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エクアドル コレア政権が直面する挑戦課題       かけはし2007.11.19号

徹底的な経済・社会的改革への道と新憲法制定議会

エリック・トゥーサン



 【キトー発】一年足らずの間に、ラファエル・コレアは四つの選挙闘争に勝利した(2006年末の大統領選挙の二回の投票、2007年4月の憲法制定議会選挙に関する国民投票、2007年9月30日の憲法制定議会議員の選挙)。
 すべての右翼政党は、ラファエル・コレアの党を共産主義の脅威と呼んで、これを阻止するための運動を展開したが、「アリアンサ・パイス」は百三十議席のうちの七十から八十議席を勝ち取った。これは同党が安定多数派を確保し、新憲法を作成し可決できることを意味する。さらに、同党は、MPDやパチャクティクのような左翼運動の支持に依拠して、この国の政治構造の徹底的な民主主義的変革を導入することができるであろう。憲法制定議会の選挙結果は、ボリビアよりもさらに変革にとって有利である。ボリビアでは、エボ・モラレス大統領の党とこれを支持する運動を合わせても、新憲法を可決するのに必要な三分の二の議席に及ばない。このことが、このもう一つのアンデスの国の現在の政治的行き詰まりの理由と言えるかもしれない。
 大手メディアはその大多数が選挙中は明確に反ラファエル・コレアであったが、その大手メディアでさえ、今や慎重に帆の張り方を変える準備をしている。彼らが支持した政党は圧倒的に拒否され、大統領と彼の党に対する攻撃の調子を(少なくとも一時的に)落とさないわけには行かなくなった。
 実際、右翼および中道右派の党(キリスト教民主主義政党UDC、社会民主主義政党ID)は完敗した。昨年の大統領選挙の第二回投票でラファエル・コレアに敗れたバナナ王のアルバロ・ノボアの党であるPRIANの憲法制定議会議席数は五%を超えないだろう。伝統的な右翼の支柱であるキリスト教社会党は壊滅した。前大統領ルシオ・グチエレスは、かろうじて十五〜十八議席を確保した。これは彼らにとって驚きであった。なぜなら、世論調査では、コレアを支持する候補者たちへの支持率はもっと控えめだったからである。
 しかし、メディアの用心深い変化は、依然として限られており、ラファエル・コレアや彼の党の指導者がテレビに登場する時間は非常に短い。大統領は毎週土曜日にラジオで演説している。さまざまな独立ラジオ放送やコミュニティ・ラジオが彼の演説を生放送している。公共ラジオや公共テレビ・チャンネルの放送が、まもなく始まる予定である。

銀行の利率など
の全面的見直し

 私は二日前にアルベルト・アコスタに会ったが、彼によれば、新しい憲法制定議会は非常に忙しいスケジュールに直面している。六カ月以内に新憲法草案を作成しなければならない。四十五日後には、提案された草案に対する国民投票をが行われる。二〇〇七年十二月と二〇〇八年は、民主的投票で大忙しになる。憲法の内容に関する国民投票があり、新しい議会と新しい大統領の選挙が行われるだろう。実際、ラファエル・コレアは、現在の大統領職を任期満了前に(通常の任期満了の2010年末のはるか前に)に終わらせ、それによって民衆の支持をさらに強化し、新憲法の条件の下で大統領の仕事を開始することを望んでいると言われている。
 このシナリオが実現すると、エクアドル民主主義が軍事クーデターによってつぶされることがなければ、二〇〇八年末までに、エクアドルは新しい憲法、新しい議会(コレアの党は、現在の議会では多数派ではないが、多数派になることができると想定される)、そして新しく選ばれた大統領を持つことになる。これによって、徹底的な経済的社会的改革への道が開かれるであろう。
 経済学者アルベルト・アコスタは、債務帳消しキャンペーンの元指導者の一人であるが[原注1]、新しい憲法制定議会の議長になりそうである。彼は、テーマ別委員会と全体会議によって作業を進めることを提案するだろう。公的債務に関しては、彼は、国内および国外公的債務総合監査委員会(スペイン語でCAIC)を、憲法制定議会の経済委員会の会議に招請するつもりである。新しい憲法には、国家政府や地方当局が公的債務契約を結ぶことが許される条件の明確な定義や、不正な債務の支払拒否および債務返済に使用できる最大額の固定すること含まれる可能性がある。たとえば、憲法は、債務返済に充当する国家予算の部分が、教育および健康に割り当てられる額を超えることができないことを指定することができる。
 二〇〇七年九月三十日の選挙勝利の数日後、ラファエル・コレアの政府は、エクアドルで操業している石油会社が国家に支払わなければならない利益の比率の引き上げを発表した。これによって、十億ドルを超える追加収入が国家にもたらされるはずであり、これを社会的支出に充当することができる。
 この措置は民衆に高く評価されている。さらに、ラファエル・コレアの政府は、銀行が利率を引き下げることを要求している。利率は現在非常に高い。数カ月前、未だ右翼が多数を占めている議会は、利率引下げ法案を否決した。議会の人気はますます下がった。九月三十日後の世論調査によると、有権者の多数は、現在の議会が辞職し、憲法制定議会がこれに代わることに賛成している。

2007年に
南の銀行誕生

 住民は、ラファエル・コレアに多くのことを期待している。彼の急進的な演説は、ほとんどのエクアドル人に、根本的な変化が必要であること、そして大統領が明確な多数派になればそれが可能であることを確信させた。ラファエル・コレアは、国の公的債務返済に割り当てられる予算の部分を劇的に削減したいと考えている。同時に、社会的支出を増やしたいと考えている。彼は実際に、二〇〇八年に債務返済の一部を停止するだろうか。国が背負い込んでいる多くの不正な債務や不当な債務の支払いを拒否するだろうか。[原注2]これはまったく確かではなく、これには多くの理由がある。
 主要な理由の一つは、石油収入の増加によって、政府は負債を返済しながら社会的支出を徐々に増やすことができると考えていることである。上述のように、この政策を実施するために、政府は石油会社の収益から国家に支払わなければならない部分の比率の引き上げを決定し、国内および国外市場での借入によって古い債務の再編を行うことを決定した。後者の政策は、望ましいものではない。なぜなら、エクアドルやほとんどの発展途上国にのしかかっている危険を考慮に入れていないからである。
 すなわち、金利の上昇(新規借入の大きな部分は変動利率による銀行からの借入である)および石油やその他の原材料の市場価格の下落である。債務総合監査委員会(CAIC)は、不正な債務や不当な債務を明確に識別できるだろう。政府は、債権者との国際的緊張や国の経済の大きな部分を依然として支配している民間大企業との国内的緊張を避けるために債務の返済を続けるだろうか。本質的な論争が二〇〇八年に行われるだろう。ラファエル・コレアは、不当な債務に対する公平で主権を保った解決の道を選ぶだろうか。私たちはそれを望むが、確かではない。
 ラテンアメリカ地域統合については、二〇〇七年六月と発表されていた「南の銀行」の創設が、ブラジルの消極姿勢のために延期された。しかし、二〇〇七年十月九日および十日にリオデジャネイロで重要な閣僚会議が行われ、ここで一連の障害が取り除かれた。ブラジルとアルゼンチンの、一国一票制(エクアドルが提案し、二〇〇七年五月〜六月に承認された)を撤回させようとする試みにもかかわらず、この民主的規則に関して最終的に合意したようである。南の銀行の本社はベネズエラの首都カラカスに置かれ、二〇〇七年十一月三日に正常に誕生するはずである。
 社会的改革への道には、いっぱい落とし穴がある。過去数年間にラテンアメリカで複数の左翼大統領が、前任者の新自由主義政策と手を切ることを約束して選挙で勝利したが、実際に約束を守った者はほとんどいない。ラファエル・コレアが路線を変えず、民主的政策によって社会正義の実現に成功すると期待しよう。これまでのところ、彼の戦略は変革への民衆の支持を拡大し、励ましている。また、制度の民主的変革に必要な条件を整えている。米国に対する国の独立を強化し、ラテンアメリカの統合を進めている。すでに多くのことが行われた。
 エクアドル情勢を綿密に追求する必要がある。二〇〇七年十月十九日金曜日と二十日土曜日に、CADTMはブリュッセルにおいて、リカルド・パチノ大臣を団長とするエクアドルの代表団を迎える。リカルド・パチノ大臣は、債務の監査および南の銀行の創設を担当している。代表団は、金曜日と土曜日にベルギー上院で債務監査について演説する予定である(プログラム参照)。金曜夜には、ジャック・ブレル・ユースホステルで、「コレア政府が直面している挑戦課題と新しい憲法制定議会」と題する講演が行われる。
(クリスチーヌ・パノゥルおよびエリザベス・アンによる英訳からの重訳)
▲ エリック・トゥーサンは、第三世界債務帳消し委員会(CADTM)の代表である。
原注
[1] アルベルト・アコスタは、債務に関するいくつかの著書があり、百以上の記事を執筆している。二〇〇三年にはCADTMがブリュッセルにおいて開催したラテンアメリカにおける現在の変化に関するセミナーに参加した。
[2] 『Les Crimes de la dette』(CADTM-Syllepse, Liege-Paris, 2007)のエクアドルの債務に関する章
「Ecuador at the cross-roads」を参照。これは
www.cadtm.org(英語版http://www.catdm.org/spip.php?article2767)でも入手可能。
(インターナショナルビューポイント07年10月号)


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