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                           かけはし2007.10.29号

「素晴らしい好機と大きな危険」

革命を内部から脅かす悪弊や危険に対して闘うことが必要
                         スチュワート・パイパー


革命的活動家が
カラカスに結集

 「素晴らしい好機と大きな危険」――これは、ベネズエラのボリバール主義革命が直面する現在の情勢に関して、チャベス大統領に最も近い顧問の一人が要約的に説明した言葉である。
 ベネズエラならびにそれ以外の地域における「二十一世紀の社会主義」の挑戦について討論するために、第四インターナショナルがこの八月にカラカスで組織したセミナーの場で、ハイマン・エル・トロウディがそのように提起した。この会議には、ベネズエラの革命的左派の広範な潮流や個人とともに、ラテンアメリカや欧州諸国から数十人の革命家が結集した。
 このセミナーは、政府後援のシンクタンクであるミランダ国際センターで開催された。二〇〇五年にはチャベスの首席スタッフだったハイマンは、現在はこのシンクタンクで「二十一世紀の社会主義」のプログラムに関する研究・調査を主宰している。異なった経験とアプローチや分析にもかかわらず、出席したベネズエラの人びとのほぼすべてが、現在の挑戦についてハイマンと同様の評価を行った。

ボリバール主義
革命の二面性

 労組指導者で「マレア・ソシアリスタ」誌の編集者でもあるスターリン・ペレスは、石油企業とともに、新たに国有化された通信、電力部門での深刻な問題について指摘した。そこでは、労働者の意見が聞かれず、労働者による管理も大きく後退し、集団協約も更新されていない。しかし彼は、形成されつつあるPSUV(統一社会主義党)の中での新しい社会主義的前衛を建設する巨大な可能性についても強調した。
 これまでALCASAアルミニウム工場の労働者管理で、最も野心的な実験を主導してきた「プロエクト・ヌエストロ・アメリカ」のカルロス・ランスは、「ボリバール主義的エントロピー」、すなわち「復古主義的反革命」をもたらす可能性のあるエネルギーの分散の危険性を分析した。
 分割された「プロエクト・ヌエストロ・アメリカ」の他の二つの翼に属するロランド・デニスとリカルド・ナヴァロも、一九九九年憲法に含まれていた当初のボリバール主義プロジェクト内の諸矛盾が、いまや危機的段階にさしかかっていると述べた。エスキエル・サモラ全国農民戦線のシモン・ウスカテギは、異例の二重権力について述べ、それは今や左に行くか、右に行くかしかない、と語った。
 「社会主義再建」(第四インターナショナル・エクアドル支部)のマルガリータ・アギナガは、戦闘的なフェミニズムの顔を持つ社会主義への新しいプロジェクトについて生き生きと語った。そして彼女は、自分の国エクアドルとベネズエラの双方での革命的プロセスが直面する異なった種類の矛盾についても指摘した。それは例えば、エクアドルの先住民運動や、ベネズエラの居住地域の動員の中で、闘争の草の根レベルにおいて女性が果たしている卓越した役割と、政治指導部の中で女性たちがまったく周辺化されていることとの間の矛盾である。
 それは第四インターナショナルの出席者たちが痛切に感じたテーマだった。とりわけ、ラテンアメリカの九カ国から参加した十四人のうち九人が女性であり、その多くがフェミニストの闘争を中心に政治活動に引き入れられた若い世代だったからである。

コミュニティ評議
会と地域政府権力

 ベネズエラの参加者の多くが言及した、ボリバール主義革命のこの時期における積極的可能性の生きた実例を見いだすのは難しいことではなかった。西部の都市カロアへの訪問は、地域評議会を通したいわゆる「民衆権力の爆発」が、どこまで進んだかを実感させた。社会主義への移行のための第五のそして最も重要なモーターとチャベスが呼ぶこうした評議会は、二百あるいはそれ以上の家族を結集する民衆権力の地域的機関である。こうした地域評議会は、昨年十二月のチャベス再選以後、全国数千のコミュニティーで登場した。
 ほとんどの場合、評議会の討論の広がりやその権力の範囲は、きわめて当面の、そしてきわめて地域的な決定に限られている。彼らは、コミュニテイーの緊急の必要が何であるかを合意し、それに向けたプロジェクトを作成し、その執行を監督する。こうしたプロジェクトは、通常、中央政府がそれぞれに供与する約一万ドルから一万五千ドルの資金で賄われる。したがって、必ずしもコミュニティー評議会は現存する地域州の権力の多くを浸食するものではない。
 現在ベネズエラで討論されている憲法改正は、地域政府予算の少なくとも五%をコミュニテイー評議会に引き渡すべき条項など、より多くの権力をこうしたコミュニティー評議会に与えるべき、としている。しかしカロアの地域政府は、参加型予算を通じて民衆権力の機関に投資予算の一〇〇%の管理を引き渡し、すでにさらに先へと進んでいる。
 カロアはこれまでのところささやかな例外であり、依然として優位を占めている古いブルジョワ国家を置き換えて、新しい種類の「共同体的国家」の建設に明確に関与する、ベネズエラにおける地域行政の数少ない一例である。しかしそれは完全に孤立しているわけではない。
 きわめて戦闘的な若い女性が市長になっている工業都市ラ・ビクトリアへの訪問は、地域政府のすべての社会サービス部門とその予算が、どれほど市役所から離れ、コミュニティー評議会の地域ネットワークの管理の下に委ねられているかを示すものだった。

労働者管理に
対して破壊行為

 しかしそこからほんの三十分ほどのマラカイへの訪問は、ハイマン・エル・トロウディなどが言及した危険性を容易に理解させるものだった。九カ月の占拠の後、「サニタリオス・デ・マラカイ」バスルーム工場の労働者管理の模範的な経験は、クーデターのような外観を取った措置によってひっくり返された。
 労働者の一部は、材料の枯渇、これまでの顧客との切断、そして銀行債務の負担によって自信を失い始めていた。労働相は、占拠を止め、工場を不在となった所有者に返還する代わりに未払い賃金を支払うなどの取引を提案した。こうして、占拠を支持しなかったホワイトカラーの経営スタッフとの電撃的集会の開催を助け、占拠を指導してきた工場委員会を放り出そうとしているのだ。
 まさにそれは、これまで生じた中で最もラディカルな共同経営あるいは労働者管理の経験の中で、ボリバール主義政権による、最善でも無関心、最悪の場合はあからさまな破壊行為として現れた、最近の最も劇的な事例だった。
 一カ月前、「サニタリオス」の一部の労働者は、ボリバール主義革命左派の実質的な拠点となったオルタナティブ・ニュース・ウェブサイトである「アポレア」の記念日の共同祝賀行事のためにカロアを訪れた。「アポレア」の創立者で、「マレア・クラシスタ・イ・ソシアリスタ」誌の編集人の一人であるゴンサロ・ゴメスは、カラカスで行われたセミナーでの発言で、このことを、プロセスを前進させる上で最大の好機がそこに存在する諸闘争の結合、と正確に指摘した。しかし、不名誉なことに自称トロツキストの労相ホセ・ラモン・リベラなど、一部のボリバール主義指導部は、そうしたことが起きるのを望んでいないことは明らかである。
 われわれの会合に参加したベネズエラ人参加者の何人かは、ボリバール主義革命の国際的支援者による興奮には、デリケートなバランスが必要だと指摘した。実現された成果と類例のない潜在的可能性をもって進行中の新しい闘争を擁護し、精力的に防衛するとともに、ベネズエラの革命家たちが語るよりもさらに明確に、革命を内部から脅かす悪弊や危険に対しても発言することを、同時に行うべきなのである。

 スチュワート・パイパーはベネズエラとラテンアメリカ担当の「インターナショナルビューポイント」通信員。

(「インターナショナルビューポイント」07年9月号)




モロッコ
青年たちは海外への脱出か非合法移民
議会選挙から変化は期待できない
「アル・ムナディラ〔戦士〕」(第四インターナショナル・モロッコ支部)


 九月七日、北アフリカのモロッコで下院選挙(定数325)が行われ、保守系のイスティクラール党が五十二議席を獲得して第一党となった。躍進を予測されていたイスラム憲政党の正義発展党は前回より五議席増やしたが四十七議席にとどまった。以下、選挙にあたっての第四インターナショナル・モロッコ支部の声明である。(本紙編集部)

独裁を補完する
ための議会選挙

 われわれは、二〇〇七年九月七日にモロッコで行われる議会選挙からいかなる変化も期待しない。モロッコの変化は、抑圧され、搾取された人びとの民衆闘争を通じて到来する。
 メディアやさまざまな会合は、この選挙は全モロッコの諸問題を解決する新しい議会と政府を作りだすだろうという言説を伝えている。彼らは、幾千幾万もの雇用、高い成長率、地方の周辺化と排除を終わらせる、女性の解放など、この選挙で競い合っているさまざまな政党の政綱を伝えている。こうした不誠実な言説を、一九七七年の選挙以来三十年にわたって聞かされてきた。
 実際それ以後、われわれが見てきたのは緊縮政策の強化だけではない。それは巨大国際金融機関が押しつけた債務と構造調整の政策を通じて、モロッコの未来を抵当に入れてきた。こうした政策は、大資本家と腐敗した大略奪者の利益になっただけである。彼らは、毎日その貧困をつのらせてきた巨大な数の住民を犠牲にして、公共基金を浪費し、流用してきたのである。
 こうした政策がもたらした結果は公共セクター、医療や教育の解体であり、他方、民営化は、失業、超搾取、不安定、貧困を生み出しただけだった。その中で民衆の自由は、依然として抑圧されている。さまざまな都市や農村のすべての民衆決起をつぶした多くの弾圧は今日でも続いており、タズママートのような邪悪な監獄が、これらの政策に反対して決起したすべての人びとにつきまとい続けている。
 新しい選挙キャンペーンのたびごとにわれわれは、絶え間なく悪化している生活条件の改善についての奇跡のようなスローガンを聞かされている。
 モロッコはこの三十年間の議会制民主主義を経て、最小限の社会的インフラを破壊し、青年たちの数は減少した。青年たちは最後の頼みの綱として海外への脱出か非合法移民にすがるしかない。彼らのすべての約束は、青年世代の希望を打ち壊しただけである。
 投票箱から生み出されるだろう、この議会とエセ民主主義的制度は、不正に満ちた国民投票によって与えられた憲法から発している。この憲法はすべての権力を一人の人間に集中している。この民主主義は民衆へ権力の授与とはまったく異なり、事実上の絶対権力にすぎず、全くの独裁である。
 この議会は、われわれの富と天然資源の略奪を追い求める国際資本の利益のために行動する少数の階層が決定する、反民衆的政策の適用のために奉仕する民主主義的仮面にすぎない。現実には、選挙で競い合った数多くの政党は、指示された新自由主義政策を適用する単一政党の声となるにすぎないだろう。したがってモロッコの形式上の独立、その「民主主義的プロセス」あるいは「民主主義的交替」は、少数派の支配を補強する役割を果たすだけである。
 変革は議会からは訪れない。それは労働者、貧農、すべての被抑圧者が数十年にわたって追求してきた民衆闘争を通じてなされるだろう。

変革のための
われわれの課題


 真の変革のためのわれわれの課題は何か。
b労働者と民衆の闘いの結集・統一を発展させること。
b全国的・国際的連帯のネットワークを拡大すること。
b闘いへの希望を復活し、変革への希望を再生すること。
b労働組合、青年、女性、被抑圧・被搾取者を通じて闘いの手段を強化すること。
b革命党の建設の中で戦闘的勢力を結集すること。

 すべての被抑圧者にとっての最終的目標は、自らの自主的組織化を経た社会的・経済的に民主主義的な権力を築き上げるために帝国主義への従属からの解放を勝ち取ることである。それは資本主義との完全な決別ぬきにはできない。
 革命党だけがこの課題を達成することができる。
 選挙は、ブルジョア民主主義の脈絡の中で、勤労民衆が自らの階級的利害に関して広範な意識を喚起するための手段にすぎない。真の変革は、自らの要求をめぐって職場、居住地域、そして街頭でなしとげられる。
b債務の帳消し。世界銀行、IMF、WTOなどの国際的金融機関との決別。
b米国、EUとの自由貿易協定の破棄。
bわれわれのエコロジー的環境を保護しつつ、物資や資源の公正な再分配のための民衆の利益に沿った真の経済的・社会的政策。
b資本の利益のためではなく民衆の利益のための、経済的・社会的生活全体の広範な民主化。

「もう一つの
モロッコ」を


 われわれの主要な要求は依然として、民衆の熱望に奉仕する「もう一つのモロッコ」を再建しうる民主主義的憲法をめざす、憲法制定議会である。
 被抑圧者の解放は、被抑圧者自身の仕事である。われわれの解放は、大衆の民主主義的闘争と社会運動の組織化を通じて、また若い世代が反官僚主義的・反資本主義的・社会主義的・国際主義的基盤の上に、もう一つの方法で新しい社会を組織化するための新しい息吹を与える革命党の建設を通じてなしとげられるだろう。
 2007年8月29日
(「インターナショナルビューポイント」07年9月号)


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