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NTT反リストラ裁判に不当判決             かけはし2007.8.6号

巨大企業のガードマンの役割果たした東京地裁

「見せしめ配転」
正当化を許すな

 七月二十五日、電通労組が原告団を形成し二〇〇三年十月に始まった「NTTリストラ裁判」の判決公判が開かれた。午後一時十五分の開廷に対して、一時には傍聴席が一杯になった。東京地裁民事十一部は、「原告の訴えを退ける」旨の主文を読み上げ開廷後一分もたたないうちに閉廷を宣言する始末。いつもの公判では原告が訴えているにもかかわらず、裁判官席で居眠りをしていた裁判長は、この日に限っては実に機敏な対応をすることをあきれる以外になかった。
 NTTは二〇〇二年七月より十一万人のリストラ=五十歳退職・再雇用の攻撃をかけてきた。それに対して労働者の側は九七%が一五%〜三〇%の賃下げ退職・再雇用を選んだ。しかし誰も好んで賃下げを選んだわけではなかった。「退職に応じなければ全国のどこへでも配転するぞ」という脅しによって退職を選ばざるをえなかったのである。そして五十歳退職を拒否した労働者には、なりふりかまわぬ「見せしめ配転」が行われた。今回の裁判の原告八人中六人が宮城を中心とする東北各県からの単身赴任である。家族と別れた単身赴任、知らない土地、初めての仕事、原告が「収容所」と呼ぶ人がいると発言していたが、本当にそれを実感させる。闘う者への「報復」であり、「見せしめ」であることは公判を通して原告たちは一から十まで明らかにした。
 だが東京地裁民事十一部は「法の番人」としてではなく、「巨大企業のガードマン」として判決を出したのである。裁判中は居眠りし、原告の意見を全く聞かず、NTTを守る判決を準備したのである。

勝利するまで
がんばるぞ!

 判決後の日比谷公園の総括集会であいさつした横澤原告団長や大内電通労組委員長は「今回の判決は予測できた」と述べた。NTTリストラに反対する裁判は全国で闘われている。昨年九月札幌地裁第五民事部は、配転を「違法であり無効」と原告全面勝利の判決を下し、今年三月二十八日大阪地裁第五民事部も三人の原告に二百万円の賠償命令などを含む原告勝利の判決が続いた。
 しかしこうした全国的な原告勝利の流れに歯止めをかけるように今年三月二十九日東京地裁民事十九部は、会社の「うそ」を全面的に認める通信労組を中心とした原告団敗訴の判決を出した。裁判所はNTTのリストラにとどまらず、政府・資本がこの十年間にわたって押し進めてきた「構造改革・規制緩和」に労働者人民の怒りが広がることをなんとしても阻止するために「原告敗訴」の判決を下したのである。日比谷公園の総括集会で原告は「高裁・最高裁まで闘う。地裁判決はそれまで『がんばれ』という檄と受け止めます」という発言が印象的であった。

NTT東日本
本社に抗議行動

 日比谷の総括集会の後、原告と支援が一体となりNTT東日本本社(京王新線初台駅前)に対する申し入れ、抗議行動を行った。
 原告団長の横澤仁志さんは「NTTは十一万合理化を認めない労働者に見せしめ配転を行っている。これは明確な報復人事で許せない。裁判を起こし三年九カ月闘ってきたが、NTT会社の言い分を全面的に認める反動判決が出された。会社は業務の必要性をでっち上げてきたがすべて反論してきた。裁判所は法の番人ではなく、巨大企業のガードマンであることを認めた判決だ。高裁・最高裁まで逆転判決を求めて闘っていく。今年もリストラが続けられ、退職・再雇用(大幅賃下げ)が行われている。夢も希望も失い働かされている。職場では事故が相次いでいる。家族とともに生活する権利を守るために闘う」と決意表明した。
 続いて、大内電通労組委員長が「NTTの構造改革がどのように計画・策定されたのかについて、NTTは裁判で一切答えなかった。実施するにあたって、きわめて政治的に労働者を分断して行われた。こうした反労働者的なNTTの体質を変えていくために闘う。公共サービスを行えという声を広げ、戦線を拡大して闘う」と発言した。
 この後、五人の仲間がNTT東本社への申し入れを行った(申入れ書、別掲)。
参加した原告団が決意を述べた。成田さん。「一切われわれの主張を認めなかった。これまでNTTの反動をあばいてきた。最後の勝利まで闘う」。緒形さん。「法令順守とよく言われるが五十歳退職・再雇用制度は初めから脱法してつくった制度だ。就業規則の不利益変更を合理的な理由がないままに行ったのだ。中高年を相手にしないという悪質なものだ。これでは若者もそれにしたがってしまうだろう」。古宮さん。「家族は離れ離れになってはいけない。闘いはこれからだ」。
 鏡さん。「今日の行動に青森から大阪まで全国の電通労組、電通合同の仲間がかけつけてくれた。負けても負けても闘ってゆく」。高橋さん。「五十歳で、賃金カット三〇%を認めれば地域に残れるといっていたが、地域といっても県内の遠いところにやられたりしている。そんな約束は反故同然にやられている。労働者を人間として扱わない大企業の横暴を許さない。人間らしく、安心して働ける職場を」。

労働者の健康を
破壊する職場環境

 各地の電通労組の仲間が訴えた。福島。「四月から自殺者が四人も出ている。こうした職場環境を変えるために最高裁まで闘う」。宮城。「単身赴任や長距離通勤は労働者の健康を根本的に破壊するものだ。十年間も単身赴任を強いる企業がどこにある。こんな非人間的なNTTを許さず闘う」。青森。「常識ある人ならわたしたちの当たり前の要求を必ず分かってもらえる。けっしてわたしたちは間違っていない。闘いを続け勝利をかちとろう」。
 支援で駆けつけた木下さん争議(NTTに職業病を理由に解雇された木下さんの闘い)について、木下さんの連れ合いが「私たちも二十七年間闘ってきている。裁判ではすべて負けて、悔しい思いをしてきた。それでも不当な解雇は認められない。ともに闘っていこう」と連帯のあいさつをした。申し入れ団が帰ってきて、最後にNTT東日本本社に、闘いのシュプレヒコールを行い、この日の行動を終えた。    (M)

申し入れ書
11万人リストラを中止せよ


東日本電信電話株式会社
代表取締役社長 高部 豊彦 殿
   2007年7月25日
NTTリストラ反対!不当配転の取消しを求める裁判原告団
団長 横澤 仁志
電気通信産業労働組合首都圏支部
                  委員長 後藤 純一

 本日、東京地方裁判所民事11部は、不当にも貴社が2003年4月に行った「構造改革」による配転を是認する判決を下した。本日の判決は断じて認められるものではない。私たちは全面勝利を目指してより一層の闘いを作り上げていく覚悟である。
 貴社が2002年5月から行っている「構造改革」は、大幅な賃金と労働条件の切り下げを前提として、50歳でNTTからの退職を強要し、新たに急造した地域子会社への再雇用を促すものであった。2003年4月からの広域・異職種配転は、業務上の必要性などまったくなく、退職に応じなかった労働者に対する「報復」であり、「見せしめ」を意図したものであった。不当配転により労働者とその家族は「ともに暮らす権利」を奪われ、慣れない仕事や長距離通勤で日々ストレスを強いられ、単身生活の長期化により労働者の健康がおびやかされてきている。
 本日の判決は「構造改革」によるこうした事実に目をつむり、会社主張のみを認定する不法、不当なものである。私たちはこの判決に屈することなく、全面解決まで闘う。
 あらためて貴社に下記の項目について要求する。7月31日までに文書をもって回答されたい。

1、全国に不当配転した労働者全員を直ちに地元に戻すこと
2、50歳退職・再雇用制度を撤廃すること
3、「構造改革」=NTT11万人リストラを中止すること 以上



ホームレスは減ったのか?
「貧困」と「排除」にNO!
社会的連帯の広がりを


「対策」で減った
のはテントだけ

 七月二十七日、東京新宿の角筈区民ホールにおいてホームレスは減ったのか?「貧困」と「排除」にNO! 7・27集会が百八十人の参加で行われた。
 まず主催者を代表して司会の仲間が本集会の趣旨を説明。十年間の時限立法である「ホームレス自立支援法」が五年目の見直しの年を迎え、厚生労働省はこの間の「対策」によってホームレスは減ったという調査結果を発表した。しかし、大阪・長居公園の強制排除や、東京都の地域生活移行支援事業などの「対策」によって減ったのはテントだけであって、テントを持たずに野宿を余儀なくされる人々は決して減ってはいない。それどころか排除が行われた公園などでは「新規流入防止」の名目のもとにガードマンが巡回し、テントを建てることはおろか、ベンチなどで横になることすら出来なくなっている。
 また、アパートや施設に収容された人々にも十分な対応がなされず、ふたたび野宿へと追いやられるケースも少なくない。
ホームレス問題とはホームレス自身の問題ではなく失業と貧困を生み出す社会の問題である。本集会は首都圏で活動する様々な野宿の当事者・支援者の団体・個人が結びつき、多様な観点から野宿の問題を考え、今後の運動の方向性を探っていくものとして準備されてきた。

カウントされ
ることない命

 続いて「ホームレス・カウントされない命と社会的排除」と題して、笹沼弘志さん(静岡大学教員・憲法学)の基調講演が行われた。
 笹沼さんはまず演題の「カウントされない命」というのはイラクで人質になった高遠さんの言葉であると紹介した。イラクで米兵の死者は何人と報道されるの にイラク人の死者は全く報道されない、カウントされていないが、ホームレスの命もまたカウントされていないのではないか。
 東京都のホームレス地域生活移行支援事業でも対象となっているのはテント生活者であり、大阪でも公園などでテント生活を送っている人だけがシェルターへの収容の対象である。それ以外のテントも持たずに移動し、駅や公園のベンチで夜を明かす人々はホームレス対策の対象としてカウントされない。
 北九州で生活保護を切られた人が「おにぎりが食べたい」と書き残して餓死した事件などを見てもセーフティネットとしての生活保護は機能していない。セーフティーネットをキチンと作ってから自由主義的な政策をというのが新自由主義的な学者の主張だが、しかし学者の理論より資本のエゴの方が勝っているというのが実態である。
 ネットカフェ難民の問題が大きく報道されるようになり厚生労働省も調査などに動き出したが、厚生労働省はネットカフェ難民を住居喪失労働者と規程した。英語で言えばホームレスワーカーということになるが、厚生労働省はテント生活者(ホームレス)とは意識的に区別して規定している。
 ホームレスという言葉はマスコミが使いだして、それから行政の用語になったが、例えば「住居喪失労働者」というのに比べて「ホームレス」という用語を使うことによって問題が何かを曖昧にしてしまっている。

地域生活移行支
援事業の問題点

 休憩をはさんで質疑応答が行われた後、現場からの報告として東京東部地域から隅田川の取り組みの紹介と江東区の竪川河川敷公園でのテント排除と闘う仲間からの発言。西部地域からは中野夜廻りの会の仲間が中野や、いんくるーしぶ杉並の活動を報告、パトロールで保護した三十六歳の男性とその六十五歳の母親がお金のあるときにはネットカフェ、ないときにはマクドナルド、全然おカネがないときには路上で寝ていたことをあげ、ホームレスとネットカフェ難民を区別することは全く意味が無いと発言した。
 続いて市部の取り組みとして三多摩からたまごの会(東村山)、夜まわり三鷹の仲間が発言、二十三区外では自立支援法に基づいた行政の対応は行われていないが医療的な保護が必要な人に対しては病院は診療拒否はできないので、かろうじて生活保護につなげることができている。三鷹では区の施設での炊き出し作りに対して料理室を貸さないなどの嫌がらせが行われたが、粘り強い闘いでそれを打ち破った。
 次に東京都のホームレス地域生活移行支援事業について同事業の問題点や、利用した仲間の現状が報告された。
 隅田川医療相談会の仲間、各地で相談活動を行っているホームレス総合相談ネットワークの後閑一博弁護士から発言が行われた。
 さらに、フリーター全般労働組合の仲間からはグッドウィルのデータ装備費の問題など非正規雇用の問題が報告された。
 大阪からは失業と野宿を考える実行委員会の仲間が発言、今年三月組合事務所に住所を置いていた二千八百八十人あまりの労働者の住民票が削除された問題について「直後の統一地方選で投票することが出来なかった、これは明治時代に一定の税金を納めた人しか投票できなかった制限選挙の再現である」とし、さらに住民票が取り上げられたことによって白手帳(日雇労働者雇用保険手帳)も持てなくなり、失業保険の給付が受けられなくなったことの深刻さを説明した。
 そして反貧困ネットワーク事務局の湯浅誠さんは「市民運動や労働運動など様々な人々が違いを強調するのではなく、同じところに着目しよう、一緒にやろうということでネットワークをつくった」と語った。次に対都行動を闘う全都野宿労働者実行委員会の仲間より、昨年八月の準備会結成から十一月の新宿中央公園でのハンスト、十二月の結成など一年間の闘いの報告。
 最後に実行委員会よりまとめの発言が行われ、各団体の発言が五分ずつと短く十分ではなかったが、今後もこの枠組みでの取り組み得を続けていくこと、八月三十一日に同会場の会議室で本集会を引き継いでフリートークの場を設けることなどが告知された。 (板)


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