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洋上給油                       かけはし2007.10.29号

新「テロ特措法案」を廃案へ

イラク侵略への転用は明らかだ
これ以上戦争の御先棒をかつぐな


国会への事後
報告すら削除

 十月十七日、福田内閣は夜の閣議で十一月一日に期限が切れる「テロ特措法」にかわる「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案」(略称:補給支援活動特措法案)を閣議決定した。この法案は、現行の「テロ特措法」による自衛隊のインド洋での米軍などへの給油作戦を、あらゆる疑問・批判に答えることのないまま継続しようとするものであり、従来の法案になんらかの「修正」が施されているわけではない。以下、法案の特徴を、これまでの「テロ特措法」と比較して列挙してみよう。
 第一は、自衛隊の補給活動の内容は「給油・給水」に限り、補給対象をインド洋(アラビア海、ペルシャ湾)での「海上阻止活動に参加する艦船」に限定したことである。しかし当初語られていた他国の補給艦への給油をはずすという方針は否定された。これは「テロ特措法に違反して、イラク作戦に参加する米艦に転用されている」という米軍公式資料に基づく批判を完全に無視したものであり、「間接給油(オイル・ロンダリング)」も勝手ということになる。
 第二は、現行の「テロ特措法」にはまがりなりにも盛り込まれていた国会への「事後報告」による承認すら削除されたことである。町村外相は「基本計画の内容を法律に盛り込むのだから、法律が通ればそれが国会承認だ」と詭弁を弄している(「朝日」10月18日) 。
 だが従来、「基本計画」に含まれていた自衛隊の派遣規模、部隊編成、護衛艦の隻数などの「装備」や、詳細な「活動区域の指定」は新法案から外されている。これらの具体的な内容は、国会承認の必要のない「実施計画」の中に組み入れられることになった。これは自衛隊による「海上阻止活動支援」の中身を、国会でチェックするという「形式」すら排除するものであり、すべてを「部隊運用上の軍事機密」のベールに隠してしまうものだ。
 第三は、法案の第一条(目的)の項に、「国連安保理決議1776に踏まえ」文言が新たに付加されたことである。さる9月19日の「国連安保理決議1776」とは、ISAF(アフガニスタン国際治安支援部隊)の活動を1年間延長することを決めたものであるが、その前文に自衛隊の海上給油活動に「感謝」する趣旨が、日米両国の執拗なロビー活動によって挿入されたことを金科玉条のように取り扱っている。
 しかし言うまでもなくISAFの活動は海上自衛隊の多国籍軍に対する海上補給作戦とは何の関係もない。しかも、ロシアが強い異論を述べて棄権したというしろものである。「国連安保理決議1776」は、決して、国連決議とは何の関係もない「不朽の自由」作戦に対する日本の「支援」の権威づけとはならない。
 第四は、この新特措法の期間が公明党の要求によって一年間に短縮されたことである。しかし、それは逆に「特措法」ではなく「恒常的派兵法」を作成する強力な圧力となることが予想される。現に石破防衛相は「慌てて特措法を作るのは今回でおしまいにしたい」と述べ、恒常的派兵法案を準備する必要性を主張している。

情報を隠ぺい
する日本政府

 この新テロ特措法案に対して、民主党をはじめとする野党は与党からの「修正協議」の申し入れをはねのけ、自衛隊の活動に対する詳細な情報提供を求めている。しかし政府は米軍さえも「情報公開請求」に応じて開示している「航海日誌」などの公開に応じていない。
 米国防総省は、「オイルロンダリング」問題で追い詰められ弁明に四苦八苦している福田内閣を救済すべく、十月十八日に「声明」を発表し、「米国政府は『不朽の自由作戦』(OEF)に参加する艦船だけに油を供給するとした、日本政府との合意に忠実に従ったと信じる」との立場を発表した。そして「OEFで消費した油の量は、日本が提供した油の量を上回っている」のだから「日本が提供した油はすべて、OEFに参加した艦船によって消費されたと説明できる」としている。だがOEFでの油の消費量は日本が提供した油の量を上回っているから、日本の提供した油はすべてアフガンOEFに使われたと「信じる」などというのは理屈にも何にもなっていない。
 しかもこの米国防総省の発表には、「油の使途をたどることは複雑な作業だ」という前提がついている。すなわち@海上自衛隊から提供された油は別のタンクに貯蔵されるわけではないA他の補給艦を経由した場合にはさらに複雑になるB米海軍の艦船は複数の任務を帯びることもある、というものだ。
 米政府はなぜ「日本政府との合意に忠実に従った」と「信じる」などと言えるのか。「信じる」ではなく、ゴチャゴチャ言わずに「信じろ」というのが本当のところだろう。これでは海上自衛隊が提供した油をイラク作戦に転用したことの自白に等しいではないか。
 福田政権と自民党は、この説明で十分としている。もはや彼らは疑問・批判に答える必要などない、と居直るしかないのだ。

10・17WPNが
官邸前で抗議

 十月十七日、WORLD PEACE NOWは、「補給支援活動特措法案」の閣議決定に抗議して、午後五時半から衆院議面集会を行った。集会では民主党の佐々木隆博衆院議員と社民党の保坂展人衆院議員があいさつし、川田龍平参院議員からのメッセージが紹介された。平和フォーラム、キリスト者平和ネット、ふぇみん婦人民主クラブからの発言に続き、米軍艦載機の厚木から岩国への移転を拒否している井原・岩国市長への政府の圧力をめぐって緊迫する状況を、田村順玄・岩国市議が報告した。さらに十月二十三日の「国会ヒューマンチェーン」への結集が呼びかけられた。
 その後首相官邸前でキャンドルに灯をともし、横断幕やメッセージボードを掲げて、「補給支援活動特措法案」閣議決定に反対し、インド洋からの即時撤退を求める行動が五十人の参加で行われた。
 十一月一日の期限切れまでに新法案を成立させることは不可能だ。しかし福田内閣は、十一月十日までの臨時国会会期を延長し、あわよくば十一月中に成立させようと、なりふりかまわぬ動きを策している。
 少しでも気を緩めることはできない。労働者・市民の連続的な国会行動こそが「補給支援特措法案」を廃案に追い込む力であり、民主党の妥協に歯止めをかけることができる。そのためにもアフガニスタンやイラクでの戦争の実態を明らかにし、小沢民主党代表の「自衛隊ISAF派遣論」(本紙前号参照)をきっぱりと批判していくことが必要なのである。
 戦争をやめろ! 占領をやめろ! 自衛隊は即時インド洋とイラクから撤退せよ!の訴えを、今こそ広めよう。       (K)



戦争あかん!基地いらん

沖縄・グアムの人びとと
連帯して関西のつどい


 【大阪】十月十四日大阪城野外音楽堂を会場にした、「戦争あかん!基地いらん!07関西のつどい」が在日韓国青年同盟による音楽と踊りのオープニングで始まった。
 実行委員会(呼びかけ団体:おおさかユニオンネットワーク、大阪東南フォーラム平和・人権・環境、沖縄とともに基地撤去をめざす関西連絡会、しないさせない戦争協力関西ネットワーク、日朝日韓連帯大阪連絡会議、南大阪平和人権連帯会議)を代表して、加来洋八郎さんが六団体を紹介し、九月二十九日の沖縄の島ぐるみ大会に連動した闘いを訴え、インド洋での給油活動の継続の動きを批判、国連決議があればよいという立場に与しない、大阪らしい取り組みをやっていこうと訴えた。

チャモロネー
ションの訴え

 続いて、グアムから招待したチャモロネーションの紹介があった。グアムの人種構成はチャモロ人が人口の三七%、フィリピン人二六%、その他アジアの国の人々二二%、ミクロネシアからの人々八%、アメリカ人七%。その中で、チャモロネイションはアメリカからの自主独立・民族の自決を掲げ解放・基地反対の運動を展開している団体である。
チャモロネーションの報告をキナタさんが行った。
 チャモロ人はもともとこの島の先住民で、四千年前から住んでいた。互恵の立場で周辺と物を交換したり共有して生活してきた。西洋人が初めて入ってきたのは一五二一年のこと、そして一六一六年スペインの統治が始まった。その後米西戦争でスペインが負け、米国による統治に変わり、太平洋戦争中日本軍が占領、米軍と通じているとの理由で日本軍は住民を連行して殺害したりレイプしたりした。
 一九四四年再び米軍が奪還し、一九五〇年に成立したグアム基本法で自治的未編入地域という位置づけになった。独自の議会を持つが、米国の大統領選挙の選挙権はなく、アメリカ連邦議会はグアムの同意を得ずにグアムの法律を制定できる。チャモロネーションは、一九九一年、グアムの解放記念日(米軍が日本軍の占領から「解放」した7月21日)に設立された。彼らは、この日を「グアム再占領の日」と呼んでいる。
伝統は無視され米国流の生活スタイルに変えられた。現在六隻の原潜が配備され、兵器庫があり軍事演習が行われている。米軍再編で八千人の海兵隊をグアムに移転させることには反対し沖縄に連帯する。移転の費用を日本の税金から出すことにも反対だ。アプラ湾は辺野古湾によく似ている。辺野古に基地が来るとジュゴンがいなくなり自然が破壊される。基地は米本土にもどるべきだ。
 キナタさんはそのように述べて報告を終えた。

辺野古に新基地
つくらせるな!

続いて、安次富浩さん(ヘリ基地反対協共同代表)が報告した。
十一万六千人の県民大会、これは今まで黙っていた人も、このままでは戦争につながっていくと危惧を感じて結集して実現した。政府は政治介入できないと責任を回避しているが、審議委員を選んだのは文科省だ。
 米軍再編は沖縄の負担軽減ではなくその逆だ。危険な普天間基地は即刻閉鎖すべきだ。米本国では閉鎖されているのだ。政府は辺野古沖、辺野古湾で事前調査を強行。掃海母艦ぶんご、大型巡視艇四隻、ゴムボート二十隻を動員し、環境アセスメント法違反の調査をやっている。これは第四の琉球処分だ。ジュゴンは住んでいないと言うために。
 しかし、サンフランシスコ地裁でのジュゴン裁判は勝利の可能性が出てきた。日本のマスコミは米軍再編を検証すべきだ。抵抗しないと戦前に帰って行く。われわれは海兵隊をグアムに移転せよと言ったことはない。グアム・韓国と連帯し、アジアから米軍基地を追放する。
 ここで、韓国平澤汎国民対策委員会からのメッセージが紹介され、まーちゃんバンドによる沖縄民謡とエイサーのライブ。参加者はしばしリラックス。

緊迫する岩国
の闘いに支援を

大川清さん(岩国の住民投票の成果を活かす岩国市民の会)の報告が続いた。
 空母艦載機の岩国移駐が住民投票による反対で頓挫したため、岩国市の市庁舎建設にかかる政府の補助金が全面カットされた。しかしこれは以前から約束されていたもの。滑走路の沖合移設のための埋め立てに、愛宕山を半分の高さになるほど削り、その後には住宅を建設するという案を泣く泣くのんだことが始まりだった。
 バブルがはじけて二百五十億円の赤字が発生。ここに、米軍住宅をという話が浮上してきた。住民投票では移駐に反対した市会議員も今は容認派に変容し、市長の問責決議をする始末。国からも県からもいじめられているが、命と平和は金では買えない。圧力に屈せず闘っていく。大川さんは、岩国を孤立させないでほしいと訴えた。

自衛隊を直ちに
撤退させよう

報告の最後に辻元清美衆議院議員が、給油問題の報告をした。
参議院では与野党逆転したが、政治は本質的には変わっていない。テロ特措法は政局的に扱われていて、特に前半三年間の情報公開が焦点。燃料は海上阻止行動だけではなく、アフガン・イラク空爆にも使われていた。テロとの闘いなら何でもできる。それはそれで大問題だが、武力行使そのものが問題のはず。
 最後に辻元さんは、地元を支援する運動が必要、改憲手続き法が成立し、憲法審査会は設置されたがまだ開かれていない。でも、国会の中だけではダメだと、運動の広がりを訴えた。
この後、連帯のアピールがあった。来年五月六日大阪舞洲での9条世界会議の成功に向けて津村明子事務局長から。もうひとつは、集会の協賛団体である大阪平和人権センターの事務局長富永さん。与野党逆転の二〇〇七年体制がどのような意味を持つかの試金石が十一月期限切れのテロ特措法の問題だと言う富永さんは、国会決議があればそれでよいのか、あったとしても武力行使を伴う軍隊(自衛隊)の派遣には反対だ、と述べた。
集会まとめを中北龍太郎さんが行い、集会は千二百人の参加だったことを報告。教科書問題や給油問題による戦争政策の破綻を運動に活かす、インド洋での給油を止めさせ、派兵ストップへの一歩を進める、大阪府議会に「軍の強制による集団自決」の復活決議の要請を行うことを提起し、十一月三日憲法集会への結集を呼びかけた。
集会後、全員で玉造筋を真田山までデモ行進をした。     (T・T)


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