| 石原知事が教育委員に竹花を任命 かけはし2007.9.17号 |
元治安担当副知事
石原都知事は、新たな都の教育委員として竹花豊(元警察庁生活安全局長、治安対策担当副知事)を任命することを決め、九月の定例都議会に提案する。竹花任命は、表向きは9月末で教育委員の任期満了となる鳥海巌(元丸紅社長)の後任としてであるが、竹花治安対策担当副知事だった(〇三年六月〜〇五年八月)手法を都教委において継承し、教育現場へより効果的に貫徹させることが最大の獲得目標だ。つまり、改悪教基法をバネとして新自由主義教育改革と新国家主義を両輪とした教育破壊とともに、「安心・安全なまちづくり」条例をフル回転させ統一的に推し進めていくことをねらっているのだ。
それは警察権力主導による学校幹部と地域防犯システムを動員した生徒・子どもたちに対する監視・統制強化であり、都教委の敵対勢力である「日の丸・君が代」強制に反対する教育労働者、地域市民運動、生徒による運動を圧殺し、排除することにある。中村教育長ら都教委による「日の丸・君が代」強制に反対する教職員への大量処分攻撃、差別・選別・管理教育の導入など数々の悪行に抗議するとともに、治安弾圧の推進者竹花の教育委員任命に反対していくことを呼びかける。
治安弾圧体制の一層の強化
なぜ竹花の教育委員就任が新たな教育の反動化へのステップとなってしまうのか。このことをはっきりさせなければならない。前提として小泉政権と石原都政においてどのように治安弾圧政策が展開されてきたのかを見ておこう。
9・11米同時多発テロ(〇一年九月十一日)以降、ブッシュ政権の対テロ戦争に小泉政権も積極的に参戦し、自衛隊派兵を強行するとともに国内治安弾圧を強化していった。警察庁は、「社会のグローバル化、IT化に伴い、国際テロ、北朝鮮に関わる問題、サイバー犯罪・サイバーテロ等新たな脅威に直面」しているという認識のもとに「緊急治安対策プログラム」(〇三年八月)をまとめた。
プログラムは、@犯罪抑止のための総合対策 A組織犯罪対策と来日外国人犯罪対策 B国際テロ対策とカウンターインテリジェンス(諜報事案対策) Cサイバー犯罪及びサイバーテロ対策 D監視強化のためのNシステム導入拡大、駐車違反摘発民間委託などの総合的な交通事故防止対策を打ち出した。とりわけ「テロ対策」「安全・安心まちづくり」では「生活安全条例」制定を通した自治体・学校・住民・警察が一体となった治安体制作りなどを強調し、その早期着手を掲げた。
小泉政権は、犯罪対策閣僚会議(〇三年九月)を行い、「治安の回復には、警察のパトロールや犯罪の取締りだけではなく、警察と関係機関、地域住民が連携した社会全体での取組が必要である」として警察のイニシアチブで「安心・安全まちづくり」のために警備会社、自治会・町内会の再組織化に乗り出していくことを確認した。これは戦時下における自主防犯活動を通した自警団=「民衆の警察化」作りであり、まさに戦前の「隣組」の再現であった。防犯協会を先頭に「生活安全条例」制定の取り組みを行わせ、「密告社会」「相互監視社会」へと地域社会を変質させていく動きを開始したのであった。
さらに政府・与党は、治安弾圧の強力な「武器」となる共謀罪新設法制定策動、日本人も対象にした監視・管理の強化となる出入国管理法改悪にも着手した。そして「テロの未然防止に関する行動計画」(〇四年十月)を策定し、日常的な防犯活動と連繋し「不審者・不審物」摘発など「テロ」対策を推進していくというものであった。この時期、公安警察による「微罪弾圧」も拡大し、立川反戦ビラ入れ弾圧事件などのビラ弾圧が増えていった。
同様に石原都政も、新自由主義政策に基づく規制緩和、民営化などの諸政策を打ち出し、同時に治安悪化に対して弾圧強化によって鎮圧していく手法を選択してきた。
教育の反動化の流れと連動
石原の一期目(一九九九〜〇三年)では防災管理体制作りをメインにして治安政策を展開し、二〇〇〇年に防災訓練「ビッグレスキュー二〇〇〇」を強行し、銀座に自衛隊の装甲車を走らせた。また、防災・防犯協会など地域動員システムの活用、自衛隊・自衛官OBの参加を増大させ、国民保護法制における「国民保護協議会」への転用もねらった。さらに「災害時の米軍活用」を強調し、〇一年に横田基地使用に踏み込み日米共同実践化の流れを作り出した。
二期目(〇三〜〇七年)の石原は、新たな警察戦略を先取りして「治安の維持こそ最大の都民福祉」などと叫び治安弾圧体制を強化していった。そのポイントが「安全・安心まちづくり条例」(〇三年七月)の制定だった。条例は、「地域社会における都民、事業者及びボランティアによる犯罪防止のための自主的な活動の推進並びに犯罪の防止に配慮した環境の整備」と規定し、警察主導で外国人を含めた「不審者」のあぶり出しと摘発、監視・通報の地域推進体制を作り上げ、さらに民間パトロールの実施、監視カメラ設置を拡大させていった。
石原は、この「安全・安心まちづくり条例」を梃子として都内治安弾圧体制の推進者として抜擢したのが竹花であった。竹花が広島県警本部長時代に武装機動隊を前面に押し出した暴力的交通取締りによって暴走族を壊滅させたことを絶賛し、ヘッドハンティングしたのだ。
竹花は忠実に石原の意図を代弁し、「東京都緊急治安対策本部」(〇三年八月)を立ち上げ、次々と治安対策を打ち出し、警察権力を突き動かした。
第一に法務省の入国管理体制の強化を受けて、差別・排外主義に満ちた外国人取締りと退去強制を繰り返していった。石原自身、「不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している」などと差別・排外主義煽動を行った。入管体制と外国人監視体制の強化はセットであった。
第二は、「安全・安心まちづくり条例」に基づいて町内会やボランティア団体を東京都安全・安心まちづくり協議会に組織し警察の手先として再編した。また、「安全安心アカデミー」を開講し「犯罪抑止運動」を展開した。とくにプライバシーと肖像権の侵害の防犯カメラ設置運動を取り組み、警察官僚らの天下り先であるセキュリティー業界との癒着を深めていった。
第三は、司法の厳罰主義化に貫かれた「少年非行防止法制のありかたについての提言」に基づいて青少年育成総合対策推進本部を設置し、生徒・子どもたちを力によって脅迫し、屈服させていくことをねらった。これは教基法改悪を射程にした「国家に忠実な人間作り」の実践であった。当然、都教委による「日の丸・君が代」強制、愛国心教育、ジェンダーフリーバッシング、「新たらしい歴史教科書をつくる会」教科書採択などの教育の反動化の流れと連動していた。
とりわけ問題なのが、学校と警察が生徒・子どもたちを監視し、情報を提供しあう「警察・学校相互連絡制度」を設置したことである。警視庁と都教委は、「児童・生徒の健全育成に関する警察と学校との相互連絡制度の協定書」(〇四年四月五日)に調印した。協定は、生徒・子どもたちの非行等問題行動をあげ、防犯の未然防止のために相互通報を密に行っていくことを明記している。適用は都立高校や都立養護学校等で開始し、小中学校への拡大をめざした。学校長は警察への情報提供・通報が多いほど評価され、また警察権力の指導に従順であることが評価されるという「教育活動の堕落」と無責任な姿に満ちていた。従来の「学校警察連絡協議会」の情報交換のレベルから、「非行等問題児童・生徒」の「予兆情報」の蓄積・追跡調査など治安対策に比重を置いたシステム作りとなっている。
要するに、生徒・子どもたちを「犯罪者予備軍」として監視・事前摘発を警察主導で強行し、その手先として学校を再編成していくことを目指したのである。「青少年の健全育成のためのサポートシステム」などと言っているが、その実態は憲法第一三条「個人の尊重」、子どもの権利条約第一六条「いかなる児童も,その私生活等に対して,不法に干渉されない権利を有する」に敵対する内容に貫かれている。
地域的スクラムで反撃を
このような石原・竹花合作による治安弾圧政策は、基本ラインとして確定し、三期目の石原政策でも貫徹しようとしている。都教委は、〇三年十月二十三日の「入学式・卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」通達以降、卒業式・入学式において国歌斉唱時不起立・伴奏拒否した教員たちを大量処分してきた。
同時に「日の丸・君が代」強制に反対するビラ配布行動に対して警視庁公安を動員した弾圧が吹き荒れた。都立板橋高校では卒業式で同校元教諭が「日の丸・君が代」強制を批判したコピーを配布したことに対して板橋高と都教委が、式を妨害したとして被害届を出し、元教諭が在宅起訴されるという事態まで発生した。一連の権力を動員した弾圧は、『日の丸・君が代』強制に反対する者を圧殺していく姿勢の現われであり、見せしめ的弾圧だった。
すでに日本経済団体連合会「これからの教育の方向性に関する提言」〇五年一月)において国家に忠実な子どもの育成を強調し、教職員の団結権、組合活動を否定し、日経連が望む教職員像に統合することを強調してきた。改悪教基法は、この提言を実現するための法的根拠を与える。とりわけ、第十三条の「学校、家庭、及び地域住民等の相互の連携協力」に基づいて警察権力の指導の下に治安的観点から学校や、家族、地域住民を組み込むことを主張している。都教委は、竹花を推進役として改悪教基法の貫徹を全国に先駆けて実践しようとしている。
安倍首相の直属で作った教育再生会議の第二次報告では、「学校に理不尽な要求をする親」を「モンスターペアレント」と規定し誇大キャンペーンを始め、警察官OB、地域ボスなどで構成する「学校問題解決支援チーム」を設置せよと提示した。つまり、「日の丸・君が代」強制や愛国心教育強化反対、憲法改悪反対を訴える親を「モンスターペアレント」として、排除せよと主張しているのだ。地域的スクラムによって、このような策動を阻止していこう。生徒・子どもを主体とした民主的コミュニティーの再生こそが求められている。
竹花の教育委員任命の危険性を暴露し、反対していこう。この間の被処分者を先頭とした反処分闘争、都教委包囲闘争の成果と結びつけ、石原・都教委を打ち倒していこう!(遠山裕樹)
アジア連帯講座
免状等不実記載弾圧1周年 10・20公開講座案内
立川反戦ビラ裁判と「微罪弾圧」
講師 大洞俊之さん(立川反戦ビラ弾圧被告)
二〇〇六年十月二十四日、アジア連帯講座の仲間であるAさんは免状等不実記載罪(運転免許証に記載されている住所〈実家〉と現住所が違っていた)で神奈川県警によって令状逮捕され、自宅は七時間に及ぶ家宅捜索を受けました。Aさんは小田原署に十日間勾留されました。逮捕、家宅捜索が不当であるというばかりでなく、Aさんの活動基盤に打撃を与え、何よりその家族などに拭いきれない生活破壊の痕跡を残しました。
このような「微罪逮捕」は各地での反戦運動、労働運動にかかわる人たちに対してますます質量ともに不当性をエスカレートさせています。ところが人権侵害の深刻さが、かすみがちともなっています。私たち、10・24国賠訴訟勝利する会、アジア連帯講座はこの事態に対決する姿勢を鮮明にしようと、Aさんらを原告として国・神奈川県警を訴える国家賠償請求訴訟に取り組んできました。
この中でテーマとして浮かび上がったことは、神奈川県(県警)が展開している「過激派に人権なし」という宣伝をいかに打ち破るのかということです。公安警察が収集した材料をかき集めて作った「過激派」を強引に描き出し、支持を広げる可能性のある運動体に対して「過激派」のレッテ
ルを適用して不当弾圧する手法を繰り返しています。この手法の延長線上にやりたい放題の違憲・違法捜査・逮捕・勾留を行っています。「テロリストとの闘い」などと称してイラク・アフガニスタンを侵略し続けるアメリカ政府と日本政府の進む道が重なります。人権侵害を見過ごし、分断を許さない社会を作っていきたいものです。
内田雅敏弁護士(免状不実記載弾圧国賠裁判原告代理人弁護士)は、5・17アジア連帯講座「改憲と治安弾圧」において「公安警察の微罪逮捕と裁判所の令状乱発こそが、侵略戦争の『銃後』の備えを固め、戦争推進に都合の良い治安社会強化を後押ししている」と厳しく裁判所の無責任な役割を批判しました。
立川反戦ビラ弾圧・
最高裁闘争に連帯を
今回、二〇〇四年に立川・自衛官官舎で反戦ビラを配って住居侵入罪の弾圧を受けた立川自衛隊監視テント村の大洞俊之さんを講師に迎えます。
立川自衛隊監視テント村の仲間三人が立川市内の自衛隊官舎へのイラク反戦ビラ入れを「住居侵入罪」だとして立川署・警視庁公安二課に不当逮捕されたのが〇四年二月二十七日。三年目を迎えています。一審は無罪判決(04年12月16日)をかちとり、二審の高裁は、「表現の自由が尊重されるべきものであるとしても、他人の権利を侵害していいことにはならない」などと主張し、罰金有罪刑の不当判決を言い渡してきたのです(05年12月9日)。
三人の被告と弁護団は、高裁判決に対して(1)防衛庁官舎の敷地・階段・玄関前は「人の監守する邸宅」ではない (2)住民の意思ではなく管理権者の意思でビラまきが違法化されている (3)住民がビラまきに刑罰で対処してほしいと思っていたかは証明できない (4)多数の住民がビラまき禁止を望んでいても、住居侵入罪は成立しない (5)本件のビラまき態様においても害を与えていない (6)「表現の自由」と可罰性(刑罰をもって罰するに値いする程度のものか)についての論議を避けている――などを批判した弁護団上告趣意書を最高裁に提出しました(06年5月31日)。
最高裁の審理は、公判が開かれず、文書のやりとりで進行し、ある日、判決が出るというシステムです。被告と救援会は、最高裁での無罪判決を実現するために、上申書運動、無罪要求署名運動、最高裁情宣行動を軸に取り組んでいます。〇七年一月三十一日には、最高裁情宣と同時に、第五次の署名(提出計1万4204筆)・上申書(計276通)提出行動が行われています。
私たちは、立川反戦ビラ裁判の経過に再び学び、警察・司法の横暴を許さない人々の共通の利益となる行動は何か、探っていきたいと思います。ぜひご参加ください。
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