は過去最大の数値である。米国の住宅着工減がサブプライムローン問題と直接に関連しているのと異なり、日本の場合は耐震偽装問題を受けた今年六月の建築基準法改正でマンションの審査項目が増え、審査機関が厳しく対応していることが直接の原因だと言われている。実際マンションだけを取ってみれば、昨年同月比七四・八%減という大幅な下落であり、東京都では八〇・三%減、着工戸数ゼロという県が十九もあった。
しかし米国と理由は異なるとはいえ、経済成長に大きなブレーキとなることに日本の場合でも変わりはない。米国経済の不況局面への突入と並行したドル安、円高により、日本の株式市場も激しく乱高下しながら、十一月十三日には東京証券市場で一年四カ月ぶりに一万五千円を割り込んだ。この波は、さらに続きそうである。
石油1バーレル
百ドル水準へ
サブプライムローン問題による金融市場の不安定化、金融資本の巨額の損失とともに、グローバル経済にとって巨大な暗雲となっているのが、原油をはじめとした資源価格、農産物価格の急騰である。原油価格は今年一月の1バーレル五十ドル台前半から、十一月二十日には百ドル目前の九十九ドルに達した。十カ月で約二倍である。こうした原油価格の急騰には、トルコのイラク北部クルド人自治区への侵攻の危機といった「地政学」的要因も挙げられているが、最大の原因はヘッジファンドなどの短期資金が投機の対象として「債権証券」から石油に向かったことにある。つまり原油の「金融商品化」である。
またグローバリゼーションの下で、石油が投機対象となったことが、逆に産油国の資源ナショナリズムを促進しており、今や原油・天然ガスの生産量・埋蔵量ともに産油国の国営企業(サウジアラビアのサウジ・アラムコ、ロシアのガスフロム、イランのNIOCなど)が圧倒的に支配し(約七五%)、欧米の石油メジャーの市場支配力が衰えたことも理由とされている。
米ブッシュ政権のイラク侵略・占領は、この「原油資源ナショナリズム」に対し、アメリカの世界規模での石油支配を「復活」させる意図も込められていた。イラク国家の自国石油資源への主権を剥奪し、それを米国の多国籍企業の自由な手に委ねる「イラク石油法」は、その目論見を立証している。
原油価格の高騰によって産油国に流入した「オイルマネー」が膨らみ原油先物市場に投機資金として流れている。つまりサブプライムローン危機などの信用リスクの高まりにより、リスクマネーが行き場を失う中で「歴史的低金利の継続・ドル安→過剰流動性の増大→原油・商品市場への資金流入増加→オイルマネー拡大→商品市場への再投資」という資金の流れが作られつつある(「週刊エコノミスト」07年11月6日号 特集:原油高、ドル安、インフレ)。
もしイランの核開発を口実に、アメリカがイランを武力攻撃し、イランがそれに対抗してホルムズ海峡封鎖などの手段を取った場合には、1バーレル百六十ドルになる可能性もあるとされる(「週刊東洋経済」07年11月24日号、特集・資源炎上)。原油価格の急騰は、この間の世界経済を牽引してきた米国の成長に深刻なマイナス効果をもたらし、世界規模での景気の急速な後退局面を引き起こさざるをえない。
原油高をもたらした、過剰流動性の商品市場への再投資は、鉄鉱石、金、銀、銅、レアメタル、さらに穀物などの価格急騰をもたらした。銅はこの五年間で三・五倍、金は二・五倍、プラチナは二・四倍、ウランは二十倍、ニッケルは四・二倍、亜鉛は三・五倍、アルミニウムは一・八倍である。
またシカゴ穀物市場での小麦価格は、昨年八月までの1ブッシェル(27・2キロ)三ドル台から今年九月には過去最高の九ドル台後半と、三倍以上の高値となった。そこには地球温暖化による干ばつなどの影響もあるが、穀物価格急騰に拍車をかけているのがガソリン代替燃料としてのエタノール生産拡大に伴うトウモロコシ需給の逼迫である。また「原油価格高騰を背景とした世界的なバイオディーゼル燃料の需要拡大により、米国では大豆油を原料とする燃料の生産も拡大し始めた。今後は、世界の大豆需給も急速に引き締まる公算が大きい」(前掲「週刊エコノミスト」07年11月6日号)のである。
全体としてグローバル資本主義経済の不況局面への移行が不可避的になる中で、インフレ圧力も同時的に強まるというマイナスのスパイラルが作動している。
食料品価格も
大幅な値上げ
原油・穀物価格の高騰は、すでに日本経済に対しても重大な影響を引き起こしている。
ガソリン価格は一リットル・百五十円を突破するに至った。タクシー、航空運賃なども引き上げとなった。穀物価格の急騰は、パン、即席めん、パスタ、食用油、豆腐、味噌、ハム、ソーセージ、マヨネーズ、カレールー、菓子、チョコレート、コーヒーなどの一般食料品価格の相次ぐ値上げラッシュを引き起こしている。
この値上げの波は、消費者だけではなく、原料価格の高騰をコスト引き下げで乗り切り、市場競争を生き延びようとする大企業の圧力を被っている孫請け・下請けの中小企業や零細小売り業の犠牲を伴っている。「海外から押し寄せる穀物や原油の高騰の波と、必死に価格を据え置こうとする小売業者。そのはざまで、交渉力の弱い業界や企業が、しわ寄せを受けている」「北関東のある中規模スーパーは『商品によっては、メーカーの値上げ分を自分でかぶっている』と明かす。大手に比べ食品メーカーとの交渉力は弱く、仕入れ価格の引き上げに応じざるをえない。一方で、大手スーパーとの競争があり、店頭価格を上げるわけにはいかない」(「毎日」11月21日、「価格恐々 食品値上げの今」下)。
とりわけ新自由主義的なグローバル資本主義の矛盾と危機の中で、賃金と権利を徹底的に切り下げられ、失業・不安定雇用と超長時間労働、貧困にさらされる労働者に対して、食料品をはじめとする生活価格の高騰、インフレは、よりいっそうの打撃となる。空前の利益をためこんだ大企業に対しては、税制優遇措置を続け、労働者・市民に対して消費税率二桁への引き上げを図る、政府・与党と資本の攻撃をはねかえそう。
インフレによる「弱者」への生活破壊をもたらす新自由主義のメカニズムを明らかにしながら、市場投機の規制のための国際的な闘いと、消費税増税反対、高額所得者への累進課税と大資本への増税のキャンペーン、公正な「生活保障」のための闘いを提起していこう。それは、不正な新自由主義の社会・経済秩序に代わる反資本主義=新しい社会主義のための挑戦への必要な一歩である。(11月23日 河村 恵)
国鉄闘争勝利・東京東部集会
11・30日比谷集会の成功へ
今こそ解決の扉を開けよう
【東京東部】十一月十九日、カメリアプラザで「国鉄闘争勝利東京東部地区集会」が国労江東支部、上野支部の主催で開催され、百三十人が集まった。
上野支部玉之内委員長が「11・30日比谷大集会を成功するために、今日の集会を開催した。一〇四七人解雇問題の早期解決にむけてがんばりたい。この闘いは貧困の連鎖を断ちきる闘いや地域の争議団とともに国のあり方を問い、流した汗をムダにしないために、安心して働ける職場をつくっていくための闘いにもつながっている」と主催者あいさつをした。
次に、濱中保彦さん(国労本部書記長)が「国鉄闘争を巡る情勢と解決への闘い」について講演をした。
「分割民営化しても、全員の雇用を守るという国会での中曽根首相らの答弁を反故にして、不当解雇の経過を説明し、それとどのように闘うかで、四党合意問題が起きて、国労・支援とも一時分裂状態になったが、9・15判決を期に4者・4団体が団結したことで、解決にむけて闘う側の陣形ができた」。
「闘争団は平均年齢が五十四歳、月十七万円で生活している。すでに四十六人が死亡している。待ったなしの状態になっている。こうした中で、全動労裁判の判決が十二月末に、第二次訴訟が三月十三日に判決となっている。有利な判決をいかに引きだすか」。
「与野党逆転の政治状況をいかに利用できるか。ILOの政府への勧告。地方議会での多数の決議。11・30に向けて全国で五十八カ所の集会を予定し、すでに五十カ所で二万四千人が参加している。扉の前に立つことができた。力づくでも扉を開けたい。そのために11・30大集会を成功させよう」。
続いて、四者から訴えが行われた。小野浩二さん(採用差別国労訴訟原告団・国労闘争団全国連絡会副議長)。「JRの各駅頭で、情宣活動をやっているとJRの安全問題で質問される。解雇問題とセットで安全問題も訴えていく」。
渡部謙三さん(全動労争議団・鉄道運輸機構訴訟原告団副代表)。「全動労の最高裁判決で二〇〇三年十二月の責任は国鉄の後を継いだ鉄道運輸機構にあることをハッキリさせた。十二月の判決では勝ちとりにいきたい」。
川畑一男さん(国労闘争団鉄道運輸機構訴訟原告団代表)。「1047人の総体の解決をめざしている。われわれの判決を起爆剤として闘っていく」。
酒井直昭さん(国労闘争団鉄建公団訴訟原告団団長)。「今日は横浜の鉄運機構の座り込み・申し入れを行った。全国各地の集会は主催者の予想を超えて集まっている。しかし、われわれの闘いはまだ全体を動かすにいたっていない。何としても勝ちぬける闘いをつくり出していきたい」。
次に、東部全労協岸本議長が「今日、観光バス二台で、八カ所の争議会社を回る東部けんり総行動を行った。国鉄の国家的不当労働行為は自分たちの問題でもある。四党合意問題以前には、今日のように両支部の主催する集会が何回も開かれた。今回ようやくいっしょの集会ができた意義は大きい。11・30集会の成功にむけてがんばろう」」と連帯のあいさつを行った。最後に集会決議、団結頑張ろうを行った。 (M)
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