| 投稿 イギリスRESPECTの危機 かけはし2007.11.26号 |
組織方針をめぐって内部対立
SWP指導部のセクト主義 |
イギリスにおける労働党外左翼の政治・選挙連合であるRESPECTでは、八月下旬に下院議員のジョージ・ギャロウェイがRESPECTの改革を提案する文書を全国委員会の委員あてに提案したことをきっかけに、RESPECTの内部で最大勢力である社会主義労働者党(SWP)の指導部が反発し、十一月中旬に予定されている年次大会が正常に開催される見通しがたたず、結成以来四年ほどで組織的な分裂が避けられそうにないという危機的な局面を迎えています。
ギャロウェイの
提案をめぐって
ギャロウェイの提案自体は、これまでもRESPECT(※1)の内部で議論や提案のあったものをまとめた内容といえます(全国委員会副議長のサラマ・ヤクブも主要な点では同様の提案をおこなっています)。
すなわち、RESPECTに結集しうる潮流・勢力への呼びかけ、後退している支部の組織建設の強化、メンバーの拡大(※2)、機関紙の発行、財政の確立、全国委員会の選出方法の改善をはじめとした民主的運営の確保などです。
また、新しい提案としては、選挙対策委員会の設置と、現在SWP中央委員のジョン・リースが務めている全国事務局長のほかに、専従の全国オルガナイザーをおくことが加えられていました。
これを受けて、九月四日には、ギャロウェイらとSWP指導部とのあいだで協議がおこなわれました。
そして、九月下旬に二度開かれた全国委員会(※3)では、まずRESPECTに結集し得る潮流・勢力として、労働党を除名された鉄道・海運・運輸労組(RMT)、労働党左派やイギリス共産党(CPB)などの名前が具体的にあげられ、議論されています(※4)。RMTは、労働組合運動の分野では職場委員全国ネットワーク(NSSN)を形成すると同時に、来年のロンドン地方選へむけて候補者を擁立する準備をおこなっています。CPB(一九八八年結成、党員数約一千人)のロブ・グリフス書記長は最近、党紙の「モーニング・スター」(約六千部)で「労働者の大衆的な政党の必要性」について言及しています。また、同紙にはギャロウェイ議員や国際社会主義グループ(ISG、第四インター・イギリス支部)のジョン・リスターも定期的に寄稿しています。
また、全国委員会は、激論の末に全国オルガナイザーを設けることで合意しました。しかし、これにSWPのメンバーでRESEPECTの元全国委員会議長であるニック・ラック(※5)を就任させる提案について、十月十五日、RESPECTの執行部にあたる幹事会(※6)では、SWP指導部のメンバーらの多数派が反対しました。
二つのグループ
内でふかまる溝
そうしたなかで、十月二十四日、全国委員会の議長であるリンダ・スミス(労働党を脱退した消防士労組FBUの役員)、同副議長であるサラマ・ヤクブ(バーミンガム市議会議員)、ギャロウェイ下院議員をはじめ、十九人の全国委員が連名で経過説明とSWP指導部への批判、政治的な多元性の擁護をアピールする文書「岐路に立つRESPECT」を発表しました。この全国委員のなかには、ニック・ラックや、ケン・ローチ(映画監督)、さらにジョン・リスター(ISG)、アラン・ソーネット(同)などが含まれています。
これに対して、ジョン・リースやリンジー・ジャーマン(戦争ストップ連合STWC事務局長、SWP)らSWPとその支持派の全国委員も、同日、「一部の役員がRESPECT内の左派に対する魔女狩りをおこなおうとしており、SWPを追放しようとしている」として、これを非難するアピールを発表したのです。
また、SWP中央委員会はニック・ラック、ギャロウェイ事務所の二人の専従、ロブ・ホフマン(※8)とケヴィン・オヴェンデンの計三人のSWP幹部を「中央委員会の指導に従わなかった」として除名し、党内外に大きな衝撃を与えました。SWPは、その除名の直前には、RESPECT全国委員のジャー・フランシスも除名しています。また労働組合運動におけるSWPの「顔」で、ロールスロイス社の職場委員会委員長であったジェリー・ヒックス(RESPECT全国委員)は離党を表明し、同党にとっての打撃も小さくありません。
さらに、十月二十九日、RESPECTの地方議会における拠点となっているロンドンのタワー・ハムレット区議会では、RESPECTの十一人の区議会議員のうち、オリ・ラーマンら四人のSWP支持派(うち二人がSWP党員)が議員団から離脱して、新しい会派の「RESPECT(独立派)」を結成するという事態になっています(※7)。
RESPECT内の二つのグループの溝はさらに深まっており、十一月十七日から二日間の日程で予定されていた年次大会の代議員の選出方法などをめぐっても対立があります。十月二十五日、二十八日と、両派の接触がおこなわれたものの、予定されていた十月三十一日はSWPが突然拒否したため、同日、全国委員会の多数派は、リンダ・スミス議長とサラマ・ヤクブ副議長の名前で、「SWPはRESPECTを分裂させた。この状況で年次大会を開催しようとすれば、それはでっち上げでしかない」とする声明を発表し、分裂は避けられないものと観測されています。
運動全体への
影響が大きい
イラク反戦運動の高揚を背景に労働党外の左翼勢力を結集する政治・選挙連合として結成されたRESPECTの分裂がイギリスの社会運動、労働運動へ与える否定的な影響も懸念されています。イギリス共産党(CPB)は、アメリカのイラン介入への危機が高まるなかで、RESPECTの内部対立が戦争ストップ連合(STWC)へ持ち込まれることのないように要請する声明を発表しています。
イギリスでは、昨年は、ヨーロッパにおける左翼政治勢力結集の一つのモデルと思われてきたスコットランド社会主義党(SSP)が二派に分裂し、今年のスコットランド議会選挙では両派とも議席をすべて失っており、RESPECTが分裂すれば、同国での左翼勢力の結集と統一は当面大きな困難を抱えることになります。
(注)
※1 RESPECTは、「尊重・平等・社会主義・平和・環境・コミュニティ・労働組合」の頭文字をとったもの。二〇〇四年一月結成。
※2 RESPECTの組織人員数は、二〇〇五年には約五千人と報告されていましたが、今回の分裂への動きの中では全国委員会の多数派は「約二千人」としており、SWP支持派からもこの数字に対する反論はありません。
※3 全国委員会は五十人で構成。SWPの「党報」によると、うち十四人がSWPメンバー。一方、ISGのアラン・ソーネット(「ソシアリスト・レジスタンス」紙、第四十八号)によると、SWPメンバーは十九人。
※4 元ミリタントの多数派である社会主義党(SPEW)は、こうした動きを歓迎する一方、SPEWについて言及していない点を批判しています。SPEWの党員数は約千五百人。地方議員は五人ながら、労働組合運動で影響力をもっており、同党の発表(十月二十五日付)によると、全国労組中央執行委員になっているメンバーは二十二人。
※5 ニック・ラックは元「ミリタント」紙の編集長という経歴にもかかわらず、三年前にSWPに入党。RESPECTの元全国委員会議長。
※6 幹事会は十六人で構成。うち七人がSWPメンバー。
※7 RESPECTの全国における地方議員数はタワー・ハムレット区議会での分裂前の時点で十八人。
※8 ロブ・ホフマンは、元社会主義連合(SA)事務局長。
ブラジル・ベレンに向かって
社会運動グローバル・ネットワークの呼びかけ
08年1月26日、ストリートに登場を!ともに行動を起こそう!
今日、社会運動は資本家の新自由主義システムの攻撃の中で新しい局面にさらされている。特に、今の時代の特徴は永遠に終わらないグローバル戦争にある。ほとんどの民族にとって、この戦争は再植民地化を意味する。「対テロ戦争」という口実を利用しながら、この戦争は世界中の人々から略奪することによって天然資源の支配をねらっている。「大中東(Greater
Middle East)」と南米における米国のプロジェクトは、このことを最も目に見える形で表している。
しかし、米国はアフリカとアジアで「忘れられた戦争」を隠すことはできないでいる。イスラエル国家の拡大は、地球をまるごと隷属化させるというこの意図の一部をなしている。
この永遠の戦争に反対する社会運動の動員は、抵抗を開始する人々との連帯を確かなものとする、国境を越えた新しい手法を定義することを意味する。新自由主義システムが使用する暴力は、「新自由主義的な考え方に抵抗する人々」に対する露骨な戦争行為だけに表現されるのではない。抵抗をつぶすために使用されるその他の武器とは、社会運動への弾圧および基本的権利の制限である。軍事占領および海外軍事基地の設置は、人々の主権、ならびに帝国支配の足枷から脱却したいという人々の願望に対する露骨な攻撃である。
人々の強制退去や土地の収用など、その他の暴力の形態は、土地、水およびその他の天然資源を商品化しようという欲求の結果である。この戦争状態は社会全体に影響を与え、暴力は当たり前の抑圧手段になった。最初に犠牲になるのは女性である。地球それ自体が新自由主義システムの無謀な突進の結果に苦しんでいる。最速最大利益というコンセプトは気候変動および汚染を引き起こし、自然の均衡を危険にさらしている。
そうした暴力はあらゆる社会生活に影響を及ぼしている。多国籍企業のみが儲かる天然資源の民営化を拒否する人々は、テロリストになぞられる。民主主義の根幹は、人々の主権、ならびに人々の天然資源および天然産物の利用と分配について疑問が投じられることによって、まさしくむしばめられている。犠牲者、生産階級、小自作農などには基本的権利が拒絶されている。北および南で、より不安定な状況に置かれているのは、最も貧しい人々である。何十億もの人々から、教育、健康および住宅への権利などの基本的公共財が剥奪されている。
農民および漁民組織、ならびにすべての住民は、世界市場とは関係なく自らのニーズを満たすために、食料主権を要求する。
新自由主義と
全世界で対決を
新自由主義政策、およびそれらと関連する争いで犠牲になる人々は、自らの国を逃れることを余儀なくさせられている。自由な資本移動の時代にあって、私たちが所属している社会運動の根本的な任務は、移民の権利、新自由主義および抑圧から逃れた人々の権利、ならびに性的多様性を防衛するとともに、強制結婚またはFGM(女性性器切除)から逃れた女性たちの権利を守ることである。
家父長制は支配的な経済体制によって強化されている。女性や子供のトラフィッキング(人身売買)、および売春は、生活のあらゆる側面を商品化させる更なる証拠である。女性労働者の状況の悪化は、特に、労働者の大部分が女性であり、かつ彼女たちの権利がほとんど認められていない自由貿易地域では、さらに深刻である。
私たちの直接の敵は、はっきりと確認できる。多国籍企業のみならず、世界銀行やIMFの利益のみに専心するG8は、この再植民地化の背後にいる原動力である。これらの機関が押し付ける債務は世界の富の私有化のみならず、南で作り出される富の支配階級―そのほとんどは北にいる―への移転を可能にする。
WTO(世界貿易機関)および二国間協定は状況をさらに悪化させる。農業、労働、環境、知的所有権、人の移動、または公共サービスの自由化などの分野では、世界中で人々に制約が課せられている。国家はみずからこれらの政策を促進する、またはその適用もする。
社会運動のやるべき仕事は、新自由主義政策の影響に苦しむ人々のいる途上国および先進国の双方で、これらの敵に対して共同のグローバル動員を保証することである。
さらに、私たちは、資本主義のシステムが、自らの目標を達成しようとする努力の中で困難に直面していることも知っている。資本主義システムは人々の抵抗のせいで重大な後退に直面している。しかしながら、私たちの最大の勝利とは、オルタナティブがない(no
possible alternative)という誤った考えを葬ることである。一つの流れしかないという考え方には疑問が投げられており、その支配システムの妥当性については、今日、大々的に異論が出されている。
世界社会フォーラムのプロセスが継続するにあたって、ならびに、私たち社会運動団体―2006年10月にブリュッセルで開催した社会運動会議は重要なステップである―間における連携(alliance)の構築という継続的な作業を行うにあたって、ここブラジル・ベレンに集まった社会運動団体は、2008年1月26日を頂点とするグローバル・アクション・デーに積極的に参加することを呼びかける。
2007年10月30日
ブラジル・ベレン
連絡先:
Oliver Bonfond
Secretaire general du CADTM Belgique
www.cadtm.org
olivier@cadtm.org
0494 / 47 28 03
59, Av. du Luxembourg ; 4020 Liege
Rejoignez le Groupe Thomas Sankara de Liege (GTS) : www.groupesankara.be
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