| “あなたたちは孤立していない” かけはし2007.11.5号 |
ビルマ民主化運動と連帯し
日本のODA政策見直しを |
緊急集会「ビルマ軍政と日本」
軍政による弾圧継続許すな
日本の政策転換が必要だ |
少数民族への
「民族浄化」政策
十月二十八日、東京・永田町の星陵会館で「緊急集会 ビルマ(ミャンマー)軍政と日本−日本外交を動かそう」が開催され、在日ビルマ人と日本の労働者、市民約四百人が参加した。
ビルマ(ミャンマー)軍事政権による民主化要求デモへの血の弾圧から一カ月。日本人フリージャーナリスト・長井健司さん殺害という事態によって日本でもビルマ情勢に人々の関心が向くようになった。この日の集会は、今回のビルマでの民主化運動の意義を確認することはもちろん、ODAなどを通じて長年ビルマ軍政を支え続けてきた日本政府のあり方を今こそ変えていこう、と提起するものだった。
集会の冒頭、ビルマと日本の僧侶によって今回のデモで犠牲になった僧侶や学生、市民を追悼する読経が行われた。続いて長井さんの所属していたAPF通信社の山路徹社長からのメッセージが読み上げられ、長井さんの殺害について現在、APF独自の検証作業を行っていることが明らかにされた。
写真家・山本宗輔さんの解説でビルマ民主化運動の歴史についてのビデオが上映されたあと、軍政による迫害と弾圧を逃れて現在日本で闘っている四人が登壇し、それぞれの立場から自身の生々しい体験を語った。このうち、カレン民族出身のノー・エー・ムーさんからはビルマ軍政による少数民族への`民族浄化aについての報告があった。カレン民族だけではなくビルマの少数民族の人々は軍隊による略奪や暴行、また女性はレイプの脅威に日常的にさらされている。それだけではなく、ゲリラ掃討の際にはポーター(山岳部での道案内、物資輸送)を軍に強制される。なかには地雷原を先頭で歩かされることもあるという。「これは私たちカレン民族だけではなく、ビルマ全域の少数民族が味あわされている苦難だと思う」とノーさんは語った。ラカイン族出身のラー・エマオンさんからは日本の入管制度によって難民認定されず本国への強制送還という危機にさらされ続けている在日ビルマ人の実際と日本の政治難民の認定をもっと増やして欲しいという訴えがあった。
「制裁」は民衆への
モラル・サポート
休憩を挟んで、ビルマ国内から届いた肉声のメッセージが紹介された。現役の学生からは、「今回の弾圧によって軍政がいかに残虐であるか世界にも分かったかと思う。このまま軍政を放置すればさらに酷いことになるだろう。そうならないために日本の皆さんにも支援を訴える。また軍政に大きな支援を行っている中国政府に抗議するために北京オリンピックをボイコットすることを訴える」というアピールがあった。
集会の最初から参加していた社民党党首の福島みずほ氏の発言があり、さらに超党派の国会議員による「ミャンマーの民主化を支援する議員連盟」からのメッセージが紹介されたあと、根本敬氏(上智大学教授、ビルマ市民フォーラム運営委員)から最新のビルマ情勢についての解説と軍政に対する「制裁」の問題について提起があった。
「九月のデモは十九年間のビルマの人々の思い……軍政への怒り、民主主義への意思、そしてスー・チーさんへの期待……そうしたものをビルマの人たちが失っていなかったということを示していると思う。僧侶のデモに触発されて多くの市民がデモに加わったと報道されているがそれだけではない。スー・チーさんと僧侶たちが面会したことで僧侶のデモが民主化という課題をもつものと認識され、それが大規模なデモにつながったのだと思う。財産や家族も持たない僧侶らにとって失うものは自分の命だけだった。学生や市民が動けないなかで`もう自分たちしかいないaという使命感に燃えたのだろう」。
「制裁はすぐに軍政に効果があるわけではない。ここに甘い期待を持ってはいけない。しかし、重要なのはビルマの人たちにとって世界が自分たちを見捨てていないというメッセージ、モラルサポートにはなるという点だ。勘違いしないで欲しいのは私は決してすべての援助やODAが必要ない、といっているのではない。人道援助のひとつひとつには確かに意味があるだろう。だが、ビルマは国家体制そのものが崩壊しているわけではなく、国家資源の配分をビルマ政府が変えることで今行われている人道援助についても自力で行えるのではないか?海外からの援助によってビルマ軍政は保健衛生分野に予算を割く必要がなく、その分を軍事費に充ててしまっている。人道援助を行うだけではなく民主化に向けた軍政への`説得aもしなければならない」。
「現在の日本の対ビルマ援助のあり方を中国、ロシアもふくんだ国際的枠組みによって再構築していく必要がある。その中で軍政に一%でも軍事費を削らせていく努力が必要だと考えている」。
集会の最後に、@ビルマ軍政による民主化運動弾圧の即時中止A日本の対ビルマODAの根本的見直し B難民への人道的援助の開始、の3点を要求する声明案が参加者によって確認、採択された。
ビルマの民主化運動は一見、終息したかのように見える。しかし、ビルマ軍政当局による不当な逮捕や殺害、そして少数民族への`浄化aは現在も続いているのであり、日本をはじめ世界各地でビルマの人々による闘いは続いている。その中の何人かは確実に本国への強制送還、あるいは帰国後の弾圧の危険を冒しているのだ。ビルマの問題はODAに象徴されるように戦後日本のアジア諸国への開発援助と経済侵略の問題を含んでおり、いわゆる「反グローバリズム」の実践の課題でもある。
左派にとってなにより肝心なのは命をかけて自由と権利をもとめる多くの人々に対する率直な敬意と連帯の意志をどこまで表明出来るのか、という点である。民主主義の内実は日々闘いとらなければ空疎なままである、ということはビルマの民衆にとってだけの話だろうか?われわれの`グローバルな闘いaなるものの真価が問われている。
〈半田しのぶ〉
郵政民営化監視市民ネット
「民営化直前!公共サービスを壊させない」シンポ
九月二十九日、郵政民営化を監視する市民ネットワーク(以下、監視ネット)の第三回総会とシンポジウム「民営化直前! 公共サービスを壊させない」が開かれた。民営化を直前に控えたなかでの開催ということもあり、関心を持つ労働者や市民、七十人が参加した。
冒頭、監視ネットが作成したビデオニュースを放映した。二〇〇五年秋に郵政民営化法が通過したのちも、郵便局内の労働者と協力しながら、民営化がもたらす被害や地域への影響などについて独自の観点から情報を発信してきた。ビデオでは、集配事業が統合され、局員が十一人から三人に減少してしまった郵便局のある檜原村への取材などが放映された。
続いて、監視ネット事務局で郵政労働者ユニオン副委員長の棣棠浄さんから、民営化前に集約された郵便集配業務の問題点が提起された。「民営化を待たずして、地方が切り捨てられた。民営化後の郵便局の全国ネットワーク維持は困難だろう。民営化はどこでもうまくいっていない。与党大敗の参院選後状況のなかで、再度、民営化の見直しを訴えていく」。
続いて監視ネット事務局の秋本陽子さん(ATTACジャパン首都圏)から「新自由主義が押し付ける困難は世界中で共通している。そのほころびに人々は気付きはじめている。公共サービスの再建を粘り強く訴えていく」と呼びかけがあった。
さまざまな分野
からの現状報告
シンポジウムでは、公共サービスに携わる労働者や利用者の立場から、民営化の問題が提起された。パネラーは電通労組の日野正美さん、
大田区職の藤村妙子さん 檜原村議の丸山美子さん、元4・28原告で赤羽郵便局員の池田実さん、国労高崎の原田繁彦さん、東京都の清掃トラックの労働者でつくる公共サービス清掃労組の河津竜司さん、全水道・東水労の村上彰一さん、練馬保育園裁判原告の宮下智行さんと、多彩な顔ぶれだ。
「民営化ときいてなにを思い起こしますか」との問いには、「切捨て」「シャボン玉(中身がなくいずれ弾ける)」「儲けの手段」など、当然にも厳しい回答が飛び出す。
一方「民営化のいいところは?」の質問には、「スト権」と電通労組の日野さんが常日頃の活動を踏まえた回答。国労高崎の原田さんは、「仏様」とひねった回答。「それまで国労は肩で風を切ってきた。だが民営化され、徹底的に叩かれた。一から労働組合運動を考えるきっかけになった」と厳しい情勢をポジティブに語った。大田区職の藤村さん。「民営化の脅威にさらされることで公務員も民間や不安定雇用労働者の大変さが少しでも分かるきっかけになる」。
「民営化の悪いところ」では、公共サービス清掃労組の河津さんから「監視能力の低下」が上げられた。「新規人員は派遣など不安定雇用の労働者を補充する。このまえも、作業に不慣れな職員がトラックの上から落ちてなくなった」という悲惨な実態が報告された。宮下さんは「民営化された保育園では、保育士さんも大変な状況。どんどん辞めていく」と保育園民営化の実態を報告。
「公共サービスをとりもどすには」という最後の問いに、東水労の村上さんは「地域コミュニティの人たちへ訴え、いっしょに取り組むこと」と水の安全を維持する取り組みを紹介。
国労高崎の原田さんは、無人化にともなう自動券売機導入の実地調査で訪れた際に「労働組合は、地域の問題とかにも取り組むんですか」と驚かれたエピソードを紹介し、「組合が地域に出て行き、また地域の住民にもさまざまな業務に携わってもらうことが需要だ」と訴えた。
檜原村義の丸山さんは「地域とそこで生活する人の多様性を生かしていくという考えがなければならない」と、山村の実情にあった公共サービスの必要性を訴えた。
池田実さんは「これまでの親方日の丸的な姿勢を改めること。労働者が職場の一番大変な仲間を守り、そして利用者とともに、公共サービスを良くして行かなければならない」と発言を締めくくった。
続いて、檜原村議の田倉榮さんから、民営化後の地方切捨てを許さず、しっかりとサービスを守らせる取り組みを、地域から継続したい、とアピール。
フランスのSUD―PTT労組のエルワン・ケレンさんは、フランスでの公共サービスを守るたたかいを紹介し、国境を越えて連帯しよう、と連帯のあいさつを行った。
最後に、監視ネット事務局の栗原康さんが「今後も郵政民営化の問題点を提起し、郵便局内の労働者と繋がり、人が人らしく生きることのできる職場と地域を取り戻す取り組みを継続したい」と訴えた。 (H)
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