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辺野古新基地建設計画を完全撤回せよ          かけはし2007.12.3号

さらに強まる米軍再編の重圧

沖縄の米軍基地強化を許すな
戦争のために税金を使うな!


普天間移設協
めぐる駆けひき

 辺野古新基地計画について十一月七日、「普天間飛行場の移設に関わる措置に関する協議会」が首相官邸で開かれた。防衛大臣主宰から官房長官主宰に変更され、福田新政権発足を経て、十カ月ぶりに再開されたことになる。
 具体的なことが決まったわけではなく、日本政府が沖縄の民衆をどう喝する舞台が再び整ったというに過ぎない。辺野古沿岸の環境影響評価(アセス)の手続きに関しては、防衛省が沖縄県の意見をも無視して八月に方法書を送付したが、V字滑走路案合意に反発する仲井真沖縄県知事はアセス手続きを「保留」したままであった。
 仲井真知事は十月になって環境アセス手続きへの意見表明をする方針を表明した。そして「普天間協議会」においても、環境アセスへの協力と引き換えに滑走路沖合移動を主張し、サンゴなどの保護、住宅地騒音の軽減を訴えたのだった。だが、仲井真知事は「むしろ米軍再編を進めるべきだ」「早く決着をつけたい」との発言をいまだに繰り返しており、新基地建設が大浦湾と名護東沿岸域住民に惨憺たる被害をもたらすこと自体に全く配慮はしていない。

防衛省と仲井真
知事の筋書き

 知事のアセス協力表明にともなって、十月二十二日には約五百通の住民意見が公表された。大半は撤回を要求するものであったが、反対意見を封じるために環境アセス手続きへの沖縄県の「保留」と防衛省の「強行」が演じられてきたことを考えれば、九月二十九日の教科書検定「軍命」削除反対県民大会の高揚、一連の防衛省汚職への批判が作用して、今は辺野古での阻止行動が建設計画を押し返す局面にあるのだろう。
 住民の反対意見は、滑走路の位置移動よりも、大軍港計画、新型オスプレイ配備、住宅地での墜落、というそれぞれの危険性に対する日本政府の説明不足に向けられている。住民側の主張を裏付ける動きは出てきている。二〇〇六年四月にV字案が日本政府と名護市長との間で「合意」された直後に、米側からさえも生息物の陸上調査もするようにと勧告されていたという事実だ。日米の担当者は二百メートルの岸壁、弾薬装備場設置をこの会議で合意していたが、この合意の存在は隠され、日本政府は陸上調査の項目を環境アセスに含めなかった。明らかにすれば、岸壁への大型艦船の寄港、海上実弾射撃演習をおこなう可能性を追及され、辺野古での阻止行動が強固になると思ったのだろう。
 また名護東海岸の住宅地上空を米軍機が飛行することについて、米軍側関係者は可能性をたびたび認めてきたが、十一月十九日の国会で防衛省の防衛局長が、日本政府の担当者として初めて、「住宅地上空の緊急時飛行はある、訓練の形態によって当然飛ぶことはありうる」と発言した。そして「米海兵航空計画」で、普天間所属のCH46ヘリの後継として「MV22オスプレイ」の二〇一四年配備計画が明らかになったりもしている。名護新基地の全貌は、普天間基地機能の移設ということを超えて、東村高江のヘリパッド建設などと連動した沖縄北部に展開される一大基地群の中枢であることは、疑う余地もなくなった。
 何回でも言うが、基地の位置、形状がいかなるものであるかを問わず、辺野古新基地計画の白紙撤回を勝ち取ろう。

相い次ぐ事故と
米軍兵士の犯罪

 辺野古新基地以外に沖縄と軍事基地を取り巻く情勢はどうか。嘉手納基地でのF15などの未明離陸は九月十一日、十月三十日(午前2時〜4時に100デシベル前後の騒音)にも行われ、二〇〇七年で七回目を数えた。この時離発着しているF15は、アメリカ・ミズーリ州で十一月二日に墜落事故がおきたことをふまえて、飛行停止状態に追い込まれたが、欠陥機であるから使用を止めろという住民の抗議に対し、米軍は、広報局長の「F15はもっとも安全な飛行機だ」という発言で対応している。航空自衛隊も含め、構造的な欠陥が明らかなF15の飛行再開は周辺住民に被害を押し付けるものでしかない。
 十月十九日には同じ嘉手納基地で二〇〇七年で二回目のパラシュート訓練が強行され、二人の米兵は訓練区域外に着陸した。十一月二十日、読谷村の降下訓練では六人の米兵が、畑などに落下しており、いつ住民にぶつかるか分からない状態だ。
 十月一日には米兵の息子が飲食店の労働者をビール瓶で殴り、性暴力事件を起こしている。この容疑者は荷物をまとめてアメリカへ帰国する寸前に沖縄警察署に逮捕されたが、軍事機密という名目と、国境の壁とに阻まれた事件が無数にあることを思い出させる出来事であった。嘉手納基地を中心に周辺住民に危険を及ぼす基地の「弾力的」使用が恒常化している一方、生身の人間である兵員と家族が綱紀に収まらず、矛盾の現われとして沖縄の住民に被害を与えていることは執拗に追求しなければならない。北部に基地群が移転することはこのような犯罪をまたも、沖縄の中でたらいまわしにするという、許されない性質のものだ。

「再編交付金」
によるおどし

 このような米軍強化を穏便に実施するために、日米軍事一体化が進められているが、沖縄においてそれは露骨である。キャンプ・ハンセンでの陸上自衛隊と米海兵隊の共同使用を拒否してきた金武、宜野座、恩納の各町長が、十一月十三日に陸上自衛隊と米軍の共同使用を認めたことはその一例である。
 三自治体は実弾射撃演習の拡大、住民を無視した運用に反対してきたが、十月三十日に防衛省が再編交付金の指定自治体から三自治体を除外したことによって、急きょ反対の態度をひるがえしたものと見られる。名護市もV字案滑走路の位置移動を要求しているために交付金の指定からはずされているが、交付金を財政の頼みにしようとする人々を利用したやり方に対し、交付金の額に勝る価値を、基地のない辺野古、そして沖縄が豊富に持ち合わせていることをどう知らせていくかが課題である。
 沖縄の報道を追いかけるだけでも、沖縄の基地機能拡大は座間、横須賀、岩国などと連動しつつ、依然として先取りして行われているのである。「米軍再編」は守屋の疑惑と共に消え去るのではない。環境アセスについては十一月十四日の院内学習会などで沖縄の国会議員、辺野古で阻止行動を続ける人々が白紙撤回に向けて訴えている。再編交付金の恫喝にいまだ屈していない座間、岩国の状況も見すえながら。

全駐労のスト
と基地の矛盾

 十一月二十一日、全駐労は駐留米軍経費負担(思いやり予算)の中から、基本給に一〇パーセント上乗せしていた手当をカットする提案などに反対して、四時間の時限ストを実施した。全国ストは十六年ぶりのことであり、組合員一万六千八百人の半数に近い、六千人以上が沖縄の組合員であるため、この削減は県民大会後の沖縄の労働者に対する見せしめとも受け取れる。一九九五年の米兵による性暴力事件以来、沖縄の「負担軽減」を約束し、差別をごまかすために、基地収入、基地従業員の雇用が反基地を掲げる運動に対する調整弁として働いてきた面もある。だが軍事のグローバリズムの拡大にともなって住民を分断する手法も転換を迫られているのかもしれない。
 石破防衛相は「(基地労働者は)沖縄の他の方々と比べて高い。支払いに理解が得られるのか」と発言した。だが、池子の米軍住宅七百戸増設の経費、沖縄の海兵隊のグアム移転に八千八百億円が当然のように「思いやり予算」と「特別予算」から支出されようとすることこそが、理解不能なのである。今回の賃金カットに対し、「本土」から、沖縄を食い物にするなと伝えよう。
 当日は各米軍基地ゲート前でピケットラインがはられ、全駐労の労働者は給与削減の不当を訴えた。譲歩しない防衛省に対し、十一月三十日、十二月中旬のストライキが呼びかけられている。連帯して軍事基地の矛盾を訴えていこう。(海田 昇)




辺野古環境アセス方法書のまやかし
沖縄選出野党国会議員が呼びかけ院内学習会開催


 十一月十四日、「普天間アセス方法書の大きな過ち」と題した院内学習会が、衆議院第一議員会館で行われた。この学習会は、辺野古の米軍基地建設のための「環境影響評価方法書」を那覇防衛施設局(当時)が沖縄県や名護市の同意も得ずに八月七日に提出し、八月十四日から強引に公告縦覧を開始し、さらに十月二十二日には沖縄防衛局(施設庁の防衛省への統合による組織再編によって、那覇防衛施設局から名称変更)が、「住民の意見の概要」なるものを沖縄県、名護市、宜野座村に提出したことに抗議して開かれたものである。
 この学習会の呼びかけ人は照屋寛徳衆院議員(社民党)、赤嶺政賢衆院議員(共産党)、喜納昌吉参院議員(民主党)、糸数慶子参院議員(無所属)、山内徳信参院議員(社民党)の野党の沖縄出身国会議員。呼びかけ団体はWWFジャパン、沖縄リーフチェック研究会、ジュゴン保護基金委員会、ジュゴンネットワーク沖縄、ジュゴン保護キャンペーンセンター、じゅごんの里、沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団、ヘリ基地いらない二見以北十区の会、ヘリ基地反対協議会、辺野古への基地建設を許さない実行委員会。
 学習会には沖縄出身のよびかけ国会議員全員の他、社民党の福島みずほ党首、辻元清美衆院議員、民主党の今野勉参院議員、無所属の川田龍平参院議員も出席した。
 最初に発言した照屋寛徳さんは、「辺野古に建設しようとしている新基地は単なる『普天間代替施設』ではなく、巨大基地の新たな建設だ。その計画推進の中心は守屋・前防衛事務次官その人だ。あんな男が米軍再編を進めたのかと考えれば、はらわたが煮えくり返る」と怒りを露にして糾弾した。

欠陥だらけの
方法書撤回を

 「市民アセスなご」の吉川秀樹さんが、「環境影響評価方法書」の問題点について次のように指摘した。
 @V字滑走路の双方向からの飛行を防衛省も認めている。しかし陸地の上を飛行機が飛ぶ際の影響を隠しているA戦闘機弾薬装弾場の設置について触れていないB二一四メートルの埠頭の建設について隠しているC故障した航空機の移動の影響について触れていないD航空機洗浄場の設置がもたらす影響についても触れていないE辺野古ダム区域やキャンプ・シュワブ陸上区域への影響についても記載されていないF使用機種に関して垂直離発着機オスプレイの配備についても明らかにしていないG水中ビデオカメラやバッシブソナーによるジュゴン調査は不適切である。
 吉川さんは、したがって環境影響調査方法書は撤回すべきだと強調した。吉川さんの意見を補足する形で沖縄から参加した真喜志好一さんも、ジュゴンの生態系に対する影響の評価の誤りについて強調した。
 WWFジャパンの花輪伸一さんは、「普天間代替施設アセス方法書の問題点」と題して方法書の前に事前調査を強行したやり方を厳しく批判した。「掃海母艦ぶんごを投入して暴力的調査を行い、県に方法書を押しつけるやり方を許せない。方法書は付帯工事についてはほとんど触れず、米軍住宅地の建設についても触れていない。また珊瑚礁に関して何を調べようとしているのか不明かつあいまいであり、影響予測もきわめて抽象的な定型文書の域を出ていない」。
 ヘリ基地反対協の安次富浩さんは、「国策というのはすべて住民をだますためだ。沖縄県の環境影響評価委員会は、まず現況調査を止めさせて欠陥だらけの方法書を撤回せよと言うべきだった。知事は、方法書を撤回しろとは絶対に言わない」と仲井真知事の姿勢を批判した。
 川田龍平参院議員も、美しい大浦湾の砂浜が新基地建設で破壊されることを批判し、海洋基本法にある環境保全条項をも活用しながら、参院での「与野党逆転」という力関係にある現在の局面においてこそ、市民の側も積極的な取り組みで新基地建設を止めることが必要と強調した。
 呼びかけ人と呼びかけ団体は「今日新基地計画について様々な疑義が出されている段階では環境影響評価そのものが意味をなさないことは明らかであり、我々は、その作業を直ちに停止し、方法書を撤回することを求める」とする声明を発表した。     (K)


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